ビジネス文書
通知書の書き方と例文
社外に決定事項を伝える文書の見本
通知書の決まりごとは三つです。①件名を「◯◯について(通知)」にする ②主文の最初の一文で、決まったことを言い切る ③日付・金額・対象などの条件は記書きに分ける。見本の主文は「さて、◯月◯日付でご提案いただきました◯◯の件につきまして、社内で検討いたしました結果、下記のとおり決定いたしましたので、ご通知申し上げます。」。通知書は相談ではなく決まったことの連絡なので、あいまいな言い方を避け、相手が次に何をすればよいか(問い合わせ先・期限)まで書いておきます。社外文書全体の型は社外文書の基本フォーマット、記書きの書き方は「記」と「以上」の書き方にあります。
結論
通知書は、会社として決定した事項や確定した事実を、相手に正式に知らせるための文書です。一般的な使い分けとしては、広く知らせる「お知らせ」、参加や利用を誘う「案内」に対して、特定の相手に決定を伝えるものを「通知」と呼ぶことが多いですが、会社によって呼び方は揺れます。
通知書の決まりごと一覧
| 項目 | 書き方 | ポイント |
|---|---|---|
| 文書番号 | 右上。会社の決まりがあれば入れる | 決まりがなければ省いてよい |
| 日付 | 右上(文書番号の下)。発信日を書く | 和暦か西暦かは社内でそろえる |
| 宛名 | 左上。会社名・部署名・役職・氏名+様 | 会社あてなら「御中」、個人あてなら「様」 |
| 差出人 | 宛名より下の右側。会社名・部署・役職・氏名 | 正式な通知は代表者名や部門長名で出すことが多い |
| 件名 | 中央。「◯◯について(通知)」「◯◯のご通知」 | 何の通知か件名だけで分かるようにする |
| 前文 | 「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など | 社内向けや簡単な通知では省くこともある |
| 主文 | 「さて、」で始め、決まったことを最初の一文で言い切る | 理由は必要なときだけ短く |
| 末文 | 「まずは略儀ながら書中にてご通知申し上げます」+結語 | 頭語を書いたら結語(敬具)も書く |
| 記書き | 対象・内容・実施日(適用日)・問い合わせ先 | 最後に「以上」 |
通知書の主文は、結論を先に書くのが基本です。経緯を長く書くと、何が決まったのかが読み取りにくくなります。理由を書く場合も、決定の内容を書いた後に一、二文で添える程度にとどめます。
Point
相手に返事や判断を求めるなら、通知書にしない。「ご了承ください」で終わる一方的な通知は、相手の同意が必要な事柄(契約の条件変更など)では行き違いの元になります。同意が要るときは、依頼状や確認書の形で返事をもらいます。
場面別の見本・例文
見本1:選定結果の通知(採用する場合)
件名:◯◯業務の委託先選定結果について(通知)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先般ご提案いただきました◯◯業務の委託につきまして、社内で検討いたしました結果、貴社にお願いすることに決定いたしましたので、ご通知申し上げます。
今後の進め方につきましては、担当の□□より改めてご連絡いたします。
まずは略儀ながら書中にてご通知申し上げます。
敬具
記
一、件名 ◯◯業務
一、契約期間 ◯年◯月◯日から◯年◯月◯日まで
一、担当 ◯◯部 □□(電話◯◯)
以上
見本2:選定結果の通知(見送る場合)
件名:◯◯のご提案に関する検討結果について(通知)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたびはご多忙の中、◯◯についてご提案をいただき、誠にありがとうございました。
社内で慎重に検討いたしました結果、誠に残念ながら、今回は見送らせていただくことといたしました。ご期待に沿えず申し訳ございませんが、何とぞご了承くださいますようお願い申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
注意
見送りの通知では、理由を細かく書きすぎないのが一般的です。他社との比較や金額の差を書くと、かえって角が立つことがあります。
見本3:契約を更新しない旨の通知
件名:◯◯契約の更新について(通知)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、◯年◯月◯日付で締結いたしました◯◯契約につきまして、契約期間満了の◯年◯月◯日をもちまして、更新をしないことといたしましたので、ご通知申し上げます。
これまでのご協力に心より御礼申し上げます。期間満了までの業務につきましては、引き続きよろしくお願い申し上げます。
敬具
注意
契約にかかわる通知は、契約書に書かれた通知の方法・時期(書面で、期間満了の何か月前までに、など)に合わせる必要があります。条件は契約ごとに違うため、出す前に契約書を読み直し、必要なら法務担当に確認してください。取引そのものを終える連絡は取引終了のご連絡の例文にあります。
見本4:支払条件の変更の通知
