受付
イベント受付は何人必要?
早見表・計算式・役割分担と声かけ例文
結論から書きます。受付の人数=必要レーン数+周辺の役割です。必要レーン数は「ピーク時に1分あたり何人来るか × 1人の受付に何秒かかるか ÷ 60秒」を切り上げた数、周辺の役割は振り分け・列整理・イレギュラー対応・責任者です。たとえば毎分5人が来て1人30秒かかるなら2.5、切り上げて3レーン。周辺に4名を足して計7名が出発点になります。
結論
受付の行列は、人数が足りないから起きるのではなく、来る速さが捌く速さを上回った瞬間に起きます。したがって受付の人数は、来場者の総数ではなくピーク時の到着ペースと1人あたりの処理時間で決まります。この記事では、早見表で当たりをつけ、式で確かめ、処理時間を自社で測って置き換える、という順に進めます。あわせて、そのまま使える声かけ例文、想定問答シート、備品と準備のチェックリストを載せています。
早見表:何レーン必要か
まず早見表で当たりをつけてください。縦はピーク時の1分あたりの到着人数、横は1人あたりの処理時間です。表の数字は、ピークの間に到着した人をその場で捌ききるのに要るレーン数(=受付台で照合する担当の数)です。
| ピーク時の到着(1分あたり) | 1時間に換算 | 処理10秒 | 処理20秒 | 処理30秒 | 処理60秒 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2 | 120 | 1 | 1 | 1 | 2 |
| 4 | 240 | 1 | 2 | 2 | 4 |
| 6 | 360 | 1 | 2 | 3 | 6 |
| 8 | 480 | 2 | 3 | 4 | 8 |
| 10 | 600 | 2 | 4 | 5 | 10 |
| 15 | 900 | 3 | 5 | 8 | 15 |
| 20 | 1200 | 4 | 7 | 10 | 20 |
早見表の使い方
- 01到着ペースは「総数」ではなく「ピーク」で読む:来場見込みを受付時間の長さで均等に割ると、少なく見積もります。開始直前に集中する分を、1分あたりの人数に直して表の縦軸に当てます
- 02処理時間は方式で選ぶ:QRを読むだけ、名簿から探して名札を渡す、記帳してもらう、当日申込で記入と支払いがある、の順に長くなります。自社の方式で実際に測った秒数に近い列を見てください
- 03計算がちょうど割り切れる欄は、余裕がゼロ:たとえば毎分6人・20秒の「2」は、平均では捌けても、少しでも遅い人が続くと列が伸びます。割り切れる欄では1レーン足すか、予備の机を用意してください
- 04出た数に周辺の役割を足す:下の「受付全体の人数」の表で、振り分け・列整理・イレギュラー対応・責任者を加えます
Point
表の処理時間は、計算の形を示すために置いた仮の値です。同じQR受付でも、来場者が画面を出すのに手間取る会場と、列の中で準備が済んでいる会場とでは秒数が変わります。表は当たりをつけるために使い、本番前に自社で計測した秒数で計算し直してください(測り方は後述)。
必要レーン数を出す式
早見表の中身は、次の1行です。
必要レーン数 = ピーク時の1分あたりの到着人数 × 1人あたりの処理時間(秒)÷ 60秒(小数は切り上げ)
例:前提を置いて計算する
- 前提1:ピーク時に1分あたり10人が到着すると見込む(ピークの人数÷ピークの長さ)
- 前提2:1人あたりの受付処理に20秒かかると置く
- 前提3:ピークの間、到着した人をその場で捌ききりたい
1分間に来る10人×20秒=200秒分の作業が、60秒ごとに発生します。200÷60=3.33、切り上げて4レーンです。
3つの数字の出どころ
| 数字 | 出し方 | ないときの代替 |
|---|---|---|
| 1人あたりの処理時間 | リハーサルまたは過去イベントでストップウォッチ計測 | 受付の動作を分解して、1動作ずつ時間を積み上げる |
