挨拶
退任挨拶 例文
役員の挨拶状・スピーチ・メール・返信
結論から書くと、退任挨拶は「◯月◯日をもちまして◯◯を退任いたしました。在任中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。後任には◯◯が就任いたしましたので、私同様ご指導を賜りますようお願い申し上げます」の一続きで成り立ちます。この記事では、この骨組みを挨拶状・スピーチ・メール・返信の場面ごとに言い換えた例文を、そのまま使える形で載せています。
結論
退任は役職を退くことで、会社を辞める「退職」とは別の言葉です。退任挨拶は①退任の報告(いつ・何の役職を) ②在任中のお礼 ③後任の紹介 ④後任への支援のお願いの順に書きます。顧問・相談役として残る場合は⑤今後の立場を一文足します。会社を辞める場合の挨拶は退職の挨拶を参照してください。
場面別の早見表(どの例文を使うか)
| 場面 | 相手 | 形式 | 中心に置くこと |
|---|---|---|---|
| 役員の任期満了・交代 | 取引先・関係先 | 挨拶状(はがき・封書) | お礼と後任の紹介 |
| 退任して顧問・相談役に就く | 取引先・関係先 | 挨拶状 | 今後の立場と連絡先 |
| 役員の退任を会社として知らせる | 取引先・株主など | 社長名の挨拶状 | 退任者への謝意と新体制 |
| 社内で退任を告げる | 社員 | スピーチ | 社員へのお礼と後任への支援 |
| 自治会・PTA・同窓会の役員交代 | 会員 | スピーチ・会報 | お礼と後任へのお願いだけ |
| 個別の取引先に連絡する | 担当者 | メール | 後任と今後の連絡先 |
| 退任挨拶を受け取った | 退任者 | 返信メール・手紙 | 在任中のお礼と健勝を祈る言葉 |
退任挨拶の組み立て
| 要素 | 書く内容 | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 退任の報告 | 日付・役職名・退任の契機(株主総会、任期満了など) | いつから誰が窓口か相手が判断できない |
| 在任中のお礼 | 相手から受けた支援への感謝 | 事務連絡に見え、礼を欠いた印象になる |
| 後任の紹介 | 後任の氏名・役職 | 相手が次に誰へ連絡すればよいか分からない |
| 支援のお願い | 後任にも同じように接してほしいという依頼 | 引き継ぎの意思が伝わらない |
| 今後の立場(任意) | 顧問・相談役として残る、会社を離れる | 残るのか去るのか相手が迷う |
注意
本記事の挨拶状の例文は、句読点を使わず字間で区切る書き方にしています。社内に決まった書式があれば、そちらに合わせてください。時候の挨拶は時候の挨拶 一覧から送る月に合うものを選びます。
取引先への退任挨拶状 例文
基本形(代表取締役を退任)
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび◯月◯日開催の定時株主総会終結の時をもちまして 代表取締役社長を退任いたしました 在任中は格別のご厚情を賜り 心より厚く御礼申し上げます なお 後任には◯◯◯◯が就任いたしましたので 何卒私同様ご指導ご鞭撻を賜りますよう お願い申し上げます 末筆ながら 貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます まずは略儀ながら 書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具 令和◯年◯月 ◯◯◯◯
退任して顧問・相談役に就く場合
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび取締役を退任し ◯月◯日付で顧問に就任いたしました 取締役として過ごした◯年間 皆様から賜りましたお力添えに 深く感謝申し上げます 今後は顧問として これまでの経験を活かし 後進の支えとなるよう努めてまいります 変わらぬご交誼をいただけましたら幸いに存じます まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具
退任して会社を離れる場合
拝啓 ◯◯の候 貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび任期満了により常務取締役を退任いたしました 在任中は皆様より温かいご支援を賜り 無事に任期を終えることができました 衷心より御礼申し上げます 今後は◯◯に取り組みながら 新しい生活を始める所存でございます なお 後任には◯◯◯◯が就任いたしました 私同様ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます 末筆ながら 皆様のご健勝をお祈り申し上げます 敬具
後任者を推薦・紹介する場合
