マナー
年始の挨拶回り
いつまで・時間帯・挨拶例文・手土産のマナー
結論:年始の挨拶回りは、相手の仕事始めの直後から松の内のうちに、アポイントを取って伺い、玄関先や受付で数分で済ませます。言うことは「新年のお祝い・昨年のお礼・今年もよろしく」の三つだけで、商談には入りません。このページでは、いつまで・何時ごろ・どのくらいの長さの早見表、受付・担当者・上司同行・役員が出てきたとき・不在のときなど場面別の挨拶例文、手土産とのし、賀詞を入れた名刺、喪中の扱い、よくある失敗をまとめました。
結論
年始の挨拶回り(年始回り)は、取引先などを訪ねて新年の挨拶と昨年のお礼を直接伝える慣習です。時期は年始の挨拶として受け取られる期間(いわゆる松の内)が目安ですが、その期間は地域によって違うため、相手の地域の慣習と相手の都合を優先します。
早見表:いつ・何時ごろ・どのくらい
| 項目 | 目安 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| いつまで | 相手の仕事始めの直後から、松の内のうち | 松の内の期間は地域で違う。迷ったら早めに。過ぎたら普段の訪問で一言添える形に切り替える |
| 避けたい日 | 相手の仕事始めの当日 | 社内の朝礼・会議・年始の手続きで忙しいことが多い。アポで相手の都合を聞く |
| 時間帯 | 午前の遅めか午後の早め | 始業直後・昼休み・終業間際は避ける |
| 滞在の長さ | 玄関先・受付で数分 | 応接室に通されても長居しない。長くても10分ほどで切り上げるつもりで |
| 持ち物 | 名刺(多めに)・手土産または粗品(任意) | 賀詞を入れた名刺があると不在時に使える |
| 服装 | 普段の訪問と同じビジネスの服装 | コートやマフラーは建物に入る前に脱ぐ |
注意
数分・10分ほどは、本記事が勧める段取りの目安です。決まりがあるわけではないので、相手が話を続けたいようなら合わせてください。
挨拶回りをするか・メールで済ませるかの判断
| 状況 | おすすめの方法 |
|---|---|
| 主要な取引先・昨年大きな案件でお世話になった相手 | 訪問(上司の同行も検討) |
| 日常的に連絡を取り合う取引先 | 訪問か、年始のメール+次回訪問時に一言 |
| 遠方・在宅勤務が中心の相手 | メールか、短いオンライン会議での挨拶 |
| 相手が訪問の受け入れを断っている・忙しい時期 | メールに切り替え、無理に伺わない |
| 相手が喪中 | 訪問してよいか事前に確認。お祝いの言葉は使わない |
どこまで回るかは、会社や部署の慣例があればそれに従います。訪問しない相手には、年始のメール(新年の挨拶メール 例文)や年賀状(年賀状の文例(ビジネス))で挨拶を届けます。
アポイントの取り方(メール例文)
訪問を打診する
件名:年始のご挨拶に伺いたく(株式会社◯◯ △△)
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様
いつも大変お世話になっております。株式会社◯◯の△△です。
年明けに、上司の□□とともに年始のご挨拶に伺えればと存じます。ご挨拶のみで、お時間は短く失礼いたします。
下記のうち、ご都合のよい日時はございますでしょうか。
・1月◯日(◯)午前
・1月◯日(◯)午後
・1月◯日(◯)午後
ご多忙の折恐れ入りますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
年末の挨拶メールの中で打診する
なお、年明けには年始のご挨拶に伺えればと考えております。改めて日程をご相談させてください。
相手から「今回は結構です」と返ってきたとき
ご丁寧にご返信いただき、ありがとうございます。承知いたしました。
略儀ながら、まずはメールにて年始のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
「ご挨拶のみ」「短く失礼します」と先に伝えると、相手は時間を取りやすくなります。候補日時は複数出します。詳しい文例は年始の挨拶回りのアポイントメールと日程候補のメール 例文にあります。
当日の流れ
- 01
建物に入る前
コート・マフラーを脱いで腕にかける。手土産は紙袋に入れたまま持つ。約束の時刻の少し前に着くようにする
- 02
受付で名乗る
会社名・名前・訪問相手・用件(年始のご挨拶)を伝えて取り次ぎを頼む
- 03
担当者に挨拶する
