手紙の書き方
挨拶状の種類と送る時期 一覧
就任・移転・退職・開業
結論から言うと、ビジネスの挨拶状は「人が替わるとき」「会社が変わるとき」「季節の節目」の三つに分けられます。送る時期の考え方は、住所や社名など相手に直してもらうことがあるものは、変わる日より前に届くように、就任や退職など人の挨拶は、決まって公表してよくなったらなるべく早くが基本です。どの挨拶状も「拝啓→時候の挨拶→さて(用件)→今後のお願い→敬具」の同じ骨組みで書けます。このページでは、種類と時期の一覧と、場面別の書き出しの見本をまとめ、全文の例文は種類ごとの記事へご案内します。
結論
挨拶状は、就任・異動・移転・開業など、相手に知っておいてほしい節目を、お礼とともに文書で知らせる手紙です。お祝いやお礼が目的の「祝い状」「礼状」とは違い、自分の側の変化を報告し、今後のお付き合いをお願いするのが中心になります。
どの挨拶状にも使える骨組み(見本)
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます
さて (ここに用件:就任・移転・退職などの報告)
(これまでのお礼と、これからの抱負)
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
敬具
令和◯年◯月
株式会社△△
代表取締役社長 △△△△
印刷して送る挨拶状では、上の見本のように句読点を打たず、区切りを一字空けで示す書き方がよく見られます。句読点を打っても失礼にはあたりませんが、一通の中ではどちらかにそろえます。
縦書きの挨拶状では、右端の一行目の頭に「拝啓」を置き、左へ本文を続けます。「敬具」は最後の行の下に寄せ、その次の行に日付を少し下げて書き、差出人の会社名・役職・氏名は行の下のほうにそろえます。はがきや封筒の表に宛名を書く挨拶状では、本文の後に宛名を書かないことが多いです。個人の挨拶状で「私こと」を用件の最初に書くときは、行の下のほうに小さめに置く書き方もあります。
注意
時候の挨拶は月によって変わります。言葉選びは時候の挨拶 一覧(ビジネス)、頭語と結語の組み合わせは頭語と結語の組み合わせ一覧を見てください。縦書きの手紙の配置はビジネスの手紙の書き方(縦書き)にまとめています。
挨拶状の種類と送る時期の一覧
人が替わるときの挨拶状
| 種類 | 出す場面 | 送る時期の目安 | 全文の例文 |
|---|---|---|---|
| 就任・昇任の挨拶状 | 社長・役員・部長などに就いたとき | 就任が決まり、社外に公表してよくなったらなるべく早く | 就任挨拶 例文 |
| 退任の挨拶状 | 役員を退くとき | 退任の前後。後任の就任の挨拶と時期をそろえることが多い | 退任挨拶 例文 |
| 代表者交代のお知らせ | 会社として代表者が替わったことを知らせる | 交代が正式に決まり、公表してよい時期になってから | 代表者交代のお知らせ 例文 |
| 異動・担当変更の挨拶 | 部署が変わる、取引先の担当が替わるとき | 後任が決まった段階で。前任者が先に、後任者が続けて | 異動の挨拶メール/担当変更の挨拶メール |
| 退職の挨拶 | 会社を辞めるとき | 取引先へは後任への引き継ぎが決まった段階で、後任の紹介とあわせて | 退職の挨拶 例文 |
会社が変わるときの挨拶状
| 種類 | 出す場面 | 送る時期の目安 | 全文の例文 |
|---|---|---|---|
| 移転の挨拶状 | 事務所・店舗の住所が変わるとき | 新しい場所で業務を始める前に届くように | 事務所移転のお知らせ 例文 |
| 社名変更の挨拶状 | 社名が変わるとき | 変更日より前に届くように | 社名変更のお知らせ 例文 |
| 開業・設立・支店開設の挨拶状 | 独立、会社の設立、新しい拠点を開くとき | 開業日の前後に届くように | 開業・支店開設の挨拶状 例文 |
| 支店・営業所閉鎖のお知らせ | 拠点を閉じるとき | 閉鎖の日より前に届くように | 支店・営業所閉鎖のお知らせ 例文 |
| 廃業・閉店の挨拶状 | 事業をやめるとき | 廃業日の前に届くように | 廃業・閉店の挨拶状 例文 |
| 連絡先変更のお知らせ | 電話番号・メールアドレスが変わるとき | 切り替えの前に | 電話番号変更のお知らせ/メールアドレス変更のお知らせ |
季節の挨拶状
| 種類 | 出す場面 | 送る時期の目安 | 全文の例文 |
|---|---|---|---|
| 年賀状 | 新年の挨拶 | 元日から三が日に届くように。遅れても松の内(地域で違う)までに | 年賀状の文例(ビジネス) |
| 寒中見舞い | 年賀状の返礼が遅れたとき、喪中で年賀状を控えたとき | 松の内が明けてから立春まで | 寒中見舞いの文例(ビジネス) |
| 喪中の挨拶 | 担当者や役員の身内に不幸があったとき | 個人の喪中はがきは、相手が年賀状を用意する前の十一月から十二月初めごろに。会社名で出す年賀状の扱いは会社の方針に従う | 喪中の年賀状(ビジネス) |
| 暑中見舞い・残暑見舞い | 夏の挨拶 | 立秋を過ぎたら残暑見舞いに切り替えるのが一般的。始める時期には諸説ある | — |
Point
相手に何かを直してもらう挨拶状は「前に届く」が鉄則。住所・社名・連絡先が変わる知らせが変わった後に届くと、相手の請求書や名簿の修正が間に合わなくなります。
はがき・封書・メールの選び方
| 送り方 | 向いている挨拶状 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 封書(カード・便箋) | 就任・退任・社名変更など、改まった知らせ | 白無地の封筒に入れ、表に宛名、裏に差出人を書く |
