手順
プレゼンで緊張しないための準備
リハーサルのやり方と原稿の持ち方
プレゼンの前に緊張するのは、多くの人に起こることです。目指したいのは緊張をゼロにすることではなく、緊張していても最後まで話せる状態にしておくことです。やり方の要点は、話す順番を体で覚えるまで声に出して練習する、人前で一度通す、会場と機材を前もって確かめる、詰まったときに見るメモと言う言葉を決めておくの四つです。見本は、詰まったときに「失礼しました。もう一度申し上げます」と言って、手元のメモに戻ること。不安が強くて日常に差し支えるほどなら、無理をせず、上司や身近な人、専門の窓口に相談してください。スピーチの話し方やマイクの持ち方はスピーチの話し方のコツ、スピーチの暗記のしかたはスピーチを覚えるコツにまとめています。
結論
プレゼンの緊張への備えは①話す内容を固める ②声に出して通しで練習する ③人に聞いてもらう ④会場・機材を確かめる ⑤原稿(メモ)の持ち方を決める ⑥詰まったときの一言を決めるの六つです。原稿は全文を読み上げるためではなく、迷ったときに戻る場所として持ちます。
緊張に備える準備の手順
- 01
話す内容と順番を固める
各スライドで言うことを一文ずつ書き出します。直前まで内容を直し続けると、練習した話と食い違って迷いやすくなるので、前日までに固めます。
- 02
声に出して通しで練習する
頭の中で読むだけでなく、実際の速さで声に出して最初から最後まで話します。時間を計り、長すぎる所を削ります。
- 03
つまずく所だけを繰り返す
通しで話すと、言葉が出てこない所が分かります。そこだけ言い方を決め、何度か練習します。冒頭の数文と締めの言葉は、特に口になじむまで練習しておきます。
- 04
人前でリハーサルをする
同僚や上司に聞いてもらい、分かりにくい所や早口になった所を教えてもらいます。難しければ、自分の練習を録音・録画して聞き直すだけでも、気づくことがあります。
- 05
会場と機材を確かめる
会場の広さ、映す画面の位置、パソコンのつなぎ方、オンラインなら画面共有と音声を、できれば前日まで、遅くとも開始前に試します。
- 06
当日の流れを決めておく
会場に入る時刻、資料を開いておくタイミング、水を手元に置くかなど、当日の動きを決めておくと、直前に慌てずに済みます。
Point
冒頭の数文を言えれば、その後は流れに乗りやすくなります。話し始めが一番緊張するという人は多いので、名乗りと目的の一文は、何も見ずに言えるようにしておきましょう。
原稿・メモの持ち方
| 持ち方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 発表者用の画面(発表者ツールなど)にメモを表示 | 自分のパソコンで映すとき | 事前に表示を確かめる。会場によっては使えないこともある |
| 要点だけを書いたカード・メモ | 立って話すとき、手元に置けるとき | 一枚に要点の言葉だけ。全文は書かない |
| 印刷した資料に書き込む | 座って話す会議 | どこまで話したか分かるよう、話した所に印を付ける |
| 全文の原稿 | 言い間違えが許されない説明(数字・条件の読み上げ) | 読み上げる部分だけに使い、ほかは顔を上げて話す |
メモには、話す全文ではなく各スライドのキーワードと、話す順番、言い間違えたくない数字や名前を書きます。迷ったときに目で拾えるよう、文字は大きめにします。手で持つなら、持つ手を決め、めくる順に番号を振っておくと、落としても戻せます。
注意
スライドをめくりながら話すなら、スライドそのものがメモの役割もします。タイトルを結論の文で書いておくと、見ただけで次に言うことが思い出せます。作り方はプレゼン資料の作り方を見てください。
リハーサルで確かめること
- 持ち時間に収まっているか(質疑応答の時間を残して)
- 冒頭の名乗りと目的を、何も見ずに言えるか
- スライドを切り替えるとき、次に何を言うか迷わないか
- 早口になっていないか、語尾まで聞こえるか
- 想定される質問に、一文で答えられるか
- 画面共有・つなぎ替え・マイクなど、機材の操作に手間取らないか
- 時間が押したときに削る部分を決めてあるか
詰まったとき・困ったときに使える言い方(場面別)
言葉が出てこなくなったとき
失礼しました。いま一度、要点を申し上げます。
この取り組みで目指すのは、◯◯の手間を減らすことです。
注意
詰まったら、メモを見て、ひと呼吸おいてから話し直して構いません。聞き手は思ったほど気にしていないことが多いものです。
言い間違えたとき
失礼しました。◯月と申しましたが、正しくは◯月です。