新年のお祝い→昨年のお礼(具体的に一言)→今年のお願い。同行した上司を紹介する
- 04
手土産を渡す
挨拶のあとに紙袋から出し、正面を相手に向けて両手で渡す。紙袋は持ち帰るのが基本
- 05
引き上げる
「お忙しいところ失礼いたしました」と言って切り上げる。本題は持ち込まない
- 06
訪問のあと
必要ならお礼のメールを送る。不在だった相手には一言メールを送る
Point
応接室に通されたら、案内された席に座ります。指示がなければ入口に近い下座側で立って待ち、相手が来たら立ち上がって挨拶します。手土産は挨拶のあと、座る前に渡します。席次は席次の基本を参照してください。
場面別の挨拶例文
受付で
あけましておめでとうございます。株式会社◯◯の△△と申します。◯◯部の◯◯様に、年始のご挨拶に伺いました。◯時にお約束をいただいております。お取り次ぎいただけますでしょうか。
受付の方に(担当者を待つあいだ・帰り際)
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
担当者に会えたら(基本形)
あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。特に◯◯の件では、急な日程にもご対応いただき、本当にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今年の抱負を一言添える
今年は◯◯の面でも、もっとお役に立てるよう努めてまいります。引き続きよろしくお願いいたします。
上司を紹介するとき(同行した側)
本日は、弊社の◯◯部長の□□も一緒に参りました。
(上司)□□でございます。昨年は△△が大変お世話になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。
相手の上司・役員が出てきてくれたとき
お忙しいところ、わざわざお時間をいただきありがとうございます。旧年中は格別のお引き立てをいただき、誠にありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
年明けから担当が替わる・新しい担当者に会うとき
このたび、御社を担当させていただくことになりました△△と申します。前任の□□同様、どうぞよろしくお願いいたします。
昨年、迷惑をかけた相手に
昨年は◯◯の件で大変ご迷惑をおかけいたしました。その節は温かいご対応をいただき、ありがとうございました。本年は同じことのないよう努めてまいります。
取引が始まったばかりの相手に
昨年はお取引を始めていただき、ありがとうございました。本年は、より一層お役に立てるよう努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
引き上げるとき
お忙しいところお時間をいただき、ありがとうございました。本日はご挨拶だけで失礼いたします。
「どうぞお掛けください」と引き止められたとき
ありがとうございます。本日はこのあとも伺う先がございますので、ご挨拶だけで失礼させていただきます。改めてお打ち合わせの際にゆっくりお話しさせてください。
相手から仕事の話が出たとき
ありがとうございます。詳しくは改めてお時間をいただけますでしょうか。追ってご連絡いたします。
注意
本題(商談・依頼)はこちらから持ち込まないのが基本です。年始の挨拶で話題が出たら、その場は短く受けて、後日の打ち合わせにつなげます。口頭の挨拶をもっと見たい場合は新年の挨拶(口頭)へ。
挨拶を受ける側の返し方
自社に年始の挨拶に来てもらったときは、立って出迎え、同じ三つの要素で返します。受付に来てもらった場合は長く引き止めないのが配慮です。
あけましておめでとうございます。わざわざお越しいただき、ありがとうございます。こちらこそ旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(手土産を受け取ったとき)ご丁寧にありがとうございます。皆でいただきます。
手土産・粗品の選び方とのし
| 品物 | 向いている相手・場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自社名入りのカレンダー・手帳・タオル | 毎年回る取引先。自社の宣伝を兼ねる | 相手が使わない形式(壁掛け・卓上)を避けるため、例年の反応を見る |