| ピークの到着ペース | 過去イベントの時刻別入場記録 | 申込者数に自社の出席実績を掛け、到着の集中を仮定して配分 |
| 捌きたい時間 | 開始時刻から逆算して決める(設計上の目標値) | 「開演時に列が残っていない」を条件に置く |
注意
3つのうち、最も精度を上げやすいのは処理時間です。自社で確実に測れます。到着ペースは予測なので外れることがありますが、処理時間が正確なら、当日の到着を見て「あと何分で捌けるか」をその場で計算できます。
受付全体の人数:レーン以外の役割を足す
レーン数は「受付台で照合する人」の数にすぎません。行列を防ぐのは、むしろ受付台の外にいる人です。次の役割を、イベントの条件に合わせて足してください。
| 役割 | 仕事 | 置く条件 | 人数の考え方 |
|---|---|---|---|
| レーン担当(照合) | 本人の確認とチェック | 必ず置く | 必要レーン数と同じ |
| 受け渡し担当 | 名札・資料・ノベルティを渡す | 渡す物が多い、または処理時間が長い | 照合と分けると1レーンの処理が速くなる。レーン2つに1名からでも可 |
| 振り分け担当 | 列の入口で、事前登録・当日申込・来賓などを正しい列へ案内 | 列が2種類以上あるとき | 入口ごとに1名 |
| 列整理・最後尾 | 最後尾の表示、折り返しの誘導、待ち時間の案内 | 列が通路や屋外に伸びるとき | 折り返しが多い、屋外に出るなら1名 |
| イレギュラー対応 | 名簿にない人、代理出席、変更の判断 | 必ず置く(兼務でも可) | 名簿の追加や例外を判断できる人を1名 |
| 当日申込・会計 | 記入の案内、支払いの受け取り、領収書 | 当日申込や当日支払いがあるとき | 本線とは別に1名以上。現金を扱うなら照合役と分ける |
| 責任者(受付リーダー) | レーンの開閉、応援の要請、本部との連絡 | 必ず置く | 1名。小規模ならイレギュラー対応と兼務 |
| 交代・応援要員 | 休憩の交代、ピーク時だけレーンに入る | 受付時間が長い、ピークが読めない | 受付以外の担当から、ピーク時だけ入る人を決めておく |
計算例:毎分5人・処理30秒の場合
- レーン担当:5×30÷60=2.5、切り上げて3名
- 振り分け担当:事前登録と当日申込を分けるので1名
- 列整理・最後尾:列が通路に出るので1名
- イレギュラー対応:1名
- 責任者:1名
- 合計:7名(照合と受け渡しを分けるなら、受け渡し担当を足す)
Point
少人数のイベントでも、イレギュラー対応だけは本線と分けてください。受付が1名だけだと、名簿にない人が1人来ただけで、後ろの全員が止まります。責任者が兼務する形でかまわないので、「判断が必要な人は誰に回すか」を決めておくのが最小の体制です。
注意
受付以外も含めたスタッフ全体の人数とシフトの組み方はイベントスタッフの人数と配置で扱っています。
処理時間を自分で測る
処理時間の計測は、受付の動作を分解することから始めます。「受付に20秒」ではなく「何に何秒かかっているか」を出すと、どこを縮めればよいかが見えます。
動作の分解
- 01来場者がレーンに着く:前の人が離れてから、次の人が所定の位置に立つまで
- 02本人の特定:名前を聞く、QRを提示してもらう、招待状を受け取る
- 03照合:名簿やシステムで該当者を探し、確認する
- 04記録:チェックを入れる、スキャンする
- 05受け渡し:名札、資料、ノベルティ、座席案内
- 06案内と離脱:進む方向を伝え、来場者がレーンから抜ける
計測の手順
- 01
本番と同じ道具を用意する
名簿の形式、名札の並べ方、机の高さ、資料の置き場所。道具が違うと時間も違います。名札を五十音順の箱に入れるのか、机に並べるのかだけで差が出ます。
- 02
スタッフ役と来場者役で10回通す
1回だけ測ると、たまたま速かったのか遅かったのかが分かりません。人を入れ替えながら10回通して、レーンに着いてから離れるまでを記録します。
