許認可
フリマ・蚤の市を主催するときの古物営業法
どこから許可が要るのか
フリマや蚤の市を企画すると、「主催者に古物商の許可が要るのか」という疑問が必ず出ます。条文を読むと、答えの手がかりは第2条第2項第1号の括弧書きにあります。そしてもう1つ、見落とされやすいのが会場での「買い取り」です。売る側だけでなく、買い取る側にも条文が用意されています。
結論
古物営業法第2条第2項は「古物営業」を3つに分けています。第1号は古物の売買等を行う営業ですが、「古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」という括弧書きが付いています。第2号は古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場)を経営する営業です。第3条により、第1号と第2号は都道府県公安委員会の許可が必要です。
根拠となる法律
本記事の条文はe-Gov法令検索の古物営業法から取得しています(2026年10月時点)。
注意
本記事では、個別の催しが古物市場に当たるか、特定の出店者に許可が必要かという当てはめを行いません。 条文の構造を示すに留めます。企画が固まる前に、所轄警察署(生活安全課)に催しの内容を具体的に説明して確認してください。
「古物」は中古品だけではない
この法律において「古物」とは、一度使用された物品(鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類(船舶、航空機、工作機械その他これらに類する物をいう。)で政令で定めるものを除く。)若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいう。(第2条第1項)
3つの類型
- 01一度使用された物品
- 02使用されない物品で使用のために取引されたもの
- 03これらの物品に幾分の手入れをしたもの
Point
2つ目に注意してください。 条文は「使用されない物品で使用のために取引されたもの」も古物に含めています。未使用品だから古物ではない、という読み方はできません。 新古品・未開封品を扱う催しを企画している場合、ここが論点になります。
括弧書きで商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票が含まれること、大型機械類で政令で定めるものが除かれることも明記されています。
第2条第2項 — 3つの古物営業
| 号 | 営業(条文の文言) | 第3条の許可 |
|---|---|---|
| 第1号 | 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの | 必要 |
| 第2号 | 古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場)を経営する営業 | 必要 |
| 第3号 | 古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法により行う営業(古物競りあつせん業) | 条文上、第3条の対象に入っていない |
前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。(第3条)
第1号の括弧書きが効く
Point
第1号は「古物を売却すること…のみを行うもの以外のもの」という書き方です。つまり売るだけの行為は、この号の営業から除かれている構造です。自分の不用品を持ち寄って売るフリマの出店者が、この号に当たらないと説明されるのは、この括弧書きが根拠です。
注意
ただし「業として」行うかどうかなど、他の論点があります。 本記事では、どの出店者が許可を要するかの当てはめを行いません。出店者の募集条件を決める前に、所轄警察署に確認してください。
「古物市場」は古物商どうしの市場
第2号の括弧書きは、古物市場を「古物商間の古物の売買又は交換のための市場」と定義しています。そして第14条第3項はこう定めています。
古物市場においては、古物商間でなければ古物を売買し、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けてはならない。(第14条第3項)
Point
一般の来場者が買える催しは、条文上の「古物市場」とは構造が違います。 古物市場は古物商どうしの場であり、第14条第3項が古物商間に限定しています。業者間取引の場を企画している場合は、第2号の許可が論点になります。
第14条 — 会場で「買い取る」ときの届出
ここが最も見落とされます。売る話ではなく、買う話です。
古物商は、その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において、買い受け、若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取つてはならない。ただし、仮設店舗において古物営業を営む場合において、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは、この限りでない。(第14条第1項)
条文の構造
- 原則は禁止(営業所等以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはならない)
- ただし仮設店舗で古物営業を営む場合、あらかじめ日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは可能
- 第2項により、その公安委員会の管轄区域内に営業所を有しない古物商は、営業所の所在地を管轄する公安委員会を経由して届出ができる
Point
イベント会場に買取ブースを出す企画は、ここに当たります。 「不要品の買い取りコーナー」「査定会」といった人気の企画は、出店する古物商側に事前の届出が必要になりうる構造です。主催者は、出店募集の段階でこの条文の存在を伝えてください。 当日になって届出がないと分かっても間に合いません。
