来客対応
来客を会議室へ案内するマナー
声かけ例文・エレベーター・階段・ドア
会議室までの案内は短い時間ですが、来客がその会社を初めて歩く時間です。行き先が分からないまま後ろをついて歩くのは、来客にとって落ち着かないものです。このページは、最初に結論の早見表を置き、続けて受付で迎えてから会議室を出るまでの手順、場所ごとの動き、場面別にそのまま使える声かけ、困った場面とよくある失敗の順に並べました。作法は会社ごとの慣行があれば、そちらを優先してください。
結論
結論:案内は来客の斜め前を、相手の歩く速さに合わせて歩き、曲がり角・エレベーター・ドアの前で手のひらで行き先を示して一言添えます。順番は、エレベーターは乗るとき案内者が先・降りるとき来客が先、階段は上りは来客が先・下りは案内者が先、ドアは押すなら案内者が先・引くなら来客が先。部屋では上座を勧め、担当者がまもなく来ることを伝えてから退出します。
早見表:場所ごとの立ち位置と順番
| 場所 | 誰が先か・どこに立つか | そのまま使えるひと言 |
|---|---|---|
| 受付から歩き出すとき | 行き先を伝えてから、来客の斜め前に出る | 「◯階の会議室へご案内いたします。どうぞこちらへ」 |
| 廊下 | 来客の斜め前を、相手の速さで。中央は来客に譲る | 「こちらでございます」(曲がり角で) |
| エレベーター(乗る) | 案内者が先に乗り「開」を押す。来客が多いときは外で扉を押さえ、来客が先 | 「お先に失礼いたします」 |
| エレベーター(降りる) | 「開」を押したまま来客が先 | 「どうぞ、◯階でございます」 |
| 階段(上り) | 来客が先、案内者は後ろ | 「◯階までお上がりください」 |
| 階段(下り) | 案内者が先、来客は後ろ | 「足元にお気をつけください」 |
| 押して開けるドア | 案内者が先に入り、内側から押さえる | 「お先に失礼いたします。どうぞお入りください」 |
| 引いて開けるドア・引き戸 | 手前に開けて押さえ、来客が先 | 「どうぞお入りください」 |
| 会議室の中 | 上座を手のひらで示して勧める | 「どうぞ奥のお席におかけください」 |
注意
順番に迷ったら、来客が扉や段差で困らない位置はどこかで考えます。案内者が先に動く場面は、どれも扉を押さえる・足元を支えるためです。
案内の前に:会議室の準備チェックリスト
案内がうまくいくかは、来客が着く前の準備で半分決まります。予約した部屋に着いてから慌てないよう、前もって確かめておきます。
受付から会議室を出るまでの手順
- 01
受付で迎え、名前と用件を確かめる
来客が名乗ったら「◯◯様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました」と応じます。受付の流れは来客対応の流れにまとめています。
- 02
行き先を伝えてから歩き出す
「◯階の会議室へご案内いたします」と最初に伝えます。行き先が分かると、来客は安心してついて来られます。コートや大きな荷物があれば、預かるかどうかを尋ねます。
- 03
廊下・エレベーター・階段で先導する
来客の斜め前を歩き、角や乗り降りの場所で手のひらで示します。それぞれの動きは下の見出しで説明します。
- 04
会議室の前でノックし、ドアを開ける
空いていると分かっていても、ノックしてから開けます。ドアの種類によって、案内者と来客のどちらが先に入るかが変わります。
- 05
上座の席を勧める
「どうぞ奥のお席におかけください」と手のひらで示します。来客が遠慮して入口側に座ろうとしたら、一度だけ改めて勧め、それでもそこを望むなら合わせます。
- 06
担当者がまもなく来ることを伝えて退出する
「担当の◯◯はまもなく参りますので、少々お待ちください」と伝え、ドアの前で一礼してから静かに閉めます。
- 07
担当者に、来客が着いたことを知らせる
案内が済んだら、担当者に「◯◯様を◯◯会議室にご案内しました」と伝えます。伝え忘れると、来客を部屋で待たせたままになります。
廊下を歩くとき
- 来客の斜め前を、少し離れて歩く。真正面を歩くと来客の視界をふさぎ、真横だと行き先を示しにくい
- 来客の歩く速さに合わせる。ときどき振り返って、ついて来ているか確かめる
- 廊下の中央は来客に譲り、案内者は壁寄りを歩く
- 曲がり角では立ち止まって振り返り、手のひらを上に向けて行き先を示す
- 社員とすれ違うときは、社員のほうが道を譲って会釈する。社内にもそう伝えておく
