セミナー
セミナー企画の立て方
8ステップと企画書・テーマ・タイトル例
セミナー企画は、「開催後に参加者に何をしてほしいか(目的とKPI)」を最初に決め、そこから逆算して「誰の・どんな課題に・どんな形で答えるか」を決めていく作業です。テーマやタイトルから考え始めると、集客の言葉が弱くなり、終わったあとに成功かどうかを誰も判断できません。下の「1枚企画シート」を埋めれば、企画の骨格はできあがります。
結論
セミナー企画は①目的とKPI ②ターゲットと課題 ③テーマとタイトル ④形式・日時・長さ ⑤登壇者 ⑥プログラム ⑦集客 ⑧当日運営と開催後のフォローの順で決めます。最初の①②が曖昧なまま③以降に進まないことが、企画を失敗させない一番の近道です。
結論:1枚企画シート(まずこれを埋める)
急いでいる方は、この表を上から埋めてください。空欄が残る行は、企画がまだ決まっていない部分です。社内の承認を取るときも、この表がそのまま企画書の骨格になります。
| 決めること | 決め方 | 記入例(BtoB向けウェビナー) |
|---|---|---|
| 目的 | 新規の見込み客の獲得、商談化、既存顧客の活用促進、認知のうち1つに絞る | 商談化(資料請求済みで止まっている見込み客を動かす) |
| KPI | 目的に直結する数字を1つ。申込数ではなく、その先の行動にする | 参加者のうち個別相談を申し込んだ件数 |
| ターゲット | 業種・役職・状況・悩みまで1人の人物として書く | 従業員規模の小さい製造業で、展示会のリードを商談にできていない営業企画の担当者 |
| 参加者の課題 | ターゲットが今困っていることを、その人の言葉で書く | 名刺は集まるが、誰に先に連絡すればよいかわからない |
| テーマ | 課題と解決の方向を1文で | 展示会リードの優先順位の付け方 |
| 持ち帰れるもの | 参加後に手元に残るものを具体的に | 優先順位の判定表と、フォローメールのひな形 |
| 形式・日時・長さ | ターゲットが参加しやすい形と時間帯 | オンライン、平日の昼休み明け、質疑込みで1時間 |
| 登壇者 | その課題を自分で解決した経験がある人 | 自社のカスタマーサクセス責任者と、導入企業の担当者 |
| 参加後の導線 | 終了直後に案内する次の一歩 | アンケート内で個別相談の希望を取る |
Point
企画の良し悪しは「目的」「KPI」「持ち帰れるもの」の3行でほぼ見分けられます。この3行が具体的なら、テーマもタイトルも告知文も自然に決まります。
目的別:セミナーの設計の違い
同じ「セミナー」でも、目的によってテーマの深さ、規模、追う数字が変わります。目的を1つに絞ってから、この表で設計の方向を決めてください。
| 目的 | 向くテーマ | 追う数字(KPI) | 規模と形式の傾向 |
|---|---|---|---|
| 新規の見込み客の獲得 | 業界の課題・制度の変化・ノウハウなど、まだ自社を知らない人も関心を持つ話 | 新規の申込者数、新規の連絡先数 | 大きめ・オンラインで間口を広く |
| 商談化・比較検討の後押し | 導入事例、比較の観点、費用の考え方、導入の進め方 | 個別相談・デモの申込数 | 小さめ・質疑を厚く |
| 既存顧客の活用促進・継続 | 活用のコツ、新機能、ユーザー同士の事例共有 | 機能の利用率、継続・追加契約 | ユーザー会・勉強会形式 |
| 認知・ブランディング | 業界の将来、専門家の対談、調査の発表 | 参加者数、録画の視聴、言及 | カンファレンス・ハイブリッド |
| 採用 | 仕事の中身、現場社員の話、キャリアの築き方 | エントリー・面談の申込数 | 少人数の座談会形式 |
企画会議でよく出る言葉と、目的からの言い換え
次の言葉が出たら、企画が目的から離れ始めている合図です。右の問いに置き換えてから先に進んでください。
| よく出る言葉 | 置き換える問い |
|---|---|