| 個包装の菓子 | 部署の人数が多い相手 | 常温で日持ちし、仕事中に分けて食べやすいもの。人数より多めの数を選ぶ |
| コーヒー・紅茶などの飲み物 | 来客や休憩でよく使う職場 | 好みが分かれにくいものを |
| 品物なし | 贈答を受け取らない規程の会社・メールでの挨拶 | 手ぶらは失礼ではない。挨拶の言葉を丁寧に |
- そもそも相手の会社が取引先からの贈答を受け取れるか
- 受け取った人がその場で配れる形か(席を回って一つずつ渡せるか)
- 年明けで冷蔵庫が混んでいても困らない常温の品か
- 前日までに用意したか(訪問先の近くで慌てて買わない)
のしは紅白の蝶結びの水引に、表書きは「御年賀」が一般的です。松の内を過ぎたら、表書きを「寒中御見舞」に替えます。のし紙はのし紙作成ツールで印刷でき、表書きの詳しい違いは御年賀ののしにまとめています。
渡すときの一言
心ばかりの品ですが、皆様でお召し上がりください。
毎年のものですが、弊社のカレンダーをお持ちしました。よろしければお使いください。
Point
相手の会社が取引先からの贈答を受け取らない規程の場合は、品物を持参しません。分からなければ担当者にさりげなく確認するか、手ぶらで伺います。品選びは年始の挨拶回りの手土産も参考にしてください。
相手が不在のとき:賀詞を入れた名刺
相手が急用で会えないときや、アポなしで回って不在だったときは、名刺を置いて帰ります。名刺の右上の余白に賀詞を書くか、賀詞の印を押しておくと、年始の挨拶に来たことが伝わります。
| 賀詞 | 向いている相手 |
|---|---|
| 謹賀新年・恭賀新年 | 取引先・目上の相手(敬意を表す字を含む四字の賀詞) |
| 賀正・迎春 | 社内や親しい相手。目上の相手には四字の賀詞が無難 |
(名刺の余白に)謹賀新年 年始のご挨拶に伺いました。本年もよろしくお願い申し上げます。
当日中にメールで一言送ると丁寧です。
件名:年始のご挨拶(株式会社◯◯ △△)
◯◯様
あけましておめでとうございます。株式会社◯◯の△△です。
本日、年始のご挨拶に伺いましたが、ご不在でしたので名刺を置かせていただきました。
旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
アポなしで回るとき
- 始業直後・昼休み・終業間際は避ける
- 受付で「ご挨拶だけですので、お忙しければ名刺を置いて失礼します」と先に伝える
- 担当者が出てきても、立ったまま挨拶して数分で引き上げる
- 不在に備えて、賀詞を入れた名刺を用意しておく
(受付で)お約束はいただいていないのですが、年始のご挨拶に伺いました。◯◯様がお手すきでなければ、名刺を置いて失礼いたします。
喪中の相手・自分が喪中のとき
| 状況 | 対応 | 挨拶の言葉 |
|---|---|---|
| 相手が喪中 | 訪問してよいかを事前に確認する。のしは付けない、または無地にする | 「旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします」 |
| 自分が喪中 | 会社として回る挨拶か個人の挨拶かを分け、訪問するかは上司・社内の慣例に合わせる | 同上。「おめでとうございます」は自分から言わない |
相手から「おめでとうございます」と言われたら、否定せずに「ありがとうございます。本年もよろしくお願いいたします」と受ければ十分です。喪中の年始の文例は喪中の年始の挨拶(ビジネス)にあります。
松の内を過ぎてしまったら
松の内を過ぎたら、改めて「年始のご挨拶」として訪問するのではなく、次の訪問や打ち合わせの冒頭で一言添えます。
年が明けてご挨拶が遅くなり、失礼いたしました。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
書面で伝えるなら、寒中見舞いとして出す方法もあります(寒中見舞い(ビジネス))。
よくある失敗と直し方
| 失敗 | なぜ困るか | こうする |
|---|---|---|
| 仕事始めの当日の朝いちばんに訪問 | 相手は朝礼や社内の挨拶で手が離せない | アポで都合を聞き、当日を避ける |
| 挨拶のついでに見積や新提案の話を始める | 相手の時間を想定外に使わせる | 話題が出たら後日の打ち合わせを提案する |
| 応接室で長く雑談する | その日に何社も挨拶を受けている相手の負担になる | 「ご挨拶だけで失礼いたします」と自分から切り上げる |
