社外文書
開業の挨拶状 例文
独立・会社設立・開店・医院・支店開設
結論から書くと、開業の挨拶状は①開業(設立・開設)の日 ②事業の内容 ③所在地と連絡先 ④これまでのお礼 ⑤今後のお願いの5点がそろえば成り立ちます。あとは場面に合う例文を選び、◯の部分を埋めるだけです。このページでは独立開業・士業・フリーランス・クリニック・飲食店・新装開店・会社設立・分社・共同設立・法人成り・支店開設・メール・お祝いへのお礼まで、場面別の例文を自分で書き起こして並べました。お祝いの言葉より、どんな仕事を、どこで、誰がするのかが一読で分かることを優先しています。お披露目をするなら内覧会の案内文もあわせてどうぞ。
結論
開業の挨拶状とは、事業を始めたこと(または始めること)を、お世話になった人・取引先・見込みのお客様・近隣に知らせる文書です。開業(設立)の日・事業の内容・所在地と連絡先・お礼・お願いを入れ、開業日の前後に届くように送ります。
まず結論:場面別にどの例文を使うか
| あなたの状況 | 使う例文 | 書き分けのポイント |
|---|---|---|
| 会社を辞めて独立した(個人事業) | 例文1〜3 | 前職でのお礼を厚めに。何を頼めるかを一文で |
| 税理士・行政書士などの事務所を開いた | 例文4 | 対応する業務を具体的に並べる |
| フリーランスとして仕事を始めた | 例文5 | かしこまり過ぎない。実績や得意分野を添える |
| 医院・クリニックを開院した | 例文6 | 診療科目・診療時間・駐車場など来院に必要な情報 |
| 飲食店・小売店を開店した | 例文7・8 | 開店日、営業時間、定休日、披露の案内 |
| お店を改装して再オープンした | 例文9 | 休業のお詫びと、新しくなった点 |
| 会社を設立した | 例文10〜12 | 設立の経緯(新設・分社・共同出資)で書き分け |
| 個人事業を法人にした(法人成り) | 例文13 | 名称と口座・請求先が変わることを明記 |
| 設立から時間がたってから挨拶する | 例文14 | 遅れたお詫びは一言で済ませる |
| 支店・営業所を開設した | 例文15 | 取引先にとって何が便利になるか |
| 前の勤め先の代表に紹介してもらう | 例文16 | 前職の代表名で添える推薦の一文 |
| メールで知らせたい | 例文17・18 | 件名に用件と名前 |
| 開業祝いをいただいた | 例文19 | お礼と近況、今後のお願い |
入れる項目と順番
- 01
頭語と時候の挨拶
「拝啓 ◯◯の候」「謹啓 ◯◯の候」など。時候の言葉は送る月に合わせます(時候の挨拶一覧)。
- 02
開業の報告
「さて、私こと」「さて、このたび弊社は」で切り出し、日付と名称を入れます。
- 03
これまでのお礼
前職・修業先・取引先へのお礼。独立開業では本文の中心になります。
- 04
事業の内容と抱負
何を、誰のためにするのかを具体的に。抱負は一文で十分です。
- 05
今後のお願いと結び
「ご指導ご鞭撻のほど」「お引き立てを賜りますよう」と結び、「まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます」で締めて結語。
- 06
記書き
名称・所在地・電話・メール・ホームページ・開業日(営業時間・定休日)を「記」と「以上」の間に並べます。
- 07
日付と差出人
「令和◯年◯月吉日」とし、差出人は個人名(独立開業)または社名と代表者名。
送る相手・時期・形式
| 送る相手 | 書くことの重心 |
|---|---|
| 前職の上司・同僚・修業先 | お礼と、独立したことの報告 |
| 見込みのお客様・紹介をくれそうな人 | 事業の内容と、どんな相談に乗れるか |
| 既存の取引先(法人成り・支店開設) | 変わる点(名称・口座・窓口)と便利になる点 |
| 近隣の事業者・住民(店舗・医院) | 開業の挨拶と、工事や来客でご迷惑をかけることへの一言 |
| 家族ぐるみの知人・親戚 | 近況の報告。形式ばらない文面でもよい |
時期は開業日の前後に届くように出します。準備が整う前に出すなら「◯月◯日に開業いたします」、開業後なら「開業いたしました」と時制を合わせます。開業前に出しておくと、開業日にお祝いや来店が重なりやすくなります。
| 形式 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| はがき | 数が多い、店舗・医院の告知 | 記書きが入りきらなければ地図やQRコードで補う |
| 封書(カード・二つ折り) | 前職の上司、重要な取引先、会社設立 | 格式が上がる。返信はがきを同封して内覧会の出欠を取ることもできる |
| A4の文書 | 法人成りなど、口座変更や請求書の宛先変更を伝える | 挨拶と事務連絡を分け、変更点は別紙にする |
| メール | メールでやりとりしてきた相手、急ぎの連絡 | 件名に用件と名前。紙の挨拶状を後から送ってもよい |
