手順
初回打ち合わせの進め方
流れ・聞くこと・例文・チェックリスト
社外の相手との初めての打ち合わせは、定例会議と違ってお互いの前提がそろっていないところから始まります。結論から言うと、挨拶と紹介のあとすぐに「今日の目的」と「終わりの時刻」を確かめ、こちらの説明より先に相手の話を聞き、最後に次の約束を決める。この流れを守れば、初回でも話が散らかりません。冒頭では「本日は◯◯について伺いたく、◯時までお時間をいただいております。この進め方でよろしいでしょうか」と一言確かめるのが要です。この記事では、流れと時間配分、場面別に聞くこと、そのまま使える例文、準備から事後までのチェックリストを一つにまとめました。訪問時の受付や応接室での作法は他社訪問のマナー、名刺の渡し方は名刺交換のマナーにまとめています。
結論
初回打ち合わせの流れは①挨拶・名刺交換・出席者の紹介 ②目的と終了時刻の確認 ③相手の話を聞く(ヒアリング) ④こちらの説明・提案 ⑤次の約束(誰が・何を・いつまでに)の確認の五段階です。初回では結論を急がず、相手の状況を正しくつかんで次の打ち合わせにつなげることを目標にします。
結論:初回打ち合わせの流れ
| 段階 | やること | 使う言い方の例 |
|---|---|---|
| ①挨拶と紹介 | 名刺交換、出席者の紹介 | 本日はお時間をいただき、ありがとうございます。株式会社△△の□□と申します。 |
| ②目的の確認 | 今日の目的と終了時刻を確かめる | 本日は◯◯について伺いたく、◯時までお時間をいただいております。この進め方でよろしいでしょうか。 |
| ③相手の話を聞く | 背景、困っていること、決めたいこと、時期を聞く | 差し支えなければ、今回ご検討に至った背景から伺えますか。 |
| ④こちらの説明 | 聞いた内容に合わせて説明する | 伺った◯◯の点に関係するところから、ご説明いたします。 |
| ⑤次の約束 | 宿題と次回の日程を決める | 次回までに、弊社から◯◯をお送りします。日程は◯◯頃でいかがでしょうか。 |
Point
こちらの説明は、相手の話を聞いてから。用意した資料を最初から全部説明すると、相手が本当に聞きたいことに届く前に時間が終わってしまいます。聞いた内容に合わせて、関係するところから話します。
時間配分の組み方
持ち時間が決まったら、段階ごとの配分を先に決めておきます。分数は打ち合わせの長さで変わるため、ここでは比重で示します。
| 段階 | 比重 | 組み方のコツ |
|---|---|---|
| ①挨拶と紹介 | 短く | 名刺交換と出席者の紹介で終える。雑談は一言二言にとどめる |
| ②目的の確認 | ごく短く | 事前にアジェンダを送っていれば「お送りした流れで進めます」で済む |
| ③相手の話を聞く | いちばん長く | 初回の中心。ここを削らない |
| ④こちらの説明 | 中くらい | 聞いた内容に関係する部分だけ。資料の全ページは追わない |
| ⑤次の約束 | 必ず確保 | 終了時刻の少し前には締めに入れるよう、この時間を先に取っておく |
注意
話が盛り上がって時間が足りなくなりそうなときは、「お時間が近づいてまいりましたので、残りは次回に伺ってもよろしいでしょうか」と相手に確かめ、⑤の時間を守ります。
事前準備から当日までの手順
- 01
目的を一文で決める
「相手の課題を伺い、次回の提案の材料を集める」など、初回で何をつかめれば成功かを決めます。
- 02
相手のことを調べる
相手の会社の公式サイト、事業内容、紹介者から聞いた話を確認し、聞かなくても分かることは質問から外します。
- 03
聞くことを書き出す
下の「場面別に聞くこと」を参考に質問を並べ、優先順位を付けます。全部聞こうとしないのがこつです。
- 04
アジェンダを送る
事前に目的と流れを短く送っておくと、当日の確認が一言で済みます。書き方はアジェンダの書き方を参照してください。
- 05
自社側の役割を決める
上司や同僚と行く場合は、誰が話を進め、誰がメモを取るかを決めておきます。同行時の作法は上司と同行訪問するマナーにあります。
- 06
持ち物と場所を確かめる
名刺、会社案内、筆記具、必要なら料金の分かる資料を用意します。訪問先の場所と移動時間、オンラインならURLと接続を前日までに確かめます。
場面別に聞くこと(質問リスト)
どの場面でも共通して聞くことと、相手との関係ごとに足すことを分けておくと、質問の抜けと聞きすぎを両方防げます。
| 聞くこと | 質問の言い方の例 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 背景 | 今回ご検討に至ったきっかけを伺えますか。 | 相手の本当の困りごとが分かる |
| 目的・ゴール | 最終的に、どのような状態になれば成功とお考えですか。 | 提案の軸が決まる |
| 対象 | 主にどなたが使う(ご覧になる)ことを想定されていますか。 | 内容や表現の方向が決まる |
| 時期 | いつ頃までに形になっているとよろしいでしょうか。 | 段取りと優先度が決まる |
