手紙の書き方
「記」と「以上」の書き方
位置・例文・記書きの見本
結論から言うと、本文に「下記のとおり」と書き、本文のあとの中央に「記」、日時や場所などの項目を箇条書きにし、最後に右寄せで「以上」と書きます。この形を「記書き(きがき・きかき)」と呼びます。そのまま使える最小の形は次のとおりです。
(本文)……下記のとおり開催いたしますので、ご出席くださいますようお願い申し上げます。
記
一 日時 ◯月◯日(◯)◯時から
二 場所 本社◯階 会議室
以上
このページでは、①位置の決まりを一覧表に、②送付状を例に文書全体の並び順を、③案内状・社内通知・依頼状・送付状(請求書・契約書)・お知らせなど場面別の見本を、④記書きを使わないほうがよい場面と代わりの書き方を、⑤送る前のチェックリストをまとめました。メールの本文で日時・場所を並べる書き方はメールで日時・場所を伝える書き方にあります。
結論
記書きは、文書の本文と、日時・場所・持ち物などの細かい項目を分けて書く書き方です。本文には目的と依頼だけを書き、細かい項目は「記」の下にまとめます。「記」は「ここから項目を記します」、「以上」は「項目はここで終わりです」の目印です。読み手は「記」から「以上」までを見れば、日時や場所などの要点だけを拾えます。
「記」と「以上」の位置の決まり(一覧)
| 部分 | 横書き | 縦書き | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 本文 | 「下記のとおり」「下記の日程で」と書いて記書きを指す | 同じ | 本文には目的と依頼だけを書く |
| 結語(社外文書) | 本文の最後に右寄せで「敬具」など | 本文の最後の行の下のほう | 記書きは結語のあとに置く |
| 記 | 一行空けて中央 | 一行空けて行の中ほど | 前後に一行ずつ空けると見やすい |
| 項目 | 左から、一行に一つの事柄 | 上から、一行に一つの事柄 | 項目名(日時・場所など)をそろえる |
| 補足 | 項目の下に「※雨天の場合は…」 | 同じ | 長い説明は本文か別紙に回す |
| 以上 | 最後の項目の次の行に右寄せ | 最後の項目の次の行の下寄せ | 記を使ったら以上で締める |
| 担当者 | 以上の下に右寄せで担当者名・連絡先 | 以上の次の行の下寄せ | 会社や部署の書式があればそれに合わせる |
文化庁の「公用文作成の考え方」(文化審議会建議)には、通知や依頼などの文書で本文と下記部分を分けて書く場合(「記書き」とも)は、本文中で「下記」などを使って下記部分を指し、本文と下記との間の中央に「記」と記述すると示されています。同資料の索引では、記書きの読みとして「きかき/きがき」が挙げられています。
見た目を整える三つのコツ
- 「記」は見出しとして目立たせる。前後を一行ずつ空けると、本文と項目の切れ目が一目で分かります。
- 項目名の後ろをそろえる。「日時」「場所」「持ち物」のように項目名の字数をそろえると、内容の書き出し位置が縦にそろって読みやすくなります。
- できれば一枚に収める。項目が多くて二枚目にまたがりそうなときは、本文を短くするか、細かい内容を「別紙」にして項目には「詳細は別紙のとおり」と書きます。
項目の番号の付け方
項目が多いときや、項目の中をさらに分けるときは番号を付けます。「公用文作成の考え方」では、項目の細別の例として横書きで「第1→1→(1)→ア→(ア)」の順が示されています。縦書きでは漢数字(一、二、三)を使うのが通例です。文書の中で番号の付け方が統一されていることがいちばん大切です。
| 項目の数・形 | おすすめの書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 項目が複数ある | 番号付きの箇条書き | 一 日時 / 二 場所 |
| 項目の中に小項目がある | 番号を階層にする | 3 議題 (1)上期の振り返り |
| 項目が一つだけ | 記書きを使わず本文に書くことも多い | 「◯月◯日(◯)までにご返送ください」 |
文書全体の並び順(送付状を例に)
記書きは文書の一部です。社外に出す送付状・案内状は、おおむね次の順で並べます。社内文書では、頭語・前文・結語を省きます。
- 01
日付(右寄せ)
発信日を書きます。社外文書では和暦か西暦か、社内の書式に合わせます。
- 02
宛名(左寄せ)
会社名・部署名・氏名に「様」、会社や部署宛てなら「御中」。社内文書は「社員各位」など。
- 03
差出人(右寄せ)
会社名・部署名・氏名。必要なら住所・電話番号も。
- 04
件名(中央)
「書類送付のご案内」「◯◯会議開催のお知らせ」など、何の文書かが分かる一行。
- 05
頭語・前文
「拝啓」と時候・安否の挨拶。社内文書では省きます。
- 06
主文
「さて、」で始め、用件を書き、「下記のとおり」で記書きを指します。
- 07
末文・結語
「まずはご案内申し上げます。」などで結び、右寄せで「敬具」。
- 08
記・項目・以上
中央に「記」、項目を箇条書き、右寄せで「以上」。
- 09
担当者(必要なら)
以上の下に右寄せで担当者名と連絡先。
縦書きの記書きの位置
縦書きの文書では、本文と結語のあと、一行空けて「記」を行の中ほど(上下の中央)に書きます。その次の行から項目を上から書いていき、番号・日付・数字は漢数字にそろえます。
