来客対応
お茶出しのマナー
順番・置き方・タイミングと声かけ例
お茶出しで迷うのは、いつ入るか・誰から出すか・どちら側から置くかの三つと、型どおりにできない場面で何と言うかです。このページは、先に結論を一覧にし、そのあと準備から退室までの手順、置く位置の早見表、場面別の声かけ例文、困ったときの対処、よくある失敗、出す前のチェックリストの順に並べました。
結論
お茶は挨拶と名刺交換が済んで着席した頃に出し、来客の上位の人から、来客全員のあとに自社の上位の人の順に出します。置くときは相手の右後ろから、茶托を両手で持って置くのが基本とされます。後ろを通れないときは「前から失礼いたします」と断って前から置いて構いません。会社ごとの決まりがあれば、そちらを優先してください。
まず結論:お茶出しの基本を一覧で
| 迷うこと | 答え | 型どおりにできないとき |
|---|---|---|
| いつ入るか | 挨拶・名刺交換が済み、着席した頃 | 話が始まっていたら、会話を遮らないよう会釈か小声の「失礼いたします」で静かに出す |
| 誰から出すか | 来客の上位→来客→自社の上位→自社 | 役職が分からなければ、ドアから遠い席(上座)から順に |
| どちらから置くか | 相手の右後ろから、両手で | 壁際・狭い部屋では「前から失礼いたします」と断って前から |
| 何を言うか | 入室「失礼いたします」、置くとき「どうぞ」、退室「失礼いたしました」 | 片手になるとき・数が足りないときは必ず一言添える(例文は下の表) |
| どう運ぶか | 茶碗と茶托は別々にお盆へ。サイドテーブルで合わせる | 置く場所が無ければ、お盆を片手で持ち「片手で失礼いたします」 |
| ペットボトルは失礼か | 失礼ではない。ラベルを相手に向け、キャップは開けずに | 紙コップやグラスを添えるかは社内で統一 |
出すタイミング
担当者が会議室に入り、挨拶と名刺交換が済んで、着席した頃が目安です。名刺交換の最中に入ると、手がふさがっている人の前に置くことになります。
- 担当者より先に来客を会議室に通した場合は、先に来客の分だけ出しておくこともあります。担当者の分は、担当者が来てから出します。
- 本題に入っていたら、話の切れ目を長く待たずに静かに出します。声をかけるなら小声の「失礼いたします」程度にとどめ、会釈だけでも構いません。
- 画面共有や発表の最中など、全員が一点に集中している場面は、区切りを待ってから入ります。
- 長い打ち合わせになりそうなら、2杯目を出すかどうか、出すなら合図をどうするかを担当者と事前に決めておきます。
準備:お茶の淹れ方と運ぶ前の支度
- 01
茶碗を温める
お湯を一度茶碗に注いで温めます。茶碗のお湯は急須に移さず捨てる流儀と、少し冷ましたお湯として急須に使う流儀があり、どちらでも構いません。
- 02
急須で淹れる
茶葉の袋に書かれた量と蒸らし時間に従います。表示が無ければ、社内で一度淹れて味を確かめ、決めておきます。
- 03
濃さをそろえて注ぐ
一つの茶碗に注ぎ切らず、全員の茶碗に少しずつ順に注ぎ回すと、濃さと量がそろいます。
- 04
量は7分目ほど
なみなみと注ぐと、運ぶときと置くときにこぼれます。
- 05
お盆に載せる
茶碗と茶托は別々に載せ、布巾も載せます。茶托に載せたまま運ぶと、こぼれたお茶で茶托の裏が濡れ、机を汚します。
- 06
人数を確かめる
人数分より一つ多く用意しておくと、急な同席者に対応できます。
Point
茶碗・茶托の向き:茶碗に絵柄があれば絵柄を相手の正面に、木目のある茶托は、相手から見て木目が左右方向に走るように置きます。欠けやひびのある器は使いません。
入室から退室までの手順
- 01
ノックして入る
お盆は胸の高さで両手で持ちます。ノックをして「失礼いたします」と言ってから入り、軽く会釈します。
- 02
お盆を置く
サイドテーブルか、テーブルの下座側の端に置きます。ここで茶碗を茶托に載せます。
- 03
上座の来客から出す
来客の上位の人から順に、来客全員のあと自社の上位の人の順に出します。席の上下は席次の決め方で確認できます。
- 04
相手の右後ろから置く
茶托を両手で持ち、相手の右後ろから、相手の右手前あたりに置きます。「どうぞ」と小さく添えます。
- 05
資料をよける
