社内文書
仕事の振り返りの書き方
例文とKPT・YWTテンプレート
仕事の振り返りは、①何があったか(事実)②なぜそうなったか(気づき)③次に何をするか(行動)の3行で書けます。見本は「資料の提出が1日遅れた。修正の依頼が締め切りの前日に集中したのが原因。次の案件から、修正の受付を締め切りの3日前で区切る」。「大変だった」「頑張った」で止めず、次の行動を一つ決めて終えるのがこつです。チームで行うなら、続けること・問題・次に試すことに分けるKPT(Keep・Problem・Try)、自分の学びを整理するなら、やったこと・わかったこと・次やることに分けるYWTが使いやすい型です。
結論
振り返りは事実→気づき→次の行動の順に書きます。型はKPT(Keep:続けること/Problem:問題/Try:次に試すこと)とYWT(Y:やったこと/W:わかったこと/T:次やること)のどちらでも構いません。次の行動は「誰が・いつまでに・何をするか」まで決め、次の振り返りの最初に実行できたかを確かめます。
結論:振り返りは「事実・気づき・次の行動」の3行で書く
| 行 | 書くこと | 書き出しの例 |
|---|---|---|
| ①事実 | 何をして、どうなったか。数・日付・回数があれば入れる | 「今週は◯件の◯◯を担当し、◯件を期限内に終えた」 |
| ②気づき | うまくいった理由、うまくいかなかった理由 | 「◯◯を先に決めておいたので」「◯◯の確認が抜けていたため」 |
| ③次の行動 | 次に続けること、変えること。担当と期限を付ける | 「来週から◯◯を朝のうちに確認する」 |
この3行は、KPT・YWTのどちらにも置き換えられます。KPTなら①②をKeepとProblemに分け、③をTryに書きます。YWTなら①がY、②がW、③がTです。職場で決まった様式があれば、その欄にこの順で書けば中身が整います。
気持ちだけの一文を、行動まで書いた一文に直す
| 気持ちだけの一文 | 事実・理由・行動まで書いた一文 |
|---|---|
| 今週は忙しくて大変だった | 今週は依頼が◯件重なり、◯◯が金曜に持ち越しになった。依頼を受けた時点で期限を確認していなかった。来週から受けたときに期限をメモする |
| プレゼンはうまくいったと思う | 質疑で◯件の質問を受け、すべてその場で答えられた。想定問答を前日に作っておいたのが効いた。次回も想定問答を作る |
| ミスをしてしまい反省している | 請求書の金額を1件誤って送った。入力した後の読み合わせの手順が無かった。今日から送る前に◯◯さんと読み合わせる |
| チームの雰囲気が良かった | 週1回の短い進み具合の確認で、遅れを2回早めに見つけられた。次の案件でも同じ確認会を続ける |
Point
迷ったら「次に何をするか」から書くと、事実と気づきは後から自然に埋まります。逆に、気持ちの説明から書き始めると、行動が決まらないまま終わりやすくなります。
KPT・YWT・PDCAの違いと使い分け
| 型 | 書く項目 | 向いている場面 | 注意すること |
|---|---|---|---|
| KPT | Keep(続けること)/Problem(問題)/Try(次に試すこと) | プロジェクトやイベントの後、チームの定例 | Problemが人への指摘にならないようにする |
| YWT | やったこと/わかったこと/次やること | 日報、研修の後、個人の学びの整理 | 「わかったこと」が感想だけにならないようにする |
| PDCA | 計画/実行/評価/改善 | 目標や施策を回し続けるとき | KPT・YWTは主に評価と改善の部分で使う |
| 良かった点・改善点 | 良かった点/改善点 | 短い報告、決まった様式があるとき | 改善点に次の行動まで書き添える |
使い分けの目安は、問題を出し合って直したいならKPT、何を学んだかを残したいならYWTです。PDCAの考え方はPDCAの意味にまとめています。どれを使うかより、毎回同じ型で続けて、前回の結果と比べられるようにすることのほうが効きます。
振り返りの進め方(個人・チーム共通の6ステップ)
- 01
対象と期間を決める
「◯◯プロジェクト(◯月〜◯月)」「今週」のように、何を振り返るかを先に一行で書きます。範囲が広いと話が散らばります。
- 02
前回の次の行動を確かめる
前回決めたことを実行できたかを最初に確認します。できなかった場合は理由を一言添えます。
- 03
事実を集める
予定と実績、数字、起きた出来事を並べます。記憶だけに頼らず、日報・議事録・チャットの記録を見返すと抜けが減ります。
