来客対応
来客対応のマナー
流れ・言葉づかい例文と不在時の対応
来客対応のマナーで押さえることは二つです。気づいたらすぐ立ち上がって声をかけることと、来客を一人で待たせず、次に何が起きるかを伝えること。まず覚える言葉は「いらっしゃいませ」「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」「少々お待ちくださいませ」「ご案内いたします」「本日はありがとうございました」の五つです。このページでは、流れ順の手順と、場面ごとにそのまま使える例文、担当者が不在のときやアポなしの来客への言い方をまとめました。
結論
来客対応は①出迎え ②名前と用件の確認 ③担当者への取り次ぎ ④会議室への案内 ⑤お茶出し ⑥お見送りの順に進みます。どの段階でも「相手を一人で待たせない」「次に何が起きるかを伝える」の二つを守れば、大きく外れません。
来客対応の流れ(出迎えから見送りまで)
- 01
出迎える
来客に気づいたら、手を止めて立ち上がり、相手の方を向いて「いらっしゃいませ」。座ったまま、パソコンを見たままの返事は避けます。受付がない会社では、入口に近い席の人が最初に声をかけると決めておきます。
- 02
名前と用件を確かめる
「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」「本日はどのようなご用件でしょうか」。約束があるなら担当者名と時刻を確かめます。名刺を出されたら両手で受け取ります(名刺交換のマナー)。
- 03
担当者に取り次ぐ
内線やチャットで「◯◯株式会社の◯◯様がお見えです」と伝えます。来客には「ただいま呼んでまいりますので、少々お待ちくださいませ」。
- 04
会議室へ案内する
「お待たせいたしました。会議室へご案内いたします」。来客の斜め前を歩き、曲がり角・エレベーター・ドアの前で行き先を示します。
- 05
席を勧める
部屋に入ったら上座(入口から遠い席)を手のひらで示し、「どうぞこちらにおかけください」。席の決め方は席次の決め方にあります。
- 06
お茶を出す
担当者と来客がそろい、挨拶や名刺交換が済んだ頃に出します(お茶出しのマナー)。
- 07
見送る
用件が終わったら、部屋の前・エレベーター・玄関のいずれかまで送ります。「本日はありがとうございました」(お見送りのマナー)。
場面別の言葉づかい例文
受付・出迎え
| 場面 | 言い方 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 出迎え | いらっしゃいませ。お待ちしておりました | どうも/こんにちは(だけで終える) |
| 名前を聞く | 恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか | お名前を頂戴できますか |
| 会社名を聞く | 失礼ですが、どちらの◯◯様でいらっしゃいますか | どこの会社の方ですか |
| 用件を聞く | 本日はどのようなご用件でしょうか | 何の用でしょうか |
| 約束の確認 | ◯時に◯◯とお約束でいらっしゃいますね | アポありますか |
| 名乗られたとき | ◯◯様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました | ◯◯様でございますね |
| 雨の日・遠方から | お足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます/遠いところをありがとうございます | (何も言わない) |
待ってもらう・案内する
| 場面 | 言い方 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 待ってもらう | ただいま呼んでまいりますので、少々お待ちくださいませ | ちょっと待ってください |
| 待たせたあと | 大変お待たせいたしました | すみません、遅くなって |
| 案内する | 会議室へご案内いたします。こちらへどうぞ | こっちです |
| エレベーターに先に乗る | お先に失礼いたします | (黙って先に乗る) |