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます さて 私こと このたび◯◯部長の任を退くことになりました 在任中に賜りましたご厚情に 心より御礼申し上げます 後任の◯◯◯◯は ◯◯の分野で長く実務を担ってきた者で 必ずや皆様のご期待にお応えできるものと存じます 何卒私同様にお引き立てくださいますよう お願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具
前任・後任の連名で一通にまとめる場合
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます さて このたび◯月◯日をもちまして ◯◯◯◯が取締役営業本部長を退任し 後任として◯◯◯◯が就任いたしました (前任)在任中は格別のご厚情を賜り 誠にありがとうございました (後任)微力ではございますが 前任者同様のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます 敬具 令和◯年◯月 前任 ◯◯◯◯ 後任 ◯◯◯◯
社長名で役員の退任を知らせる場合
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 平素は格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます さて 弊社取締役◯◯◯◯は ◯月◯日開催の定時株主総会終結の時をもちまして退任いたしました 在任中に賜りましたご厚情に対し 本人に代わりまして御礼申し上げます なお 新たな役員体制は下記のとおりでございます 今後とも変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます 敬具 記 代表取締役社長 ◯◯◯◯ 取締役(新任) ◯◯◯◯ 以上
社内での退任スピーチ 例文
社長を退任するとき(全社員向け)
皆さん、◯年間本当にありがとうございました。本日をもって、代表取締役を退任いたします。在任中は◯◯をはじめ難しい局面もありましたが、皆さんが粘り強く支えてくれたおかげで乗り越えることができました。後任の◯◯さんは◯◯の経験が豊富で、これからの会社を任せるのにふさわしい方です。どうか私と同じように、いや、それ以上に支えてあげてください。皆さんのますますのご活躍を願っています。
取締役を退任し、顧問として残るとき
本日付で取締役を退任し、顧問として残ることになりました。これまで経営の立場から皆さんに多くのお願いをしてきましたが、いつも期待以上の形で応えてもらいました。ありがとうございました。これからは一歩引いた立場で、相談があればいつでも声をかけてください。新しく取締役に就く◯◯さんを、皆さんで支えていただければうれしいです。
部長・支店長などの役職を退くとき(朝礼・短め)
おはようございます。本日をもって◯◯部長の任を退き、◯月からは◯◯を担当します。部長として至らない点も多かったと思いますが、皆さんに助けられてここまで来られました。ありがとうございました。後任の◯◯さんにも、私のとき以上に力を貸してください。
Point
後任への支援のお願いを、自分の言葉で入れてください。退任する人が後任を認める一言は、引き継ぎを円滑にします。在任中の苦労話は一つに絞ると、長くなりません。
団体・会の役員を退任するときの挨拶 例文
自治会・町内会
◯年間、会長を務めてまいりました◯◯です。行事の準備や見回りなど、多くの方に手を貸していただき、無事に任期を終えることができました。本当にありがとうございました。後任の◯◯さんにも、変わらぬご協力をお願いいたします。
PTA・保護者会
一年間、◯◯委員長としてお世話になりました。慣れない役目で戸惑うことばかりでしたが、委員の皆さんと先生方に支えていただきました。ありがとうございました。次年度の◯◯さんにも、どうぞお力添えをお願いいたします。
同窓会・OB会・業界団体の理事
このたび理事を退任することになりました。在任中は会員の皆様から多くのご意見とご協力をいただき、心より感謝しております。今後は一会員として、会の発展を応援してまいります。後任の◯◯さんをどうぞよろしくお願いいたします。
団体の役員交代では、お礼と後任へのお願いだけで十分です。総会の場で述べる場合は総会の挨拶 例文の退任役員の例も参考にしてください。
退任の挨拶メール 例文
取引先へ(退任して後任に引き継ぐ)
件名:退任のご挨拶(株式会社◯◯ ◯◯) ◯◯様 いつも大変お世話になっております。株式会社◯◯の◯◯です。 私事で恐縮ですが、◯月◯日をもちまして取締役を退任いたしました。 在任中は格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。 後任は◯◯が務めます。今後のご連絡は◯◯(メールアドレス)までお願いいたします。 引き続き変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
取引先へ(顧問として残る)