- 04
良かったこと・問題を分ける
KPTならKeepとProblem、YWTならやったこととわかったことに分けます。良かったことにも必ず時間を取ります。
- 05
次の行動を絞って決める
出た案の中から、効果が大きく、すぐ始められるものに絞ります。それぞれに担当と期限を付けます。
- 06
記録して共有する
決めたことを共有の場所に残し、関係者に知らせます。次の振り返りの日程もこのとき決めておきます。
注意
チームで行うときは、先に一人ずつ付箋や共有の表に書いてから読み上げると、声の大きい人の意見だけにならずに済みます。会議の進め方は会議のファシリテーション、記録の残し方は議事録のテンプレートを参考にしてください。
KPTの各項目に書くこと
| 項目 | 書くこと | 書き方のこつ |
|---|---|---|
| 前回のTryの結果 | 前回決めたことを実行できたか | できなかったら理由を一言 |
| Keep(続けること) | うまくいったこと、次も続けたいこと | なぜうまくいったかも一言添える |
| Problem(問題) | 困ったこと、うまくいかなかったこと、時間がかかったこと | 人ではなく出来事・仕組みで書く |
| Try(次に試すこと) | Problemを減らす、Keepを伸ばすための行動 | 誰が・いつまでに・何をするか |
Point
Problemは「誰が悪かったか」ではなく「何が起きたか」で書きます。「◯◯さんの確認漏れ」ではなく「確認の担当が決まっていなかった」と書くと、仕組みの直し方を話し合えます。人を名指しすると、次から問題を出してもらえなくなります。
コピーして使える振り返りのテンプレート
KPT(チーム・プロジェクト用)
【対象】◯◯(プロジェクト名・期間)
【参加者】◯◯、◯◯、◯◯
■前回のTryの結果
・◯◯:実行できた/できなかった(理由:◯◯)
■Keep(続けること)
・◯◯をしたので、◯◯がうまくいった
■Problem(問題)
・◯◯のとき、◯◯が起きた
■Try(次に試すこと)
・◯◯(担当:◯◯、期限:◯月◯日)
■次回の振り返り:◯月◯日
YWT(日報・研修・個人の学び用)
【対象】◯月◯日の業務/◯◯研修
■やったこと(Y)
・◯◯を◯件行った
■わかったこと(W)
・◯◯すると◯◯になる
・◯◯が足りなかった
■次やること(T)
・◯◯を◯◯までに行う
3行の振り返り(毎日の日報・週報に書き足す用)
事実:◯◯をして、◯◯になった。
気づき:◯◯だったので(◯◯が足りなかったので)。
次の行動:◯◯から◯◯をする。
目標の振り返り(月末・評価面談の前用)
【目標】◯◯(期限:◯月末)
【今の状態】◯◯(目標に対して◯割)
【できたこと】◯◯
【届かなかったこと・理由】◯◯
【残りの期間でやること】◯◯(◯月◯日まで)
【上司に相談したいこと】◯◯
目標そのものの立て方は目標設定シートの書き方、評価の時期に書く文章は自己評価の書き方と例文にまとめています。
期間別の振り返り 例文(1日・1週間・1か月・半期・1年)
1日の振り返り(日報)
事実:午前中に◯◯の見積もりを2件作り、午後は◯◯社との打ち合わせに出た。
気づき:打ち合わせの前に相手の質問を予想しておいたので、その場で答えられた。一方、見積もりの1件は単価の確認に時間がかかった。
次の行動:明日は単価表の最新版を朝のうちに確認してから作業を始める。
日報の書き方全体は日報の書き方を参考にしてください。
1週間の振り返り(週報)
Keep:月曜の朝に週の作業を書き出し、急ぎの順に並べたので、締め切りのある仕事を落とさなかった。
Problem:水曜と木曜に急な依頼が重なり、◯◯の資料作りが翌週に持ち越しになった。
Try:依頼を受けたら期限を確認し、重なりそうなときはその日のうちに上司に優先順位を相談する。
週報の様式は週報の書き方にまとめています。
1か月の振り返り(目標の進み具合)
目標:今月中に新しい申請の手順書を作り、部内で使い始める。
今の状態:手順書の下書きは完成し、2人に試してもらった。部内への公開は来月第1週になる。
届かなかった理由:試してもらう日程の調整に1週間かかった。
来月の行動:第1週に修正版を公開し、第2週に使った人から意見を集める。
月報にまとめる場合は月報の書き方を参考にしてください。
半期の振り返り(評価面談の前)
やったこと:問い合わせ対応の回答例をまとめ、チームの共有資料にした。
わかったこと:同じ質問が多い時期は月初に集中しており、事前に回答例を見直しておくと対応が早く終わる。