| 席を勧める | どうぞこちらにおかけになってお待ちください | 座っててください |
| 担当者が来ることを伝える | 担当の◯◯はまもなく参ります | ◯◯さんはすぐ来ます |
| 荷物・コートを預かる | よろしければ、お荷物をお預かりいたしましょうか | 荷物、置いといてください |
もてなす・見送る
| 場面 | 言い方 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| お茶を出す | 失礼いたします。どうぞ | (黙って置く) |
| 部屋を出る | 失礼いたしました | (黙って出る) |
| 見送る | 本日はお越しいただき、ありがとうございました | お疲れさまでした |
| 帰りの気づかい | お気をつけてお帰りくださいませ | じゃあ、また |
注意
「お名前を頂戴できますか」は、名前はもらうものではないので避けたほうがよいとされます。迷ったら「伺ってもよろしいでしょうか」に統一すると安全です。「◯◯様でございますね」の「ございます」は物事や自分側に使う丁寧な言い方なので、相手その人には「いらっしゃいますね」を使います(敬語の早見表)。
来客の前での社内の人の呼び方
来客の前では、自分の会社の人には「さん」や役職の敬称をつけず、名字だけで呼びます。上司や社長でも同じです。
| 社内の人 | 来客への言い方 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 担当者(同僚) | 担当の◯◯が参ります | ◯◯さんが来られます |
| 課長 | 課長の◯◯が参ります | ◯◯課長がいらっしゃいます |
| 社長 | 社長の◯◯はただいま外出しております | ◯◯社長は外出されています |
注意
社内への取り次ぎでは、来客に「様」をつけ、担当者には普段どおりの呼び方で構いません。「◯◯株式会社の◯◯様が、◯時のお約束でお見えです」。
案内の動き方(廊下・エレベーター・階段・ドア)
| 場所 | 動き方 |
|---|---|
| 廊下 | 来客の斜め前を、相手の歩く速さに合わせて歩く。曲がり角では手のひらで行き先を示す |
| エレベーター | 乗るときは案内者が先に乗って「開」を押す。降りるときは来客が先 |
| 階段 | 上りは来客が先、下りは案内者が先。来客が行き先を知らなければ、階を伝えてから上ってもらう |
| 押して開けるドア | 案内者が先に入り、ドアを押さえて迎え入れる |
| 引いて開けるドア・引き戸 | ドアを押さえて、来客に先に入ってもらう |
理由と細かい動きは会議室への案内のマナーにまとめています。来客の足元に不安があるときは、順番より安全を優先します。
担当者が不在・遅れるときの言い方
担当者が少し遅れる
申し訳ございません。◯◯はただいま前の打ち合わせが長引いておりまして、まもなく参ります。会議室でお待ちいただけますでしょうか。
担当者が会議中で、すぐに出られない
申し訳ございません。◯◯はただいま席を外しております。確認してまいりますので、恐れ入りますが、こちらにおかけになってお待ちくださいませ。
担当者が外出していて戻らない
申し訳ございません。あいにく◯◯は外出しておりまして、本日は戻らない予定でございます。よろしければ、ご用件を承って◯◯に申し伝えます。または、代わりの者がお話を伺うこともできますが、いかがいたしましょうか。
約束が担当者に伝わっていなかった
大変失礼いたしました。確認いたしますので、恐れ入りますが少々お待ちくださいませ。
来客が約束の時刻より早く着いた
お越しいただきありがとうございます。◯◯にお越しいただいたことを伝えてまいりますので、こちらにおかけになってお待ちくださいませ。
Point
来客の前で社内の事情を話さないでください。 「◯◯が忘れていたようで」「聞いていません」は、会社全体の失点になります。確認している間は会議室かロビーの席に座ってもらい、分かったことから伝えます。待ちが長引くときは、途中で一度「ただいま確認しております」と声をかけます。
電話中・接客中に来客が来たとき
手が離せないときも、来客に気づいていることを先に伝えます。黙って待たせるのがいちばん印象を損ねます。
