手紙の書き方
ビジネスの手紙の書き方(縦書き)
日付・署名・宛名の位置
縦書きのビジネスの手紙は、右から「頭語→本文→結語」と書き、最後に「日付・署名・宛名」をまとめて置くのが基本の形です。この最後の部分を後付け(あとづけ)と呼びます。前文・末文に入れる言い回しは前文と末文の書き方に任せ、ここではどこに何を書くかに絞ります。位置の決まりごとは、日付は行の頭から少し下げる、署名(自分の名前)は行の下に寄せる、宛名(相手の名前)は行の頭から書くの三つ。後付けの見本はこれです。
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△ □□□□
株式会社◯◯
◯◯◯◯様
(縦書きでは、上の各行が右から順に並び、署名は行の下、宛名は行の上の位置になります。)このページでは、各部分の位置の一覧、漢数字や行のまたぎ方の作法、場面別の後付けの見本、全文の例をまとめました。頭語と結語の組み合わせや月ごとの時候の挨拶は時候の挨拶の一覧にあります。
結論
ビジネスの手紙は、一般に前文(頭語・時候の挨拶・相手の繁栄を喜ぶ言葉)、主文(「さて」から始まる用件)、末文(結びの挨拶・結語)、後付け(日付・署名・宛名)の順で組み立てます。必要なら最後に副文(追伸)を添えます。縦書きでは、これが右の行から左の行へ並びます。
縦書きの手紙の決まりごと一覧
| 部分 | 書く位置 | 書き方の目安 |
|---|---|---|
| 頭語 | 一行目の行の頭 | 「拝啓」など。下げずに書き始める |
| 時候の挨拶・安否の挨拶 | 頭語のあとに一字空けて続ける | 頭語のあとで改行する書き方もある |
| 主文 | 改行し、行の頭を一字下げる | 「さて、」で用件に入る。段落が変わるたびに一字下げる |
| 結びの挨拶 | 主文のあと、改行して一字下げ | 「まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます」など |
| 結語 | 結びの挨拶の行のいちばん下 | 「敬具」など。その行に入りきらないときは、次の行の下に寄せて書く |
| 日付 | 結語の次の行、行の頭から少し下げる | 「令和◯年◯月◯日」。数字は漢数字 |
| 署名(差出人) | 日付の次の行、行の下に寄せる | 会社名・部署・役職・名前。社名を一行、名前を一行に分けてもよい |
| 宛名 | 署名の次の行、行の頭から | 会社名・役職・名前と敬称。本文より少し大きめに書くこともある |
| 追伸(副文) | 宛名のあと、本文より少し下げて | 短く一、二行。目上の人や改まった手紙では使わないのが無難 |
Point
相手は上、自分は下。宛名を行の頭(上)に、署名を行の下に置くのは、相手を立てるための配置だと説明されることが多い決まりです。
縦書きで気をつけたい細かい決まり
| 項目 | 一般的な扱い | 補足 |
|---|---|---|
| 数字 | 漢数字で書く(◯月◯日、二部、三名など) | 金額や番号などで読み違いが心配なときは、別紙の横書きの資料に回す |
| 相手の名前・会社名 | 行の途中で切れて次の行に分かれないようにする | 入りきらないときは、その前で改行する |
| 相手の名前を行の最後(下)に置く | 避けるのが昔からの作法とされる | 気にする人もいるので、言い回しを入れ替えて行の上のほうに来るようにする |
| 「私」「弊社」など自分側の言葉を行の頭(上)に置く | 避けるのが昔からの作法とされる | 厳密に守る人は多くないが、改まった手紙では整えておくと安心 |
| 句読点 | ふつうの手紙では使ってよい | 印刷する改まった挨拶状では、句読点を入れない書き方の慣習もある |
| 英字・記号 | なるべく使わない | 会社名などの英字は、縦に一字ずつ書くか、そのまま横向きに書く |
行の位置の作法は、辞書やマナー本によって扱いに差があるところです。ビジネスでは宛名の位置と漢数字を押さえておけば、大きく外れることはありません。日付を和暦で書くときは和暦・西暦の変換ツールで確かめられます。
全文の見本(取引先へのお礼の手紙)
縦書きの便箋に、右の行から順に書いた形です。下の見本では一行を一つの段落として示しています。「(下寄せ)」は行の下にそろえる位置を表します。
拝啓 ◯◯の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日は◯◯の件でご多用のところお時間をいただき、誠にありがとうございました。おかげさまで、◯◯を無事に進めることができました。
今後とも変わらぬご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
