メール
値下げの断りメール
値引き依頼への返信と代案の例文
結論:値下げのお願いを断るメールは、相手が示した回答期限までに、できるだけ早く返します。書く項目は①相談へのお礼 ②応じられないという結論 ③理由 ④代わりにできること ⑤今後もお付き合いを続けたい一言の5つです。結論をぼかすと相手は次の判断ができないので、「お応えすることが難しい状況です」とはっきり書いたうえで、代案を添えるのが角を立てないこつです。そのまま使える短い例文はこちらです。
「このたびはご相談いただき、ありがとうございます。社内で検討いたしましたが、現在のお見積は必要な作業と材料を積み上げた金額となっており、大変心苦しいのですが、これ以上の値下げにはお応えいたしかねます。作業範囲を一部見直すことで金額を抑える案はご提案できますので、ご希望があればお知らせください。」
この記事では、全面的に断る・一部だけ応じる・条件付きで応じる・回答を保留するの4つの型ごとに、そのまま差し替えて使える例文を16通り載せています。依頼する側の書き方は値下げ交渉のお願いメールにまとめています。
結論
値下げを断るメールはお礼 → 結論 → 理由 → 代案 → 結びの順に書きます。理由は品質・作業量・材料費など、相手が納得しやすい自社側の事情にとどめ、相手の予算や判断を責める書き方はしません。全面的に断るのか、一部だけ・条件付きで応じるのかを、送る前に社内で決めておきます。
まず決める:断り方の4つの型
メールを書く前に、どこまでなら応じられるかを社内で決めます。型が決まれば、あとは下の例文を差し替えるだけです。
| 型 | 向いている場面 | メールに書くこと | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 全面的に断る | すでに下げられない金額で出している | 結論・理由・別の形でできること | 理由を短くし、言い訳を重ねない |
| 一部だけ応じる | 少しなら下げられる余地がある | 応じられる金額と、それが上限であること | 「これが精一杯」と明記し、再交渉の余地を残さない |
| 条件付きで応じる | 数量・納期・仕様を変えれば下げられる | 条件と、その条件での金額 | 条件は箇条書きにし、修正見積を添える |
| 回答を保留する | 担当者だけで判断できない | 受け取ったことと、回答する日 | 決めた日までに必ず返事をする |
件名の付け方
| 場面 | 件名の例 |
|---|---|
| 相手のメールに返信する | Re:◯◯のお見積についてのご相談 |
| 改めて回答を送る | ◯◯のお見積金額についてのご回答(株式会社△△) |
| 条件付きで応じる | ◯◯のお見積についてのご回答と再提案 |
| 継続取引の単価見直しへの返事 | ◯◯の単価についてのご回答 |
| 一律の値下げ要請への返事 | お取引価格の見直しのご依頼についてのご回答 |
Point
件名に「お断り」と入れる必要はありません。「ご回答」とするほうがやわらかく、本文で結論を伝えれば十分です。相手のメールに返信する形にすると、どの相談への返事かが分かりやすくなります。
理由の書き方(そのまま使える言い回し)
理由は一つか二つに絞り、自社側の事情として書きます。原価や利益の内訳まで出す必要はありません。
| 理由の種類 | 使える言い回し |
|---|---|
| 品質を守るため | 品質を保つために必要な工程を積み上げた金額となっております |
| 材料費・仕入れ値の上昇 | 原材料の仕入れ価格が上がっており、現在の価格を維持するのが精一杯の状況です |
| 人件費・作業量 | ご依頼の内容に必要な作業時間と人員をもとに算出しております |
| すでに勉強した金額 | 今回のお見積は、当初から最大限勉強させていただいた金額でご提示しております |
| ほかの取引先との公平 | ほかのお取引先様と同じ基準で価格を定めております |
| 社内の決まり | 社内の規定により、これ以上の値引きはいたしかねる状況です |
前に置くクッション言葉は「大変恐縮ですが」「心苦しいのですが」「誠に申し訳ございませんが」「ご期待に沿えず残念ですが」などです。一通の中で同じ言葉を繰り返さないようにします。
送る前のチェックリスト
- 冒頭で相談・検討してもらったことへのお礼を書いたか
- 応じられない(または一部だけ応じる)という結論がはっきり書いてあるか
- 理由は自社側の事情(品質・作業量・材料費など)として書いたか
- 仕様・数量・納期・支払条件など代わりにできることを示したか
- 条件付きで応じるなら、その条件と金額を具体的に書いたか
- 金額・数量・日付を見積書と照らし合わせたか
- 今後もお付き合いを続けたいという一言で結んだか
- 回答の内容を上司・営業責任者に確認したか(会社の決まりに従う)
場面別の例文
全面的に断る(基本の形・初めての相手)
件名:Re:◯◯制作のお見積について(ご相談)
株式会社◯◯
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
お見積についてご検討いただき、ありがとうございます。
ご相談いただいた金額について社内で検討いたしましたが、今回のお見積は品質を保つために必要な作業を積み上げた金額となっており、これ以上のお値引きは難しい状況です。
ご期待に沿えず、大変申し訳ございません。
ご予算に合わせて作業範囲を見直す案であれば、ご提案が可能です。
ご希望の際はお気軽にお申し付けください。
「◯%の値引き」を求められた商品の納入価格を断る
件名:Re:◯◯の納入価格についてのご相談
株式会社◯◯
購買部 ◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびは、◯◯の納入価格を◯%お値下げいただきたいとのご相談をいただき、ありがとうございます。
社内で検討いたしましたが、原材料の仕入れ価格が上がっているなかで、現在の価格を維持することが精一杯の状況です。
誠に申し訳ございませんが、今回のご要望にはお応えいたしかねます。
ご注文の単位や配送の回数を見直すことで、貴社のご負担を軽くできる方法がないか、改めてご提案させていただければ幸いです。
今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。
継続取引先からの単価見直しを断る
件名:◯◯の単価についてのご回答
株式会社◯◯
◯◯様
いつも大変お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日は単価についてご相談いただき、ありがとうございました。
貴社のご事情は十分に承知しており、社内でも慎重に検討いたしました。