| 「新製品が出たので、紹介セミナーをやろう」 | 新製品で解決できる課題は何か。その課題でいま困っているのは誰か |
| 「毎年やっているので、今年も同じ形で」 | 去年の参加者は、終了後に何をしたか。その結果を見て目的を決め直す |
| 「とにかく100人集めたい」 | 集まった人のうち、何人にどんな行動をしてほしいか |
| 「登壇者が決まったので、内容はお任せで」 | 目的と参加者像を渡し、持ち帰れるものを登壇者と一緒に決める |
| 「アンケートは終わってから考えよう」 | KPIを数えるための設問を、企画の段階で先に決める |
セミナー企画の進め方:8ステップ
- 01
①目的とKPIを決める
開催後に参加者にしてほしい行動を1つ決め、それを数える数字をKPIにします。申込数だけをKPIにすると、集めやすいが目的に合わないテーマに流れます。
- 02
②ターゲットと課題を決める
1人の人物として書きます。営業・カスタマーサクセスに「最近よく聞かれる質問」「失注の理由」を聞くと、課題が実際の言葉で集まります。
- 03
③テーマとタイトルを決める
課題と解決の方向を1文にしたものがテーマです。タイトルには課題・対象・持ち帰れるものを入れます(例は下の章)。
- 04
④形式・日時・長さを決める
対面・オンライン・ハイブリッドのどれにするか、ターゲットが参加しやすい曜日と時間帯、質疑を含めた全体の長さを決めます。
- 05
⑤登壇者を決めて依頼する
課題を自分で解決した経験がある人を選びます。依頼時に目的・参加者像・持ち時間・謝礼を一度に伝えます。
- 06
⑥プログラムと資料を作る
導入・本題・事例・質疑・次の案内の順に組み、登壇者同士で話が重ならないよう調整します。
- 07
⑦告知と集客をする
告知ページ、案内メール、リマインドの順に準備します。申込が鈍る中盤に追加情報を出せるよう、ネタを残しておきます。
- 08
⑧当日運営と開催後のフォロー
アンケートを終了直後に取り、参加者・欠席者・関心度で分けてフォローします。結果を次回の企画に戻して、ステップ①を見直します。
開催日から逆算したスケジュールの目安
準備期間は規模と形式で変わります。下は社外向けの単独セミナー(登壇者が社外の人を含む)を想定した目安です。社内の登壇者だけの小規模なウェビナーなら、全体を短くできます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 2か月前まで | 目的・KPI・ターゲット・テーマを決め、企画書で社内の承認を取る。登壇者に打診する |
| 1か月半前 | 日時と形式を確定。会場・配信ツールを押さえ、告知ページと申込フォームを作る |
| 4〜5週間前 | 告知を開始(ハウスリスト、自社サイト、SNS、登壇者からの告知) |
| 2〜3週間前 | 申込が鈍る時期。講演内容の一部や事例名など追加情報で再告知する。資料の初稿を受け取る |
| 1週間前 | 最終の再告知。リハーサル。当日の進行表と役割分担を確定する |
| 前日〜当日 | 参加URL・会場案内のリマインド。機材と配信の確認。終了直後にアンケート |
| 終了後〜1週間 | お礼とアンケート回答者へのフォロー、録画・資料の案内、KPIの集計と振り返り |
テーマの決め方:ネタの集め方と段階別の例
テーマは会議室で考えるより、すでに社内にある「顧客の声」から拾う方が外れません。次の場所を順に当たってください。
- 営業の商談メモ・失注理由:検討が止まった理由は、そのまま比較検討期のテーマになります
- 問い合わせ・サポートの質問:何度も聞かれる質問は、活用促進のテーマになります
- 既存顧客へのインタビュー:導入前に何で迷ったかを聞くと、新規向けのテーマが出ます
- 自社サイトで読まれている記事・検索されている言葉:関心の大きさを数字で確かめられます
- 季節・年度の節目:予算を組む時期、年度の切り替え、制度の施行前後など、参加者が動く理由がある時期
- 過去のセミナーのアンケート:「次に聞きたいこと」の欄は、次回テーマの候補そのものです