- 03
平均ではなく、遅いほうの値を採る
10回のうち、遅いほうから2〜3番目あたりの値を設計値にします。平均で設計すると、平均より遅い来場者のたびに遅れが積み上がります。
- 04
詰まった動作を特定する
照合に時間がかかるなら名簿の並べ方、受け渡しなら名札の配置を変えます。
- 05
改善してもう一度測る
1動作を数秒縮めると、その数秒が来場者の人数分だけ積み上がります。大人数の受付では、レーンを1つ増やすより効果が大きいことがあります。
Point
1人あたり数秒の短縮が、レーン1つ分に相当することがあります。毎分10人・20秒で4レーンの計算は、処理を15秒に縮めると10×15÷60=2.5となり、切り上げて3レーンで足ります。人を増やす前に、動作を削れないかを見てください。
受付方式と、システムを入れるかの判断
事前登録制、QRコード、紙の名簿照合。方式によって処理時間は変わりますが、その差は会場と運用で変わるため、他社の秒数をそのまま使わないでください。方式ごとに時間を食う場所を知り、自社で比べます。
| 方式 | 時間を食いやすい動作 | 短縮の打ち手 |
|---|---|---|
| 紙の名簿照合 | 該当者を探す動作。名簿が長いほど伸びる | 五十音や番号でレーンを分割し、1レーンあたりの名簿を短くする |
| QR・バーコード読取 | 来場者が画面を出す動作。読み取り不良のリトライ | 列に並んでいる間にQRを出すよう案内する |
| 記帳・受付票の記入 | 記入そのもの。記入漏れの確認 | 記帳台を受付台と別に置き、書き終えた人だけが受付台に来る形にする |
| 当日申込 | 記入、確認、支払い。最も長い | 本線から完全に分離する |
| 名札の受け渡し | 名札を探す動作 | 並べ方を変える、または受付の後ろの別テーブルで渡す |
受付システム(QR受付など)が向く条件・向かない条件
| 向く | 向かない・注意 |
|---|---|
| 事前登録が大半で、名簿が長い | 当日申込や飛び込みの来場が多い(結局は手作業が残る) |
| 来場記録を後でデータとして使いたい | 来場者が端末操作に不慣れな層が中心 |
| 複数日・複数会場で名簿を共有したい | 会場の通信が不安定(紙名簿への退避手順が必須) |
- 候補の方式それぞれで、同じ回数(10回程度)を同じ条件で通す
- 読み取り不良や記入漏れといった失敗も、除外せずに含める
- 方式ごとの設計値(遅めの値)で必要レーン数を計算して比較する
- レーン数の差を、導入コストや準備工数と並べて判断する
- システムを使う場合も、通信や端末が止まったときの紙名簿を印刷しておく
注意
方式を変えると、時間が別の場所に移動するだけのことがあります。QR化で照合は速くなっても、来場者が画面を探す時間が増えれば、トータルは変わりません。レーンに着いてから離れるまでを一貫して測ってください。
ピークの読み方
式に入れる「ピーク時の到着ペース」は、設計で最も外れやすい数字です。全体の人数ではなく、時刻別の分布を持つ必要があります。
- 01
過去イベントの入場記録を時刻で並べる
受付システムのログ、または紙の記録に時刻が残っていれば、5分刻みで集計します。これが最も信頼できる材料です。
- 02
記録がなければ、次回から取る
受付担当に、5分ごとに「この5分で何人通したか」を記録してもらうだけで分布が作れます。1回取れば、以降のイベント設計に使えます。
- 03
イベントの性格で補正する
開始時刻が業務時間内か後か、交通機関の到着が集中するか、開場後のプログラムがあるか。条件が違えば分布は変わります。
- 04
仮に置く場合は、前提を明記する
記録がない初回は仮定を置くしかありません。置いた仮定を文書に残し、当日に実測して検証します。
仮定を1つ変えるとレーン数が変わる点に注意してください。処理20秒で、ピークを毎分7人と置けば7×20÷60=2.33で3レーン、毎分10人と置き直せば4レーンです。読み切れないときは、次の構えで吸収します。