注意
届出の期限・様式・手数料は本記事の取得範囲外です。 日数を示しません。出店する古物商が、設置場所を管轄する警察署に確認する事項です。
主催者として設計すること
主催者自身が古物を売買しないとしても、場を用意する立場として決めておくことがあります。
- 01
催しの形を言葉にする
一般の人が自分の不用品を売る場なのか、業者が出店する場なのか、業者どうしの取引の場なのか。この3つは条文上の位置づけが違います。 混在させる場合は、それぞれについて確認が要ります。
- 02
買い取りを行う出店があるかを決める
買取ブース、査定会、下取り。第14条第1項の論点が発生するのはここです。 企画に入れるかどうかを先に決めてください。
- 03
出店募集の条件に書く
古物商の許可が必要になりうること、会場で買い取りを行うなら事前の届出が必要になりうること。出店者が自分で確認するよう明記してください。主催者が代わりに判断しないこと。
- 04
所轄警察署に相談する
催しの内容、出店者の属性、取引の形を具体的に説明します。主催者に許可が要るか、どの出店者が対象かは、ここでしか確定しません。
- 05
取り扱わない品目を決める
条文上の古物には商品券や乗車券等も含まれます。トラブルになりやすい品目を募集条件で除外するのは、法令の話とは別に運営として有効です。
- 06
当日の確認方法を決める
出店者の許可の有無をどう確認するか。受付でのチェック項目に入れてください(受付の設計)。
- 催しの形(一般出店/業者出店/業者間取引)を言葉にした
- 買い取りを行う出店を企画に入れるかを決めた
- 出店募集の条件に、許可と届出が必要になりうる旨を書いた
- 所轄警察署に催しの内容を説明して確認した
- 取り扱わない品目を決めた
- 当日に出店者の許可を確認する手順を決めた
- 会場を使う側の手続き(公園・道路等)を別途確認した
- 飲食出店がある場合の保健所手続きを確認した
Point
主催者が出店者の代わりに判断しないでください。 許可や届出が必要かどうかは、その出店者の営業の実態によります。主催者にできるのは、論点があることを伝え、確認を促し、確認した証跡を受け取ることです。
注意
会場が公園なら都市公園法の占用許可、道路にかかるなら道路使用許可、飲食の出店があるなら保健所手続きと食品表示、サインを出すなら屋外広告物。全体像はイベント開催に必要な許可・届出にまとめています。
この記事の要点
- 第2条第2項第1号の括弧書きにより、「古物を売却することのみを行うもの」は同号の営業から除かれている。自分の物を売るだけの出店が許可の対象外と説明される根拠はここ。
- 「古物」は中古品だけではない。「使用されない物品で使用のために取引されたもの」も含まれる。未使用品だから対象外とは読めない。
- 古物市場は「古物商間」の市場(第2条第2項第2号)。第14条第3項も古物商間に限定している。一般客が買える催しとは構造が違う。
- 第3条の許可の対象は第1号と第2号。 第3号(古物競りあつせん業)は条文上、第3条の対象に入っていない。
- 第14条第1項: 会場での買い取りは原則禁止だが、仮設店舗であらかじめ日時及び場所を公安委員会に届け出たときは可能。買取ブースの企画はここに当たる。
- 主催者は出店者の代わりに判断しない。論点を伝え、確認を促し、証跡を受け取るところまで。
FAQ
よくある質問
まず、一般の人が自分の不用品を売る場なのか、業者が出店する場なのか、業者どうしの取引の場なのかを言葉にしてください。これで古物営業法との関係が変わります。次に、買取ブースや査定会など会場で買い取りを行う出店があるかを決め、出店募集の条件に、古物商の許可や事前の届出が必要になりうることと、取り扱わない品目を書きます。判断に迷う点は所轄警察署に相談し、会場の使用許可や飲食の手続きも別に確認します。
本記事では当てはめを行いません。条文の構造としては、第3条の許可の対象は第2条第2項第1号(古物の売買等を行う営業)と第2号(古物市場を経営する営業)です。第2号の古物市場は括弧書きで「古物商間の古物の売買又は交換のための市場」と定義されています。自分の催しがどれに当たるかは、内容を具体的に説明して所轄警察署に確認してください。
第2条第2項第1号は「古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」という書き方で、売却のみを行うものを同号の営業から除いています。ただし業として行うかどうかなど他の論点があるため、本記事では個別の判断を示しません。出店募集の条件を決める前に警察署に確認してください。
関係しうる構造です。第2条第1項は古物を「一度使用された物品…若しくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたもの」と定義しており、使用されていない物品でも使用のために取引されたものは含まれます。未使用だから対象外とは読めません。
第14条第1項は、古物商が営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ることを原則禁止したうえで、仮設店舗で古物営業を営む場合にあらかじめその日時および場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときはこの限りでないとしています。買取ブースはこの条文の論点に当たります。届出は出店する古物商側が行うものなので、出店募集の段階で伝えてください。届出の期限や様式は本記事の取得範囲外です。
古物商の許可が必要になりうること、会場で買い取りを行う場合は事前の届出が必要になりうること、そして自分で所轄警察署に確認してほしいことです。許可や届出の要否はその出店者の営業の実態によるため、主催者が代わりに判断しないでください。当日の受付で許可の有無を確認する手順を決めておくことをおすすめします。