発注
イベント事務局代行の業務範囲と費用
どこまで任せるかで金額が変わる
「事務局代行をお願いしたい」という依頼は、中身が人によってまったく違います。 申込の受付だけを指す人もいれば、問い合わせ対応から請求処理まで含める人もいる。金額が会社によって大きく違うように見えるのは、含まれる業務が違うからであることがほとんどです。この記事は、業務を分解して見積を取れるようにします。
結論
イベント事務局代行は、イベントの運営に伴う事務的な業務をまとめて外部に委託するサービスです。中身は固定されておらず、申込の受付・管理、問い合わせ対応、参加者への連絡、当日の受付、請求・入金管理、報告資料の作成などの組み合わせになります。費用は委託する業務の範囲と、期間、処理件数で決まります。
まず業務を分解する
見積を取る前に、自分が何を頼みたいのかを分解してください。ここが曖昧なまま相談すると、各社が違う前提で金額を出してきます。
| 区分 | 業務 | 判断 |
|---|---|---|
| 申込 | 申込フォームの設置・管理 | 自社のツールを使うか、先方のものを使うか |
| 申込データの管理・名簿作成 | ||
| 定員管理・キャンセル処理 | ||
| 問い合わせ | メールでの問い合わせ対応 | 件数が読めない。費用が変動しやすい |
| 電話での問い合わせ対応 | 専用回線が要るか | |
| 連絡 | 受付完了・リマインドの送信 | 文面は誰が作るか |
| 変更・中止の連絡 | ||
| 当日 | 受付オペレーション | 人数と時間で決まる |
| 参加者リストの照合 | ||
| 精算 | 参加費の請求・入金確認 | 有料イベントのみ |
| 未入金の督促 | ||
| 事後 | アンケートの集計 | |
| 参加実績の報告資料 |
Point
問い合わせ対応が、いちばん金額を動かします。 件数が事前に読めないからです。「月◯件まで」「超過分は1件あたり◯円」といった形になることが多いので、過去の実績があれば先に伝えてください。 ない場合は、想定の根拠を一緒に考えてもらうことになります。
自社に残す業務がある場合、受付名簿の項目は参加者名簿の作り方と管理、出欠の管理は出欠表の作成ツールが使えます。
注意
相場の金額は本記事では示しません。 業務範囲・期間・件数で大きく変わるものを、記事の数字で代用すべきではないからです。分解した一覧を持って相見積もりを取ってください。
費用がどう決まるか
見積の内訳は、だいたい次の3つの性質に分かれます。
| 性質 | 何で決まるか | 見積での見え方 |
|---|---|---|
| 期間で決まる | 事務局を開設している期間 | 月額・期間一括 |
| 件数で決まる | 申込数・問い合わせ数・請求件数 | 単価×件数、または段階制 |
| 稼働で決まる | 当日の受付など、人を出す業務 | 人日・人時 |
Point
この3つが混ざった見積が出てきます。 比較するときは、どれがどの性質かを確認してください。期間で決まる部分が大きい会社と、件数で決まる部分が大きい会社では、参加者数が想定と違ったときの金額の動き方が逆になります。
想定と実際がずれたとき
- 申込が想定を大きく上回ったらどうなるか
- 下回ったら減額されるか(されないことが多い)
- 問い合わせが想定を超えたらいくら増えるか
- 期間が延びたら(延期の場合)
- 中止になったら(キャンセル規定)
- 業務を途中で追加したら
注意
「中止になったら」は必ず聞いてください。 事務局は開催前から動いているので、中止でも費用は発生します。どの時点でいくら発生するのかを、契約前に確認してください。
個人情報の委託としての論点
事務局代行は参加者の個人情報を外部に預ける仕事です。発注の段階で決めることがあります。
個人情報保護法第27条第5項第1号は、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いを委託することに伴って提供される場合、提供先は第三者に該当しないものとするとしています。一方第25条は、委託する場合に委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないと定めています。
Point
「委託だから同意は不要」の後半が抜けやすい。 第三者提供のルールは外れますが、第25条の監督の義務が発生します。 詳しくは受付代行・名簿入力の外注と個人情報に整理しています。
- 渡すデータの項目を必要な範囲に絞った
- 利用の範囲(委託した業務以外に使わない)を契約に書いた
- 再委託の可否と条件を決めた
- 事故時の連絡(誰が、いつまでに、誰に)を決めた
- 業務終了後のデータ(返却・消去・報告)を決めた
- 先方が使うツールに自社のデータが入る構図を把握している