- レーンを増減できる形にしておく:机と椅子を予備で用意し、必要なら開ける
- 応援要員を決めておく:受付以外の役割の人に、ピーク時だけ入ってもらう取り決め
- 開場を早める:捌ける時間を伸ばすのが、最も確実にレーン数を減らす方法
- 到着を分散させる:開場後のコンテンツを用意し、早く来る理由を作る
注意
「捌きたい時間」を伸ばすのが、最も安い解決策です。同じ人数を倍の時間で受け付けられれば、1分あたりの到着人数は半分になり、必要レーン数もほぼ半分になります。
行列が発生する条件と、伸び方
行列は、到着率が処理率を上回ったときに、その差の分だけ伸びます。この関係を数字で持っておくと、当日の判断が速くなります。
| 指標 | 計算 | 例(前提:処理30秒、3レーン、1分に5人到着) |
|---|---|---|
| 1レーンの処理率 | 60秒 ÷ 処理時間 | 60 ÷ 30 = 毎分2人 |
| 全体の処理率 | 1レーンの処理率 × レーン数 | 2 × 3 = 毎分6人 |
| 到着率 | ピーク時に1分あたり何人来るか | 毎分5人 |
| 差分 | 到着率 - 処理率 | 5 - 6 = 毎分 -1人(列は伸びない) |
到着率が毎分10人に上がると、10-6=毎分4人ずつ列が伸びます。この状態が続く限り、1分ごとに4人ずつ列が長くなります。
最後尾の人の待ち時間 = 列に並んでいる人数 ÷ 全体の処理率
例:列に8人、全体の処理率が毎分6人 → 8 ÷ 6 = 約1.3分
Point
当日、本部が持つべきなのはこの2つの式だけです。列の人数を数え(または列の長さを目印で換算し)、処理率で割れば待ち時間が出ます。「あと3分で捌けます」と言えるかどうかで、来場者への案内も、開始を遅らせるかの判断も変わります。
列が伸び始めたときの打ち手(効く順)
- 01イレギュラー対応を本線から外す:名簿にない人、当日申込、質問のある人を別レーンへ。1件で止まると、その間に到着した人が全員後ろに積まれます
- 02レーンを増やす:予備の机を開ける。処理率が直接上がります
- 03処理を分割する:照合と受け渡しを別の人に分け、流れ作業にする
- 04列の中で前さばきをする:並んでいる間にQRを出してもらう、受付票を確認する
- 05受け渡しを後ろに回す:名札や資料を、受付の後ろの別テーブルで渡す
当日受付と事前受付を分離する
事前登録者と当日申込者を同じ列に並べると、処理時間の差がそのまま行列になります。分離は、人を増やさずに行列を減らせる数少ない手段です。
| 区分 | 処理内容 | 設計のポイント |
|---|---|---|
| 事前登録・QRあり | 読取と受け渡しのみ | 最も速い。レーン数を厚くして本線にする |
| 事前登録・QRなし | 名簿照合と受け渡し | 五十音などで分割し、1レーンの名簿を短くする |
| 招待者・来賓 | 専任が対応。案内まで同行 | 別入口または別テーブル。待たせない |
| 当日申込 | 記入・確認・支払い | 完全に別。本線から視覚的にも離す |
| イレギュラー | 名簿にない、同伴者、代理出席 | 判断できる人を置く。本線の担当者に判断させない |
- どの列に並ぶべきかが、列に着く前に分かるサインを出す
- 列の手前に振り分け担当を1名置く
- 事前登録者が当日申込の列に並んでしまう事故を想定し、振り分け担当が声をかける
- イレギュラー対応のレーンには、名簿の追加や例外を認められる人を置く
- 当日申込の列が長くなっても本線に影響しない位置に置く
注意
事前登録者にQRコードを配る場合は、QRコード作成ツールで案内メールやチラシ用のコードを作れます。名簿の並べ方は参加者名簿の管理、名札の受け渡しを速くする工夫は名札のデザインを参照してください。
列の物理設計と屋外の注意
