手順
社内勉強会の発表のコツ
ネタの決め方・資料・話し方・質疑応答の例文
社内勉強会の発表は、たくさん話すより「聞き手が一つ持ち帰れる」ことを目指すとうまくいきます。要点は①持ち帰ってほしいことを一つ決める ②自分の仕事の具体例で話す ③持ち時間の中に質疑の時間を先に取る ④答えられない質問は後で答えると約束するの四つです。始めの一言の見本は「◯◯部の◯◯です。今日は◯◯について話します。終わったときに、皆さんが明日から◯◯を一つ試せるようになることがゴールです」。このページでは、ネタの決め方から資料、話し方、質疑応答、発表後のフォローまで、発表を頼まれた人がすることを順に、そのまま使える例文付きでまとめます。勉強会の企画や案内文など主催者側の進め方は社内勉強会の進め方、承認や判断を求める社内プレゼンは社内プレゼンのやり方にまとめています。
結論
発表の構成は①今日のゴール ②結論 ③具体例(自分の仕事での話) ④明日から試せること ⑤質疑応答です。持ち時間のうち質疑の時間を先に取っておき、残りで本題を組み立てます。
まず結論:社内勉強会の発表のコツ7つ
| コツ | やること | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 持ち帰りを一つに絞る | 聞き手が終わった後にできることを一つ決める | 「◯◯を一度試せるようになる」 |
| ネタは自分の仕事から | 自分が実際にやったこと、つまずいたことを選ぶ | 一般論より自分の体験 |
| 質疑の時間を先に取る | 持ち時間から質疑の分を引いて本題を組む | 時間が押しても質疑は残す |
| 一枚に一つ | スライド一枚に言いたいことは一つ | 読み上げる文章は載せない |
| 声に出して時間を計る | 本番と同じ速さで通して練習する | 長ければ話を削る |
| 聞き手を巻き込む | 問いかけ、前の発表への言及、画面での実演 | 一方的に話し続けない |
| 答えられない質問は後日 | 確かめて答える期限を伝える | 推測で答えない |
ネタ(テーマ)の見つけ方と絞り方
「何を話せばいいか分からない」ときは、自分にとっては当たり前でも、ほかの人はまだ知らないことを探します。社内の勉強会では、目新しい話題より同じ会社の人がすぐ使える話のほうが喜ばれます。
- 最近、自分で調べて解決したこと(調べた手順そのものがネタになる)
- 作業記録やメモを見返して、時間がかかった作業(どう短くしたか、まだ困っているか)
- 入ったばかりのころの自分に教えたいこと(新しく来た人向けの話になる)
- 他部署や後輩からよく聞かれること(同じ説明を何度もしているなら、まとめて話す価値がある)
- 失敗して、やり方を変えたこと(前と後を比べて話せる)
- 使っている道具の小さな工夫(表計算の使い方、チャットの整理の仕方など)
ネタが決まったら、題名を「聞き手が何を得られるか」で言い直すと、話す範囲が自然に絞れます。
| 絞る前の題名 | 絞った後の題名 | 変えたところ |
|---|---|---|
| ◯◯ツールについて | ◯◯ツールで日報作成の手間を減らした方法 | 使い道を一つに決めた |
| お客さま対応の話 | 問い合わせの返信で、聞き返しを減らすための一文 | 場面と効果を書いた |
| ◯◯の仕組み | ◯◯の仕組みを、初めて触る人が迷う三つの点から | 聞き手と切り口を決めた |
ネタが決まらないときは、主催者に聞き手の関心を聞いてしまうのも一つの方法です。
◯◯さん、お疲れさまです。◯◯です。
勉強会の発表の件、テーマを◯◯か◯◯で迷っています。
参加される方は、どちらに関心がありそうでしょうか。
発表の準備の手順
- 01
聞き手と持ち時間を確かめる
主催者に誰が聞くか(部署・経験)、持ち時間、質疑の時間があるか、オンラインか対面か、資料を後で共有するかを確かめます。
- 02
持ち帰ってほしいことを一つ決める
「◯◯を知ってもらう」ではなく、「◯◯を一度試せるようになる」のように、聞き手が終わった後にできることで決めます。
- 03
自分の仕事の具体例を選ぶ
自分の仕事で実際にやったこと、うまくいかなかったことを中心にします。社外の人や他部署の情報を含むときは、社内で共有してよい範囲か確かめます。
- 04
時間に合わせて構成と資料を作る
質疑の時間を先に引いてから、残りで本題を組みます。一枚のスライドに言いたいことは一つにします。
- 05
声に出して通して練習する
時間を計って声に出して通します。長すぎたら、話を削ってスライドを減らします。早口で詰め込むと、聞き手が追いつけません。
- 06
想定される質問と、答えを用意する