(電話中なら、目を合わせて会釈し、電話を終えてから)いらっしゃいませ。大変お待たせいたしました。
(別の来客の対応中なら)申し訳ございません、すぐに伺いますので、少々お待ちくださいませ。
(来客が続けて着いたら)お待たせいたしました。順にご案内いたしますので、こちらにおかけになってお待ちくださいませ。
注意
電話の取り次ぎで担当者が不在のときの言い方は電話の取り次ぎのマナーにあります。
アポなしの来客への対応
約束のない来客は、その場で会うかどうかを受付が決めないのが基本です。名前・会社名・用件を聞き、担当部署に判断してもらいます。
恐れ入りますが、本日はお約束をいただいておりますでしょうか。……かしこまりました。担当の者に確認してまいりますので、少々お待ちくださいませ。
(会えない場合)申し訳ございません。あいにく◯◯は本日、時間を取ることが難しいとのことです。よろしければ、お名刺かご連絡先をお預かりし、改めて◯◯からご連絡を差し上げます。
(営業の飛び込みで、会社として受けない場合)申し訳ございません。お約束のない方とのご面会はお断りしております。よろしければ、資料をお預かりいたします。
注意
担当者の在席・不在を先に言わないようにします。「おります」と言ってから断ると角が立つので、「確認してまいります」で受けてから答えます。
来客対応でやりがちな失敗
- 座ったまま・画面を見たまま返事をする
- 名前を聞き返さず、うろ覚えのまま取り次ぐ
- 来客の前で社内の人に「さん」や役職の敬称をつける
- 受付やロビーで、立たせたまま待たせる
- 担当者の不在や連絡ミスの理由を、来客の前で説明する
- 案内の途中で、来客を置いて先に歩いていく
- 見送りで、来客が見えなくなる前に背を向けて戻る
来客を迎える前の準備
- 来訪の予定(日時・会社名・氏名・人数・担当者)を受付と共有しておく
- 会議室を予約し、机の上と椅子、空調を整えておく
- ゲスト用の入館証や名札を用意しておく(名札作成ツール)
- 会議室の場所が分かりにくいなら、案内の貼り紙を出しておく(貼り紙作成ツール)
- お茶・ペットボトルなど、出す飲み物を決めておく
- 担当者が不在になったときの代わりの人を決めておく
この手順は、イベントや式典の受付でもそのまま使えます。来賓を迎える場合は式典の来賓対応、受付の人数や動線はイベント受付の設計を参照してください。
この記事の要点
- 流れは出迎え→確認→取り次ぎ→案内→お茶出し→見送り。
- どの段階でも一人で待たせない・次に何が起きるかを伝える。
- 名前は「伺ってもよろしいでしょうか」。「頂戴できますか」は避ける。
- 来客の前では、社内の人は敬称をつけず名字で呼ぶ。
- 担当者の不在や連絡ミスは、来客の前で社内事情を話さずに対応する。
- アポなしの来客は、受付が会うかどうかを決めない。
FAQ
よくある質問
出迎え、名前と用件の確認、担当者への取り次ぎ、会議室への案内、お茶出し、お見送りの順です。どの段階でも、来客を一人で待たせないことと、次に何が起きるかを伝えることを意識します。
立ち上がって相手の方を向き、「いらっしゃいませ」と声をかけます。約束がある来客で名前が分かっているなら「お待ちしておりました」と続けます。
「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」が無難です。「お名前を頂戴できますか」は避けたほうがよいとされます。会社名も聞くなら「失礼ですが、どちらの◯◯様でいらっしゃいますか」とします。
敬称をつけず、「課長の◯◯」「◯◯」と名字で呼びます。「◯◯課長がいらっしゃいます」ではなく「課長の◯◯が参ります」です。
「申し訳ございません。あいにく◯◯は外出しておりまして、本日は戻らない予定でございます。よろしければ、ご用件を承って申し伝えます」と伝え、代わりの者が対応できるかも合わせて尋ねます。
名前・会社名・用件を聞き、「担当の者に確認してまいります」と受けてから、担当部署に会うかどうかを判断してもらいます。受付が先に在席・不在を伝えないようにします。
目を合わせて会釈し、来客に気づいていることを伝えます。電話を終えたら「大変お待たせいたしました」と声をかけてから対応します。