来客対応
来賓対応のマナー
受付・控室・見送りの手順と例文
来賓対応で失敗しやすいのは、来賓が一般の参加者と同じ列に並んでしまうことと、控室で誰も声をかけないまま待たせてしまうことです。どちらも、来賓専用の受付と、来賓につく係を決めておけば防げます。このページでは、式典・イベントの来賓対応を、準備から見送りまでの順に、そのまま使える言葉と一緒に並べました。会社に重要な来客を迎えるときも、手順の骨組みは同じです。
結論
結論:来賓対応は①来賓受付を一般受付と分ける ②来賓ごとにアテンド係(案内係)を決める ③控室で開式まで待ってもらう ④席まで先導する ⑤式後は車寄せや出口まで見送るの順に組み立てます。来賓とは、主催者が招いた客のうち、席や紹介で特に扱いを分ける人です。来賓控室とは、来賓が開式まで待ち、主催者が挨拶をするための部屋です。
一般の来客・参加者との違い
来賓対応は、ふだんの来客対応に「専用の受付」「専属の係」「控室」が加わったものと考えると整理しやすくなります。
| 場面 | 一般の参加者 | 会社への来客 | 式典の来賓 |
|---|---|---|---|
| 受付 | 一般受付の列 | 受付・総務が取り次ぐ | 来賓受付(一般受付と離す) |
| 出迎え | なし | 受付か担当者 | 入口・車寄せで係が待つ |
| 待つ場所 | 会場の席 | 応接室・会議室 | 来賓控室 |
| 案内する人 | 会場係 | 担当者か受付 | 決めておいたアテンド係 |
| 主催者の挨拶 | なし | 面談そのもの | 開式前に控室で |
| 見送り | なし | エレベーター〜玄関 | 車寄せ・出口まで |
| 事後 | なし | お礼のメール | お礼状 |
会社への来客対応の基本は来客対応の流れとマナー、見送る範囲の決め方はお見送りのマナーにまとめています。
前日までに決めること(チェックリスト)
- 来賓名簿(氏名・読み方・肩書・所属・到着予定・祝辞や紹介の有無・車の有無・同行者)を作る
- 来賓ごとのアテンド係を決める。来賓が多いなら、一人の係が担当する来賓の範囲を決める
- 来賓受付の場所を、一般受付と離れた場所に決める。案内表示も出す
- 来賓控室を押さえ、席札と飲み物を用意する(席札作成ツール)
- 来賓用の胸章(リボン)と、式場内の来賓席を決める(式典の作法)
- 車で来る来賓の駐車場所と、車寄せでの出迎え係を決める
- 祝辞を頼んだ来賓に、祝辞の順番と持ち時間を事前に伝えておく
- 代理出席・欠席の連絡が入ったときに、名簿と席札を直す担当を決める
来賓名簿は、受付・アテンド係・司会・主催者の全員が同じ版を持ちます。肩書や名前の読み方の誤りは、司会が読み上げたときに全員の前で表に出ます。変更が入ったら版を上げて配り直します。名簿の作り方は参加者名簿の作り方と管理にあります。
当日の流れ:出迎えから控室まで
- 01
入口・車寄せで待つ
到着予定の少し前から、係が入口か車寄せで待ちます。車で来る来賓は、車が止まったら近づいて迎えます。
- 02
見つけたら先に声をかける
来賓らしい人が一般受付の列に並びそうなら、係から近づいて声をかけ、来賓受付へ案内します。
- 03
記帳と胸章
芳名帳への記帳をお願いし、胸章をつけてもらいます。
- 04
祝儀・祝い品を受け取る
差し出されたら両手で受け取り、受け取った物と名前をその場で記録します。
- 05
控室へ案内する
アテンド係に引き継ぐときは、来賓の名前と肩書を係に伝えます。係は来賓の少し斜め前を歩いて先導します(来客の案内のマナー)。
- 06
主催者に到着を伝える
控室に案内したら、主催者(社長・代表者)に到着を知らせ、挨拶に来てもらいます。
注意
来賓受付の係は、来賓の顔と名前が分かる人を置きます。総務や秘書の担当者、来賓を招いた部署の担当者が向いています。受付の服装はイベント受付の服装を参照してください。
場面別の言葉づかい(そのまま使える例文)
◯◯の部分を差し替えて使ってください。来賓にはふだんの来客よりも一段丁寧な言い方を選びます。
出迎え・受付
- 「本日はお忙しいところお越しいただき、誠にありがとうございます。」
- 「失礼いたします。◯◯様でいらっしゃいますか。お待ち申し上げておりました。」
- 「恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」(顔が分からないとき)
- 「ご来賓の方の受付は、あちらにご用意しております。ご案内いたします。」(一般の列に並びかけたとき)
- 「恐れ入りますが、こちらにご記帳をお願いいたします。」
- 「こちらをお胸におつけいただけますでしょうか。」
- 「ありがとうございます。お預かりいたします。」(祝儀・祝い品を受け取るとき)
控室で
- 「開式までお時間がございますので、控室へご案内いたします。」
- 「こちらでお待ちいただけますでしょうか。ただいまお飲み物をお持ちいたします。」
- 「ただいま◯◯(主催者)がご挨拶に参ります。少々お待ちくださいませ。」
- 「お手洗いは◯◯にございます。ご案内いたしましょうか。」
- 「お荷物とコートはこちらでお預かりいたします。」
席への案内・式の間
- 「まもなく開式でございます。お席へご案内いたします。」
- 「◯◯様には、◯番目にご祝辞を賜りたく存じます。直前に私がお声がけいたします。」
- 「次がご祝辞でございます。ご準備をお願いいたします。」
- 「途中でご退席の際は、私がお出口までご案内いたします。」
お見送り
- 「本日はご多用のなかご臨席を賜り、誠にありがとうございました。」