レーン数が決まっても、その列が物理的に収まるかは別の問題です。並ぶ人数から長さを出して、会場図に描き込んでください。
- 前提:1人あたりの前後の占有を0.5mと置く(荷物やコートがあればもっと必要)
- 計算:50人が1列に並ぶと 50 × 0.5 = 25m
- 判断:25mの直線が取れないなら折り返しが要る。折り返し2回なら 25 ÷ 3 ≒ 8.3m の帯が3本
注意
0.5mは計算の形を示すために置いた値です。スーツケース、ベビーカー、車椅子の方がいる場合は大きく取ってください。下見のときに、実際に数人並んでもらって測るのが確実です。
- 列が通路を塞がないか(塞ぐなら、塞がれる側の動線をどう迂回させるか)
- 列と、退場・移動する人の動線が交差しないか
- 非常口や階段、消火栓の前が列で塞がれないか
- 折り返しの位置にポールやベルトパーテーション、サインを置けるか
- 列から受付までの間に段差がないか
- 列の最後尾が建物の外に出るなら、雨・日差し・寒さへの対応(テントや屋根の下に並べられるか)
- 屋外の受付台は、風で書類やテントが飛ばないよう重しを用意する
Point
列の最後尾がどこになるかを、下見のときに実際に歩いて確認してください。会場図上では収まっていても、現地で見ると別のテナントの入口だった、ということが起こります。会場選定の段階で見ておくと手戻りが減ります。
受付の声かけ例文(場面別)
受付で止まる原因の多くは、担当者が言葉に迷う時間です。場面ごとの言い方を決めて、マニュアルに貼っておいてください。
| 場面 | 声かけ例 |
|---|---|
| 到着したとき | 「本日はお越しいただき、ありがとうございます。お名前を伺ってもよろしいでしょうか。」 |
| QRの提示をお願いする | 「恐れ入りますが、受付用のQRコードを画面に表示していただけますか。」 |
| 列の中で前さばきをする | 「お待ちの間に、受付用のQRコードをご準備ください。」 |
| 照合できたとき | 「〇〇様ですね。こちらが名札と資料です。会場は右手奥でございます。」 |
| 名簿に見当たらない | 「恐れ入ります、ただいまお調べいたします。担当の者がご案内いたしますので、右手のテーブルで少々お待ちいただけますか。」 |
| 代理で出席された方 | 「代理でご出席いただいたのですね。ご本人のお名前と、お客様のお名前をこちらにご記入いただけますか。」 |
| 当日申込の方 | 「当日のお申し込みは、左手のテーブルで承っております。」 |
| 列が混んでいる | 「ただいま受付が混み合っております。5分ほどでご案内できる見込みです。」 |
| 最後尾を案内する | 「最後尾はこちらです。前の方に続いてお並びください。」 |
| 開場前に来られた方 | 「開場は〇時を予定しております。それまで、こちらでお待ちいただけますか。」 |
| 開始後に来られた方 | 「すでに始まっております。後方のお席へご案内いたします。」 |
| 来賓の方 | 「お待ちしておりました。控室へご案内いたします。」 |
| 答えが分からない質問 | 「確認いたしますので、少々お待ちいただけますか。」(その場で責任者に回す) |
注意
列が混んでいるときに伝える待ち時間は、前述の式(列の人数÷全体の処理率)で出した数字を使ってください。根拠のない「すぐです」は、かえって不満を招きます。来賓の迎え方は来賓の受付と対応も参照してください。
想定問答シート(受付で聞かれること)
受付では、受付と関係のない質問もまとめて聞かれます。答えを事前に決めて全員に配っておくと、1件ごとに責任者を呼ぶ時間がなくなります。右の列を自社のイベントに合わせて埋めてください。
| 聞かれること | 決めておく答え | 答えられないときの回し先 |
|---|---|---|
| 荷物・コートの預け先 | クロークの有無と場所、預かれない物 | クローク担当 |
| 開始・終了の時刻 | 開場・開始・終了・懇親会の時刻 | 責任者 |