「なぜそうしたのか」「ほかの方法は試したか」「自分の部署でも使えるか」など、聞かれそうなことを書き出して答えを用意します。
Point
練習でいちばん大事なのは、時間を計ることです。頭の中で話す時間と、声に出して話す時間は違います。持ち時間を過ぎると、質疑の時間や次の発表者の時間を削ってしまいます。時間を計るにはタイマー、原稿の長さの目安はスピーチの長さ計算ツールが使えます。
持ち時間別の構成の組み方
持ち時間は勉強会によって違います。下の表は組み立て方の例です。実際にかかる時間は、声に出して計って確かめてください。
| 持ち時間 | 入れること | 思い切って削ること |
|---|---|---|
| 短い発表(LTなど、5分ほど) | 結論と具体例を一つずつ。質疑は無いか、ごく短い | 背景の説明、細かい手順 |
| 15分前後 | ゴール、結論、具体例、明日から試せること、短い質疑 | 具体例の二つ目以降 |
| 30分以上 | 上に加えて、具体例を複数、実演や手を動かす時間、長めの質疑 | 話の脱線。途中で区切りを入れて休みを作る |
注意
具体例にいちばん多く時間を使うと、聞き手の記憶に残りやすくなります。時間が足りないときに削る部分を、あらかじめ決めておくと当日あわてません。
資料の作り方とテンプレート
| ページ | 書くこと | こつ |
|---|---|---|
| 表紙 | 題名、名前と部署 | 題名は「何が分かるか」が伝わる名前にする |
| 今日のゴール | 終わったときにできること | 一つに絞る |
| 結論 | いちばん伝えたいこと | 一文で書く |
| 具体例 | 自分の仕事でやったこと | 変える前と後、うまくいかなかった点も書く |
| 明日から試せること | 聞き手がすぐ使える手順 | 手順は少なめにし、番号を振る |
| 参考と問い合わせ先 | 出典、質問の窓口 | 引用した資料の出典を書く |
スライドの文字は、読み上げる原稿ではなく、見出しと要点にします。画面に書いた文章を読み上げると、聞き手は読む速さと聞く速さがずれて疲れます。資料を後で配る場合は、説明なしでも分かるよう、補足をメモ欄や別紙に書いておきます。社内の情報や顧客の情報を載せてよいかは、会社の決まりに従ってください。
発表メモのテンプレート(資料を作る前に埋める)
題名:◯◯で◯◯した方法
聞き手:◯◯部の、◯◯をまだ使っていない人
今日のゴール:終わったときに◯◯を一度試せる
結論(一文):◯◯は、◯◯から始めると◯◯が楽になる
具体例:変える前は◯◯ → ◯◯に変えた → ◯◯が減った/うまくいかなかった点は◯◯
明日から試せること:①◯◯ ②◯◯
想定される質問:◯◯/◯◯
時間が足りないときに削る部分:◯◯
このメモが埋まれば、スライドはほぼ一行ずつ一枚にするだけで形になります。スライド一枚ごとの作り方はプレゼン資料の作り方を見てください。
話し方のコツと、聞き手を巻き込む工夫
- 最初に聞き手に問いかける:「◯◯を使ったことがある方はいますか」と聞くと、聞き手の様子が分かり、話す深さを調整できます。
- 前の発表者の話に触れる:自分の話とつながる点があれば一言触れると、勉強会全体に流れができます。
- 画面で実演する:手順の話は、説明より実際の操作を見せるほうが早く伝わります。うまく動かないときに備えて、画面の写真も用意しておきます。
- 区切りで間を取る:話題が変わるところで一呼吸おくと、聞き手が頭を切り替えられます。
- オンラインではチャットを使う:顔が見えにくいので、「分かった方はチャットに一言ください」のように反応を求めます。
- 聞き手の名前を出すときは配慮する:急に名指しで意見を求めるより、事前に一言頼んでおくほうが相手も答えやすくなります。
声の大きさや間の取り方はスピーチの話し方のコツ、出だしで引きつける一言はスピーチの出だしも参考にしてください。
そのまま使える言い方(場面別)
発表の始め方(対面)
◯◯部の◯◯です。今日はお集まりいただき、ありがとうございます。
今日は「◯◯」について話します。
終わったときに、皆さんが明日から◯◯を一つ試せるようになることがゴールです。
話は◯分ほどで、そのあと質問の時間を取っています。
発表の始め方(オンライン)
◯◯部の◯◯です。画面は見えているでしょうか。
今日は「◯◯」についてお話しします。
途中でも質問があれば、チャットに書いてください。最後にまとめてお答えします。
最初に聞き手に問いかける
始める前に一つ伺います。
◯◯を使ったことがある方は、手を挙げていただけますか。
ありがとうございます。半分くらいの方が使ったことがあるようなので、基本は短めにして、◯◯の話を中心にします。
前の発表者の話に触れる
先ほど◯◯さんが、◯◯で困ったというお話をされていました。