次やること:下期は月初の前に回答例を見直す日を決め、新しく入った人にも使い方を説明する。
1年の振り返り(年末・年度末)
今年できたこと:担当する取引先が◯社から◯社に増え、そのうち◯社とは定期の打ち合わせを始められた。
うまくいかなかったこと:提案書づくりを一人で抱え、締め切り前に残業が増えた月があった。
来年やること:提案書の型を作ってチームで分担し、上期のうちに後輩一人に作り方を引き継ぐ。
年の始めに書く抱負は仕事の新年の抱負にまとめています。
場面・職種別の振り返り 例文(KPT)
プロジェクトの振り返り
Keep:週に一度、短い進み具合の確認会を開いたので、遅れに早く気づけた。
Problem:仕様の変更が口頭で伝わり、資料に反映されていないことがあった。
Try:仕様を変えたときは◯◯さんが共有の資料を更新し、更新したことをチャットで知らせる(次のプロジェクトから)。
社内イベントの振り返り
Keep:前日に会場で通しのリハーサルをしたので、当日の進行が大きく遅れなかった。
Problem:受付が開始直後に混み合い、来場者を待たせた。
Try:次回は受付の窓口を分け、名簿を事前に五十音で並べておく(担当:総務の◯◯、次回の準備開始時)。
イベント後の報告書のまとめ方はイベント報告書の書き方にまとめています。
営業チームの月の振り返り
Keep:訪問の翌日までにお礼の連絡をしたことで、次の打ち合わせの日程が決まりやすかった。
Problem:見積もりの作成に時間がかかり、提出が遅れた案件があった。
Try:よく使う見積もりの型をチームで三つ作り、共有の場所に置く(担当:◯◯、今月末まで)。
事務職の振り返り
Keep:経費の申請で差し戻しが多い項目を一覧にして配ったので、問い合わせが減った。
Problem:月末に処理が集中し、確認に追われて入力の誤りが1件あった。
Try:毎月◯日に途中の締めを設け、それまでに届いた分を先に処理する(担当:◯◯、来月から)。
接客・店舗の振り返り
Keep:混む時間帯の前に釣り銭と袋を補充しておいたので、レジの列が短く済んだ。
Problem:在庫の場所を聞かれて答えられず、お客さまを待たせたことがあった。
Try:よく聞かれる商品の置き場所を一覧にしてレジ横に貼る(担当:◯◯、今週中)。
開発チームの振り返り
Keep:作業を小さく分けてこまめに確認を依頼したので、手戻りが少なかった。
Problem:確認の依頼が特定の人に集中し、待ち時間が長くなった。
Try:確認の担当を交代制にし、依頼を出す前に◯◯を自分で確かめる決まりを作る(次の開発期間から)。
研修・勉強会の振り返り
Keep:最後に質問の時間を取ったので、参加者の疑問をその場で解消できた。
Problem:資料の配布が当日になり、事前に読んでもらえなかった。
Try:次回は前日までに資料を送る(担当:◯◯)。
研修に参加した側の報告は研修報告書の書き方を参考にしてください。
新人・異動したばかりの人の振り返り
Keep:分からないことをその日のうちにメモし、まとめて先輩に聞いたので、同じことを何度も聞かずに済んだ。
Problem:聞くのを遠慮して、作業を半日止めてしまったことがあった。
Try:15分考えて分からなければ、手を止めずに◯◯さんに相談する。
チームをまとめる立場の振り返り
Keep:週の初めに各自の予定を共有してもらったので、仕事の偏りに早く気づけた。
Problem:自分が判断を抱え込み、メンバーの作業が止まる場面があった。
Try:◯円以下の発注と◯◯の判断はメンバーに任せると決め、来週の定例で伝える。
トラブルの後の振り返り
Keep:問題が分かってすぐに上司と関係者へ報告したので、対応を早く始められた。
Problem:作業の手順に確認の段階が無く、誤りに気づけなかった。
Try:作業の手順に◯◯の確認を加え、手順書を更新する(担当:◯◯、今週中)。
トラブルの経緯を文書で報告する場合は、顛末書の書き方を参考にしてください。振り返りは、責任を問う文書ではなく、次に同じことを起こさないための話し合いです。
よくある失敗と言い換え
| よくある失敗 | 何が困るか | 言い換え・直し方 |
|---|---|---|
| ◯◯さんのミスで遅れた | 人を責める場になり、次から問題が出なくなる | 確認の担当が決まっていなかった |
| もっと頑張る/気をつける | 何を変えるかが分からない | 毎朝◯◯を確認する/◯◯の確認を手順に入れる |
| 特に問題なし | 改善の材料が出ない | 時間がかかったこと・迷ったことを一つ挙げる |
| 大変だった・楽しかった | 感想だけで次の行動が無い | 何があって、次に何をするかまで書く |