- 「お預かりしていたコートとお荷物でございます。」
- 「お足元の悪いなか、ありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りくださいませ。」(雨の日)
- 「今後ともご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。」
注意
「お名前を頂戴できますか」は、名前は受け取る物ではないため避けたほうが無難です。「お伺いしてもよろしいでしょうか」を使います。
来賓控室の準備と運営
- 入口に「ご来賓控室」の張り紙を出す(貼り紙作成ツール)
- 来賓の席札を、上座から順に置いておく(席次の決め方)
- お茶や水を出せるようにしておく(お茶出しのマナー)
- 式次第と、祝辞を頼んだ来賓には祝辞の順番を書いたものを置いておく(式次第作成ツール)
- コート掛けと荷物置き場を用意する
- 主催者が来賓に挨拶する時間を、開式前に取っておく
- 来賓同士を紹介できるよう、係が来賓名簿を手元に持っておく
Point
控室には必ず係を一人置いてください。 来賓だけの部屋になると、開式の時間が分からない、トイレの場所が分からない、といった小さな不便がすべて来賓の負担になります。係は控室の入口近くに控え、開式の少し前に声をかけて席へ先導します。
席への案内と式の間
- 控室から式場の来賓席まで、アテンド係が先導する
- 来賓席は席札で示し、着席まで係がそばにつく
- 祝辞を頼んだ来賓には、登壇の順番と、登壇の前に係が合図をすることを伝えておく
- 式の間、アテンド係は来賓席の近くの目立たない場所に控える
- 途中で退席する予定の来賓は、退席の時間と出口までの道順を係が把握しておく
来賓の挨拶の順番は挨拶の順番、式次第の組み方は式次第とは、司会が来賓を紹介するときの言い方は来賓紹介の司会にまとめています。
困った場面の対応
| 場面 | 対応 | 言葉の例 |
|---|---|---|
| 予定より早く着いた | 控室が整っていなくても、まず座って待てる場所へ案内する。主催者に到着を知らせる | 「お早くお越しいただき、ありがとうございます。準備が整うまで、こちらでお待ちいただけますでしょうか。」 |
| 開式に遅れて着いた | 式の進行を止めず、区切りのよいところで係が席まで案内する | 「お待ちしておりました。お席までご案内いたします。」 |
| 代理の方が来た | 名簿に代理であることを書き込み、席札・紹介の文言を直して司会に伝える | 「◯◯様のご代理でいらっしゃいますね。本日はお越しいただき、ありがとうございます。」 |
| 名簿に名前が無い | その場で断らず、来賓受付の責任者に確認する。確認の間は控室か近くの席で待ってもらう | 「確認いたしますので、少々お待ちいただけますでしょうか。」 |
| 祝辞の順番が変わった | 変更を本人に直接伝え、司会・進行表も同時に直す | 「大変恐縮ですが、ご祝辞の順番が変わりました。◯番目にお願いできますでしょうか。」 |
よくある失敗と防ぎ方
| 失敗 | 起きる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 来賓が一般の列に並んでいた | 来賓受付の場所が分からない/係が顔を知らない | 来賓受付の表示を出し、顔が分かる係を入口に置く |
| 控室で来賓だけが待っていた | 係が受付と兼任で離れた | 控室専任の係を決める |
| 司会が肩書を読み違えた | 名簿の版が係ごとに違った | 名簿を一つの版で配り、変更時は全員に配り直す |
| 祝儀を誰から受け取ったか分からない | 受け取ったその場で記録していない | 受け取り表を受付に置き、受け取るたびに書く |
| 見送りに誰も出なかった | 式後の片付けに人が取られた | 見送りまでをアテンド係の担当として決めておく |
会社に重要な来客(役員クラス)を迎えるとき
式後のお見送りとお礼
見送りの言葉は、上の場面別の言葉づかいの「お見送り」を使います。
この記事の要点
- 来賓受付は一般受付と分け、来賓の顔と名前が分かる人を置く。
- 来賓ごとにアテンド係を決め、受付から席まで同じ人が案内する。
- 来賓控室には必ず係を一人。開式前に主催者の挨拶の時間を取る。
- 来賓名簿は全員が同じ版を持つ。代理出席や順番の変更はすぐ全員に伝える。
- 式後は車寄せや出口まで見送り、後日お礼状を送る。
FAQ
よくある質問
式典やイベントで、来賓が開式まで待つための部屋です。主催者が来賓に挨拶したり、祝辞の順番を確認したりする場にもなります。入口に「ご来賓控室」の張り紙を出し、席札と飲み物を用意して、係を一人置きます。
一般受付と分けた来賓受付で、来賓の顔と名前が分かる係が迎えます。「本日はお越しいただき、誠にありがとうございます」と声をかけ、記帳と胸章をお願いし、祝儀や祝い品は両手で受け取って記録し、控室へ案内します。
受付から控室、控室から式場の来賓席まで先導し、式の間は来賓席の近くに控えます。祝辞の登壇の合図、途中退席の案内、式後の見送りまで、同じ係が担当すると来賓が迷いません。
式典の来賓は、車で来た方は車寄せまで送り、車が見えなくなるまで見送ります。歩いて帰る方は会場の出口まで送ります。
名簿に代理であることを書き込み、席札と司会の紹介の文言を直します。司会には「◯◯様の代理として◯◯様」と紹介してもらうよう伝えます。
来客は会社を訪ねてくる客全般、来賓は式典や催しに主催者が招いた客で、席や紹介で特に扱いを分ける人を指します。来賓には専用の受付・控室・係を用意します。