ビジネス文書
断り状の書き方と例文
そのまま使える文例・フレーズ集
断り状の書き方の答えは、①申し出へのお礼 ②検討した結果、お受けできないこと ③理由(こちらの事情として短く) ④ご期待に沿えないことへのお詫び ⑤今後につなぐ一言の順に書くことです。いちばん大事なのは、断ることをあいまいにしないこと。「前向きに検討します」「難しいかもしれません」で終えると、相手は返事を待ち続けます。この記事には、そのまま使える見本1通、場面別の例文、部分ごとの言い換えフレーズ集、メールとの使い分け表、送る前のチェックリストを置きました。メールでお断りするときはお断りメールの例文を見てください。
結論
断り状は、相手からの申し込み・依頼・提案を受けられないと正式に伝える文書です。相手が文書で申し込んできたとき、社内で決裁を経て断ったことを記録に残したいとき、改まった依頼(役職の就任・講演など)を断るときに、メールではなく文書で出します。
結論:断り状の組み立てと見本
Point
お礼→結論→理由→お詫び→今後。結論は「見送らせていただくことといたしました」「お受けいたしかねます」と、読み違えようのない言い方にします。
- 01
申し出へのお礼
「このたびは◯◯のお申し出をいただき、誠にありがとうございました」。断る前に、声をかけてもらったこと自体への感謝を書きます。
- 02
検討したうえでの結論
「社内で慎重に検討いたしましたが」と、きちんと検討したことを示してから「見送らせていただくことといたしました」と言い切ります。
- 03
理由を一つ
予算・方針・時期・体制など、こちらの事情として短く。書けないときは「諸般の事情により」でかまいません。
- 04
お詫び
「ご期待に沿えず誠に申し訳ございません」。断ったことではなく、期待に応えられないことを詫びます。
- 05
今後の一言で結ぶ
次の機会を考えているなら「またの機会に」、考えていないなら相手の発展や催しの成功を祈る言葉で締めます。
新しい取引の申し込みをお断りする見本です(横書き)。
令和◯年◯月◯日
株式会社◯◯
営業部 部長 ◯◯◯◯様
(右寄せ)株式会社△△
(右寄せ)購買部長 □□□□
(中央)お取引のお申し込みについて
拝啓 ◯◯の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたびは弊社との新規のお取引についてお申し込みをいただき、誠にありがとうございました。
社内で慎重に検討いたしましたが、弊社では現在、◯◯の仕入れ先を当面増やさない方針としており、誠に恐縮ながら、今回はお申し込みを見送らせていただくことといたしました。
せっかくのお申し出にもかかわらず、ご期待に沿えず誠に申し訳ございません。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
(右寄せ)敬具
縦書きにする場合は、右の行から頭語・本文・結語を書き、そのあとに日付(行の頭から少し下げる)・差出人(行の下に寄せる)・宛名(行の頭から)を後付けとして置きます。表題は省いてもかまいません。位置の細かい決まりはビジネスの手紙の書き方(縦書き)、横書きの各部分の位置は社外文書の基本フォーマットにあります。
断り状の各部分に書くこと
| 部分 | 書くこと | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 表題 | 「◯◯について」「◯◯のご依頼について」 | 「◯◯のお断り」とする文例もあるが、「◯◯について」とするとやわらかい |
| 前文 | 頭語・時候の挨拶 | 短めにまとめる。日頃のお礼は付けても省いてもよい |
| お礼 | 申し出・依頼をもらったことへのお礼 | 定型の挨拶で済ませず、何の申し出かを具体的に書く |
| 結論 | 受けられないこと | 「見送らせていただくことといたしました」「お受けいたしかねます」 |
| 理由 | 差し支えない範囲で一つ | 相手の会社や提案の欠点を挙げない。自社の方針・事情として書く |
| お詫び | 期待に沿えないこと | 「ご期待に沿えず誠に申し訳ございません」 |
| 今後の一言 | 関係を続けたい気持ち、または相手の発展を祈る言葉 | 次の機会を本当に考えているときだけ「またの機会に」と書く |
| 結語 | 敬具 | 頭語と対にする |
理由をどこまで書くかは、相手との関係で決めます。本当の理由を書けないときは「社内の方針により」「諸般の事情により」とまとめてもかまいません。相手が次に生かせる理由(予算を決める時期、扱う分野の違いなど)が言える場合は、一言添えると親切です。頭語と結語の組み合わせは頭語と結語の一覧、前文・末文の言い回しは前文と末文の書き方を参照してください。