最後の項目の次の行に、「以上」を行の下のほう(下寄せ)に書きます。日付・差出人は文書の書式によって、本文の前に置く場合と、記書きのあとに置く場合があります。縦書きの手紙全体の配置は縦書きのビジネスレターの書き方にまとめています。
見本・例文(場面別に十通り)
◯の部分を差し替えればそのまま使えます。社外向けは頭語・結語つき、社内向けは頭語・結語なしの形です。
1. 書類の送付状(基本形)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記の書類をお送りいたしますので、ご査収くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一 御見積書 一通
二 製品カタログ 一部
以上
2. 請求書の送付状
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、◯月分のご請求書を下記のとおりお送りいたします。ご確認のうえ、お支払期日までにお手続きくださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一 ご請求書 一通(◯月分)
二 お支払期日 ◯月◯日(◯)
三 お振込先 ご請求書に記載の口座
以上
担当:◯◯部 ◯◯(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)
3. 契約書の送付状(返送をお願いする場合)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、先日ご確認いただきました◯◯契約につきまして、下記の書類をお送りいたします。お手数ですが、契約書二通にご署名・ご捺印のうえ、一通を◯月◯日(◯)までにご返送くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一 ◯◯契約書 二通
二 返信用封筒 一通
以上
4. 社外への会合の案内状
拝啓 ◯◯の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社では日頃お世話になっている皆様をお招きし、下記のとおり懇親会を催すことといたしました。
ご多忙中とは存じますが、ご出席くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一 日時 ◯月◯日(◯)◯時から◯時まで
二 会場 ◯◯ホテル ◯階 ◯◯の間(住所)
三 会費 ご招待のため不要です
四 ご出欠 お手数ですが、◯月◯日(◯)までに同封のはがきでお知らせください
以上
5. 取引先への依頼状
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、弊社では◯◯について、下記のとおり資料のご提供をお願いいたしたく、ご連絡申し上げました。
ご多用中のところ誠に恐縮ですが、ご検討くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一 お願いしたい資料 ◯◯の仕様書
二 ご提出期限 ◯月◯日(◯)
三 ご提出方法 郵送または電子メール
四 お問い合わせ先 株式会社△△ ◯◯部 ◯◯
以上
6. 社外へのお知らせ(休業・窓口の変更など)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、誠に勝手ながら、弊社では下記の期間を休業とさせていただきます。ご不便をおかけいたしますが、何とぞご了承くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一 休業期間 ◯月◯日(◯)から◯月◯日(◯)まで
二 営業再開日 ◯月◯日(◯)
三 休業中のお問い合わせ メール(◯◯@◯◯)で承り、営業再開後に順次ご返信いたします
以上
注意
価格の改定をお知らせする文書は値上げのお知らせの書き方に文例があります。
7. 社内通知(頭語・結語なし)
◯年◯月◯日
社員各位
総務部長 ◯◯◯◯
防災訓練の実施について
下記のとおり防災訓練を実施します。業務の都合をつけ、全員参加してください。
記
一 日時 ◯月◯日(◯)◯時から◯時まで
二 集合場所 本社ビル前の広場
三 内容 避難経路の確認、消火器の使い方の説明
四 持ち物 社員証
以上
担当:総務部 ◯◯(内線◯◯)
8. 社内の会議の開催通知(番号を階層にする例)
下記のとおり、◯◯会議を開催します。資料は事前に目を通しておいてください。
記
1 日時 ◯月◯日(◯)◯時から
2 場所 ◯階 大会議室
3 議題
(1)上期の振り返り
(2)下期の計画
4 事前資料 共有フォルダの「◯◯会議」に保存済み
以上
9. 社内研修の案内
下記のとおり◯◯研修を実施します。対象者は、所属長と調整のうえ参加してください。
記
一 日時 ◯月◯日(◯)◯時から◯時まで
二 場所 本社◯階 研修室(オンライン参加も可)
三 対象 入社◯年目までの社員
四 申込方法 ◯月◯日(◯)までに社内ポータルの申込フォームから
五 問い合わせ先 本社人事部 ◯◯(内線◯◯)
以上
10. 提出物の依頼(社内)
年末調整の手続きのため、下記の書類を提出してください。
記
一 提出書類 ◯◯申告書(各自の該当するもの)
二 提出期限 ◯月◯日(◯)
三 提出先 本社人事部 ◯◯
※記入例は社内ポータルに掲載しています。
以上
注意