縦書きは格式のある印象に、横書きは記書きの英数字(メールアドレス・URL)が読みやすくなります。縦書きの組み方は縦書きビジネス文書、宛名は封筒の宛名の書き方とはがきの宛名を参照してください。
注意
前の勤め先のお客様に独立の挨拶を送る場合は、前の勤め先との取り決め(就業規則や退職時の合意)に触れないか、事前に確かめてください。判断に迷う場合は、法務の専門家に相談してください。
独立開業の挨拶状 例文
例文1 標準(前職のお礼と開業の報告)
拝啓 ◯◯の候 皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 私こと ◯月末日をもって◯◯株式会社を退職し 令和◯年◯月◯日に◯◯事務所を開設いたしました
在職中は公私にわたり格別のご厚情を賜り 心より御礼申し上げます
今後はこれまでの経験を活かし ◯◯業の皆様の◯◯に関するご相談をお受けしてまいります
何分にも未熟ではございますが 精一杯努めてまいりますので 今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
敬具
令和◯年◯月吉日
記
◯◯事務所 代表 ◯◯◯◯
〒◯◯◯-◯◯◯◯ ◯◯県◯◯市◯◯町◯-◯-◯
電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯ メール ◯◯@◯◯
以上
例文2 格式を上げる(謹啓・目上の方が多い場合)
謹啓 ◯◯の候 皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます
さて 私儀 ◯◯株式会社にて◯◯の職務に携わってまいりましたが このたび独立し ◯月◯日に◯◯を開業いたしました
在職中に賜りましたご指導とご厚情に 改めて深く感謝申し上げます
今後は皆様から頂いたご恩に報いるべく 誠心誠意業務に励む所存でございます
今後とも一層のご指導とご支援を賜りますよう 謹んでお願い申し上げます
謹白
例文3 理念を伝える(何のために始めたか)
拝啓 ◯◯の候 皆様にはお健やかにお過ごしのことと存じます
さて このたび私は ◯月◯日に◯◯を開業いたしました
◯◯の仕事に携わる中で 「◯◯に困っている方の相談先が身近にない」と感じてきたことが 独立の決め手となりました
小さな事務所ではございますが 一件一件のご相談に最後まで責任を持って向き合ってまいります
お困りのことがございましたら どうぞお気軽にお声がけください
今後ともよろしくお願い申し上げます
敬具
Point
「どんな相談に乗れるか」を一文で。「◯◯業の方の◯◯に関するご相談」のように対象と内容を書くと、受け取った人が「あの人に紹介しよう」と思い出せます。
士業・フリーランスの開業挨拶 例文
例文4 士業事務所(業務を具体的に並べる)
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます
さて このたび◯◯士として独立し 令和◯年◯月◯日に◯◯事務所を開設いたしました
◯◯事務所在籍中は 皆様に大変お世話になり 厚く御礼申し上げます
当事務所では ◯◯の手続き ◯◯に関するご相談 ◯◯の書類作成を中心にお受けいたします
初めてのご相談の方にも分かりやすい説明を心がけてまいりますので お知り合いの方でお困りの方がいらっしゃいましたら ご紹介いただけましたら幸いです
まずは略儀ながら書中にてご挨拶申し上げます
敬具
例文5 フリーランス(かしこまり過ぎない文面)
◯◯の季節となりましたが いかがお過ごしでしょうか
このたび◯月より フリーランスの◯◯として活動を始めました
◯◯社では◯◯を担当し 皆様に多くのことを教えていただきました 本当にありがとうございました
今後は◯◯の制作を中心に 企画から仕上げまで一人で対応いたします
これまでの制作例はホームページにまとめておりますので ご覧いただけましたら幸いです
お仕事のご相談はもちろん 近況のご連絡もお待ちしております
今後ともよろしくお願いいたします
クリニック・医院開院の挨拶状 例文
例文6 開院(内覧会の案内つき)
謹啓 ◯◯の候 皆様にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます
さて 私こと これまで◯◯病院◯◯科に勤務してまいりましたが このたび◯◯市◯◯町に「◯◯クリニック」を開院する運びとなりました
勤務医として過ごした間に賜りましたご指導とご支援に 心より御礼申し上げます
地域の皆様の身近なかかりつけ医として 丁寧な診療に努めてまいります
開院に先立ち 下記のとおり内覧会を催しますので ご多用中とは存じますが お立ち寄りいただけましたら幸いです
謹白
記
開院日 令和◯年◯月◯日
診療科目 ◯◯科・◯◯科
診療時間 ◯時〜◯時(◯曜日・祝日休診)
内覧会 ◯月◯日 ◯時〜◯時
