社外文書
依頼状の書き方と例文
社外・個人・社内別のテンプレート
結論:依頼状は「①なぜその相手にお願いするのか ②何をしてほしいのか ③日時・条件 ④いつまでに返事がほしいか ⑤問い合わせ先」の5つが書けていれば、形式は後から整えられます。本文は拝啓で始めて敬具で結び、条件は「記」以下の箇条書きにまとめると、相手が社内で検討しやすくなります。このページでは書式と、講演・取材・見積・後援・資料提供・原稿執筆・社内向けの例文、相手別の違い、よくある失敗、封筒の書き方をまとめました。メールで頼む場合は依頼メールの書き方を参照してください。
結論
依頼状は①日付 ②宛名 ③差出人 ④件名 ⑤前文(頭語・時候の挨拶) ⑥主文(依頼の内容と、なぜその相手に頼むのか) ⑦末文・結語 ⑧記書き(日時・場所・条件・回答期限・連絡先)で構成します。相手に時間や手間を割いてもらうための正式な文書で、社内向けや項目を並べた事務的な書式は「依頼書」と呼ぶこともあります。
依頼状の書式と宛名
| 部分 | 書くこと |
|---|---|
| 日付・宛名・差出人 | 右上に日付、左に宛名、その下の右に差出人(団体名・役職・氏名・連絡先) |
| 件名 | 「ご講演のお願い」「取材のお願い」など、何のお願いかを一言で |
| 前文 | 拝啓、時候の挨拶、日頃のお礼(初めての相手には自己紹介を一文) |
| 主文 | 企画や催しの趣旨、依頼の内容、なぜその相手にお願いしたいのか |
| 末文・結語 | 「ご多忙のところ誠に恐縮ですが、ご高配を賜りますようお願い申し上げます」敬具 |
| 記書き | 日時・場所・内容・条件(謝礼・費用負担)・回答期限・担当者の連絡先 |
記書きに入れる項目(5W2Hで抜けを確かめる)
| 観点 | 記書きの項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| いつ(When) | 日時・締切・回答期限 | 令和◯年◯月◯日(◯)◯:◯◯〜/ご回答は◯月◯日まで |
| どこで(Where) | 会場・形式 | ◯◯会館 ◯階(オンライン配信あり) |
| 誰に(Who) | 対象・参加者 | 会員企業の担当者 約◯名 |
| 何を(What) | 依頼の内容 | ◯分程度のご講演/◯◯字程度のご寄稿 |
| なぜ(Why) | 趣旨・目的(主文に書く) | ◯◯をテーマに、現場で役立つ考え方を学ぶため |
| どのように(How) | 進め方・使用範囲 | 事前打ち合わせ◯回、写真は冊子にのみ掲載 |
| いくら(How much) | 謝礼・費用負担 | 謝礼◯円(税込)、交通費は当方負担 |
宛名の役職の書き方
役職は名前の前に置き、敬称は「様」だけにします。「株式会社◯◯ 代表取締役社長 ◯◯◯◯様」が正しい形で、「◯◯社長様」は敬称が重なるので使いません。大学の先生や医師など「先生」と呼ぶ相手には「◯◯◯◯先生」とします。担当者名がわからない企業あてなら「株式会社◯◯ ◯◯部 御中」とし、「御中」と「様」は一緒に使いません。
Point
主文で「なぜあなたに頼むのか」を書いてください。「◯◯のご著書を拝読し、ぜひ参加者に直接お話しいただきたいと考えました」の一文があるだけで、定型の依頼状ではなくなります。
相手別の違い:社外の企業・個人・社内
| 項目 | 社外の企業・団体 | 個人(講師・専門家・著者) | 社内 |
|---|---|---|---|
| 前文 | 拝啓+時候の挨拶+日頃のお礼 | 拝啓+時候の挨拶。初めてなら自己紹介と、連絡先を知った経緯 | 省略してよい。「お疲れさまです」も不要 |
| 主文で厚く書くこと | 取引上の目的と、相手にとっての利点 | その人にお願いしたい理由(著書・実績) | 目的と、提出物・期限 |
| 条件の書き方 | 数量・納期・費用負担を具体的に | 謝礼・交通費・拘束時間・使用範囲 | 提出方法・提出先・問い合わせ先 |
| 送り方 | 郵送、またはPDFをメールに添付 | 郵送が丁寧。事前にメールか電話で打診 | 社内メール・掲示・社内システム |
| 同封物 | 企画書・仕様書・返信用封筒 | 企画書・開催要項・返信用はがき | 記入用の様式 |
取引先に価格や支払条件の変更をお願いする文書は、取引の法的な扱いが関わるので、送る前に法務や専門家に確認してください。値上げのお願いは価格改定のお知らせ、値下げのお願いは値下げ交渉のメールにまとめています。