社内文書の形式全体は社内通知・お知らせの文例、送付状は送付状の作成ツールで記書きつきの形が作れます。書き方の詳しい説明は送付状の書き方にあります。
記書きを使わないほうがよい場面と代わりの書き方
記書きは、日時・場所・書類名のように事実を項目で並べる文書に向く書き方です。次のような場面では使わないか、別の形を選びます。
| 場面 | 理由 | 代わりの書き方 |
|---|---|---|
| お礼状・お詫び状・お悔やみ | 気持ちを伝える文書に項目を並べると、事務的な印象になる | 本文の中で文章として伝える |
| 伝える項目が一つだけ | 記・以上で囲むほどの量がない | 本文に「◯月◯日(◯)までに」と書き込む |
| メール・チャット | 決まりではないが、堅く見えることがある | 「以下のとおり」のあとに「■日時」のような見出しで並べる |
| 親しい相手への手紙 | 書式ばった印象になる | 本文で日時・場所を書き添える |
メールで「記」を使わずに並べる例
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の◯◯です。
次回のお打ち合わせについて、以下のとおりご案内いたします。
■日時:◯月◯日(◯)◯時から◯時まで
■場所:弊社◯階 会議室(受付で◯◯をお呼び出しください)
■議題:◯◯のご提案
ご都合が合わない場合は、お手数ですがご一報ください。
よろしくお願いいたします。
「下記」と「以下」の使い分け
| 言葉 | 指すもの | よく使う場面 |
|---|---|---|
| 下記 | 「記」の下に書いた項目 | 記書きのある文書(「下記のとおり」) |
| 以下 | このあとに続く内容 | 記書きのないメールや文書(「以下のとおり」) |
記書きを使う文書では、本文で「下記のとおり」と指すと、「記」とのつながりがはっきりします。
よくある間違い
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「記」を書いたのに「以上」がない | どこまでが項目なのか分かりにくい | 最後の項目の次の行に右寄せで「以上」 |
| 「以上」のあとに本文の続きを書く | 文書がどこで終わるのか分からなくなる | 伝えたいことは本文か項目に入れる(以上の下は担当者・連絡先程度に) |
| 本文に「下記のとおり」がない | 記書きが何のための項目なのかつながらない | 本文で「下記のとおり」「下記の日程で」と指す |
| 社外文書で「記」を敬具より前に置く | 手紙の本文の途中に項目が入った形になる | 結語のあとに記書きを置く |
| 記書きの中に長い説明文を入れる | 項目が読み取りにくくなる | 説明は本文か別紙にし、項目は短く |
| 番号の付け方が途中で変わる | どれが上の階層か分かりにくい | 文書の中で番号の順序をそろえる |
| 「以上」を左寄せや中央に書く | 項目の一つのように見える | 横書きは右寄せ、縦書きは下寄せ |
「以上」は「以上・以下」の「以上」と同じ字ですが、記書きでは「おしまい」の意味です。数量の「以上」の使い方は以上・以下・未満の違いにあります。
送る前のチェックリスト
- 本文に「下記のとおり」など、記書きを指す言葉がある
- 社外文書では「敬具」などの結語のあとに「記」がある
- 「記」は中央(縦書きは行の中ほど)で、前後に一行ずつ空けている
- 項目は一行に一つで、項目名の字数や書き出し位置がそろっている
- 日時には曜日を添え、本文・項目・同封物で日付が食い違っていない
- 番号の付け方が文書の中で統一されている
- 最後の項目の次の行に右寄せ(縦書きは下寄せ)で「以上」がある
- 「以上」のあとに本文の続きを書いていない
- できるだけ一枚に収まっている(多い場合は別紙)
この記事の要点
- 本文で「下記のとおり」と指し、本文のあとの中央に「記」。
- 項目は一行に一つ、箇条書きで短く。
- 最後の項目の次に右寄せで「以上」(縦書きは下寄せ)。以上のあとに本文を続けない。
- 社外文書では結語(敬具)のあとに記書きを置く。
- お礼状・お詫び状・メールでは記書きを使わない書き方も選べる。
FAQ
よくある質問
「きがき」または「きかき」と読みます。文化庁の「公用文作成の考え方」の索引でも、両方の読みが挙げられています。
本文(社外文書なら結語)のあとに一行空け、行の中央に書きます。文化庁の「公用文作成の考え方」でも、本文と下記との間の中央に「記」と記述することが示されています。縦書きでは行の中ほどです。
記書きを使ったら、最後に「以上」を書いて項目の終わりを示します。以上がないと、どこまでが項目なのか分かりにくくなります。
本文の続きは書きません。担当者名と連絡先を以上の下に右寄せで書く形はよく見られます。会社の書式があればそれに合わせます。
結語の「敬具」のあとに「記」を置きます。本文と結語で手紙の部分を閉じ、そのあとに細かい項目を並べる形です。
決まりはありませんが、項目が一つなら本文に書き込むほうがすっきりします。書類名と通数を示したい送付状などでは、一つでも記書きにすることがあります。
記書きのある文書では「記」の下を指す「下記のとおり」、記書きのないメールなどでは「以下のとおり」を使うと、つながりが分かりやすくなります。
使っても間違いではありませんが、メールでは堅く見えることがあります。「以下のとおり」のあとに「■日時」のような見出しで並べる書き方もよく使われます。