検討段階別のテーマ例
| 参加者の段階 | 参加者の状態 | テーマ例 |
|---|---|---|
| 課題に気づく前 | 困ってはいるが、原因を言葉にできていない | 「問い合わせが増えない会社に共通する、サイトの3つの穴」 |
| 情報を集めている | 解決の方法を広く知りたい | 「社内イベントの進め方:準備から当日までの全体像」 |
| 比べている | 候補を並べて、違いを知りたい | 「イベント運営の外注と内製、費用と手間の比べ方」 |
| 導入を決める直前 | 失敗しないか不安。社内を説得したい | 「導入企業3社に聞く、最初の3か月でつまずいたこと」 |
| 導入した後 | もっと使いこなしたい | 「ユーザー限定:活用度の高い会社がやっている運用の型」 |
注意
1回のセミナーで段階をまたぐ内容を詰め込むと、どの段階の人にも物足りなくなります。1回につき1段階に絞り、段階ごとに別の回を用意する方が、参加者の満足度も次の行動も上がります。
AIでテーマ案を出すときの指示文の例
テーマ案の幅を出したいときは、生成AIに次のように頼むと、企画会議のたたき台が短時間でそろいます。出てきた案は、必ず上の「顧客の声」と照らして選んでください。
あなたはBtoBマーケティングの企画担当です。次の条件でセミナーのテーマ案を10個、タイトル案つきで出してください。ターゲット:〈業種・役職・状況〉。ターゲットの悩み:〈営業から聞いた言葉をそのまま〉。目的:〈商談化など〉。条件:自社製品の紹介ではなく、参加者が持ち帰れるものがあること。各案に「持ち帰れるもの」と「向く検討段階」を添えてください。
タイトルの付け方と例文
タイトルは、告知ページを開くかどうかを決める一番の要素です。「誰向けか」「どんな課題か」「何が持ち帰れるか」の3つのうち、少なくとも2つを入れてください。
| 型 | タイトル例 |
|---|---|
| 課題+解決策の数 | 「展示会の名刺が商談にならない理由と、明日からできる3つの改善」 |
| 対象を明示 | 「はじめて社内イベントを任された総務担当者のための、準備の進め方」 |
| 持ち帰れるものを明示 | 「ウェビナー集客の計画表を配布:告知から前日までの打ち手を1枚に」 |
| 事例 | 「従業員数十名の会社が、セミナー経由の商談を増やすまでにやったこと」 |
| 比較 | 「外注か内製か:周年イベントの準備を比べて決めるための判断軸」 |
| 失敗から学ぶ | 「よくある失敗から逆算する、オンライン説明会の設計」 |
| 時期・制度の節目 | 「来年度の予算を組む前に:イベント費用の見積もりの見方」 |
| 質問に答える | 「参加者の質問にすべて答える:ハイブリッド開催の疑問をまとめて解消」 |
| 専門家・対談 | 「現場の運営責任者2人に聞く、当日のトラブルを防ぐ準備」 |
| ユーザー限定 | 「ご利用中の方限定:活用度の高い会社の運用ルールを公開」 |
改善前と改善後
| 改善前 | 改善後 | 直した点 |
|---|---|---|
| 「イベントDXの最新動向」 | 「受付と名簿管理に追われる事務局のための、手作業を減らす3つの方法」 | 対象と課題と持ち帰れるものを入れた |
| 「〇〇(製品名)ご紹介セミナー」 | 「問い合わせ対応の工数を減らしたい方へ:導入企業の運用例と費用の考え方」 | 製品名ではなく、参加者の課題を先に出した |
| 「マーケティング勉強会」 | 「BtoBの少人数マーケ担当者向け:ハウスリストだけで集客する手順」 | 広すぎる対象を絞り、方法を具体的にした |
Point
サブタイトルや告知文の冒頭に「このセミナーで得られること」を3つ書くと、期待値がそろい、当日の満足度も上がります。案内文の書き方はセミナー案内文の例文にまとめています。
形式・日時・長さの決め方
