敬語
「よろしかったでしょうか」は間違い?
敬語の正しい使い方と言い換え例文
結論から言うと、「よろしかったでしょうか」は場面しだいです。予約や前回の打ち合わせなど前に聞いた内容をもう一度確かめるときは使えますが、レジや注文のようにその場で初めて尋ねるときに使うと、過去形が引っかかって気になる人もいます。迷ったときにそのまま使える一文は「ご注文は以上でよろしいでしょうか。」。このページでは、使ってよいかの判定チェック、場面別の言い換え、電話の復唱テンプレート、メール例文、言われたときの返事までまとめました。
結論
「よろしい」は「よい」の改まった言い方で、「よろしいでしょうか」は相手に今の時点での可否を丁寧に尋ねる言い方です。これを過去形にした「よろしかったでしょうか」は、先に聞いた内容や、前に決めたことに間違いがないかを確かめる気持ちで使われます。今その場で初めて尋ねるときは「よろしいでしょうか」が自然です。
即答:この場面ならこう言う
| 確かめたいこと | そのまま使える言い方 | 「よろしかった」は |
|---|---|---|
| その場で初めて尋ねる(注文・会計・席・袋の有無) | ◯◯でよろしいでしょうか | 避ける |
| 前に聞いた内容(予約・前回の打ち合わせ・電話で聞いた話) | 先日伺った◯◯で、よろしかったでしょうか | 使える(いつの話かを添える) |
| 相手の名前・番号・住所の聞き取り | 復唱いたします。◯◯で間違いございませんか | 言い換えたほうが伝わる |
| 済んだ行為が相手の意向どおりだったか | 先ほどの◯◯で、よろしかったでしょうか | 使える |
Point
前に聞いたこと・済んだことの確認なら「よろしかったでしょうか」、今の確認なら「よろしいでしょうか」。迷ったら「よろしいでしょうか」を選べば、気にする相手にも引っかかりません。
意味と、気にする人がいる理由
「よろしかったでしょうか」は、「よろしい」の過去形「よろしかった」に「でしょうか」を付けた形です。過去形を使うのは、以前に聞いた内容を「あのときのお話で間違いなかったでしょうか」と確かめるときに合う使い方です。
一方、レジや電話でその場で初めて尋ねる内容に「こちらでよろしかったでしょうか」と言うと、まだ何も決まっていないのに過去形になっていることに違和感を持つ人もいます。お客様の側からすると、自分が前に何か言ったことにされているように聞こえる場合もあります。接客の場で広まった言い方として「バイト敬語」「コンビニ敬語」と呼ばれることもあります。
ただし、話し手の側には過去形にして言い切りを避け、やわらかく聞こえるようにしたいという気持ちで使う人もいて、受け取り方は人によって分かれます。このページでは誤りと決めつけず、引っかかる人がいる場面では言い換えるという立場で整理しています。
「よろしいでしょうか」との違い
| 比べる点 | よろしいでしょうか | よろしかったでしょうか |
|---|---|---|
| 尋ねている時点 | 今 | 前に聞いたこと・済んだこと |
| 自然な場面 | 注文・会計・依頼の可否を尋ねる | 予約内容や前回の打ち合わせ内容を確かめる |
| 例 | ご注文は以上でよろしいでしょうか | 先日のお電話では、◯日のご予約とのことでよろしかったでしょうか |
| 気にする人 | ほとんどいない | 初めて尋ねる場面で使うと気にする人もいる |
過去形を使うときは、「先日伺った」「お電話でお聞きした」など、いつの話を確かめているのかを一緒に言うと、過去形の理由が相手にも伝わります。
使ってよいかの判定チェック
次のうち一つでも当てはまれば、「よろしかったでしょうか」を使っても不自然ではありません。どれにも当てはまらなければ「よろしいでしょうか」にします。
- 相手から、前に(電話・メール・前回の来店などで)聞いた内容を確かめている
- 前の打ち合わせで決めたことに、間違いがないかを確かめている
- すでに自分が済ませた対応(手配・送付・案内)が、相手の意向どおりだったかを尋ねている
- 「先日」「先ほど」「お電話で」など、いつの話かを一緒に言っている
注意
逆に、「これから決めること」「今目の前で選んでもらうこと」を尋ねる場面(注文・会計・席の希望・袋の有無など)では過去形にする理由がないため、言い換えます。
使ってよい場面の例文
- (予約の前日確認の電話で)「明日◯時から、◯名様でのご予約とのことでよろしかったでしょうか。」
- (前回の打ち合わせを受けて)「先日のお打ち合わせでは、納期を◯日とお話しいただきましたが、そちらでよろしかったでしょうか。」
- (電話で聞いた話をメールで確かめる)「お電話で伺ったご住所は、以下でよろしかったでしょうか。」
- (資料を送ったあとで)「先ほどお送りした見積書は、ご依頼いただいた内容でよろしかったでしょうか。」
- (依頼された部数を用意したあとで)「配布資料は◯部ご用意しましたが、こちらでよろしかったでしょうか。」
- (会議室を手配したあとで)「◯階の会議室を押さえましたが、そちらでよろしかったでしょうか。」
言い換えたい場面:接客・電話の例文