資料の上には置きません。空いている場所が無ければ「こちらに失礼いたします」と言って、資料に触れずに置ける端に置きます。
- 06
退室する
お盆は表(載せる面)を自分の側に向けて脇に抱え、ドアの前で向き直って「失礼いたしました」と会釈して出ます。
置く位置の早見表(お菓子・おしぼり・コーヒー・ペットボトル)
| 出すもの | 置く位置(相手から見て) | 出す順・注意 |
|---|---|---|
| お茶(茶碗+茶托) | 右手前 | 絵柄を相手の正面に向ける |
| お菓子 | 左手前 | お菓子を先に出し、お茶をその右に置く |
| おしぼり | 右側(お茶のさらに右) | お茶より先に出す |
| コーヒー・紅茶 | 右手前。取っ手は相手の右手側(右手で持ちやすい向き) | スプーンはソーサーの手前に、取っ手と同じ向きで。取っ手を左に向ける流儀もあるので社内で統一 |
| 砂糖・ミルク | ソーサーの手前か、まとめて小皿で | 人数が多いときは、テーブル中央にまとめて置く |
| ペットボトル | 右側。ラベルを相手に向ける | キャップは開けない。結露するものはコースターを敷く |
| 紙コップ・グラスを添えるとき | ペットボトルの左隣 | 添えるかどうかは社内で統一 |
場面別の声かけ例文
お茶出しの言葉は短くて構いません。大事なのは、型どおりにできない動きをするときに、黙ってしないことです。そのまま使える言い方を場面ごとに並べます。
| 場面 | 言うこと |
|---|---|
| ノックして入る | 「失礼いたします」 |
| お茶を置く | 「どうぞ」/「どうぞお召し上がりください」 |
| お菓子も出す | 「よろしければ、こちらもどうぞ」 |
| 後ろを通れず前から置く | 「前から失礼いたします」 |
| お盆を置けず片手で出す | 「片手で失礼いたします」 |
| 人の間に手を伸ばす | 「お手元、失礼いたします」 |
| 資料のそばに置く | 「こちらに置かせていただきます」 |
| 数が足りず、末席の人の分が無い | 「申し訳ございません、すぐにお持ちいたします」 |
| 足りなかった分を持ってきた | 「お待たせいたしました」 |
| 担当者がまだ来ていない | 「〇〇はまもなく参ります。お先にどうぞ」 |
| 温かい・冷たいを聞く | 「温かいお茶と冷たいお茶、どちらがよろしいでしょうか」 |
| ペットボトルを並べて置く | 「よろしければお飲みください」 |
| 2杯目を出す | 「新しいものとお取り替えいたします」 |
| 来客が辞退した | 「かしこまりました。何かございましたらお声がけください」 |
| こぼしてしまった | 「大変失礼いたしました。すぐにお拭きいたします」 |
| 退室する | 「失礼いたしました」 |
注意
社内の人を来客に紹介する言い方では、自社の人に敬称を付けず、「参ります」のように謙譲語を使います。言い換えに迷ったら敬語の早見表を参照してください。
ペットボトル・紙コップ・冷たい飲み物
ペットボトルを出すこと自体は失礼ではありません。器を共用しない、持ち帰れる、といった利点があり、出す会社もあります。気をつけるのは置き方と、出しっぱなしに見せない工夫です。
- ラベルを相手に向けて、相手の右側に置く
- キャップは開けずに出す(相手が自分のタイミングで開けられる)
- 紙コップやグラスを添えるかどうかは、社内で統一しておく
- 冷たい飲み物は結露するので、コースターを敷く
- 季節や来客の好みで温かいもの・冷たいものを選べるよう、両方を用意しておくと迷わない
- あらかじめ会議室に置いておく運用でも、人数分を席ごとに並べ、「よろしければお飲みください」と一言添える
困ったときの対処
| 困りごと | 対処 |
|---|---|
| お茶が足りない | 上座から順に出し、足りない人に「すぐにお持ちいたします」と伝えて退室。急いで用意し「お待たせいたしました」と出す |
| 後ろを通れない | 「前から失礼いたします」と断って前から置く。右から置けなければ左からでも構わない |
| お盆を置く場所が無い | お盆を左手で持ち、右手で一つずつ置く。「片手で失礼いたします」と添える |
| 机が資料で埋まっている | 資料の上に置かない。端に置ける場所を探し、無ければ担当者に目で合図して場所を空けてもらう |