| 形式 | 向いている目的 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 対面(会場) | 商談化、関係づくり、参加者同士の交流 | 会場費と移動の負担。遠方の人が参加しにくい |
| オンライン(ライブ) | 新規の見込み客の獲得、情報提供 | 途中で離脱されやすい。チャットや投票で参加してもらう工夫が要る |
| ハイブリッド | 認知と関係づくりの両立、規模の大きいカンファレンス | 会場と配信の両方の準備が要り、運営の難度が上がる |
| 録画配信(アーカイブ・オンデマンド) | ライブに参加できなかった人へのフォロー、繰り返し使う入門編 | 質疑ができない。問い合わせの導線を別に用意する |
- 曜日と時間帯:ターゲットの業務の山を避けます。月初・月末や週明けの朝は、社内業務と重なりやすくなります
- 長さ:オンラインは質疑込みで1時間前後、対面の単独セミナーは半日(3〜4時間)を上限の目安にします
- 他の行事との重なり:業界の大きな展示会やカンファレンスの会期とぶつけないよう、事前に業界の予定を確認します
ハイブリッドの設計はハイブリッドイベントのやり方、ウェビナーの集客はウェビナー集客の進め方を参照してください。
登壇者の選定と依頼
選定の基準
- 実務経験があるか:評論ではなく、自分がやった話ができるか
- ターゲットとの距離:近すぎると新鮮さがなく、遠すぎると自分ごとにならない
- 話し慣れているか:内容が良くても、伝わらなければ満足度は上がらない
- 集客力があるか:登壇者の知名度や発信力が申込数を左右することがある
依頼時に伝えること
- セミナーの目的と、参加者の属性・想定人数
- 持ち時間(質疑を含むか別かを明確に)
- 話してほしいテーマと、避けてほしい内容(製品の売り込みなど)
- 資料の提出期限と形式、事前配布・公開の有無
- 当日の集合時間、リハーサルの有無
- 謝礼、交通費・宿泊費の扱い
- 録画・資料公開の可否
- 他の登壇者と内容が重ならないための調整
依頼メールの例文
件名:〈セミナー名〉ご登壇のお願い(〈開催日〉開催)
〈会社名〉〈部署名〉
〈氏名〉様
突然のご連絡失礼いたします。〈自社名〉の〈氏名〉と申します。
このたび弊社では、〈ターゲット〉を対象に「〈テーマ〉」と題したセミナーを企画しております。〈氏名〉様が〈記事・講演など〉でお話しになっていた〈具体的な取り組み〉を拝見し、ぜひ参加者の皆さまにご経験をお聞かせいただきたく、ご登壇をお願いできないかと考えご連絡いたしました。
■日時:〈開催日・時間〉
■形式:〈会場名/オンライン〉
■想定参加者:〈属性・人数〉
■お願いしたい内容:〈テーマ〉について〈持ち時間〉(質疑応答を含む)
■謝礼:〈金額または「別途ご相談」〉、交通費は弊社にて負担いたします
■録画・資料公開:〈予定の有無〉
ご多用のところ恐縮ですが、〈回答期限〉までにご検討いただけますと幸いです。詳細はお打ち合わせの場でご説明いたします。
何卒よろしくお願い申し上げます。
注意
外部の個人の登壇者に講演料を支払う場合、所得税法第204条第1項第1号により講演料は源泉徴収の対象です。復興特別所得税を含めた税率は10.21%(同一人に一回100万円を超えて支払う部分は20.42%)です。手取り額で約束するのか、税込みの額で約束するのかを依頼時に決めておいてください。詳しくは講演料の源泉徴収を参照してください。
プログラム設計とタイムテーブル例
| 要素 | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 1セッションの長さ | 1時間を超えない長さに収める | 長くなるほど集中が切れ、途中で抜ける人が出やすい |
| 休憩の頻度 | セッション2本ごとに1回 | トイレ、名刺交換、移動に必要 |
| 質疑の時間 | セッションごとに5〜10分 | まとめて最後にすると質問が出にくい |
| 全体の長さ | 半日(3〜4時間)が上限の目安 | 1日拘束は参加ハードルが上がる |
並びの設計
- 最初は全体像:導入で文脈をそろえる。いきなり各論に入らない