- 黙ったまま長く歩くときは、天気や道順などの短い話題を添える(下の例文を参照)
注意
指一本で指すのは避け、指をそろえた手のひらで示します。会場の案内スタッフにも同じ動きを教えておくと、全体がそろって見えます。
エレベーターの乗り降り
- 01
ボタンを押して待つ
来客をエレベーターの前で待たせる間に「◯階でございます」と行き先を伝えます。
- 02
乗るときは案内者が先
扉が開いたら「お先に失礼いたします」と言って先に乗り、操作盤の前で「開」ボタンを押して来客を迎え入れます。
- 03
来客が多いときは外から押さえる
来客が複数で一度に乗りたいときは、外から扉を押さえて「どうぞお先にお乗りください」と来客に先に乗ってもらい、最後に自分が乗って操作盤の前に立ちます。
- 04
乗っている間は操作盤の前に立つ
来客には奥に立ってもらいます。乗っている間の位置は席次の決め方にもあります。途中の階で他の人が乗り降りするときも、案内者が「開」を押して待ちます。
- 05
降りるときは来客が先
「開」ボタンを押したまま「どうぞ」と来客に先に降りてもらい、自分はその後に降りて、すぐに来客の斜め前に出て「こちらでございます」と行き先を示します。
Point
先に乗るのは、扉を押さえるためです。 無人のエレベーターに来客を先に乗せると、扉が閉まりかけても誰も止められません。満員で二人とも乗れそうにないときは、来客だけを先に行かせず、来客と一緒に次のエレベーターを待ちます。行き先の階で来客が一人になると、どちらへ進めばよいか分からなくなるためです。
階段の上り下り
| 場面 | 立つ位置 | 理由 |
|---|---|---|
| 上り | 来客が先、案内者が後ろ | 来客を見下ろさない・来客がつまずいたときに支えられる |
| 下り | 案内者が先、来客が後ろ | 来客より低い位置にいて、前に倒れたときに支えられる |
上りは来客が前を歩くため、来客は行き先が分かりません。上り始める前に「◯階までお上がりください」と伝え、着いた階では後ろから「右手へお進みください」のように方向を伝えます。来客の足元に不安がありそうなら、順番より相手が歩きやすいかどうかを優先し、手すり側を譲ってください。
ドアの開け方と会議室での席
| ドアの種類 | 開け方 | ひと言 |
|---|---|---|
| 押して開けるドア | 案内者が先に入り、内側からドアを押さえる | 「お先に失礼いたします。どうぞお入りください」 |
| 引いて開けるドア | ドアを手前に引いて押さえ、来客に先に入ってもらう | 「どうぞお入りください」 |
| 引き戸 | 戸を開けて、来客に先に入ってもらう | 「どうぞお入りください」 |
部屋に入ったら、上座の席を手のひらで示して勧めます。上座は、多くの部屋では入口から遠い奥の席です。窓からの眺めや絵の位置で例外もあるため、迷う部屋は席次の決め方で確かめておきます。来客が複数なら、立場が上の人から奥の席を勧めます。
注意
使う前に会議室が空いているかを確かめ、ノックしてから開けてください。会議室の場所が分かりにくいなら、案内の貼り紙を出しておくと来客もスタッフも迷いません(貼り紙作成ツール)。
場面別の声かけ(例文)
受付で迎えるとき
いらっしゃいませ。◯◯様でいらっしゃいますね。お待ちしておりました。
本日はお越しいただきありがとうございます。お部屋までご一緒いたします。
歩き出すとき
◯階の会議室へご案内いたします。
コートはこちらでお預かりしましょうか。
曲がり角・分かれ道で
こちらでございます。
この先を右に曲がって、すぐのお部屋でございます。
エレベーターで
お先に失礼いたします。(先に乗るとき)
どうぞ、お先にお乗りください。(来客が多いとき)
どうぞ。◯階でございます。(降りるとき)
階段で
◯階までお上がりください。お足元にお気をつけください。
歩いている間の短い話題
本日は、こちらまで迷われませんでしたか。
お足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。(雨の日)
少し歩きますが、奥の会議室です。
ドアの前で
こちらのお部屋です。どうぞお入りください。
席を勧めるとき
奥のこちらのお席へどうぞ。
空いている椅子にお荷物を置いていただいて構いません。
退出するとき
◯◯にお着きになったことを伝えてまいります。こちらでお待ちいただけますか。失礼いたします。
担当者が遅れるとき
申し訳ございません。◯◯は前の打ち合わせが長引いておりまして、あと少々お時間をいただけますでしょうか。
来客が早く着いたとき