| はがき | 移転・開業・季節の挨拶など、多くの相手に出す知らせ | 印刷でも、ひとこと手書きを添えると気持ちが伝わる |
| メール | 日頃メールでやり取りしている担当者への異動・退職の挨拶 | 改まった知らせは書面を送ったうえで、メールでも知らせると確実 |
メールで挨拶をすること自体は失礼ではありませんが、就任や社名変更のような会社としての知らせは書面で出す会社が多く見られます。迷ったら、主な取引先には書面、日頃の担当者にはメールでもと組み合わせると漏れがありません。封筒の書き方は封筒の宛名の書き方、宛名の印刷は封筒の宛名印刷ツールが使えます。
場面別の見本(「さて」からの用件)
骨組みの「さて」以降を差し替えれば、それぞれの挨拶状になります。前文(拝啓と時候の挨拶)と結び(敬具)は上の見本と同じです。
就任の挨拶状
さて 私こと
このたび◯月◯日付をもちまして 代表取締役社長に就任いたしました
もとより微力ではございますが 社業の発展に全力を尽くす所存でございます
何卒前任者同様格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
移転の挨拶状
さて このたび弊社は下記へ移転することとなりました
◯月◯日より新事務所にて業務を開始いたします
これを機に社員一同心を新たにして 皆様のご期待に添えるよう努めてまいります
今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます
記
新住所 ◯◯
電話番号 ◯◯(変更はございません)
業務開始日 令和◯年◯月◯日
以上
退職の挨拶状(取引先へ)
さて 私こと
このたび◯月◯日をもちまして 株式会社◯◯を退職することとなりました
在職中は格別のご厚情を賜り 心より御礼申し上げます
なお 後任は同じ部署の△△が担当いたします
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
末筆ながら 貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます
開業の挨拶状
さて 私こと
このたび長年勤めました株式会社◯◯を退職し ◯月◯日に◯◯事務所を開設いたしました
在職中に皆様からいただいたご指導を励みに ◯◯の分野でお役に立てるよう努めてまいります
今後ともご支援ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます
社名変更の挨拶状
さて 弊社は◯月◯日をもちまして 社名を「株式会社□□」に変更いたします
社名の変更に伴う所在地・電話番号・取引内容の変更はございません
これを機に社員一同より一層努めてまいりますので 今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
担当変更の挨拶状(前任者から)
さて 私こと
このたび◯月◯日付で◯◯部へ異動することとなりました
在任中は格別のご高配を賜り 心より御礼申し上げます
後任には△△が着任いたしますので 私同様お引き立てのほどよろしくお願い申し上げます
注意
担当変更は書面よりメールで知らせることも多い挨拶です。メールの全文は担当変更の挨拶メールを見てください。
よくある間違い
| ありがちなこと | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 移転や社名変更の知らせが、変わった後に届く | 相手の請求書・名簿・送付先の修正が間に合わない | 変わる日より前に届くように出す。主な取引先には先に口頭でも伝える |
| 「拝啓」で始めて「草々」で結ぶ | 頭語と結語の組み合わせが合っていない | 「拝啓」には「敬具」。「謹啓」なら「謹白」など |
| 「前略」の後に時候の挨拶を書く | 前略は前文を省くという意味なので、続けて時候の挨拶を書くと合わない | 改まった挨拶状は「拝啓」から始める |
| 句読点を打つ文と打たない文が混ざる | 体裁がそろわず、読みにくい | 一通の中でどちらかにそろえる |
| 退職や異動の理由を詳しく書く | 相手が受け取りに困ることがある | 理由は書かないか「一身上の都合により」程度にとどめる |
| 公表前の人事を挨拶状で先に知らせてしまう | 社内の発表の順番と食い違う | 公表の時期と範囲を人事・総務に確かめてから出す |
この記事の要点
- 挨拶状は人が替わるとき・会社が変わるとき・季節の節目の三つに分けられる。
- 住所・社名・連絡先が変わる知らせは変わる日より前に届くように。
- 就任・退職など人の挨拶は公表してよくなったらなるべく早く。
- 骨組みは拝啓→時候→さて(用件)→今後のお願い→敬具で共通。
- 改まった知らせは書面、日頃の担当者にはメールでもと組み合わせると漏れがない。
FAQ
よくある質問
失礼ではありません。ただ、就任や社名変更のような会社としての知らせは書面で出す会社が多いので、主な取引先には書面を送り、日頃やり取りしている担当者にはメールでも知らせると確実です。
就任・退任・社名変更など改まった知らせは封書、移転や季節の挨拶など多くの相手に出すものははがきがよく使われます。決まりではないので、送る相手と内容の重さで選びます。
印刷の挨拶状では句読点を打たず、一字空けで区切る書き方がよく見られます。打っても失礼にはあたりませんが、一通の中ではどちらかにそろえます。
必ず返すものではありませんが、就任や開業の挨拶状には、お祝いの言葉を添えて返事を出すと丁寧です。祝電や祝いの品を送る場合もあります。
取引のある会社、日頃お世話になっている人、名簿で連絡を取っている相手が基本です。移転や社名変更のように相手に直してもらうことがある知らせは、請求や発送でやり取りのある相手に漏れなく送ります。