- 中盤に具体例:集中力が落ちる時間帯に、事例で引き戻す
- 最後に行動:明日から何をするか。持ち帰りと次の案内を明確にして終わる
例1:1時間のウェビナー
| 時刻 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 13:55 | 入室開始。音声・画面の確認案内を表示 | 配信担当 |
| 14:00 | 開会、本日の流れ、質問の送り方の案内 | 司会 |
| 14:05 | 本題:課題の整理と解決の考え方 | 登壇者A |
| 14:25 | 事例:実際の進め方と結果 | 登壇者B |
| 14:45 | 質疑応答(チャットで受けた質問から) | 司会・登壇者 |
| 14:55 | 資料・録画の案内、アンケートと個別相談の案内、閉会 | 司会 |
例2:半日の対面セミナー(3部構成)
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 13:30 | 受付開始 |
| 14:00 | 開会・主催者挨拶 |
| 14:10 | 第1部:全体像(基調講演)+質疑 |
| 14:55 | 第2部:事例紹介+質疑 |
| 15:40 | 休憩・名刺交換 |
| 16:00 | 第3部:パネルディスカッション+質疑 |
| 16:50 | 閉会・アンケート回収 |
| 17:00 | 個別相談・交流(希望者のみ) |
進行の言葉はセミナー司会の台本、パネルの組み方はパネルディスカッションの進め方にまとめています。
企画書の書き方(項目と記入例)
社内の承認を取るための企画書は、冒頭の「1枚企画シート」に予算・体制・リスクを足せば完成します。読み手(上司・決裁者)が知りたいのは「なぜやるのか」と「いくらかかって何が返ってくるか」です。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| タイトル・開催概要 | セミナー名、日時、形式、会場、定員 | 「〈テーマ〉」〈開催日〉、オンライン |
| 背景と目的 | なぜ今やるのか。課題と目的を1つ | 資料請求後に商談へ進まない見込み客が増えているため、商談化を目的に開催する |
| ターゲット | 1人の人物像と、集める先(リスト) | 〈業種・役職・状況〉。資料請求済みのリストと既存顧客の紹介 |
| 内容 | テーマ、タイトル案、プログラム、登壇者 | タイトル案3つと1時間のタイムテーブル |
| 集客計画 | チャネル、告知の開始日、目標の申込数 | ハウスリストへのメールを3回、自社サイト、登壇者の告知 |
| KPIと評価方法 | 何をいつ数えるか | 終了から1か月で個別相談の件数を集計 |
| 予算 | 会場・配信・登壇謝礼・広告・制作物 | 項目ごとの見積もり額 |
| 体制とスケジュール | 役割分担と、開催日からの逆算の日程 | 責任者・集客・登壇者対応・当日運営・フォローの担当 |
| リスクと対策 | 集客不足、登壇者の急な不参加、配信トラブル | 申込が中間目標に届かない場合の追加告知、録画の予備 |
そのまま使える書式はイベント企画書テンプレート、企画書全般の書き方はイベント企画書の書き方にあります。
集客の設計
申込は、告知を始めた直後と、開催の直前に集まりやすく、その間は鈍ります。この波を前提に、告知の回数と中身を最初に決めておきます。
- 01告知開始(4〜5週間前):関心の高い層が申し込む。ハウスリストと登壇者の告知を同時に出す
- 02中盤(2〜3週間前):申込が鈍る時期。講演内容の一部、事例の社名、配布物の中身など追加情報で動かす
- 03直前(3〜7日前):予定が確定した層が申し込む。締切の案内を兼ねて再告知する
直前の申込が一定数あるため、締切を開催の2〜3日前に設定すると取りこぼしが減ります。資料の郵送や飲食の手配がある場合は、その締切から逆算してください。
集客チャネル
- 既存顧客・ハウスリストへのメール(最も確実)