| 手土産を紙袋ごと渡す・机越しに渡す | 雑な印象になる | 紙袋から出し、正面を相手に向けて両手で渡す |
| 名刺が足りない | 新しい担当者や上役に会ったときに渡せない | 普段より多めに持つ |
| 喪中の相手に「おめでとうございます」 | 相手に気を遣わせる | 喪中の情報を事前に共有し、言葉を切り替える |
| 松の内を過ぎて「新年のご挨拶に」と伺う | 時期外れの印象になる | 普段の訪問の冒頭で一言添える形にする |
出発前のチェックリスト
- アポイントを取ったか(相手の仕事始めの当日を避けたか)
- 訪問先の順番と移動時間を決めたか(1社あたり短く、遅れたら先方へ連絡)
- 相手の喪中・贈答の規程を確認したか
- 名刺は多めに、不在用に賀詞を入れた名刺も用意したか
- 手土産は人数分・日持ち・個包装か。のしは「御年賀」か
- 昨年のお礼を具体的に一言言えるよう、相手ごとの出来事を確認したか
- 上司が同行する場合、紹介の順番と話す内容を打ち合わせたか
- 本題は持ち込まないと同行者と確認したか
注意
上司と回るときの段取りは上司同行の訪問マナー、社内での仕事始めの挨拶は仕事始めの挨拶 例文、業界団体の新年の集まりは賀詞交歓会とはを参照してください。
この記事の要点
- 年始の挨拶回りは相手の仕事始めの直後に・アポを取って・数分で。
- 時期は松の内が目安。期間は地域によって違うので相手に合わせ、仕事始めの当日は避ける。
- 挨拶は新年のお祝い・昨年のお礼(具体的に)・今年もよろしく。本題には入らない。
- 手土産は任意。持つなら日持ちする個包装の菓子や社名入りカレンダー。のしは「御年賀」、松の内後は「寒中御見舞」。
- 不在なら賀詞を入れた名刺を置き、当日中にメールで一言。
- 喪中の相手には訪問の可否を確認し、お祝いの言葉を避ける。
FAQ
よくある質問
年始の挨拶として受け取られる松の内の期間に済ませるのが目安です。松の内がいつまでかは地域によって違うため、相手の会社がある地域の慣習と相手の都合に合わせ、迷う場合は早めに回ります。仕事始めの当日は相手が忙しいことが多いので、アポイントで都合を聞いてから日を決めます。
始業直後・昼休み・終業間際を避け、午前の遅めか午後の早めに伺うと相手の負担が少なくなります。アポイントを取る場合は、相手から示された時刻を優先してください。
玄関先や受付で数分の挨拶が基本です。応接室に通されても、長くても10分ほどで「ご挨拶だけで失礼いたします」と自分から切り上げるつもりでいると、相手の負担になりません。相手が話を続けたい様子なら合わせます。
「あけましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします」が基本です。昨年の具体的な出来事へのお礼を一言添えると、定型の挨拶に見えません。最後に「お忙しいところ失礼いたしました」と言って引き上げます。
必ずしも必要ではありません。自社名入りのカレンダーやタオル、部署で分けられる個包装の菓子を持参する会社もあれば、手ぶらで伺う会社もあります。相手の会社が取引先からの贈答を受け取らない規程の場合は持参しません。持参するなら、のしの表書きは「御年賀」が一般的です。
取ったほうが確実です。年明けは相手も忙しく、アポイントなしでは会えないことがあります。メールで「ご挨拶のみで短く失礼いたします」と添えて、複数の候補日時を出します。アポイントなしで回る場合は、不在に備えて賀詞を入れた名刺を用意します。
名刺の余白に「謹賀新年」などの賀詞と一言を書いて置き、当日中に「ご挨拶に伺いましたが、ご不在でしたので名刺を置かせていただきました」とメールで伝えます。
訪問してよいかを事前に確認したうえで、「あけましておめでとうございます」などお祝いの言葉を避け、「旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします」と挨拶します。自分が喪中の場合も同じ言い方にし、訪問を控えるかどうかは上司や社内の慣例に合わせます。
普段の取引先訪問と同じビジネスの服装で問題ありません。コートやマフラーは建物に入る前に脱いで腕にかけ、受付ではコートを着たまま挨拶しないようにします。
改めて年始の挨拶として伺うのではなく、次の訪問や打ち合わせの冒頭で「ご挨拶が遅くなり失礼いたしました」と一言添えます。書面なら寒中見舞いとして出す方法もあります。手土産を持参するなら、のしの表書きは「寒中御見舞」に替えます。