| 場面 | 耳にする言い方 | より自然な言い方 |
|---|---|---|
| 飲食店で注文を確かめる | ご注文は以上でよろしかったでしょうか | ご注文は以上でよろしいでしょうか |
| 料理を運んだとき | ご注文の品はおそろいでよろしかったでしょうか | ご注文の品はおそろいでしょうか |
| レジで支払い方法を聞く | カードでよろしかったでしょうか | お支払いはカードでよろしいでしょうか |
| 袋の有無を聞く | 袋はおつけしなくてよろしかったでしょうか | 袋はご入り用でしょうか |
| 温めるかを聞く | 温めのほうはよろしかったでしょうか | 温めますか/温めはいかがなさいますか |
| 電話で相手の名前を確かめる | ◯◯様でよろしかったでしょうか | ◯◯様でいらっしゃいますね |
| 電話で聞き取った番号を読み上げる | ◯◯でよろしかったでしょうか | 復唱いたします。◯◯で間違いございませんか |
| 受付で来社の相手を確かめる | ◯◯とのお約束でよろしかったでしょうか | ◯◯とのお約束でございますね |
| 社内で上司に段取りを確かめる | この進め方でよろしかったでしょうか | この進め方でよろしいでしょうか |
注意
「〜のほうでよろしかったでしょうか」のように「のほう」を重ねると、さらに回りくどく聞こえます。比べる相手がない場面では「のほう」を外します。「のほう」の扱いは「〜のほう」の使い方、電話の取り次ぎは電話の取り次ぎ、来客の受付は来客の受付・案内を見てください。
電話の復唱テンプレート(名前・番号・日時)
電話の聞き取りは、「よろしかったでしょうか」で済ませるより復唱して一つずつ確かめるほうが、聞き違いを防げます。
- 01
復唱を予告する
「念のため、復唱いたします。」と言ってから読み上げる。
- 02
名前を確かめる
「◯◯株式会社の◯◯様でいらっしゃいますね。」
- 03
番号・日時を区切って読む
「お電話番号は◯◯◯の◯◯◯◯の◯◯◯◯、◯月◯日◯時でございますね。」
- 04
最後にまとめて確かめる
「以上で間違いございませんか。」と一度だけ尋ねる。
言い換え一覧(丁寧さの段階つき)
| 言い方 | 丁寧さ | 使いやすい場面 |
|---|---|---|
| ◯◯で間違いございませんか | 特に改まった言い方 | 電話・受付での名前や番号の確認 |
| ◯◯でよろしいでしょうか | 改まった言い方 | 注文・会計・依頼の確認 |
| ◯◯という理解でよろしいでしょうか | 改まった言い方 | 打ち合わせ内容・メールでの確認 |
| ◯◯様でいらっしゃいますね | 改まった言い方 | 電話・受付で相手を確かめる |
| ◯◯でよろしいですか | 丁寧 | 社内の上司・先輩への確認 |
| ◯◯で合っていますか | 丁寧(くだけた) | 社内の同僚 |
| ◯◯でいい? | 標準 | 親しい同僚・後輩 |
場面別のメール例文(確認の書き方)
メールでは、尋ねる中身を箇条書きにして一度だけ確かめると、相手も返事がしやすくなります。前に聞いた内容なら「よろしかったでしょうか」、これから決める内容なら「よろしいでしょうか」と使い分けています。
電話で受けた予約内容をメールで確かめる(前に聞いた内容)
件名:ご予約内容のご確認
◯◯様
お世話になっております。◯◯会場予約担当の□□です。
先ほどはお電話をいただき、ありがとうございました。
お電話で伺ったご予約内容は、次のとおりでよろしかったでしょうか。
・日時:◯月◯日(◯)◯時から
・会場:◯階 ◯◯ルーム
内容に違いがございましたら、お手数ですがお知らせください。
注文内容を確かめる(これから確定する内容)
件名:ご注文内容のご確認
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびはご注文をいただき、ありがとうございます。
ご注文の内容は、以下でよろしいでしょうか。
・品名:◯◯
・数量:◯◯
・納品希望日:◯月◯日(◯)
ご確認のうえ、ご返信いただけますと助かります。
前回の打ち合わせで決めたことを確かめる
件名:先日のお打ち合わせ内容のご確認
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日はお時間をいただき、ありがとうございました。
お打ち合わせで、受付開始を◯時に早めるとお話しいただいたかと存じますが、その内容でよろしかったでしょうか。
印刷物に反映する前に、念のため確認させてください。
電話で聞き取った連絡先を確かめる
件名:折り返し先のご確認
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先ほどはお電話をいただき、ありがとうございました。担当の◯◯が戻り次第、折り返しご連絡いたします。
念のため、伺った折り返し先は◯◯番で間違いございませんか。
上司に資料の方針を確かめる(社内)
件名:◯◯資料の方針の確認
◯◯課長
お疲れさまです。□□です。
◯◯の資料について、方針を確認させてください。