| 関わる人 | ご検討には、ほかにどなたが関わられますか。 | 提案が社内で止まるのを防ぐ |
| これまでの経緯 | これまでに試されたこと、比べていらっしゃるものはありますか。 | 同じ提案の繰り返しを避けられる |
| 規模感 | ご検討の規模感について、お話しいただける範囲で伺えますか。 | 現実的な案を出せる |
| 次回までの宿題 | 次回までに、こちらから何をお送りすればよろしいでしょうか。 | 次の約束につながる |
相手との関係ごとに足すこと
- 制作・デザインなどの依頼を受ける側:参考にしたいもの・避けたいもの、素材や原稿を誰が用意するか、確認の段取り
- 営業・提案に伺う側:現在使っているもの、乗り換えや導入を考えるときに気にする点、決めるまでの流れ
- 業務を委託する側(発注者):相手の体制、連絡の窓口と手段、過去の近い仕事の例
- 共同で企画を進める相手:お互いの役割の分け方、費用や成果の扱いを決める時期、社内での承認の流れ
注意
契約の条件や秘密保持の取り決めは、相手から話が出るまで無理に聞き出さなくて構いません。進め方は会社の決まりに従ってください。
そのまま使える例文(場面別)
冒頭の挨拶(相手先を訪問したとき)
本日はお忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。株式会社△△の□□と申します。こちらは同じ部署の◯◯です。どうぞよろしくお願いいたします。
冒頭の挨拶(相手に来ていただいたとき)
本日はお越しいただき、ありがとうございます。担当の□□でございます。どうぞおかけください。
冒頭の挨拶(オンラインのとき)
皆さま、本日はお時間をいただきありがとうございます。株式会社△△の□□です。音声は届いておりますか。画面の共有は、のちほど説明の際に行います。
紹介を受けて会うとき
◯◯様からご紹介いただき、本日お時間を頂戴しました。お引き合わせいただいたご縁に感謝しております。
場を和らげる一言
御社のサイトで拝見した◯◯の取り組みが印象に残っておりまして、今日お話を伺えるのを楽しみにしておりました。
目的と時間を確かめる
本日は、◯◯について現在の状況を伺い、弊社でお手伝いできることがあるかを確かめたいと考えております。お時間は◯時までと伺っておりますが、よろしいでしょうか。
相手の話を引き出す
差し支えなければ、今回ご検討に至った背景から伺えますか。/今いちばんお困りなのは、どのあたりでしょうか。
話を深める
今の◯◯について、もう少し詳しく伺ってもよろしいでしょうか。たとえば、どのような場面でお困りになりますか。
話が広がりすぎたときに戻す
大変参考になります。お時間の都合もありますので、いったん◯◯の件に戻らせていただいてもよろしいでしょうか。
聞いた内容を確かめる
今伺った内容を確認させてください。◯◯の作業に時間がかかっていて、◯月までに見直したい、という理解でよろしいでしょうか。
説明に移る
ありがとうございます。伺った◯◯の点に関係するところに絞って、弊社の進め方をご説明いたします。
その場で答えられない質問を受けたとき
大事なご質問ですので、確認のうえ、◯日までにメールでお答えいたします。
終了時刻が近づいたとき
お時間が近づいてまいりましたので、本日のまとめと次回のご相談をさせてください。
締めと次の約束
本日はありがとうございました。次回までに、弊社から◯◯の案をお送りいたします。次回のお打ち合わせは、◯月◯日頃でご都合はいかがでしょうか。
その場で日程が決まらないとき
次回の日程は、こちらから候補日を◯日までにメールでお送りいたします。ご都合のよい日をお知らせいただけますと幸いです。
答えに詰まったときの言い方は会議で答えられないときの言い方、こちらから質問するときの切り出し方は会議で質問するときの言い方、場を和らげる話題は会議のアイスブレイクも参考になります。オンラインで行う場合はオンライン会議の挨拶とオンライン会議のマナーを見てください。
準備・当日・事後のチェックリスト
前日まで
- 初回の目的を一文で書けている
- 相手の会社の公式サイトと事業内容を確認した
- 聞くことを書き出し、優先順位を付けた
- アジェンダ(目的・流れ・終了時刻)を送った
- 同行者と、進行役・メモ役を決めた
- 名刺・資料・筆記具をそろえた(オンラインならURLと接続を確認した)
- 場所と移動時間を確かめた
当日
- 冒頭で目的と終了時刻を確かめた
- 自社の説明より先に相手の話を聞いた
- 専門用語や社内の略語を使わずに話した
- 質問を続けて浴びせず、相手の答えを受けてから次を聞いた
- 聞いた内容を要約して返し、認識をそろえた
- 答えられない質問は期限を添えて持ち帰った
- 誰が・何を・いつまでに、と次回の目安を決めた
事後
- 当日中(遅くとも翌営業日)にお礼メールを送った
- 議事メモをまとめ、社内に共有した
- 持ち帰った質問に、約束した期限までに答えた
- 相手の業界や、相手が比べている他社のサービスについて、次回までに調べた
- 次回の日程を確定させた
