社外文書
廃業の挨拶状 文例
理由別の書き方と閉店のお知らせ
すぐ使える基本形はこれです。「さて 弊社はこのたび 令和◯年◯月◯日をもちまして廃業いたすこととなりました 長年にわたり格別のご厚情を賜り 心より御礼申し上げます」。これに残務の問い合わせ先と受付期間を添えれば、挨拶状として成り立ちます。このページでは、理由別(一身上の都合・健康・後継者不在・会社の解散・事業の引き継ぎ)の文例、メールやはがきでの出し方、お客様向けの閉店のお知らせ、受け取った側の返事までを、そのまま書き換えて使える形でまとめました。
結論
廃業の挨拶状には①廃業(閉店)の日 ②これまでのお礼 ③理由(言える範囲で。「諸般の事情により」で足りる) ④事業の引き継ぎ先(ある場合) ⑤残務の問い合わせ先と受付期間を入れます。送るのは廃業日の前後、主要な取引先には書面が届く前に電話か訪問で直接伝えます。
挨拶状の構成(この順に書けば崩れない)
| 順番 | 書くこと | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 1 頭語 | 手紙の書き出し | 拝啓(あらたまった相手には謹啓) |
| 2 時候・安否 | 季節と相手の繁栄を喜ぶ一文 | 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます |
| 3 本題 | 「さて」で始め、廃業の事実と日付 | さて 弊社は令和◯年◯月◯日をもちまして廃業いたすこととなりました |
| 4 お礼 | これまでの取引・ご愛顧への感謝 | 創業以来 長きにわたり格別のご厚情を賜り 心より御礼申し上げます |
| 5 お詫び(任意) | 迷惑をかける点があれば一言 | 皆さまのご期待にお応えできず 誠に申し訳なく存じます |
| 6 残務・引き継ぎ | 廃業後の窓口と期間、引き継ぎ先 | 残務につきましては令和◯年◯月◯日まで下記にて承ります |
| 7 結び | 相手の発展を祈る言葉と、書面での挨拶を詫びる言葉 | 略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます |
| 8 結語 | 頭語と対になる語 | 敬具(謹啓なら謹白・敬白) |
| 9 日付・差出人 | 年月、住所、会社名・屋号、代表者名 | 令和◯年◯月/〒◯◯◯-◯◯◯◯ 住所/株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯◯◯ |
頭語と結語の組み合わせは頭語と結語の組み合わせ、時候の挨拶は時候の挨拶一覧で選べます。季節を問わず使えるのは「時下」です。
注意
印刷の挨拶状では、句読点を入れずに一字空けで組む書き方もあります。どちらでも構いませんが、一通の中ではどちらかにそろえます。このページの文例は、書き換えやすいように句読点を入れた形と、一字空けの形を混ぜて載せています。
理由の書き方(言い換え表)
理由は書かなくても失礼にはなりません。書く場合も一文にとどめ、字数はお礼と残務の案内に使います。
| 事情 | 挨拶状での書き方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 事情を伏せたい | 諸般の事情により | 会社・個人どちらでも。最も無難 |
| 個人的な事情 | 一身上の都合により | 個人事業主・店主 |
| 病気・体力 | 健康上の理由により/体調を崩しましたため | 店主・代表者本人の事情 |
| 高齢・引退 | 高齢となりましたことを機に | 長く続けてきた個人事業 |
| 後継者がいない | 後継者を得るに至らず | 家業・同族経営 |
| 経営環境の変化 | 事業環境の変化を受け、熟慮を重ねました結果 | 取引先に経緯を少し伝えたいとき |
| 会社を解散する | ◯月◯日開催の株主総会の決議により解散いたすこととなりました | 株式会社の解散 |
| 事業を引き継ぐ | 事業を株式会社◯◯に引き継ぎ、当社は営業を終了いたします | 事業譲渡・後継の経営者がいる |
Point
「倒産」「経営難」「赤字」など、取引先を不安にさせる言葉は挨拶状に書きません。支払いや債権の話が絡む場合は、挨拶状とは別に個別に連絡します。
廃業の挨拶状 文例(取引先へ)
例文1 会社の廃業(基本形)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、弊社はこのたび、令和◯年◯月◯日をもちまして事業を終了し、廃業いたすこととなりました。