- 問い合わせ対応で得た情報の扱いを決めた
注意
問い合わせ対応は見落とされます。 代行先が参加者とやり取りする中で、申込時には取得していない情報(配慮の希望、体調、所属の変更)が入ってきます。それをどう扱い、どう引き継ぐかを決めておいてください。
発注の進め方
- 01
業務を分解した一覧を作る
前章の表を使ってください。自社でやる/委託する/やらないの3つに仕分けます。
- 02
件数の前提を揃える
想定申込数、想定問い合わせ数、有料か無料か。各社に同じ前提を渡すのが、比較できる見積を取る条件です。
- 03
3つの性質で内訳を出してもらう
期間で決まる部分、件数で決まる部分、稼働で決まる部分。総額だけの見積は比較できません。
- 04
ずれたときの条件を確認する
超過・下回り・延期・中止・業務追加。
- 05
個人情報の取り決めを契約に入れる
第25条の監督に対応します。
- 06
連絡の窓口と頻度を決める
誰が誰に、どの頻度で状況を報告するか。事務局は見えないところで動くので、報告の設計が重要です。
- 業務を自社/委託/やらないに仕分けた
- 件数の前提を各社に同じ条件で渡した
- 期間・件数・稼働の3つに分けた内訳をもらった
- 想定とずれたときの条件を確認した
- 中止になった場合の費用を確認した
- 個人情報の取り決めを契約に入れた
- 報告の窓口と頻度を決めた
- 終了後のデータの扱いを決めた
Point
「全部お任せします」が、いちばん高くつきます。 受ける側はリスクを見込んで金額を出すしかありません。分解して渡すほど、見積は正確になり、比較できるようになります。
注意
外注費全体の考え方はイベント運営代行の費用相場、発注先の選び方は制作会社の選び方、契約は業務委託契約書と発注時の法令を参照してください。
この記事の要点
- 「事務局代行」は業務の束。 中身が人によって違うので、金額の差は含まれる業務の差であることが多い。
- 問い合わせ対応がいちばん金額を動かす。 件数が読めないため。過去の実績があれば先に伝える。
- 費用は期間で決まる/件数で決まる/稼働で決まるの3つが混ざる。比較するときは性質ごとに分ける。
- 「中止になったら」は必ず聞く。 事務局は開催前から動いているので、中止でも費用は発生する。
- 個人情報の委託(第27条第5項第1号)に当たりうる。第三者提供のルールは外れるが第25条の監督が働く。
- 「全部お任せします」がいちばん高くつく。 分解して渡すほど見積は正確になる。
FAQ
よくある質問
イベントの運営に伴う事務の窓口です。申込の受付と名簿の管理、問い合わせへの対応、受付完了やリマインドの連絡、当日の受付、参加費の請求と入金確認、終了後のアンケート集計などを担います。これらを外部にまとめて委託するのが事務局代行で、どこまで任せるかによって中身も費用も変わります。
固定されたサービスではなく、業務の組み合わせです。申込フォームの管理、申込データの管理と名簿作成、定員管理とキャンセル処理、メール・電話での問い合わせ対応、受付完了やリマインドの送信、当日の受付オペレーション、参加費の請求と入金確認、アンケートの集計、報告資料の作成などから選びます。まず自分が何を頼みたいのかを分解してください。
期間で決まる部分(事務局の開設期間に対する月額など)、件数で決まる部分(申込数・問い合わせ数・請求件数の単価や段階制)、稼働で決まる部分(当日の受付など人を出す業務の人日・人時)の3つが混ざります。相場の金額は業務範囲と件数で大きく変わるため本記事では示しません。分解した一覧を持って相見積もりを取ってください。
含まれる業務が違うことがほとんどです。「事務局代行」という言葉の中身が各社で異なるため、同じ前提を渡していないと比較になりません。想定申込数、想定問い合わせ数、有料か無料かといった前提を揃えたうえで、期間・件数・稼働の3つに分けた内訳を出してもらってください。
契約の作りによって逆方向に動きます。期間で決まる部分が大きい会社では、参加者が増えても金額が変わりにくい一方、下回っても減りません。件数で決まる部分が大きい会社では、増えると上がります。超過したとき、下回ったとき、延期したとき、中止になったとき、業務を追加したときの条件を、契約前に確認してください。
個人情報保護法第27条第5項第1号は、利用目的の達成に必要な範囲内で個人データの取扱いを委託することに伴って提供される場合、提供先は第三者に該当しないものとするとしています。ただし第25条が、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を求めています。渡すデータの項目を絞り、利用の範囲、再委託の可否、事故時の連絡、終了後のデータの扱いを契約で決めてください。問い合わせ対応の中で新たに得た情報の扱いも決めておく必要があります。