| Tryが十個以上 | 実行しきれず、次回に確かめられない | 効果の大きいものに絞る |
| 前回のTryを見ない | 同じ問題が毎回出る | 振り返りの最初に前回の結果を確かめる |
| 問題だけを話す | 場が重くなり、続かない | Keepを先に出して、うまくいった理由も残す |
- 対象と期間を一行で書いたか
- 前回の次の行動を確かめたか
- 事実に数・日付が入っているか
- Problemを出来事・仕組みで書いたか
- 良かったことにも時間を取ったか
- 次の行動に担当と期限があるか
- 次の行動を実行できる数に絞ったか
- 記録を参加者に共有したか
チームの振り返り会で使える進行の言い方
| 場面 | 進行役の言い方の例 |
|---|---|
| 始めるとき | 「今日は◯◯の振り返りです。誰かを責める場ではなく、次にどうするかを決める場にしましょう」 |
| 前回の確認 | 「まず前回決めた◯◯がどうなったか、◯◯さんから教えてください」 |
| 意見を集めるとき | 「5分ほど取りますので、良かったことと困ったことを一人ずつ書いてください」 |
| 問題が出ないとき | 「時間がかかったことや、迷ったことでも構いません」 |
| 人の話になったとき | 「誰がではなく、どの手順で起きたかを見てみましょう」 |
| 次の行動を決めるとき | 「この中から次までにやるものを二つ選びましょう。担当と期限も決めます」 |
| 終わるとき | 「決めたことは議事録にまとめて今日中に共有します。次回は◯月◯日です」 |
振り返りの後の共有とお礼
振り返りの結果を共有するメール
件名:【共有】◯◯の振り返り結果
関係者各位
お疲れさまです。◯◯部の□□です。
本日の◯◯の振り返りの結果を共有します。
■次に試すこと(Try)
・◯◯(担当:◯◯、期限:◯月◯日)
・◯◯(担当:◯◯、期限:◯月◯日)
Keep・Problemの全体は、共有フォルダの◯◯に置いています。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
協力してくれた他部署へのお礼
◯◯部 ◯◯さん
お疲れさまです。□□です。
先日の◯◯では、◯◯の対応にご協力いただき、ありがとうございました。
振り返りでも、◯◯のおかげで当日の進行が滞らなかったという声が出ていました。
次回もどうぞよろしくお願いします。
他部署へのお礼の書き方は他部署へのお礼メールにまとめています。
この記事の要点
- 振り返りは事実・気づき・次の行動の3行で書ける。
- チームで問題を直すならKPT、個人の学びを残すならYWT。
- Problemは人ではなく出来事・仕組みで書く。
- 次の行動は誰が・いつまでに・何をするかまで決め、数を絞る。
- 次の振り返りでは前回の行動の結果から確かめる。
- 職場で決まった振り返りの形があれば、それに合わせる。
FAQ
よくある質問
何があったか(事実)、なぜそうなったか(気づき)、次に何をするか(行動)の三つです。この順で書くと、感想だけで終わらず、次につながる振り返りになります。
問題を出し合って仕組みを直したいときはKPT、日報や研修の後などに自分が何を学んだかを残したいときはYWTが使いやすいです。どちらを使う場合も、最後は次の行動を一つ以上決めてください。
書き始める前に「次に何をするか」を一つ決め、そこから逆に、なぜそうするのか、何があったのかを書くと感想で止まりにくくなります。数や日付を一つ入れるのも有効です。
「困ったこと」「時間がかかったこと」「迷ったこと」と言い換えて聞くと、出やすくなります。会議の場では、先に一人ずつ書いてもらってから読み上げる形にすると、言いにくいことも出やすくなります。
Tryに担当と期限が無いことが多い原因です。数を絞り、誰が・いつまでに・何をするかを決め、次の振り返りの最初に結果を確かめる流れにすると、実行されやすくなります。
始めに「次にどうするかを決める場」だと伝え、Problemは人ではなく出来事や手順で書くと決めておきます。良かったこと(Keep)を先に話すと、場が重くなりにくくなります。
決まりはありません。日報で毎日、週報で毎週、プロジェクトやイベントの終わり、月末や半期末など、仕事の区切りに合わせて行う方法があります。職場で決まった頻度があれば、それに従ってください。
PDCAは計画・実行・評価・改善を繰り返す考え方全体を指します。振り返りは、そのうち実行した後に評価し、改善を決める部分に当たります。KPTやYWTはその振り返りを行うための書き方です。