- 登壇者による告知(登壇者の影響力を活用)
- 自社サイト・SNS
- 業界メディア・イベント告知サイトへの掲載
- 共催先・協賛先からの案内
- 広告(費用対効果は事前に見積もる)
注意
申込フォームで集めた氏名や連絡先は個人情報です。個人情報保護法第21条第2項により、本人から直接書面(フォームなどの電磁的記録を含む)で取得する場合は、あらかじめ利用目的を明示する必要があります。共催先と名簿を共有する場合の考え方はセミナー共催と個人情報、ウェビナーでの扱いはウェビナーと個人情報を参照してください。
告知チラシはセミナーチラシの作り方、集客の打ち手の順番はイベント集客の進め方にまとめています。
当日の満足度を上げる運営
- 開始時刻を守る:数分の遅れでも、その後の質疑と休憩がすべて削られます
- Wi-Fiと電源:PCでメモを取る参加者が困らないよう、接続方法と電源の位置を案内します
- 配布資料のタイミング:事前に配ると読んで来る人が増え、質疑の質が上がります
- 質疑を促す仕組み:チャットやフォームで匿名の質問を受けると、手を挙げにくい人の質問が集まります
- 交流の時間:参加者同士の名刺交換も参加の価値になります。休憩を長めに取る設計も有効です
- アンケートはその場で:退場時や終了直後の画面で回収すると、回答が集まりやすくなります
運営の詳細はイベント運営チェックリストを参照してください。
開催後のフォローと次の企画への反映
| 相手 | 送るタイミング | 案内すること |
|---|---|---|
| 参加して、相談を希望した人 | 当日〜翌営業日 | お礼と日程調整の連絡。担当者から個別に |
| 参加して、アンケートで関心が高かった人 | 翌営業日〜数日以内 | お礼、資料、関連する事例や次回の案内 |
| 参加したが、関心が低かった人 | 数日以内 | お礼と資料・録画。次の段階のセミナーの案内 |
| 申し込んだが欠席した人 | 翌営業日 | 録画・資料の案内。次回の日程 |
アンケートで必ず聞くこと
- 満足度と、その理由(自由記述)
- 内容の難しさ(易しすぎ/ちょうどよい/難しすぎ)
- いちばん役に立った部分
- 次に聞きたいテーマ(次回の企画の材料)
- 個別相談・資料送付の希望(KPIに直結)
振り返りでは、KPIの結果に加えて「申込から参加への割合」「途中離脱の多かった時間帯」「質問の多かった論点」を記録し、次回の企画シートの①②に戻します。アンケートの作り方はセミナーアンケートの作り方、フォロー全体はイベント後のフォロー、効果測定はイベントのKPIを参照してください。
セミナー開催のメリットとデメリット
| メリット | デメリット(と対策) |
|---|---|
| 見込み客と直接話せ、課題や関心度を聞ける | 準備に人手と時間がかかる(企画シートと進行表を使い回して軽くする) |
| 専門性が伝わり、信頼につながる | 集客できないと効果が出ない(ハウスリストを先に育てる) |
| アンケートで関心度がわかり、営業の優先順位を付けられる | 製品紹介に寄ると満足度が下がる(売り込みは最後の案内だけにする) |
| 録画や資料を、記事・営業資料・次回の告知に使い回せる | 当日のトラブルの影響が大きい(リハーサルと予備の手段を用意する) |
よくある失敗と対策
| 失敗 | 起きる理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 申込は多いのに、当日の参加が少ない | 無料で気軽に申し込めるため、予定の優先度が低い | 前日と当日のリマインド、参加特典(資料の配布)を当日参加に限る |
| 参加者は満足したが、商談が生まれない | 参加後の導線を企画していない | アンケートに個別相談の希望欄を置き、翌営業日までに連絡する |
| 登壇者の話が重なった | 各登壇者の内容を事前に共有していない | 依頼時に全体の構成を渡し、資料の初稿を突き合わせる |