所在地 〒◯◯◯-◯◯◯◯ ◯◯市◯◯町◯-◯-◯(駐車場◯台)
以上
医院の挨拶状は、受け取る人が「来院するときに困らない」情報(診療科目・診療時間・休診日・駐車場・最寄り駅)を記書きにまとめます。医療に関する広告には別の決まりがあるため、効果をうたう表現は入れず、表現に迷う場合は開設地の保健所や専門家に確かめてください。
飲食店・店舗開店の挨拶状 例文
例文7 飲食店の開店
拝啓 ◯◯の候 皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて 私こと◯◯は ◯◯での修業を終え このたび◯◯町に小さな◯◯の店「◯◯」を開くことになりました
修業中は皆様に温かく見守っていただき 心より感謝申し上げます
旬の◯◯を中心に 気軽に立ち寄っていただける店を目指してまいります
お近くにお越しの際は ぜひお立ち寄りくださいますようお願い申し上げます
敬具
記
開店日 ◯月◯日
営業時間 ◯時〜◯時 定休日 ◯曜日
所在地 ◯◯市◯◯町◯-◯-◯(◯◯駅から徒歩◯分)
電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯
以上
例文8 のれん分けでの開店
拝啓 ◯◯の候 皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます
さて 私こと ◯◯本店で◯年にわたり修業を積んでまいりましたが このたび親方◯◯から屋号「◯◯」を名乗ることを認めていただき ◯◯に◯◯店を構えることとなりました
本店の味と心を受け継ぎ ◯◯の皆様に親しまれる店となるよう精進してまいります
何卒本店同様のお引き立てを賜りますよう お願い申し上げます
敬具
※「◯年」の部分は実際の年数を入れてください。
例文9 新装開店(リニューアル)
拝啓 ◯◯の候 平素は格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます
さて 当店では◯月より改装工事のため休業しておりましたが このたび工事を終え ◯月◯日に新装開店いたします
休業中は皆様にご不便をおかけし 誠に申し訳ございませんでした
新しい店舗では ◯◯を広げ ◯◯もご用意いたしました
これまで以上に心地よくお過ごしいただけるよう努めてまいりますので 変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます
敬具
会社設立の挨拶状 例文
例文10 会社設立(標準)
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます
さて このたび私どもは 令和◯年◯月◯日に株式会社△△を設立し 営業を開始いたしました
弊社は◯◯を通じて ◯◯の◯◯を支えることを目指してまいります
何分にも新しい会社でございますので 皆様のお力添えをいただかなければなりません 何卒格別のご支援を賜りますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてご挨拶申し上げます
敬具
令和◯年◯月吉日
記
社名 株式会社△△
代表取締役 △△△△
所在地 〒◯◯◯-◯◯◯◯ ◯◯県◯◯市◯◯町◯-◯-◯
電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯
事業内容 ◯◯の◯◯
以上
例文11 事業部門を分社化した場合
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 平素は格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます
さて 弊社はこのたび ◯◯事業部の業務を分離し ◯月◯日付で新会社「株式会社△△」を設立いたしました
新会社では ◯◯事業に専念できる体制を整え これまで以上にきめ細かなサービスをご提供してまいります
なお ◯◯事業に関するお取引は ◯月◯日以降 新会社が担当させていただきます 担当者は従来どおりでございます
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
敬具
例文12 共同出資での設立
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます
さて このたび株式会社◯◯と株式会社◯◯は ◯◯分野での協力をさらに深めるため 共同出資により「株式会社△△」を設立いたしました
両社がこれまで培ってきた◯◯と◯◯を持ち寄り お客様の◯◯にお応えしてまいります
今後とも格別のお引き立てを賜りますよう お願い申し上げます
敬具
例文13 法人成り(個人事業を会社にした)
拝啓 ◯◯の候 平素は格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます
さて これまで◯◯として営んでまいりました事業を ◯月◯日をもちまして法人に改め 「株式会社△△」として新たに出発いたしました
個人で営んでいた間に皆様から頂いたご信頼があってこその一歩と 心より感謝申し上げます
業務の内容と担当者に変更はございませんが ご請求書の宛名とお振込先が変わります 詳しくは同封の書面をご確認ください
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます
敬具
法人成りでは、契約書・請求書・口座の扱いが変わります。挨拶状は報告にとどめ、変更点は別紙にまとめると取引先の経理が処理しやすくなります。契約の引き継ぎや登記については、専門家・法務に確認してください。
例文14 設立からしばらくたっての挨拶
拝啓 ◯◯の候 皆様にはますますご清栄のこととお慶び申し上げます
さて ご挨拶が遅くなりましたが 弊社は◯月◯日に設立し おかげさまで営業も軌道に乗ってまいりました
この間お力添えをいただいた皆様に 心より御礼申し上げます
今後は◯◯にも業務を広げてまいりますので 引き続きご指導ご支援を賜りますようお願い申し上げます
敬具
支店・営業所開設の挨拶状 例文
例文15 支店開設
拝啓 ◯◯の候 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます 平素は格別のお引き立てを賜り 厚く御礼申し上げます
さて 弊社ではこのたび ◯◯地域のお客様へのサービスを一層充実させるため 下記のとおり◯◯支店を開設いたしました
これにより ◯◯地域のお客様への訪問やお届けを これまでより早く行えるようになります
新しい拠点でも皆様のお役に立てるよう努めてまいりますので 今後とも一層のお引き立てを賜りますようお願い申し上げます
敬具
記
名称 株式会社△△ ◯◯支店
所在地 〒◯◯◯-◯◯◯◯ ◯◯県◯◯市◯◯町◯-◯-◯
電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯
支店長 ◯◯◯◯
業務開始日 令和◯年◯月◯日
以上
支店長の就任の挨拶を兼ねる場合は就任挨拶の例文、拠点を移す場合は事務所移転のお知らせの形を使ってください。
前の勤め先の代表に添えてもらう推薦の一文 例文
円満に独立した場合、前の勤め先の代表者が「このたび当社の◯◯が独立いたします」と紹介する文を挨拶状に添えることがあります。取引先にとっては安心材料になります。
例文16 推薦の添え書き
このたび 当社で◯年にわたり◯◯を担当してまいりました◯◯◯◯氏が 独立して◯◯事務所を開設することとなりました
同氏は誠実な仕事ぶりで 多くのお客様から信頼を寄せられてまいりました
何卒私ども同様にお引き立てくださいますよう 私からもお願い申し上げます
◯◯株式会社 代表取締役 ◯◯◯◯
※推薦文は必ず前の勤め先の代表者本人に文面を確認してもらい、了承を得てから使ってください。
メールで送る開業の挨拶 例文
件名は「開業のご挨拶(◯◯事務所 ◯◯)」のように、用件と名前を入れます。前職のアドレスから変わっている場合は、名前が件名にないと開かれません。
例文17 前職でお世話になった方へ
件名:開業のご挨拶(◯◯事務所 ◯◯)
◯◯様
ご無沙汰しております。以前◯◯株式会社でお世話になりました◯◯です。
このたび◯月◯日に独立し、◯◯事務所を開業いたしましたので、ご挨拶申し上げます。
在職中は大変お世話になり、ありがとうございました。今後は◯◯に関するお手伝いを中心に活動してまいります。
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(署名:事務所名・所在地・電話・メール・ホームページ)
例文18 取引先へ(会社設立・法人成り)
件名:会社設立のご挨拶と今後のお取引について(株式会社△△ ◯◯)
株式会社◯◯
◯◯部 ◯◯様
いつも大変お世話になっております。◯◯です。
このたび◯月◯日に、これまでの事業を「株式会社△△」として法人化いたしました。
業務の内容と担当は変わりませんが、ご請求書の宛名とお振込先が変わります。変更点を添付の書面にまとめましたので、お手数ですがご確認いただけますでしょうか。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
(署名)
開業祝いへのお礼状 例文
例文19 お祝いをいただいた方へ
拝啓 ◯◯の候 ◯◯様にはお元気でお過ごしのことと存じます
このたびの◯◯開業に際しましては ご丁重なお祝いを賜り 誠にありがとうございました
いただいた◯◯は ◯◯に飾らせていただき お越しになる方の目を楽しませております
おかげさまで無事に開業の日を迎えることができました 皆様のご期待に添えるよう努めてまいりますので 今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます
まずは略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます
敬具
出す前のチェックリスト
- 開業(設立・開設)の日付が入っていて、時制(いたします/いたしました)が送る時期と合っている
- 事業の内容が「誰の、何を」まで具体的に書けている
- 所在地・電話・メール・ホームページが記書きにまとまっている(店舗・医院は営業時間・定休日も)
- 頭語と結語の組み合わせが合っている(拝啓→敬具、謹啓→謹白)
- 時候の挨拶が送る月に合っている
- 「私こと」「私儀」など自分を指す語が行頭に来ていない(縦書きでは行の下に寄せる)
- 名称・電話番号・URLに誤りがない(声に出して読み合わせる)
- 法人成り・分社では、変わる点(宛名・口座・窓口)を別紙で伝えている
- 前の勤め先のお客様に出す場合、取り決めに触れないか確かめた
- 推薦文を添える場合、前の勤め先の代表者に了承を得た
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | なぜ困るか | 直し方 |
|---|---|---|
| 抱負ばかりで事業の内容が分からない | 受け取った人が誰かに紹介できない | 「◯◯業の方の◯◯のご相談」と対象と内容を一文で |
| 連絡先がホームページだけ | 検索しない人には届かない | 電話とメールも記書きに入れる |
| 開業後に出すのに「開業いたします」のまま | 印刷時期と発送時期がずれると起きやすい | 発送日に合わせて時制を直してから印刷する |
| 前職の悪口や退職の事情を書く | 読み手が反応に困る | 退職の理由は書かず、お礼だけにする |
| 法人成りの口座変更を挨拶状の本文に埋め込む | 経理担当者が見落とす | 変更点は別紙にし、本文では「同封の書面をご確認ください」とだけ書く |
| メールの件名が「ご挨拶」だけ | 誰からか分からず開かれない | 件名に用件と名前を入れる |
儀礼的な挨拶状では、句読点を付けずに字間を空けて区切る書き方もあります。このページの紙の挨拶状の例文はその形で、メールの例文は句読点を付けています。どちらに合わせるかは、送る相手と文面の雰囲気で選んでください。
挨拶状と一緒に準備すること
- 名刺とホームページ:挨拶状を見た人が検索したときに、事業の内容が分かるページを用意しておく。
- 地図とアクセス:来訪してもらう事業所なら、地図のQRコードを挨拶状に入れる(QRコード作成ツール)。
- 内覧会・開業記念の催し:お披露目をするなら、案内を同封する(内覧会の案内文)。返信はがきを付けると人数を把握しやすい。
- お祝いへのお礼:開業祝いをいただいたら、早めにお礼状を出す(例文19)。
- 宛名の一覧:前職・取引先・近隣と送る相手を分けておくと、文面を出し分けられる。
この記事の要点
- 挨拶状は開業日・事業内容・所在地と連絡先・お礼・お願いの5点。
- どんな相談に乗れるかを「対象と内容」で一文に。
- 独立はお礼を厚く、会社設立は事業内容を、店舗・医院は来店・来院の情報を中心に。
- 法人成り・分社は変わる点を別紙に。支店開設は取引先にとって便利になる点を。
- 時制(いたします/いたしました)を発送日に合わせる。メールの件名には用件と名前を。
FAQ
よくある質問
開業日の前後に届くように送ります。開業前なら「◯月◯日に開業いたします」、開業後なら「◯月◯日に開業いたしました」と時制を合わせます。開業後しばらくたってからでも、遅れたお詫びを一言添えて出せます(例文14)。
前職でお世話になった人、見込みのお客様や紹介をくれそうな人、既存の取引先、店舗や医院なら近隣の事業者です。前の勤め先のお客様に送る場合は、就業規則や退職時の取り決めに触れないかを先に確かめてください。
数が多い場合や店舗・医院の告知ははがき、前職の上司や重要な取引先、会社設立は封書(カード)にすると格式が上がります。法人成りで口座や請求先が変わる場合は、変更点を書いた別紙を同封できる封書が向いています。
儀礼的な挨拶状では句読点を付けずに字間で区切る書き方もあります。どちらにするかは文面の雰囲気で選び、一通の中ではどちらかにそろえてください。メールでは句読点を付けます。
「私こと」「私儀」は自分のことをへりくだって切り出す言い方です。自分を指す語は行頭を避け、縦書きでは行の下に寄せて書くのが手紙の作法です。迷う場合は「さて このたび私は」のように書き出しても失礼にはなりません。
「弊社ではこのたび、◯◯地域のお客様へのサービスを一層充実させるため、◯◯支店を開設いたしました。これにより、◯◯地域のお客様への訪問やお届けを、これまでより早く行えるようになります」のように、開設の目的と取引先にとっての利点を書き、記書きで所在地・電話・業務開始日を示します(例文15)。
なるべく早くお礼状を出します。いただいた品をどう使っているかを一文入れると、形式だけのお礼になりません(例文19)。