創業以来、長きにわたり格別のご厚情を賜りましたこと、社員一同心より御礼申し上げます。皆さまのお力添えがあったからこそ、今日まで事業を続けてくることができました。
なお、残務につきましては、令和◯年◯月◯日まで下記にて承ります。
末筆ながら、皆さまの益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
記
残務のお問い合わせ先 ◯◯◯◯(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯/メール ◯◯@◯◯)
受付期間 令和◯年◯月◯日まで
以上
例文2 あらたまった形(謹啓・一字空け)
謹啓 ◯◯の候 貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます
さて 弊社はこのたび熟慮を重ねました結果 令和◯年◯月◯日をもって事業を終えることを決めました
昭和◯年に看板を掲げて以来 ◯◯年の歩みは皆様のお力添えなくしてはあり得ませんでした 永年のご厚誼に 改めて深く御礼申し上げます
本来であれば拝眉のうえご挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
謹白
令和◯年◯月
株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯◯◯
例文3 個人事業主(一身上の都合)
拝啓 ◯◯の候、皆さまにはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
さて、私こと◯◯は、一身上の都合により、令和◯年◯月◯日をもちまして◯◯の営業を終えることといたしました。開業以来、多くの皆さまに支えていただき、ここまで続けることができました。心より感謝申し上げます。
お預かりしている◯◯や、お支払いに関するご連絡は、◯月◯日まで下記の電話にて承ります。
略儀ながら書中をもちまして御礼かたがたご挨拶申し上げます。
敬具
例文4 健康上の理由
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、突然のご報告となり恐縮ではございますが、私◯◯が体調を崩しましたため、令和◯年◯月◯日をもちまして◯◯を閉じることといたしました。
これまで温かいお引き立てをいただきながら、このようなご報告となりますことを心苦しく存じております。長年のご愛顧に、心より御礼申し上げます。
皆さまのご健勝をお祈りいたしますとともに、書中にてご挨拶申し上げます。
敬具
例文5 高齢・後継者不在
拝啓 ◯◯の候、皆さまにはお健やかにお過ごしのこととお喜び申し上げます。
さて、◯◯は先代より◯代にわたり営んでまいりましたが、私も高齢となり、後継者を得るに至らなかったことから、令和◯年◯月◯日をもちまして暖簾を下ろすことといたしました。
永きにわたりご贔屓にしていただき、家族一同、感謝の念に堪えません。
まずは略儀ながら書中をもちまして、御礼かたがたご挨拶申し上げます。
敬具
例文6 会社の解散
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、弊社は令和◯年◯月◯日開催の株主総会の決議により、同日をもちまして解散いたすこととなりました。
設立以来、皆さまより賜りましたご支援に、役員・社員一同、心より御礼申し上げます。
今後の清算に関するお問い合わせは、清算人◯◯◯◯(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)までお願いいたします。
末筆ながら、貴社のご発展をお祈り申し上げます。
敬具
例文7 事業の引き継ぎ先がある場合
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、弊社は令和◯年◯月◯日をもちまして営業を終了いたします。これまでのお取引につきましては、同日より株式会社◯◯が引き継ぎ、継続してご対応させていただきます。
長年にわたるご厚情に深く御礼申し上げますとともに、株式会社◯◯にも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
記
引き継ぎ先 株式会社◯◯ ◯◯部 ◯◯◯◯(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)
引き継ぎ日 令和◯年◯月◯日
以上
例文8 店舗を別の経営者に譲る場合
さて、当店は令和◯年◯月◯日をもちまして、私◯◯の経営を終えることとなりました。◯月◯日からは、同じ場所で◯◯◯◯さんが店を引き継ぎ、営業を続けてくださいます。