前年の実績は別紙にまとめ、本文は今年の計画だけにする、という理解でよろしいでしょうか。
問題なければ、その形で◯日までに仕上げます。
お客様に日程の変更を確かめる
件名:見学日程の変更について
◯◯様
このたびはご連絡いただき、ありがとうございます。◯◯会場の□□です。
ご見学の日程を、◯月◯日(◯)◯時から◯月◯日(◯)◯時へ変更いたします。
こちらの日時でよろしいでしょうか。
当日は、正面入口の受付でお名前をお伝えください。
よくある失敗
| 言いがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| (初めて尋ねるのに)こちらでよろしかったでしょうか | まだ決まっていないのに過去形になっていて、気にする人もいる | こちらでよろしいでしょうか |
| お会計のほう、カードでよろしかったでしょうか | 「のほう」と過去形が重なり、回りくどい | お支払いはカードでよろしいでしょうか |
| ◯◯様でございますね(相手の名前に) | 「ございます」は相手を高める形ではない | ◯◯様でいらっしゃいますね |
| こちらコーヒーになります。よろしかったでしょうか | 「になります」と過去形が重なり、何を確かめたいかがぼやける | コーヒーでございます。ご注文の品はおそろいでしょうか |
| ご確認のほうよろしかったでしょうか | 何を確かめてほしいのかが分からない | ◯◯の日時でよろしいでしょうか |
| 一通の中で「よろしかったでしょうか」を何度も | まわりくどく、返事がしづらい | 確認したい点を箇条書きにして一度だけ尋ねる |
注意
「〜になります」の扱いは「〜になります」の使い方、確認をお願いする結びの言葉は「ご確認のほどよろしくお願いいたします」の使い方にあります。
「よろしかったでしょうか」と聞かれたときの返事
確認を求められたら、言い方の良し悪しには触れず、合っているか違っているかをはっきり返すのがいちばん親切です。
| 状況 | 口頭での返事 | メールでの返事 |
|---|---|---|
| 合っている | はい、それで大丈夫です。/はい、お願いします。 | いただいた内容で間違いありません。 |
| 違う | いえ、◯◯でお願いします。 | 恐れ入りますが、◯◯は△△の誤りです。 |
| 一部だけ違う | 日時は合っています。人数だけ◯名に変えてください。 | 日時は合っておりますが、人数を◯名に変更させてください。 |
| 覚えていない | すみません、もう一度内容を教えていただけますか。 | 念のため、もう一度内容をお送りいただけますでしょうか。 |
□□様
ご確認いただき、ありがとうございます。
日時・会場ともに、いただいた内容で間違いありません。
当日はどうぞよろしくお願いいたします。
確認の言葉を出す前のチェックリスト
- 前に聞いた内容か、今初めて尋ねる内容かを区別している
- 過去形を使うなら「先日」「お電話で」など、いつの話かを添えている
- 「のほう」「になります」を重ねていない
- 名前・番号・日時は復唱して一つずつ確かめている
- 相手の名前には「ございます」ではなく「いらっしゃいます」を使っている
- メールでは確認したい点を箇条書きにして、一度だけ尋ねている
この記事の要点
- 「よろしかったでしょうか」は前に聞いたこと・済んだことを確かめるときなら使える。
- その場で初めて尋ねるときは「よろしいでしょうか」が自然。過去形を気にする人もいる。
- 過去形を使うなら「先日伺った」「お電話でお聞きした」と、いつの話かを添える。
- 電話の名前・番号は復唱して「間違いございませんか」で確かめる。
- 「のほう」を重ねない。メールでは確認点を箇条書きにして一度だけ尋ねる。
FAQ
よくある質問
誤りと決まっているわけではなく、前に聞いた内容を確かめる意味では使われます。ただ、その場で初めて尋ねる場面で使うと過去形に違和感を持つ人もいるので、迷ったら「よろしいでしょうか」を使うと無難です。
今その場で可否を尋ねるときは「よろしいでしょうか」、先に聞いた内容や前に決めたこと、すでに済ませた対応を確かめるときは「よろしかったでしょうか」が合います。
前回の打ち合わせ内容などを確かめる場面なら使えます。気になる場合は「先日の◯◯という理解でよろしいでしょうか」と言い換えると、どの相手にも引っかかりません。
「◯◯様でいらっしゃいますね」「◯◯様で間違いございませんか」が使えます。名前や番号は復唱して確かめると、聞き違いを防げます。
電話で聞いた内容や前回の打ち合わせ内容を確かめる場合には使えます。その際は「先ほどお電話で伺った内容は」など、いつの話かを書き添えると自然です。
比べるものがないのに「のほう」を付け、さらに過去形にしているため、遠回しで中身がぼやけて聞こえるからです。「◯◯でよろしいでしょうか」とすると、すっきり伝わります。
言い方に触れるより、「はい、大丈夫です」「いえ、◯◯でお願いします」と中身に答えるほうがやり取りがすぐ済みます。自分の職場で言い方をそろえたい場合は、場面ごとの言い換えを共有するのが近道です。