そのまま使える言い回し
| 場所 | 言い回し |
|---|---|
| 前文(社外) | 拝啓 ◯◯の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 |
| 前文(個人) | 拝啓 ◯◯の候、◯◯様におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 |
| 初めての相手 | 突然のお手紙にて失礼いたします。私は◯◯で◯◯を担当しております△△と申します。 |
| 本題への切り替え | さて、このたびは◯◯についてお願いがあり、ご連絡いたしました。 |
| 依頼の一文 | つきましては、◯◯をお願いいたしたく、ご検討くださいますようお願い申し上げます。 |
| 理由を添える | ◯◯のご経験をお持ちの◯◯様に、ぜひお話を伺いたいと考えております。 |
| 回答期限 | 誠に勝手ながら、◯月◯日までにご回答いただけますと幸いです。 |
| 末文 | ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、何卒ご高配を賜りますようお願い申し上げます。敬具 |
講演・登壇の依頼状
令和◯年◯月◯日
◯◯大学 ◯◯学部 教授
◯◯◯◯先生
◯◯協会 事務局長 △△△△
ご講演のお願い
拝啓 ◯◯の候、先生におかれましてはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、当協会では毎年、会員企業の担当者を対象とした研修会を開催しております。本年は「◯◯」をテーマに、現場で役立つ考え方を学ぶ会にしたいと考えております。
先生のご著書『◯◯』を拝読し、その考え方を会員に直接伝えていただけないかと考え、本状を差し上げました。研修会でのご講演をお引き受けいただけますと幸いです。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、何卒ご高配を賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
記
日時 令和◯年◯月◯日(◯)◯:◯◯〜◯:◯◯(ご講演は◯分程度)
会場 ◯◯会館 ◯階 ◯◯ホール(オンライン配信あり)
対象 会員企業の担当者
演題 ご相談のうえ決めさせていただきます
謝礼 別途ご相談させていただきます(交通費は当協会にて負担いたします)
ご回答のお願い ◯月◯日までに、ご都合をお知らせいただけますと幸いです
担当 △△(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯/メール ◯◯@◯◯)
以上
依頼を受けてもらえたあとのお礼は講師へのお礼メール、当日の紹介文は講師紹介の例文にまとめています。謝礼の支払いで源泉徴収が必要かどうかは講演料の源泉徴収を確認してください。
取材の依頼状
株式会社◯◯
広報ご担当者様
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
突然のお手紙にて失礼いたします。私は◯◯(媒体名)で編集を担当しております△△と申します。
さて、弊誌では次号で「◯◯」を特集いたします。貴社が取り組まれている◯◯について、読者に向けてご紹介させていただきたく、取材のお願いを申し上げます。
ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、ご検討くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
媒体 ◯◯(発行部数・読者層は同封の媒体資料をご覧ください)
取材の内容 ◯◯の取り組みについて、ご担当者様へのインタビュー
取材の日時 ◯月◯日〜◯月◯日のうち、ご都合のよい◯時間程度
方法 貴社へ伺います(オンラインでも可)
写真撮影 あり(掲載前に原稿と写真をご確認いただきます)
掲載予定 ◯月◯日発行号
ご回答の期限 ◯月◯日
担当 △△(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)
以上
注意
取材を受ける側がいちばん気にするのは「どこに、どう載るか」と「掲載前に確認できるか」です。媒体資料と、原稿確認の有無を必ず添えます。取材後のお礼は取材協力のお礼を参照してください。
見積・サンプル提供の依頼状(取引先あて)
拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、◯月に開催する◯◯で使用する◯◯について、下記の条件でお見積りをお願いしたくご連絡いたしました。あわせて、品質を確かめるためのサンプルを1点ご提供いただけますと幸いです。
ご多用中誠に恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
品名・仕様 ◯◯(仕様書を同封いたします)
数量 ◯個
納品希望日 令和◯年◯月◯日
納品場所 ◯◯
お見積りの提出期限 ◯月◯日
担当 △△(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯/メール ◯◯@◯◯)
以上
相見積もりを取る場合でも、そのことを書く必要はありません。数量・納期・仕様をそろえて各社に同じ条件で依頼すると比較しやすくなります。メールで頼む場合は見積依頼メールを参照してください。
後援名義の使用のお願い(依頼状)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、私ども◯◯実行委員会では、令和◯年◯月◯日に「◯◯」を開催いたします。本催しは、◯◯を目的として、地域の皆さまとともに続けてまいりました。
つきましては、本催しの趣旨にご賛同いただき、貴会のご後援を賜りたく、お願い申し上げます。開催要項を同封いたしましたので、ご検討くださいますようお願い申し上げます。
ご多用中誠に恐縮ではございますが、何卒ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
敬具
記
催し名 ◯◯
日時・会場 令和◯年◯月◯日(◯) ◯◯公園
お願いしたいこと 後援名義の使用(チラシ・ポスター・ホームページへの掲載)
同封書類 開催要項、収支予算書、チラシの案
ご回答の期限 令和◯年◯月◯日
担当 ◯◯実行委員会 △△(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)
以上
後援は、自治体や団体ごとに申請の様式と期限が決まっていることが多いので、依頼状を送る前に先方の窓口に確認します。様式がある場合は、依頼状はその申請書に添える送付状の役割になります。協賛と後援の違いは主催・共催・後援・協賛・協力の違い、協賛金や協賛品のお願いは協賛依頼文の例文を参照してください。
資料提供・原稿執筆の依頼状
資料・写真の提供のお願い
さて、弊社では現在、◯◯に関する冊子を制作しております。つきましては、貴社が公開されている◯◯の写真を、冊子の◯ページに掲載させていただきたく、ご提供をお願い申し上げます。掲載の際は、貴社名とクレジットを明記いたします。
記
使用目的 ◯◯冊子への掲載(非売品・配布用)
ご提供いただきたいもの ◯◯の写真データ
ご回答の期限 令和◯年◯月◯日
原稿執筆のお願い
さて、弊社が発行する◯◯では、次号で「◯◯」を特集いたします。つきましては、この分野に長く携わってこられた◯◯様に、ご寄稿をお願い申し上げたく存じます。
記
テーマ ◯◯について(内容はご相談のうえ)
分量 ◯◯字程度
締切 令和◯年◯月◯日
謝礼 別途ご相談させていただきます
注意
写真や原稿の使用範囲(どの媒体に、いつまで、二次利用はあるか)は、依頼状の段階で書いておくと、後から食い違いが起きません。
社内向けの依頼書
社内の依頼書は、頭語や時候の挨拶を省き、件名・目的・お願いしたいこと・期限・提出先を最初に並べます。様式は社内文書の書き方も参照してください。
令和◯年◯月◯日
各部署 責任者各位
総務部 △△
社内イベントに関するアンケートご協力のお願い
◯月に予定している社内イベントの内容を決めるため、各部署の希望を伺いたく、アンケートへのご協力をお願いします。
部署内で取りまとめのうえ、期限までにご提出ください。
記
目的 ◯◯の企画内容の決定
内容 同封の回答用紙(設問◯問)
提出期限 ◯月◯日(◯)
提出先 総務部 △△(内線 ◯◯◯)
以上
全社員に回答をお願いする場合の文面は社内アンケートの依頼文にまとめています。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 依頼の理由がない | 定型の大量送付に見え、後回しにされる | 主文に「なぜあなたに」を一文入れる |