| Wi-Fi・電源 | 使えるか、接続情報を配るか | 運営本部 |
| トイレ・喫煙所・授乳室 | 場所と、会場図のどこか | 会場スタッフ |
| 撮影・録音 | 可否と範囲(登壇資料の撮影など) | 責任者 |
| 途中退出・再入場 | 可否と、再入場の確認方法(名札を見せるなど) | 責任者 |
| 資料の後日送付 | 送るか、いつ、どこから | 事務局 |
| 飲食 | 会場内での飲食の可否、配布の有無 | 責任者 |
| 領収書 | 発行の可否、宛名と但し書きの扱い | 会計担当 |
| 駐車場・帰りの交通 | 駐車場の有無、最寄り駅への道順 | 会場スタッフ |
| 体調不良・けが | 救護の場所と連絡先 | 責任者(すぐ回す) |
| 落とし物・忘れ物 | 預かる場所と、後日の問い合わせ先 | 事務局 |
Point
「答えられないときの回し先」を決めることが、このシートの本体です。受付担当がその場で調べ始めると、本線が止まります。分からない質問は1文で受け、決めた回し先に渡す、というルールにしてください。
備品と準備のチェックリスト
受付の備品
- 長机と椅子(必要レーン数+予備1台分)
- レーン区分のサイン(事前登録/当日申込/来賓など)、最後尾の表示
- ベルトパーテーションやポール(列を折り返す場合)
- 名簿(システムを使う場合も、紙の予備を印刷)
- QR読取の端末、充電器、予備の電源、通信が止まったときの手順書
- 名札と、名簿にない人向けの予備の名札・ペン
- 配布資料・ノベルティ(受け渡しの順に並べる)
- 筆記具、受付トレイ、記帳台(記帳がある場合)
- 当日支払いがある場合は、釣り銭と領収書
- 時計と、5分ごとの通過人数を書く記録用紙
- 本部との連絡手段(トランシーバーや携帯電話)
- 屋外の場合は、テント、重し、雨具、暑さ・寒さ対策の用品
前日まで・当日・終了後
| 時期 | やること |
|---|---|
| 前日まで | 必要レーン数と人数の確定、役割分担表、声かけ例文と想定問答シートの配布、名簿と名札の準備、リハーサルで処理時間を計測 |
| 当日・開場前 | 机と列の設営、サインの確認、端末の動作確認、全員での読み合わせ(イレギュラーの回し先を確認) |
| 受付中 | 5分ごとの通過人数の記録、列の長さと待ち時間の確認、レーンの開閉判断、休憩の交代 |
| 受付終了後 | 遅れて来た人の対応担当を残す、未着者の一覧化、現金と領収書の照合、名簿の回収と保管、備品の撤収 |
注意
名簿には個人情報が含まれます。受付台に置いたまま離れない、終了後に回収して保管場所を決める、といった扱いを事前に決めてください。全体の抜け漏れはイベント準備のチェックリストで確認できます。
よくある失敗と防ぎ方
| 失敗 | 起きる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 来場者の総数で人数を決めて、開始直前に列が伸びる | 到着は均等ではなく、ピークに集中する | ピーク時の1分あたりの到着人数で計算する |
| 平均の処理時間で設計して、少しずつ遅れる | 遅い人が来るたびに遅れが積み上がる | 遅めの値を設計値にし、割り切れる計算では1レーン足す |
| 名簿にない人で本線が止まる | 受付担当がその場で判断しようとする | イレギュラー対応を別に置き、すぐ回す |
| 当日申込と事前登録が同じ列に並ぶ | 列の入口で分けていない | サインと振り分け担当を置く |
| 質問に答えられず、受付担当が席を外す | 答えと回し先が決まっていない | 想定問答シートを配る |
| QR端末が動かず、受付が止まる | 通信や充電の不具合 | 紙名簿の予備と、切り替えの手順を用意する |
| 列が通路や非常口を塞ぐ | 列の長さを会場図で確認していない | 並ぶ人数から長さを出し、下見で最後尾まで歩く |