| 来客が予定より多い | 予備の一つで足りなければ、上座から出して足りない分をすぐ追加する。次回から予備を増やす |
| 給湯室が会議室から遠い | 保温できるポットで運ぶ、会議室の近くで淹れられるよう道具を置く、ペットボトルに切り替える、のどれかを社内で決める |
| 打ち合わせが長引いた | 担当者の合図か、話がひと段落したところで、新しい茶碗に入れ替える。飲み残しの茶碗は下げる |
| こぼした | お盆の布巾ですぐ拭く。来客の服や資料にかかったら担当者に伝え、おしぼりなどを持ってくる |
よくある失敗
- 茶托に載せたまま運ぶ:こぼれたお茶が茶托の裏に回り、机や資料を濡らす
- 自社の上司から出す:来客全員に出し終えてから自社の人に出す
- 資料の上に置く:倒したときに資料が台無しになる
- 黙って前から手を伸ばす:型を外すときほど一言添える
- 話している人の真横で長く手間取る:お盆の準備はサイドテーブルで済ませ、テーブルでは置くだけにする
- 来客がいる間に片付けに入る:片付けは来客を見送ってから
- 2杯目を同じ茶碗に継ぎ足す:新しい茶碗で入れ替えるのが基本とされる
社内で決めておくこと(テンプレート)
お茶出しで毎回迷うのは、決まりが人によって違うからです。次の項目を一度決めて、受付や総務で共有しておくと、誰が出しても同じになります。
| 決める項目 | 記入例 |
|---|---|
| 出す飲み物 | 通常は緑茶。夏は冷たいお茶。来客が多い日はペットボトル |
| 器 | 茶碗+茶托/紙コップ/ペットボトル(紙コップ添え) |
| 誰が出すか | 受付担当。不在時は担当者の部署の人 |
| 担当者との合図 | 入室の合図、2杯目が欲しいときの合図を決める |
| 2杯目 | 長い打ち合わせのみ。担当者の合図があったとき |
| 予備の数 | 人数分+1 |
| 片付け | 来客の見送り後、出した人が下げる |
出す前のチェックリスト
- 来客と自社の人数、席の上下(上座)を確かめた
- 器に欠け・汚れが無い。絵柄の向きを確かめた
- 茶碗は温めた。濃さと量(7分目ほど)がそろっている
- 茶碗と茶托を別々にお盆に載せた。布巾も載せた
- 予備を一つ用意した
- お菓子・おしぼりがあれば、出す順番(おしぼり→お菓子→お茶)を決めた
- ペットボトルならラベルの向き、コースターを確かめた
- 挨拶と名刺交換が済んだかを確かめてからノックする
イベントや式典の控室で来賓に飲み物を出すときも、手順は同じです。控室の運営は式典の来賓対応に、来客対応全体の流れは来客対応の流れとマナーにまとめています。
この記事の要点
- タイミングは挨拶と名刺交換が済んで着席した頃。
- 順番は来客の上位→来客→自社の上位→自社。役職が分からなければドアから遠い席から。
- 置くのは相手の右後ろから、両手で。無理なら「前から失礼いたします」。
- 茶碗と茶托は別々に運び、サイドテーブルで合わせる。
- お菓子は左、お茶は右、おしぼりはさらに右。ペットボトルはラベルを相手に向け、キャップは開けずに。
- 型どおりにできないときは、黙ってせずに一言添える。
FAQ
よくある質問
来客の中で上位の人から順に出し、来客全員に出し終えてから自社の上位の人、自社の人の順に出します。役職が分からないときは、ドアから遠い席(上座)から順に出せば、ほぼこの順になります。
相手の右後ろから、両手で置くのが基本とされます。壁際などで右後ろに回れない場合は、「前から失礼いたします」と断って前から置いて構いません。
担当者と来客の挨拶・名刺交換が済み、着席した頃が目安です。話が始まっていても、会話を遮らないよう会釈か小声の「失礼いたします」で静かに出して構いません。
お菓子を先に相手から見て左側に置き、お茶をその右側に置きます。おしぼりがあれば、おしぼりを最初に、お茶のさらに右側に置きます。
失礼ではありません。ラベルを相手に向けて右側に置き、キャップは開けずに出します。冷たいものならコースターを敷き、紙コップやグラスを添えるかどうかは社内で統一しておきます。
上座から順に出し、足りない人に「すぐにお持ちいたします」と伝えて退室します。急いで用意して「お待たせいたしました」と出します。
長い打ち合わせで、担当者から合図があったときか、話がひと段落したときに、新しい茶碗で入れ替えます。いつ出すかは担当者と事前に決めておくと迷いません。