(下寄せ)敬具
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△
(下寄せ)営業部 □□□□
株式会社◯◯
代表取締役社長 ◯◯◯◯様
場面別の後付けの見本
後付けは、誰から誰へ出すかで書き方が変わります。以下はどれも、結語のあとに続く部分です。日付は行の頭から少し下げ、署名は行の下、宛名は行の頭から書きます。
個人として、取引先の担当者に出すとき
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△ □□□□
株式会社◯◯
営業部 ◯◯◯◯様
会社の代表として出すとき(社長名の手紙)
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△
(下寄せ)代表取締役 □□□□
株式会社◯◯
代表取締役社長 ◯◯◯◯様
相手が二人のとき(連名の宛名)
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△ □□□□
株式会社◯◯
営業部長 ◯◯◯◯様
営業部 ◯◯◯◯様
部署あてに出すとき
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△ □□□□
株式会社◯◯
総務部 御中
こちらも二人の連名で出すとき
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)株式会社△△
(下寄せ)営業部長 □□□□
(下寄せ)営業部 □□□□
株式会社◯◯
◯◯◯◯様
社内の上司に手紙で出すとき
令和◯年◯月◯日
(下寄せ)営業部 □□□□
◯◯部長
注意
連名の宛名は、役職の高い人を先(右)に書くのが一般的です。差出人を連名にするときは、見本のように役職の高い人から右に並べる書き方のほか、宛名に近い左側に役職の高い人を置く書き方もあり、扱いが分かれます。社内で決まった形があればそれに合わせてください。会社・部署あての「御中」と個人あての「様」は一緒に使いません。使い分けは封筒の宛名の書き方、「様」と「殿」の違いは「様」と「殿」の違いを見てください。社内あてで「◯◯部長」と役職を敬称代わりに書くときは、「様」を重ねません。追伸を付けるかどうかの判断と書き方は追伸の書き方にあります。
よくある間違い
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 宛名を最初(頭語の前)に書く | 縦書きの手紙では後付けに置くのが一般的で、横書きの文書やメールの形と混ざって見える | 迷ったら、宛名は後付けとして最後に書く |
| 署名を行の頭から書く | 宛名と同じ高さになり、相手を立てる配置にならない | 署名は行の下に寄せる |
| 日付を算用数字で縦に書く | 縦書きの中で読みにくく、不ぞろいに見える | 「令和◯年◯月◯日」と漢数字で書く |
| 結語を書き忘れる、または頭語と合わない結語を使う | 形が崩れて見える | 拝啓なら敬具、謹啓なら謹白など、組みを確かめる |
| 目上の人への手紙に追伸を付ける | 書き忘れを足したように受け取られることがある | 用件は本文に入れ、追伸は使わない |
| 相手の名前が行の途中で二つに分かれる | 読みにくく、相手の名前を軽く扱ったように見える | 名前の前で改行して、一行に収める |
この記事の要点
- 縦書きの手紙は頭語→本文→結語→後付けの順に、右の行から書く。
- 後付けは日付(少し下げる)→署名(下寄せ)→宛名(行の頭)。
- 数字は漢数字。相手の名前は行をまたがない。
- 連名の宛名は役職の高い人を右(先)に。
- 追伸は目上の人や改まった手紙では使わないのが無難。
FAQ
よくある質問
結語の次の行に、行の頭から少し下げて書くのが一般的です。数字は「令和◯年◯月◯日」のように漢数字にします。
日付の次の行に、行の下に寄せて書きます。会社名と名前を二行に分けてもかまいません。
縦書きの手紙では、後付けとして最後(署名の次の行)に、行の頭から書くのが一般的です。横書きのビジネス文書では、本文の前の左上に宛名を書くので、形式によって位置が変わります。
決まりがあるわけではありませんが、縦書きでは漢数字で書くのが一般的で、読みやすく見た目もそろいます。細かい金額や型番などは、横書きの別紙にまとめると間違いが起きにくくなります。
お礼状・挨拶状・お詫びなど気持ちを伝える手紙は縦書き、案内や報告など事務的な文書は横書き、と使い分けることが多いです。迷ったら、改まった印象を出したいときは縦書きを選びます。