これまでのご愛顧に心より御礼申し上げますとともに、新しい店にも変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
解散・清算の手続きや、税務の届け出、契約・前払いサービスの扱いは、税理士・司法書士などの専門家に確認してください。挨拶状には手続きの細部は書かなくて構いません。
メールで知らせる場合(取引先へ)
メールで出す場合は、頭語や時候の挨拶を省いて構いません。件名は「廃業のご挨拶(株式会社◯◯)」のように、開かなくても用件が分かる形にします。普段メールでやり取りしている担当者には、挨拶状を郵送したうえでメールでも知らせると確実です。
株式会社◯◯
◯◯様
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の△△です。
突然のご連絡となり恐縮ですが、弊社は令和◯年◯月◯日をもちまして事業を終了し、廃業することとなりました。
◯◯様には長年にわたりお取引いただき、心より感謝申し上げます。
現在お受けしているご注文は、◯月◯日までにすべて納品いたします。最終のご請求は◯月◯日に締め、◯月◯日までにお送りいたします。
廃業後のお問い合わせは、◯月◯日まで下記にて承ります。
電話:◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯ メール:◯◯@◯◯
本来であればお伺いしてご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりますことをお許しください。
これまで本当にありがとうございました。
取引そのものを終える連絡(会社は続く場合)は取引終了のお知らせ、支店・営業所だけを閉じる場合は支店閉鎖のお知らせを使います。
閉店のお知らせ(お客様向け)
例文9 店頭の張り紙
閉店のお知らせ
平素より格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、当店は令和◯年◯月◯日(◯)をもちまして閉店することとなりました。
開店以来、たくさんのお客様に支えていただきましたこと、スタッフ一同心より感謝申し上げます。
最終営業日まで、変わらぬ気持ちでお待ちしております。
店主
例文10 閉店後に貼り替える張り紙
閉店いたしました
当店は◯月◯日をもちまして閉店いたしました。長い間ご愛顧いただき、誠にありがとうございました。
お預かり品・お問い合わせは、◯月◯日まで下記にて承ります。
電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯(受付 ◯:◯◯〜◯:◯◯)
例文11 ホームページ・SNS
【閉店のお知らせ】
◯◯は、◯月◯日(◯)をもちまして閉店いたします。
これまで足を運んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
ポイントカード・回数券は◯月◯日までご利用いただけます。ご予約は◯月◯日まで承ります。
最後の日まで、どうぞよろしくお願いいたします。
例文12 常連のお客様へのメール・手紙
◯◯様
いつも◯◯をご利用いただき、ありがとうございます。
突然のお知らせとなり恐縮ですが、当店は◯月◯日をもちまして閉店することとなりました。◯◯様には開店当初から通っていただき、スタッフ一同、本当に励みになっておりました。
ご予約は◯月◯日まで承っております。最後にお目にかかれましたら、これ以上の喜びはございません。
これまで本当にありがとうございました。
ポイントカード・回数券・予約・預かり品など、お客様の手元に残るものの扱いを必ず書きます。張り紙は貼り紙作成ツールで印刷できます。しばらく休むだけの場合は臨時休業のお知らせを使います。
廃業の挨拶状を受け取ったときの返事
返事は必須ではありませんが、付き合いの長い相手には短いお礼を返すと気持ちが伝わります。相手の事情には触れず、これまでのお礼と相手の今後を気づかう言葉にとどめます。
例文13 取引先への返事
拝啓 このたびはご丁寧なご挨拶状をいただき、ありがとうございました。
長年にわたり大変お世話になりましたこと、心より御礼申し上げます。御社とのお取引で学んだことは、私どもにとって大きな財産です。
皆さまの今後のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
送る相手・時期・形式の選び方