議事メモの型は議事録のテンプレート、相手に送るときの文面は議事録送付メールにあります。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | なぜ困るか | 直し方 |
|---|---|---|
| いきなり自社の説明を始める | 相手の聞きたいことに届く前に時間が終わる | 目的を確認したら、まず相手の話を聞く |
| 終了時刻を確かめない | 相手が途中で席を立ち、肝心の話ができない | 冒頭で「◯時まで」と確かめる |
| 質問を立て続けにする | 尋問のようになり、相手が話しにくくなる | 答えを受けて一言返してから次を聞く |
| 専門用語や略語で話す | 相手が分からないまま話が進む | 相手の言葉に合わせ、言い換えて話す |
| 聞いた内容をその場で確かめない | 持ち帰った理解がずれている | 「今伺った内容を確認させてください」と要約して返す |
| 決める人が誰かを聞かない | 提案しても相手の社内で止まる | 「ほかにご検討に関わる方はいらっしゃいますか」と聞く |
| 次の約束を決めずに終わる | 話が自然消滅する | 誰が何をいつまでに送るか、次回の目安を決める |
| 打ち合わせ後に何もしない | 熱が冷め、相手の記憶も薄れる | 当日中にお礼と要約を送る |
避けたい言い方と言い換え
| 避けたい言い方 | 理由 | 言い換え |
|---|---|---|
| それでは、ご説明のほうをさせていただければと思います | 「のほう」「させていただければと思います」が重なり、回りくどい | それでは、ご説明いたします |
| ◯◯様が申されたように | 「申す」は自分側に使う謙譲語 | ◯◯様がおっしゃったように |
| 弊社の◯◯部長がお越しになります | 自社の人に尊敬語を使っている | 弊社の部長の◯◯が伺います |
| 予算はいくらですか | 初対面でいきなり聞くと身構えられる | ご検討の規模感について、お話しいただける範囲で伺えますか |
| それは弊社ではできません | その場で話を閉じてしまう | その点は確認のうえ、改めてお返事いたします |
| で、結局何をしたいんですか | 相手を責めているように聞こえる | 最終的に、どのような状態になれば成功とお考えですか |
打ち合わせの後のフォロー(お礼・お詫び)
当日中に送るお礼メール
株式会社◯◯
◯◯様
本日はお忙しいところ、お打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました。株式会社△△の□□です。
本日伺った内容を、以下のとおりまとめました。認識に違いがありましたら、お知らせいただけますと幸いです。
・◯◯
・◯◯
次回までに、弊社より◯◯の案を◯日までにお送りいたします。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
答えられなかった質問への回答
先日のお打ち合わせでは、◯◯のご質問にその場でお答えできず、失礼いたしました。確認した結果を以下にご報告いたします。
時間を延長してしまったお詫び
本日は予定のお時間を過ぎてしまい、大変失礼いたしました。お時間をいただき、ありがとうございました。
お礼メールの件名や返信の仕方は打ち合わせのお礼メール、遅れそうなときの連絡は遅刻の連絡を参照してください。
この記事の要点
- 初回は挨拶→目的と時間の確認→聞く→説明→次の約束の順。
- 冒頭で今日の目的と終了時刻を確かめ、締めの時間を先に確保する。
- いちばん時間を割くのは相手の話を聞く段階。説明は関係するところだけ。
- 聞いた内容は要約して返し、その場で認識をそろえる。
- 誰が・何を・いつまでにと次回の目安を決め、当日中にお礼と要約を送る。
FAQ
よくある質問
初回は、相手の状況や困っていること、いつまでに何を決めたいかを聞くことが中心です。こちらの説明は、聞いた内容に関係するところに絞ります。最後に次回までの宿題と日程の目安を決めます。
お礼と名乗りのあと、「本日は◯◯について伺いたく、◯時までお時間をいただいております。この進め方でよろしいでしょうか」と、目的と終了時刻を確かめます。これで相手も話す内容の見当がつきます。
相手の話を聞く時間をいちばん長く取り、挨拶と目的の確認は短く済ませます。締めと次の約束の時間は先に確保しておき、話が延びたら残りを次回に回すよう相手に確かめます。
聞いてはいけないわけではありませんが、いきなり金額を尋ねると身構えられることがあります。「ご検討の規模感について、お話しいただける範囲で伺えますか」と柔らかく聞くか、相手から話が出るのを待つのが無難です。
無理に答えず、「確認のうえ、◯日までにお答えいたします」と期限を添えて持ち帰ります。約束した日までに、お礼メールと合わせて回答を送ると信頼につながります。
接続とURLを前日までに確かめ、冒頭で音声が届いているかを確認します。画面共有は説明の段階まで控え、相手の表情が見える状態で話を聞くと、反応をつかみやすくなります。
できれば当日中、遅くとも翌営業日までに送ります。お礼だけでなく、伺った内容の要約と次回までの約束を書いておくと、認識のずれを防げます。