断り状で使えるフレーズ集(部分ごとの言い換え)
見本や例文の一文を差し替えるときに使ってください。同じ部分に複数の言い方があるときは、相手との関係や用件の重さに合わせて選びます。
| 部分 | 言い換えの例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| お礼 | 「このたびは身に余るお話をいただき、厚く御礼申し上げます」 | 就任・講演など、名誉のある依頼 |
| お礼 | 「ご丁寧なご提案をいただき、誠にありがとうございました」 | 企画・営業の提案 |
| 検討を示す | 「社内で慎重に検討を重ねましたが」/「熟慮いたしましたが」 | どの場面でも |
| クッション言葉 | 「誠に恐縮ながら」「誠に心苦しい限りではございますが」「誠に勝手ながら」 | 結論の直前に一つだけ置く |
| 結論(取引・提案) | 「今回は見送らせていただくことといたしました」 | 検討の結果として断る |
| 結論(依頼・条件) | 「お受けいたしかねます」「ご要望に沿いかねます」 | 条件変更・特別な対応の依頼 |
| 結論(名誉ある依頼) | 「ご辞退申し上げます」 | 役職の就任・講演・表彰の推薦 |
| 理由をぼかす | 「社内の方針により」「諸般の事情により」 | 具体的な理由を書けないとき |
| お詫び | 「ご期待に沿えず誠に申し訳ございません」「ご厚意にお応えできず心苦しく存じます」 | どの場面でも |
| 了承を願う | 「何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます」「事情をお汲み取りいただければ幸いです」 | お詫びのあと |
| 今後につなぐ | 「またの機会がございましたら、改めてご相談させていただければ幸いです」 | 次を本当に考えているとき |
| 相手を祈って結ぶ | 「貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます」「催しのご成功を心よりお祈り申し上げます」 | 次の機会を約束しないとき |
注意
クッション言葉を何度も重ねると、結論がかえって見えにくくなります。結論の前に一つ、お詫びの部分に一つ程度で十分です。
場面別の断り状の例文
前文(頭語・時候の挨拶)のあとに続く主文と結びの部分です。最後に「敬具」を書きます。
営業・製品購入の勧誘を断る
さて、先日は貴社の◯◯についてご案内をいただき、誠にありがとうございました。詳しい資料までお送りいただき、恐縮しております。
社内で拝見いたしましたが、弊社では現在使用している◯◯の契約期間が残っており、当面は切り替えの予定がございません。誠に恐縮ながら、今回は導入を見送らせていただきます。
ご期待に沿えず申し訳ございません。末筆ながら、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
見積もりを取ったうえで発注しない
さて、このたびは◯◯のお見積もりをお送りいただき、誠にありがとうございました。短い期間でご対応いただきましたこと、改めて御礼申し上げます。
社内で検討いたしました結果、今回は別の方法で進めることとなり、誠に恐縮ながら、発注を見送らせていただくことといたしました。
お手数をおかけしたにもかかわらず、ご期待に沿えず申し訳ございません。今後また◯◯の機会がございましたら、ご相談させていただければ幸いです。
協賛・広告掲載のお願いを断る
さて、このたびは「◯◯」へのご協賛についてご案内をいただき、誠にありがとうございました。地域のために長く続けてこられた催しと拝察し、社内でも検討いたしました。
しかしながら、弊社では本年度の協賛の予算をすでに使い切っており、誠に心苦しい限りではございますが、今回はご協賛を見送らせていただくことといたしました。
ご期待に沿えず申し訳ございません。催しのご盛会を心よりお祈り申し上げます。
寄付・賛助会員への加入のお願いを断る
さて、このたびは貴会の活動へのご支援についてご依頼をいただき、誠にありがとうございました。日頃のご活動に深く敬意を表します。
誠に恐縮ではございますが、弊社では社会貢献の支援先をあらかじめ定めて取り組んでおり、新たなお申し出にはお応えいたしかねる状況でございます。
ご趣旨に沿えず申し訳ございません。貴会のご活動のますますのご発展をお祈り申し上げます。
講演・寄稿の依頼を断る
さて、このたびは◯◯研修会でのご講演についてご依頼をいただき、誠にありがとうございました。私のような者にお声がけいただき、光栄に存じます。