お部屋のご用意ができておりますので、先にご案内いたします。◯◯には到着をお伝えしておきます。
困った場面の案内
| 場面 | どうするか | ひと言の例 |
|---|---|---|
| 予約した会議室に前の人が残っている | 来客を廊下で待たせず、空いている別の部屋か待合スペースへ先に案内する。前の利用者への声かけは別の社員に頼む | 「申し訳ございません。お部屋の準備が整うまで、こちらでお待ちいただけますでしょうか」 |
| 来客が複数人 | 立場が上の人を先に通し、全員が乗る・入るまで扉を押さえる。最後尾がはぐれていないか振り返る | 「皆さま、どうぞこちらへ」 |
| 来客が電話をしながら歩いている | 話しかけずに先導し、角では手のひらで示すだけにする | (声はかけず、手で示す) |
| 来客が杖・車いす・大きな荷物 | 階段よりエレベーターを選び、歩く速さを落とす。扉や段差の前では先に回って押さえる | 「エレベーターでご案内いたします」 |
| 案内の途中で社内の人に話しかけられた | 来客を優先し、「後ほど伺います」と短く断る | 「申し訳ありません、後ほど伺います」 |
| 行き先の部屋を間違えた | すぐにお詫びして正しい部屋へ案内する。言い訳は添えない | 「大変失礼いたしました。お部屋はこちらでございます」 |
よくある失敗
- 行き先を言わずに歩き出す。来客はどこまで歩くのか分からず不安になる
- 自分の速さで歩き、来客を引き離す。振り返る回数を増やす
- 無言で背中を見せ続ける。角ごとに振り返り、ひと言添える
- エレベーターで来客を先に無人の箱に乗せる。扉を押さえる人がいなくなる
- ノックせずに会議室を開ける。前の会議が延びていることがある
- 席を勧めずに退出する。来客はどこに座ってよいか分からない
- 担当者に来客の到着を伝え忘れる。来客を部屋で長く待たせる原因になる
イベント・式典での案内
イベント会場や式典でも、案内の動きは同じです。違うのは、案内する人が複数で、会場が広いことです。
- 迷いやすい分岐点・エレベーター前に案内係を立てる(スタッフの配置)
- 来賓は受付から控室、控室から席まで、同じ人が案内する(式典の来賓対応)
- 案内表示は、来場者が立ち止まる場所に出す(会場レイアウトの作り方)
- 案内係に、手のひらで示す動きと「こちらでございます」の言葉を事前に教えておく
打ち合わせが終わった後の送り方は来客のお見送りマナーにまとめています。
この記事の要点
- 歩き出す前に行き先を伝え、廊下は来客の斜め前を、相手の速さで。角では手のひらで示す。
- エレベーターは乗るとき案内者が先、降りるとき来客が先。来客が多いときは外から押さえて来客が先。
- 階段は上りは来客が先、下りは案内者が先。足元に不安がある人には合わせる。
- 押すドアは案内者が先に入る、引くドア・引き戸は来客に先に入ってもらう。
- 部屋では上座を勧め、担当者がまもなく来ることを伝えて退出し、担当者に到着を知らせる。
FAQ
よくある質問
来客の斜め前を、相手の歩く速さに合わせて歩きます。廊下の中央は来客に譲り、曲がり角では立ち止まって手のひらで行き先を示します。歩き出す前に「◯階の会議室へご案内いたします」と行き先を伝えておくと、来客が安心します。
乗るときは案内者が「お先に失礼いたします」と言って先に乗り、「開」ボタンを押して来客を迎え入れます。降りるときは「開」ボタンを押したまま来客に先に降りてもらいます。来客が多いときは、外から扉を押さえて来客に先に乗ってもらいます。
上りは来客が先、下りは案内者が先とされます。来客を見下ろさないこと、来客がつまずいたときに支えられることが理由です。来客が行き先を知らなければ、先に何階かを伝えます。
押して開けるドアは案内者が先に入って内側から押さえ、引いて開けるドアや引き戸は開けて押さえ、来客に先に入ってもらいます。入る前にノックして、空いていることを確かめます。
上座の席を手のひらで示して「どうぞ奥のお席におかけください」と勧め、退出するときに「担当の◯◯はまもなく参りますので、少々お待ちください」と伝えます。
一度だけ「どうぞ奥のお席へ」と改めて勧め、それでも来客がその席を望むなら合わせます。何度も勧めると来客の負担になります。
来客を廊下で待たせず、空いている別の部屋や待合スペースへ先に案内してお詫びします。前の利用者への声かけは、別の社員に頼みます。
「ご案内する」は自分の動作をへりくだる謙譲語で、「いたします」を付けた「ご案内いたします」は来客に向けて使える言い方です。