| 受付担当が休憩を取れず、後半に処理が遅くなる | 交代要員を決めていない | 受付時間が長いときは交代の順番を決めておく |
| 開始後に来た人に誰も対応しない | 受付終了と同時に全員が持ち場を離れる | 遅れて来た人の対応担当を1名残す |
当日に記録して、次回の設計値にする
受付設計の精度は、記録を取った回数で決まります。1回のイベントで取るべき記録は多くありません。
- 5分ごとの通過人数(時刻別の到着分布になる)
- レーンごとの処理人数(レーン間の偏りが分かる)
- 列が最も長くなった時刻と、そのときのおおよその人数
- イレギュラー対応の件数と、1件あたりのおおよその所要
- 申込者数に対する実際の来場者数(出席率)
- 想定と違った点のメモ(1行でよい)
これらを記録すると、次回は仮定ではなく実績値で式を解けます。処理時間、出席率、ピークの集中の3つが実績値になれば、必要レーン数の計算はかなり確かなものになります。記録の残し方はイベント報告書も参照してください。
注意
記録係を1名置くのが理想ですが、難しければ受付の担当者に、5分ごとに正の字を書いてもらうだけでも十分です。来場人数の数え方は来場者数の数え方で扱っています。
この記事の要点
- 受付の人数=必要レーン数+周辺の役割(振り分け・列整理・イレギュラー対応・責任者)。
- 必要レーン数=ピーク時の1分あたりの到着人数×処理時間(秒)÷60、切り上げ。割り切れるときは1レーン足す。
- 処理時間は本番と同じ道具で測り、遅めの値を採る。数秒の短縮がレーン1つ分になることがある。
- 行列は到着率が処理率を上回った差の分だけ伸びる。待ち時間=列の人数÷処理率。
- イレギュラーと当日申込を本線から外し、声かけ例文と想定問答シートで担当者が迷う時間を消す。
FAQ
よくある質問
必要レーン数に周辺の役割を足した数です。必要レーン数は「ピーク時の1分あたりの到着人数×1人あたりの処理時間(秒)÷60」を切り上げて出します。たとえば毎分5人が来て処理に30秒かかるなら2.5を切り上げて3レーンで、振り分け・列整理・イレギュラー対応・責任者を各1名足すと計7名です。処理時間は自社でリハーサル計測した値に置き換えてください。
1人あたりの受付処理にかかる時間です。本番と同じ名簿・名札・机の配置で、スタッフ役と来場者役を立てて10回ほど通し、遅めの値を設計値にしてください。到着ペースは、申込者数と過去の出席実績、時刻別の入場記録から見積もります。
早見表でレーン数が1になる規模なら、照合は1名で足ります。ただし、名簿にない人や質問への対応で本線が止まらないよう、責任者などイレギュラーを引き受ける人を別に決めておいてください。受付が1名だけの体制では、1件の例外で後ろの全員が待つことになります。
イベントの性格、開始時刻、交通機関の条件で変わるため、決まった割合はありません。自社の過去イベントで、受付担当に5分ごとの通過人数を記録してもらうと、時刻別の分布が作れます。記録がない初回は仮定を置き、その仮定を文書に残して当日に実測で検証してください。
イレギュラー対応を本線から外すことです。名簿にない人、当日申込、質問のある人を別レーンに回します。次にレーンを増やす、照合と受け渡しを分ける、列の中で前さばきをする、の順で効きます。並んでいる人には、列の人数を処理率で割った待ち時間を伝えてください。
「捌きたい時間」を伸ばすのが最も安く効きます。開場を早めて到着を前に分散させれば、1分あたりの到着人数が減り、必要なレーン数も減ります。ほかに、処理動作を数秒縮める、事前登録と当日申込を分離する、列の手前に振り分け担当を置く、といった手があります。
その場で調べ始めず、「確認いたしますので、少々お待ちいただけますか」と受けて、決めておいた回し先に渡してください。よく聞かれる質問(時刻、再入場、トイレ、荷物、撮影、領収書など)は、答えと回し先を想定問答シートにまとめて、受付全員に事前に配っておくと止まりません。