ぜひお受けしたいところではございますが、ご指定の◯月◯日は以前からの予定があり、どうしても都合をつけることができません。誠に恐縮ながら、今回はご辞退申し上げます。
せっかくのお申し出にお応えできず、申し訳ございません。またの機会がございましたら、改めてご相談させていただければ幸いです。
役員・委員への就任の依頼を断る
さて、先般は◯◯協会の理事へのご推挙をいただき、誠にありがとうございました。身に余るお話と、深く感謝申し上げます。
熟慮いたしましたが、現在の私の業務の状況では、理事のお役目を十分に果たすことは難しいと考え、誠に勝手ながら、ご辞退申し上げることといたしました。
ご厚意にお応えできず、誠に申し訳ございません。今後も一会員として、協会の活動にできる限り協力してまいります。
企画・提案を採用しない
さて、先日は◯◯についての企画をご提案いただき、誠にありがとうございました。丁寧にご準備いただいた資料をもとに、社内で検討いたしました。
検討の結果、弊社の来期の重点が◯◯にあることから、今回のご提案は採用を見送らせていただくことといたしました。
多くのお時間をかけてご提案いただいたにもかかわらず、ご期待に沿えず申し訳ございません。今後、◯◯の分野で新たなご提案がございましたら、改めてお聞かせいただければ幸いです。
取引条件の変更(支払い条件・納期など)の申し入れを断る
さて、◯月◯日付の書面にて、お支払い条件の変更についてお申し入れをいただきました。貴社のご事情は承知いたしました。
社内で検討いたしましたが、弊社では全てのお取引先様に同じお支払い条件をお願いしており、誠に恐縮ながら、今回のお申し入れはお受けいたしかねます。
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。今後とも変わらぬお引き立てのほど、よろしくお願い申し上げます。
契約を更新しないことを伝える
さて、◯年◯月◯日付で締結いたしました◯◯契約は、◯年◯月◯日をもって期間が満了となります。
これまで長きにわたりご尽力いただき、心より御礼申し上げます。社内で検討を重ねました結果、誠に恐縮ながら、期間満了をもちまして契約を更新しないことといたしましたので、ご通知申し上げます。
誠に勝手ながら、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。期間満了までの業務につきましては、引き続きよろしくお願い申し上げます。
注意
契約を更新しないときの通知の期限や方法は、契約書に定めがあることがあります。出す前に契約書の更新・解約の条項を確かめてください。
応募者に不採用を書面で伝える
さて、このたびは弊社の◯◯職にご応募いただき、誠にありがとうございました。
慎重に選考いたしました結果、誠に残念ながら、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。ご期待に沿えず申し訳ございません。
お預かりした応募書類は、同封にてお返しいたします。末筆ながら、◯◯様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
メールで不採用を伝える文例は不採用通知メールの例文にあります。
見学・訪問の申し込みを断る
さて、このたびは弊社◯◯工場の見学についてお申し込みをいただき、誠にありがとうございました。
あいにく工場では現在、設備の入れ替えを進めており、安全の確保のため、当面の間、外部の方の見学をお受けしておりません。誠に申し訳ございませんが、今回はご容赦くださいますようお願い申し上げます。
見学の受け入れを再開する際は、改めてご案内させていただきます。
一度断った申し込みを、再びいただいたとき
さて、このたびは重ねてお取引についてお申し出をいただき、誠にありがとうございます。熱心にお声がけくださるお気持ちは、ありがたく受け止めております。
しかしながら、先般お伝えいたしました弊社の方針に変わりはなく、誠に心苦しい限りではございますが、今回もお受けいたしかねます。
重ねてのお申し出にお応えできず、誠に申し訳ございません。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
注意
値下げの依頼をメールで断るときは値下げ依頼の断り方メール、相見積もりで選ばなかった会社への連絡は相見積もりのお断りメール、贈り物を受け取れないときの言い方は贈り物の断り方、接待の断り方は接待・会食の断り方、社内の仕事の断り方は社内で仕事を断る言い方にまとめています。
断り状とお断りメールの使い分け
| 比べる点 | 断り状(文書) | お断りメール |
|---|---|---|