件名:取締役退任と顧問就任のご挨拶(株式会社◯◯ ◯◯) ◯◯様 いつもお世話になっております。株式会社◯◯の◯◯です。 ◯月◯日付で取締役を退任し、顧問に就任いたしました。 取締役在任中に賜りましたご厚情に、厚く御礼申し上げます。 営業窓口は後任の◯◯が引き継ぎます。私も顧問として引き続き社内におりますので、お気軽にお声がけください。 今後ともよろしくお願い申し上げます。
社内へ(全体メール)
件名:退任のご挨拶 各位 ◯月◯日の株主総会をもって取締役を退任しました。 在任中、皆さんには多くの場面で支えていただきました。ありがとうございました。 後任の◯◯さんのもとで、会社がさらに良くなっていくことを楽しみにしています。 ◯◯
退任の挨拶への返信 例文
取引先の役員から挨拶を受けたとき
◯◯様 ご丁寧なご挨拶をいただき、ありがとうございます。 在任中は大変お世話になりました。◯◯の際にいただいたお言葉は、今も励みになっております。 後任の◯◯様とも、引き続きよろしくお付き合いのほどお願い申し上げます。 ◯◯様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
顧問に就いた相手へ
◯◯様 顧問ご就任のご連絡をいただき、ありがとうございます。 取締役として長くお力添えいただいたことに、改めて御礼申し上げます。 今後も折に触れてご助言をいただけましたら幸いです。
社内の上司・役員へ
◯◯さん 退任のご挨拶、拝見しました。◯◯のプロジェクトで判断に迷ったとき、◯◯さんに背中を押していただいたことを今も覚えています。本当にありがとうございました。 これからのご活躍とご健康をお祈りしております。
退任・退職・辞任・解任の違い
| 言葉 | 意味 | 挨拶で使う場面 |
|---|---|---|
| 退任 | 役職を退くこと(会社に残る場合も含む) | 役員の任期満了・交代、団体の役員交代 |
| 退職 | 勤めている会社を辞めること | 会社を離れるとき(退職の挨拶) |
| 辞任 | 自分の意思で役職を辞めること | 任期の途中で役職を降りるとき |
| 解任 | 本人の意思によらず役職を解かれること | 挨拶状で触れることはまずない |
役員を退いて会社にも残らない場合は、役職を退いた点を伝えるなら「退任」、会社を去る点を伝えるなら「退職」と、相手に伝えたい中身で選びます。
送る前のチェックリスト
- 退任の日付と役職名が正しいか
- 後任の氏名・役職・漢字に誤りがないか
- 今後の連絡先(後任の窓口)を書いたか
- 顧問などで残る場合、今後の立場を一文入れたか
- 時候の挨拶が送る月に合っているか
- 頭語と結語(拝啓と敬具など)が対応しているか
- 退任の理由を必要以上に詳しく書いていないか
- 連名の場合、前任・後任どちらの言葉か区別できるか
よくある失敗
- 後任の紹介が抜ける:お礼だけで終わると、相手は次の連絡先を探すことになります。
- 退任理由を書き込みすぎる:挨拶状は報告とお礼の文書です。事情の説明は個別に伝えます。
- 「させていただく」を重ねる:「退任させていただきました」ではなく「退任いたしました」で足ります。
- 退職の挨拶と混同する:会社に残るのに「退職いたしました」と書くと、相手が誤解します。
- 社内スピーチが思い出話だけになる:最後は後任への支援のお願いで締めます。
この記事の要点
- 退任挨拶は退任の報告→お礼→後任の紹介→支援のお願いの順。
- 顧問・相談役として残るなら今後の立場を一文添える。
- 取引先には挨拶状。前任・後任の連名や社長名で出す形もある。
- 社内・団体のスピーチはお礼と後任へのお願いを自分の言葉で。
- 送る前に日付・後任の氏名・連絡先を必ず確認する。
FAQ
よくある質問
「◯月◯日をもちまして◯◯を退任いたしました。在任中は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。後任には◯◯が就任いたしましたので、私同様ご指導を賜りますようお願い申し上げます」で、報告・お礼・後任の紹介・お願いがそろいます。
「◯年間、◯◯を務めてまいりました。皆さんに支えていただき、無事に任期を終えることができました。本当にありがとうございました。後任の◯◯さんにも、どうぞご協力をお願いいたします」のように、在任中のお礼と後任へのお願いだけで十分です。
「今後は顧問として引き続き◯◯に携わってまいります」のように、今後の立場を一文添えます。窓口が後任に移る場合は、その連絡先も書きます。
退任と後任が確定し、新しい体制が決まってから、なるべく早く出します。後任の就任挨拶と一通にまとめる場合は、後任の就任日に合わせると相手が混乱しません。
任期満了や株主総会での交代であれば、その旨を書く程度で足ります。病気など個人的な事情は、挨拶状では触れずに「このたび◯◯を退任いたしました」とだけ書いても失礼にはあたりません。
退任は役員などの役職を退くこと、退職は会社を辞めることです。役員を退いて顧問として会社に残る場合は退任、会社そのものを辞める場合は退職と使い分けます。
親しくしていた相手には返信すると丁寧です。在任中のお礼、印象に残っていることを一つ、今後の健勝を祈る言葉を短く書きます。