今日の私の話は、その◯◯を別の方向から減らす方法です。
自分の失敗を具体例として話す
最初に私がやったのは◯◯でした。
ところが、◯◯の段階で◯◯が起きて、やり直しになりました。
そこで◯◯に変えたところ、◯◯の手間が減りました。
今日いちばんお伝えしたいのは、この◯◯の部分です。
注意
うまくいった話だけより、つまずいたところと直し方を話すほうが、聞き手は自分の仕事に置き換えやすくなります。
実演がうまく動かないとき
すみません、うまく動かないようです。
同じ操作の画面を写真で用意しているので、そちらでご説明します。
発表の締め方
まとめると、◯◯です。
明日から試せることとして、◯◯を一つだけ持ち帰っていただければうれしいです。
資料は勉強会のフォルダに置いておきます。ここからは質問をお受けします。
質問に答えるとき
ご質問ありがとうございます。
◯◯をどう決めたか、というご質問ですね。
結論から言うと、◯◯の理由で◯◯にしました。
答える前に質問を短く言い直すと、ほかの聞き手にも質問が伝わり、自分も答えを考える時間が取れます。オンラインの場合は特に、質問が聞こえていない人がいることがあります。
質問の意図がつかめないとき
確認させてください。
◯◯の部分について、◯◯という意味でのご質問でしょうか。
反対の意見や指摘をもらったとき
ご指摘ありがとうございます。
確かに◯◯の場合は、今日の方法は合わないかもしれません。
私の場合は◯◯だったので、この方法を選びました。ほかの方法も、後で調べてみます。
その場で答えられない質問
ありがとうございます。その点は、今ははっきりお答えできません。
確かめて、◯日までに勉強会のチャットでお答えします。
分からないことを推測で答えるより、確かめて後で答えると約束するほうが信頼されます。言い方のほかの例は会議ですぐ答えられないときの言い方にまとめています。
質問が出ないとき
質問が出にくければ、よく聞かれることを一つご紹介します。
「◯◯の部署でも使えるか」とよく聞かれますが、◯◯の部分だけなら、どの部署でも試せます。
後からでも、チャットで気軽に聞いてください。
質問が多く、時間が足りないとき
たくさんご質問をいただき、ありがとうございます。
時間になりましたので、残りのご質問は勉強会のチャットでお受けします。
いただいた質問には、◯日までにお答えします。
発表の途中で時間が足りなくなったとき
時間が迫ってきたので、ここからは要点だけお話しします。
残りの詳しい内容は、資料の◯ページ以降にまとめています。
緊張・不安とのつきあい方
社内の勉強会は、社外での登壇に比べて聞き手が顔見知りで、練習の場として使いやすい場です。完璧な発表を目指すより、毎回「今日はこれだけ試す」を一つ決めると、気持ちが楽になり、回を重ねるごとに上達が実感できます。
| 今回の小さな目標の例 | うまくいったかの確かめ方 |
|---|---|
| 最初に聞き手に問いかけてみる | 反応を見て、話す深さを変えられたか |
| スライドを読み上げずに話す | 画面を見ずに聞き手のほうを向いていられたか |
| 実演を一つ入れる | 説明より早く伝わったか、聞き手の反応で確かめる |
| 質問を言い直してから答える | 答える前に一呼吸おけたか |
| 時間ちょうどに終える | タイマーで確かめる |
始めの一言と締めの一言だけは覚えておき、本題は資料の見出しを見ながら話せば十分です。準備のやり方はプレゼンで緊張しないための準備も参考にしてください。
発表前後のチェックリスト
前日までに
- 持ち帰ってほしいことを一文で言える
- 声に出して通し、持ち時間に収まることを確かめた
- 時間が足りないときに削る部分を決めた
- 想定される質問と答えを書き出した
- 社内・顧客の情報を載せてよいか確かめた
- 実演がうまく動かないときの画面の写真を用意した
当日、始まる前に
- 画面の共有、音声、マイクを試した(オンラインならチャットの見え方も)
- タイマーを手元に置いた
- 始めの一言と締めの一言を言える
発表の後に
- 主催者にお礼を伝えた
- 資料を約束した場所に置いた
- 当日答えられなかった質問に、約束した期限までに答えた
- 次の発表に生かす点を自分用にメモした
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 困ること | 直し方 |
|---|---|---|
| 伝えたいことを全部入れる | 時間が足りず、何が大事か伝わらない | 持ち帰ってほしいことを一つに絞る |
| スライドの文章を読み上げる | 聞き手が退屈し、内容が頭に残らない | スライドは要点だけにし、話で補う |