| 向いている相手・用件 | 文書で申し込んできた相手、役職の就任・講演などの改まった依頼、契約の更新をしない通知 | 日頃メールでやり取りしている相手の、事務的な依頼・提案 |
| 書き出し | 頭語・時候の挨拶から入る | 宛名と名乗りのあと、すぐにお礼と本題に入る |
| 結び | 末文の挨拶と結語(敬具など) | 「何卒よろしくお願いいたします」と署名 |
| 記録の残り方 | 控えを社内で保管できる。決裁を経た回答として扱いやすい | 送信履歴が残る |
| 届くまで | 郵送の日数がかかる | すぐに届く |
急ぐ場合は、先にメールや電話で結論を伝え、「追って書面をお送りいたします」と添えてから断り状を出す方法もあります。
断り状を出す前のチェックリスト
- 最初に、何の申し出・依頼へのお礼かを具体的に書いた
- 結論を「見送らせていただく」「お受けいたしかねます」など、読み違えようのない言い方で書いた
- 理由は一つで、相手の欠点ではなく、こちらの事情として書いた
- お詫びは「ご期待に沿えず」など、期待に応えられないことへのお詫びになっている
- 「またの機会に」は、本当に次を考えている場合だけ書いた
- 相手の会社名・部署・役職・氏名の字を、申し込みの書面と照らして確かめた
- 頭語と結語が対になっている(拝啓→敬具など)
- 「ご辞退させていただきます」のような、敬語の重ねすぎがない
- 社内で決裁が必要な案件なら、決裁を済ませてから出している
- 控えを取った(契約の不更新や不採用など、記録が要る場合)
よくある間違い
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「前向きに検討いたします」で終える | 断ったことが伝わらず、相手は返事を待ち続ける | 「見送らせていただくことといたしました」と結論を書く |
| 相手の商品や提案の欠点を理由にする | 相手を否定しているように読める | 自社の方針・予算・時期など、こちらの事情として書く |
| お礼を書かずに結論から入る | 申し出そのものを迷惑がっているように読める | 最初に、申し出や依頼をもらったことへのお礼を書く |
| 考えていないのに「またの機会に」と書く | 相手が次の申し込みを準備してしまう | その気がなければ、相手の発展を祈る言葉で結ぶ |
| 理由を長々と書く | 言い訳のように読め、反論の糸口も与えてしまう | 理由は一つに絞り、一文で書く |
| 返事を長く放置してから断る | 相手は他の手を打つ時間を失う | 結論が出たら早めに出す。時間がかかるなら途中で一報を入れる |
| 「ご辞退させていただきます」 | 誤りとまでは言えないが、「ご」と「させていただく」の両方でへりくだっていて、くどいと感じる人もいる | 「ご辞退申し上げます」「辞退させていただきます」のどちらかにする |
この記事の要点
- 断り状はお礼→結論→理由→お詫び→今後の順に書く。
- 結論は「見送らせていただくことといたしました」「お受けいたしかねます」とはっきり。
- 理由はこちらの事情として、短く一つ。相手の欠点を理由にしない。
- クッション言葉は結論の前に一つで足りる。重ねると結論がぼやける。
- 「またの機会に」は、本当に次を考えているときだけ書く。
- 急ぐときは先にメールや電話で結論を伝え、追って断り状を出す。
FAQ
よくある質問
相手が文書で申し込んできたとき、役職の就任や講演などの改まった依頼を断るとき、契約を更新しない通知など記録を残したいときは、文書の断り状が向いています。日頃からメールでやり取りしている相手の事務的な依頼なら、メールで断ってかまいません。
必ずではありません。書けない事情があれば「社内の方針により」「諸般の事情により」とまとめてもかまいません。相手が次に生かせる理由を言える場合は、一言添えると丁寧です。
改まった文書なので、頭語と時候の挨拶から入る形が基本です。ただ、長い前文は本題を先延ばしにしているように見えることもあるので、時候の挨拶と相手の繁栄を喜ぶ言葉を一文ずつ程度にとどめます。
結論が出たら、できるだけ早く出します。相手はその返事を待って次の手を考えているためです。検討に時間がかかる場合は、途中で「◯日ごろまでにお返事いたします」と一報を入れておくと親切です。
重ねて声をかけてくれたことへのお礼を書いたうえで、「先般お伝えした方針に変わりはなく」と、前回と同じ結論であることをはっきり書きます。上の例文「一度断った申し込みを、再びいただいたとき」を使ってください。
どちらも使われる言い方です。改まった文書では「ご辞退申し上げます」がよく使われます。「ご辞退させていただきます」は丁寧さが重なってくどく感じる人もいるので、どちらか一方にしておくのが無難です。