| 相手 | 伝え方 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 主要な取引先・仕入先・金融機関 | 電話か訪問で直接伝えたうえで挨拶状 | 社内で廃業を決めたら早めに直接。挨拶状は廃業日の前に届くように |
| その他の取引先 | 挨拶状(はがき・封書) | 廃業日の前に届くように |
| メールでやり取りしている担当者 | 挨拶状に加えてメール | 挨拶状と同じ時期 |
| お客様(店舗) | 張り紙・ホームページ・SNS | 最終営業日より前から掲示 |
| 常連のお客様 | メール・手紙 | 最終営業日より前 |
形式は、はがきでも封書でも構いません。あらたまった印象にしたい相手や、残務の案内を詳しく書く場合は封書にします。はがきの宛名の書き方ははがきの宛名の書き方にまとめています。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 残務の連絡先を書かない | 最後の請求・支払い・保証の相談の行き先が分からない | 連絡先と受付期間を「記」に書く |
| 理由を長々と書く | お礼より経緯が目立つ | 理由は一文、または「諸般の事情により」 |
| 主要な取引先にも挨拶状だけ | 書面で初めて知り、関係がこじれる | 先に電話か訪問で伝える |
| 頭語と結語が合っていない | 形式を重んじる相手に雑な印象 | 拝啓→敬具、謹啓→謹白 |
| お客様の回数券・予約に触れない | 閉店後に問い合わせが集中する | 利用期限と払い戻しの扱いを明記 |
| 閉店後も地図サービスが営業中のまま | 知らずに来店する人が出る | 最終営業日のあとに閉業の表示へ変更 |
送る前のチェックリスト
- 廃業(閉店)の日付が正しい(曜日も合っている)
- 頭語と結語が対になっている
- これまでのお礼が入っている
- 理由は一文以内、または「諸般の事情により」
- 残務の問い合わせ先と受付期間を書いた
- 引き継ぎ先がある場合は会社名・担当・電話を書いた
- 日付・住所・会社名(屋号)・代表者名を入れた
- 主要な取引先には先に直接伝えた
- お客様向けにポイント・回数券・予約・預かり品の扱いを書いた
最終営業日のあとに必要な連絡
- 店頭の張り紙を「閉店いたしました」と残務の連絡先に書き換える
- ホームページに最終のお知らせと問い合わせ先を残す
- 地図サービス(Googleビジネスプロフィールなど)を閉業の表示にする
- 予約サイト・ポータルサイトの掲載を止める
- 電話の留守番電話を、閉店と問い合わせ先の案内に変える
- メールの自動返信を設定する
- 郵便の転送の届け出をする
メールの自動返信の書き方は不在・休暇の連絡メールの自動返信の形を応用できます。
この記事の要点
- 基本形は「◯月◯日をもちまして廃業いたすこととなりました」+お礼+残務の窓口。
- 理由は「諸般の事情により」で足りる。書くなら一文。
- 構成は頭語→時候→本題→お礼→残務→結び→結語→日付・差出人。
- 主要な取引先には書面の前に直接伝える。
- お客様向けにはポイント・回数券・予約の扱いを書き、閉店後は地図サービスも閉業表示に。
FAQ
よくある質問
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、弊社は令和◯年◯月◯日をもちまして廃業いたすこととなりました。長年にわたり格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。なお、残務につきましては◯月◯日まで下記にて承ります。敬具」が基本形です。
書かなくても失礼にはなりません。「諸般の事情により」「一身上の都合により」で構いません。伝えたい事情がある場合は一文にとどめ、これまでのお礼と残務の問い合わせ先に字数を使います。
廃業日の前に届くように送ります。主要な取引先には、挨拶状が届く前に電話や訪問で直接伝えておきます。
はがきでも封書でも構いません。あらたまった相手や残務の案内が長くなる場合は封書にします。メールでやり取りしている担当者には、挨拶状に加えてメールでも知らせると確実です。
屋号と氏名を並べて書きます(例:◯◯工房 ◯◯◯◯)。文中の主語は「私こと◯◯は」とすると、個人の挨拶状らしい書き出しになります。
必須ではありません。付き合いの長い相手には、「ご丁寧なご挨拶状をいただき、ありがとうございました。長年にわたり大変お世話になりました」と、お礼と相手の今後を気づかう言葉を短く返します。相手の事情には触れません。
閉店の日、これまでのお礼、最終営業日までの営業、ポイントカードや予約の扱いです。閉店後は、残務の連絡先と受付期間を書いた張り紙に貼り替えます。