| 質疑で質問が出ない | 最後にまとめて時間を取った、手を挙げにくい | セッションごとに質疑を置き、匿名で質問を受ける |
| 製品紹介ばかりと言われた | 自社が話したいことから企画した | 本編は課題の解決に絞り、製品の案内は最後に短く |
| 次回のテーマが決まらない | アンケートで次の関心を聞いていない | 「次に聞きたいテーマ」を必ず聞き、企画の材料にする |
セミナー企画チェックリスト
- 目的を1つに絞り、それを数えるKPIを決めた
- ターゲットを1人の人物として書けている
- ターゲットの課題を、営業・顧客の実際の言葉で確かめた
- タイトルに「誰向けか」「課題」「持ち帰れるもの」のうち2つ以上が入っている
- 形式・曜日・時間帯がターゲットの業務の山を避けている
- 登壇者に目的・持ち時間・謝礼・録画の可否を伝えた
- 外部登壇者の講演料について、源泉徴収の扱いを決めた
- 登壇者同士で内容が重ならないよう調整した
- 質疑をセッションごとに置いた
- 告知の回数と、中盤に出す追加情報を決めた
- 申込フォームに利用目的を明示した
- 当日のアンケートに、次の行動(相談・資料)の希望欄がある
- 参加・欠席・関心度別のフォローの文面と担当を決めた
- 振り返りの日程と、集計する数字を決めた
この記事の要点
- 企画は「開催後に何をしてほしいか(目的とKPI)」から逆算する。テーマから考え始めない。
- ターゲットは1人の人物として書き、課題は営業や顧客の実際の言葉から拾う。
- タイトルには「誰向けか」「課題」「持ち帰れるもの」のうち2つ以上を入れる。
- 1セッションは1時間を超えない長さに、質疑は各セッション直後に置く。
- 申込は告知直後と直前に集まる。締切は開催2〜3日前、中盤の追加情報を用意しておく。
- アンケートに次の行動の希望欄を置き、参加・欠席・関心度で分けてフォローする。
FAQ
よくある質問
目的とKPI、ターゲットと課題、テーマとタイトル、形式・日時・長さ、登壇者、プログラム、集客、当日運営と開催後のフォローの順です。最初の「目的」と「誰のどんな課題に答えるか」が曖昧だと、テーマも登壇者も決まらず、集客の言葉も弱くなります。
営業の商談メモや失注理由、問い合わせで何度も聞かれる質問、既存顧客へのインタビュー、過去のアンケートの「次に聞きたいこと」から探します。社内にある顧客の声から拾うと、参加者の関心から外れにくくなります。
開催概要、背景と目的、ターゲット、内容(タイトル案・プログラム・登壇者)、集客計画、KPIと評価方法、予算、体制とスケジュール、リスクと対策です。決裁者が知りたいのは「なぜ今やるのか」と「費用に対して何が返ってくるか」なので、目的とKPIを最初に書きます。
社外の登壇者を招く単独セミナーなら、企画の承認と登壇者の打診を2か月前までに、告知を4〜5週間前から始めると余裕があります。社内の登壇者だけの小規模なウェビナーなら、もっと短くても開催できます。
目的によります。商談につなげたいなら、登壇者や担当者が参加者一人ひとりと話せる規模が有利です。認知の拡大が目的なら大規模でも構いません。人数より、目的に対して適切な密度かで判断してください。
無料は申込を集めやすい反面、当日の欠席が増えやすくなります。有料は参加者の本気度が上がりますが、申込のハードルは上がります。新規の見込み客を広く集めたいなら無料、内容の濃い講座や既存顧客向けの深い内容なら有料と、目的に合わせて選んでください。
登壇者の知名度、拘束時間、準備の負荷で変わります。社内の登壇者、取引先、外部の専門家でそれぞれ考え方が異なります。外部の個人に講演料を支払う場合は源泉徴収の対象になるため、手取り額と税込み額のどちらで約束するかも含めて、依頼時に明確に提示してください。
情報提供や新規の見込み客の獲得が主目的ならオンラインが効率的で、参加ハードルも低くなります。関係づくりや商談が目的なら対面が有利です。両方を狙う場合はハイブリッド開催になりますが、準備と運営の難度が上がります。