件名:お支払い方法の変更について(通知)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、弊社では経理業務の見直しに伴い、◯年◯月お支払い分より、下記のとおりお支払い方法を変更することといたしました。
お手数をおかけいたしますが、何とぞご了承くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
一、変更内容 手形払いから銀行振込へ変更
一、適用開始 ◯年◯月お支払い分から
一、お問い合わせ先 経理部 □□(電話◯◯)
以上
注意
支払条件が契約書や取引基本契約で決まっている場合は、一方的な通知だけで変えられないことがあります。その場合は通知書ではなく、変更の依頼と同意の書面(覚書など)で進めます。
見本5:会場・日程の変更の通知(イベント・説明会)
件名:◯◯説明会の会場変更について(通知)
◯◯各位
さて、◯月◯日(◯)に予定しております◯◯説明会につきまして、都合により会場を下記のとおり変更いたしましたので、お知らせいたします。
日時に変更はございません。ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。
記
一、日時 ◯月◯日(◯)◯時から(変更なし)
一、変更前の会場 ◯◯ホール
一、変更後の会場 ◯◯会議室(住所◯◯)
以上
注意
変更の通知では、変更前と変更後を並べて書き、変わらないもの(日時など)も「変更なし」と明記すると読み違いが減ります。
縦書きにする場合の配置
通知書は横書きで作るのが一般的ですが、改まった挨拶を兼ねて縦書きにする場合は、頭語から本文・結語までを先に書き、その後ろ(左側)に日付、差出人、宛名の順で「後付け」を置きます。日付は行頭から少し下げ、差出人は行の下寄せ、宛名は差出人より後ろの行の上寄せにするのが一般的です。記書きは本文(結語)の後、後付けの前に入れる形がよく見られますが、後付けの後に置く例もあり、決まった一つの形があるわけではありません。縦書きの手紙の配置はビジネスの手紙の書き方(縦書き)で詳しく説明しています。
記録を残したい通知の出し方
どんな内容の文書を、いつ、誰あてに送ったかを後で示せるようにしたい通知は、郵便の内容証明を使う方法があります。日本郵便は内容証明を「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度」と説明しています。
同じ説明の中で、証明するのは文書の存在であり、内容が真実かどうかを証明するものではないとも書かれています。相手に届いたことまで記録したい場合は、内容証明とは別のオプション(配達証明など)を組み合わせるのが一般的です。内容証明を使うかどうか、どんな文面にするかは、法的な効果がかかわることがあるため、必要に応じて弁護士など専門家に相談してください。
よくある間違い
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 件名が「ご連絡」だけ | 何が決まったのかが件名から分からない | 「◯◯契約の更新について(通知)」のように対象を入れる |
| 経緯を長く書いてから結論 | 決定事項が埋もれる | 「下記のとおり決定いたしました」を主文の最初に |
| 「変更になる予定です」 | 決まったのかどうかがあいまい | 決定なら「変更いたします」と言い切る |
| 適用日が書いていない | いつから変わるのか分からない | 記書きに「適用開始」を必ず入れる |
| 問い合わせ先がない | 相手が確認したいときに困る | 部署・担当者・電話かメールを書く |
| 相手の同意が要る変更を通知だけで済ませる | 一方的と受け取られる | 依頼状や確認書で同意をもらう |
この記事の要点
- 通知書は決まったことを正式に伝える文書。相談や依頼とは分ける。
- 件名は「◯◯について(通知)」、主文の最初の一文で結論を言い切る。
- 日付・対象・適用日・問い合わせ先は記書きにまとめ、最後に「以上」。
- 変更の通知は変更前と変更後を並べ、変わらないものも明記する。
- 契約にかかわる通知は、契約書の決まり(方法・時期)を確認してから出す。
FAQ
よくある質問
はっきりした決まりはありませんが、一般的には、特定の相手に決定事項を正式に伝えるものを「通知」、多くの人に広く知らせるものを「お知らせ」と呼び分けることが多いです。会社によって呼び方は揺れます。
社外への正式な通知書では「拝啓」「敬具」を入れるのが一般的です。社内向けや事務的な通知では、頭語・結語と時候の挨拶を省くこともあります。頭語を書いたら結語も必ず書きます。
日常的な変更の連絡はメールでも差し支えないことが多いですが、契約にかかわるものは契約書で書面と決められている場合があります。契約の定めを確認してから方法を選んでください。
「ご通知申し上げます」は、相手に知らせる自分の行為をへりくだる言い方で、通知書の結びとしてよく使われます。もう少しやわらかくするなら「お知らせいたします」も使えます。
必須かどうかは会社の決まりによります。正式な文書として出す場合は、差出人の名前の横に社印や役職印を押すことがあります。押印と署名の違いは押印・捺印・署名・記名の違いの記事で説明しています。