スライドの順番を飛ばしてしまったとき
失礼しました。一枚戻ります。先にこちらの◯◯をご説明します。
機材の不具合で映らないとき
申し訳ありません、画面が映らないようですので、少しお時間をいただけますか。
(直らないとき)お配りしている資料の◯ページをご覧いただきながら、ご説明します。
配布資料を用意しておくと、映らないときにも話を続けられます。オンラインなら、資料を先にメールで送っておくと同じ備えになります。
思っていない質問が来たとき
ご質問ありがとうございます。その点はいま確かなことが申し上げられませんので、確認して◯日までにお返事します。
時間が足りなくなりそうなとき
時間の都合で、ここからは要点だけお話しします。詳しくは資料の◯ページをご覧ください。
よくある失敗と直し方
| よくある失敗 | 困ること | 直し方 |
|---|---|---|
| 頭の中で読むだけで練習を終える | 声に出すと詰まり、時間も読めない | 実際の速さで声に出して通す |
| 全文を暗記しようとする | 一か所忘れると続きが出てこない | 順番と要点だけを覚え、言い回しは毎回少し違ってよいとする |
| 原稿を読み上げ続ける | 聞き手の顔を見られず、棒読みになる | メモは要点だけにし、迷ったときだけ見る |
| 直前まで資料を直し続ける | 練習した話と資料が食い違う | 前日までに固め、当日は直さない |
| 機材の確認を当日に回す | つながらずに開始が遅れ、さらに焦る | 前もって試し、つなぎ方をメモしておく |
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 気になる点 | こう言う |
|---|---|---|
| すみません、緊張してしまって…… | 聞き手が気をつかい、内容に集中できない | (言わずに)失礼しました。もう一度申し上げます |
| えっと、あの、何だっけ | 準備不足に見える | ひと呼吸おいて、メモを見てから話す |
| うまく説明できなくてすみません | 内容まで頼りなく聞こえる | 要点を申し上げると、◯◯です |
| 先ほど部長がおっしゃられたとおり | 「おっしゃる」に「られる」を重ねた二重敬語 | 先ほど部長がおっしゃったとおり |
後日のフォロー(お礼・お詫び)
リハーサルに付き合ってくれた人へのお礼
◯◯さん
昨日はリハーサルを聞いていただき、ありがとうございました。
教えていただいた冒頭の言い方に変えたところ、本番は落ち着いて話し始められました。
当日、説明が分かりにくかったことのお詫びと補足
◯◯部長
お疲れさまです。◯◯部の◯◯です。
本日の会議では、◯◯の説明が分かりにくくなってしまい、失礼しました。
要点を改めてまとめましたので、お手すきの際にご確認いただけますと幸いです。
・◯◯
・◯◯
機材の不具合で開始が遅れたことのお詫び
皆さま
本日は機材の不具合で開始が遅れ、申し訳ありませんでした。
当日の資料を添付しますので、映せなかった部分はこちらでご確認ください。
この記事の要点
- 目標は緊張をなくすことではなく、緊張しても話せる準備をすること。
- 声に出して通しで練習し、つまずく所を繰り返す。
- 冒頭の名乗りと目的は何も見ずに言えるようにする。
- 原稿は全文ではなく要点のメモ。迷ったときに戻る場所として持つ。
- 詰まったときの一言「失礼しました。もう一度申し上げます」を決めておく。
FAQ
よくある質問
決まった回数はありません。目安にしたいのは回数より、冒頭と締めを何も見ずに言えるか、持ち時間に収まるか、つまずく所がなくなったかです。少なくとも一度は、本番と同じ速さで声に出して通しておきましょう。
持つこと自体は問題ありません。ただ、全文を読み上げ続けると聞き手の顔を見られなくなるので、原稿は要点だけにして、数字や条件など間違えられない部分だけを読むのがおすすめです。
暗記すると安心できる人もいますが、一か所忘れると続きが出てこなくなることがあります。話す順番と要点を覚え、言い回しは多少変わってもよいと考えるほうが、詰まったときに立て直しやすくなります。
画面共有と音声を前もって試し、発表者用のメモを別の画面か紙に用意します。聞き手の顔が見えにくいので、区切りごとに質問がないか声をかけると、話の間も取りやすくなります。
手が震えるなら、メモを机に置いたり、両手で持ったりすると目立ちにくくなります。声は、最初の一文をゆっくり言うことを意識します。人前に出るのがつらく、日常生活にも差し支えるほどの不安があるときは、一人で抱え込まず、身近な人や専門の窓口に相談してください。