| 一般論ばかり話す | 自分の仕事に置き換えにくい | 自分の仕事でやったことを具体例にする |
| 練習で時間を計らない | 当日に時間を超え、質疑が取れない | 声に出して時間を計り、超えたら削る |
| 聞き手の知識を確かめずに話す | 易しすぎる、または難しすぎる | 最初に問いかけて、話す深さを決める |
| 実演を本番の操作だけに頼る | 動かないと話が止まる | 画面の写真を用意しておく |
| 答えられない質問に推測で答える | 後で間違いが分かり、訂正が必要になる | 確かめて後で答えると約束する |
| 社外の情報をそのまま載せる | 共有してはいけない情報が広がる | 載せてよい範囲を会社の決まりで確かめる |
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 気になる点 | こう言う |
|---|---|---|
| 準備不足で、つまらない話ですが | 聞く前から聞き手の気持ちを下げてしまう | 今日は◯◯について話します |
| 皆さんご存じだと思いますが | 知らない人が質問しにくくなる | 念のため、◯◯から簡単にお話しします |
| そんなことも知らないんですか | 質問した人を責めてしまう | ご質問ありがとうございます |
| ◯◯さんがおっしゃられた点ですが | 「おっしゃる」に「られる」を重ねている | ◯◯さんがおっしゃった点ですが |
| 拝見させていただいた資料によると | 「拝見」に「させていただく」を重ねている | 拝見した資料によると |
後日のフォロー(お礼・回答・訂正)
主催者へのお礼
◯◯さん
お疲れさまです。◯◯です。
昨日は発表の機会をいただき、ありがとうございました。
準備の段階で聞き手の様子を教えていただいたおかげで、話す内容を絞れました。資料は勉強会のフォルダに置いています。
当日答えられなかった質問に答える
勉強会に参加された皆さま
お疲れさまです。◯◯です。
昨日の勉強会で◯◯さんからいただいた「◯◯」というご質問について、確かめた結果をお送りします。
結論から言うと、◯◯です。詳しくは資料の◯ページに追記しました。
発表の内容に誤りがあったときの訂正とお詫び
勉強会に参加された皆さま
昨日の勉強会でお話しした◯◯について、一部誤りがありました。申し訳ありません。
誤:◯◯
正:◯◯
資料も直しておきましたので、ダウンロードした方は差し替えをお願いいたします。
注意
誤りに気づいたら、参加した人全員に、正しい内容と直した資料を届けます。アンケートを取った場合は、次の発表に生かす点を自分用に書き残しておくと、次回が楽になります。アンケート項目の例はセミナーのアンケートにまとめています。
この記事の要点
- 発表は聞き手が持ち帰ることを一つ決めてから組み立てる。
- ネタは自分の仕事で調べたこと・つまずいたことから探す。
- 今日のゴール→結論→自分の仕事の具体例→明日から試せること→質疑の順。
- スライドは要点だけにし、声に出して時間を計り、質疑の時間を残す。
- 問いかけや実演で聞き手を巻き込み、答えられない質問は後で答えると約束して必ず答える。
FAQ
よくある質問
最近自分で調べて解決したこと、時間がかかった作業、後輩や他部署からよく聞かれることを書き出してみてください。自分には当たり前でも、ほかの人には役立つことが多くあります。迷ったら主催者に、参加者の関心を聞いてみるのも方法です。
緊張をなくすより、緊張しても話せる準備をするほうが確実です。声に出して一度通しておくと、どこで詰まりやすいかが分かり、当日の不安が減ります。毎回「今日はこれだけ試す」という小さな目標を一つ決めておくのも効果があります。
持ち時間から、まず質疑の時間を引きます。残りを、ゴールと結論、具体例、明日から試せることに分け、具体例にいちばん多く時間を使います。実際にかかる時間は、声に出して計って確かめてください。
枚数より、一枚に一つのことを書くことを優先してください。声に出して練習し、持ち時間を超えるなら枚数を減らします。話す速さは人によって違うので、自分で計るのが確実です。
冒頭で「質問はチャットに書いてください」と伝え、区切りごとに「ここまでで分かりにくい点はありますか」と聞きます。反応が少なくても、最後にまとめて質問を受ける時間を取っておけば大丈夫です。
準備の時間をどう扱うかは、発表を仕事として頼まれたのか、自分から手を挙げたのかなどによって変わることがあります。自分で判断せず、準備を始める前に上司や主催者に確かめておくと安心です。
配られた資料をそのまま共有してよいかは、セミナーの主催者の決まりによります。自分が学んだことを自分の言葉でまとめて紹介し、出典を示すのが無難です。資料の転載が必要な場合は、主催者に確かめてください。