| 回答期限がない | 返事が来ず、催促もしにくい | 記書きに回答期限を書く |
| 謝礼・費用負担を書かない | 相手が社内で判断できない | 金額未定なら「別途ご相談」と明記し、交通費の扱いも書く |
| 前文が長く本題が遅い | 何の依頼か最後まで読まないとわからない | 件名で用件を示し、「さて」から依頼に入る |
| 「◯◯社長様」「◯◯部御中 ◯◯様」 | 敬称の重複で失礼になる | 「代表取締役社長 ◯◯様」「◯◯部 ◯◯様」 |
| 「ご査収ください」で締める | 受け取って確認する意味で、依頼の締めに合わない | 「ご検討くださいますようお願い申し上げます」 |
| 使用範囲が曖昧 | 写真・原稿の二次利用で食い違う | 媒体・期間・二次利用の有無を記書きに書く |
封筒の書き方と同封物
- 正式な依頼状は白無地の封筒に入れる。和封筒なら縦書き、洋封筒なら横書きでも構わない。
- 表面の宛名は中央に大きく、役職は名前の上(縦書き)または前(横書き)に小さめに書く。
- 表面の左下に「依頼状在中」などと書くと、開封前に用件が伝わる。
- 裏面に差出人の住所・団体名・氏名を書き、封をしたら「〆」を書く。
- 同封物:企画書・開催要項・媒体資料・仕様書などの資料、返信用はがきや返信用封筒(切手を貼って宛名を書いておく)。
同封物が多いときは、送付状を付けて何を同封したかを示すと親切です(送付状の書き方)。宛名の書き方の詳細は封筒の宛名の書き方を参照してください。
返事が来ないとき・断られたとき
回答期限を過ぎても返事がないときは、まず電話かメールで届いているかを確かめます。「先日お送りした◯◯のお願いの件で、ご検討の状況を伺いたくご連絡いたしました」と、催促ではなく確認の形にします。断られた場合も、検討してくれたことへのお礼を短く返しておくと、次の機会につながります。
依頼を受けてもらえたら、日時と条件をまとめた承諾の確認を送ります。相手から承諾書を求められたときは承諾書の書き方、こちらが依頼を断る側になったときは断り状の書き方を参照してください。
送る前のチェックリスト
- 件名で何のお願いかがわかる
- なぜその相手にお願いしたいのかを、主文に一文入れた
- 日時・場所・内容・条件(謝礼・費用負担)を記書きにまとめた
- 写真・原稿・名義の使用範囲を書いた
- 回答の期限と、担当者の電話・メールを書いた
- 宛名の役職と敬称が重なっていない(「社長様」「御中+様」になっていない)
- 相手が社内で検討しやすいよう、企画書や開催要項を同封した
- 返信用はがき・封筒に切手と宛名を入れた
- 送ったあとに、届いた頃合いで電話かメールで一言添える段取りを決めた
この記事の要点
- 依頼状は前文・主文・末文・記書きの形で一枚にまとめる。
- 主文になぜその相手に頼むのかを一文入れる。
- 記書きは5W2Hで抜けを確かめ、回答期限と連絡先を必ず書く。
- 社外の企業・個人・社内で、前文の丁寧さと書く条件を変える。
- 宛名は「代表取締役社長 ◯◯◯◯様」。「社長様」は使わない。
- 期限を過ぎたら、催促ではなく確認の形で連絡する。
FAQ
よくある質問
どちらも相手に何かをお願いする文書で、手紙の形(拝啓・敬具)で書く社外向けを依頼状、社内や事務的な依頼で項目を並べた書式を依頼書と呼び分けることが多いです。書く要素(目的・内容・期限・連絡先)は同じです。
初めての相手への講演・取材・後援・寄稿などの依頼や、相手が社内で検討・決裁をする場合は文書の依頼状が向いています。メールで事前に打診し、了承の見込みが立ったら正式な依頼状を送る、という順番もよく使われます。
役職は名前の前に置き、敬称は「様」だけにします。「株式会社◯◯ 代表取締役社長 ◯◯◯◯様」が正しく、「◯◯社長様」は敬称が重なるので避けます。
決まっているなら記書きに書いておくと、相手が判断しやすくなります。決まっていない場合は「謝礼:別途ご相談させていただきます」とし、交通費の負担なども併せて書きます。
どちらでも構いません。改まった依頼や目上の個人あてでは縦書き、企業や団体あての事務的な依頼では横書きが多く使われます。封筒も中の文書に合わせます。
不要です。件名・目的・お願いしたいこと・期限・提出先を簡潔に書きます。
電話かメールで、届いているか・検討の状況はどうかを確認します。「ご回答をお願いしたはずですが」のような責める言い方は避け、「ご検討の状況を伺いたく」と確認の形にします。