しかしながら、材料費や人件費の上昇が続いており、現在の単価を下げることは、品質を保つうえで難しいと判断いたしました。
長年お取引いただいているにもかかわらず、ご希望にお応えできず心苦しく存じます。
ご発注の時期をまとめていただくなど、別の形でお役に立てる方法がないか、引き続き検討いたします。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
取引先全社への一律の値下げ要請を断る
件名:お取引価格の見直しのご依頼についてのご回答
株式会社◯◯
◯◯部 ◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日いただいた、お取引先様への一律のお取引価格見直しのご依頼について、ご回答いたします。
貴社のご方針は理解しており、弊社としてもできる限りご協力したいと考え、社内で検討を重ねました。
しかしながら、弊社がお納めしている◯◯は、すでに材料と工程を見直したうえでの価格となっており、これ以上の引き下げは品質に関わるため難しいと判断いたしました。
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません。
価格以外の面で、貴社のお役に立てることがございましたら、ぜひご相談ください。
何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
卸・小売の取引先から仕入れ値の引き下げを求められたとき
件名:Re:◯◯の仕入れ価格についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
日頃より弊社の商品をお取り扱いいただき、ありがとうございます。
仕入れ価格についてのご相談、社内で検討いたしました。
現在の卸価格は、ほかのお取引先様と同じ基準で定めており、貴社だけ引き下げることは難しい状況です。
ご要望にお応えできず申し訳ございません。
販促用の資料やサンプルのご用意など、売り場づくりのお手伝いでしたら、ご相談に応じられます。
引き続きよろしくお願いいたします。
一部だけ応じる
件名:Re:◯◯のお見積についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご相談いただき、ありがとうございます。
社内で検討いたしましたが、ご希望の◯円までのお値引きは難しく、◯円とさせていただくのが精一杯でございます。
ご希望に届かず申し訳ございませんが、ご検討いただけますと幸いです。
条件付きで応じる(数量・納期)
件名:◯◯のお見積についてのご回答と再提案
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日のご相談について、ご回答いたします。
現在の条件のままでのお値引きは難しいのですが、以下の条件であれば、◯円でお引き受けできます。
・ご発注数を◯個以上にしていただく
・納期を◯月◯日(◯)としていただく
修正したお見積書を添付いたしましたので、ご確認をお願いいたします。
値下げの代わりにサービスを付ける
件名:Re:◯◯のお見積についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご相談いただき、ありがとうございます。
お見積の金額を下げることは難しいのですが、同じ金額のまま、◯◯(例:納品後の修正対応、操作説明会の実施)をお付けすることはできます。
ご予算の範囲で、より多くの内容をお届けできればと考えております。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
代案は相手が選べる形で出すと、「断られた」という印象が薄れます。仕様を減らす案、数量を増やす案、納期を延ばす案、同じ金額で内容を足す案など、自社が無理なく出せるものを並べます。
イベント・制作の見積を値下げしてほしいと言われたとき
件名:Re:◯◯イベント運営のお見積について
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
お見積をご確認いただき、ありがとうございます。
ご予算についてのご事情、承知いたしました。
ただ、当日の安全な運営に必要な人員と機材を見込んだ金額のため、同じ内容のままでのお値引きは難しい状況です。
演出の一部を簡略にする、会場の設営を貴社でご担当いただくなどの形であれば、金額を抑えた案をお出しできます。
見直し案をお作りしてもよろしいでしょうか。
二度目の値下げ依頼を、改めて断る
件名:Re:◯◯のお見積について(再度のご相談)
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
重ねてのご相談、ありがとうございます。
先日お伝えした◯円は、社内で検討を重ねたうえでの金額であり、これ以上の調整は難しい状況です。
何度もご相談いただいているなか、お応えできず心苦しく存じますが、ご理解いただけますと幸いです。
ご発注いただけました際には、責任を持って対応いたします。
注意
二度目は理由を言い直さず、前回の結論が変わらないことを短く伝えます。説明を増やすほど、まだ交渉の余地があるように受け取られます。
すぐに結論が出せないとき(いったん受け止める)
件名:Re:◯◯のお見積についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご相談いただき、ありがとうございます。
お見積の金額について社内で確認いたしますので、◯月◯日(◯)までお時間をいただけますでしょうか。
確認でき次第、改めてご連絡いたします。
注意
金額の判断を担当者一人でできない場合は、まず受け取ったことと回答の日を伝えます。返事がないまま期限を過ぎると、断る以上に印象が悪くなります。
急ぎで返事をする(短い形)
件名:Re:【◯月◯日までにご回答のお願い】◯◯のお見積についてのご相談
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
取り急ぎご回答いたします。
大変恐縮ですが、今回のお見積からのお値引きは難しい状況です。
作業範囲を見直す案であればご提案できますので、必要でしたらお知らせください。
個人で仕事を受けていて、発注者に断る
件名:Re:◯◯のご依頼金額について
◯◯様
お世話になっております。□□です。
ご相談いただき、ありがとうございます。
今回の金額は、ご依頼の内容に必要な作業時間をもとにお出ししたもので、大変申し訳ないのですが、お値引きは難しい状況です。
ご予算に合わせて、納品物の点数を◯点に絞る形でしたらお受けできます。
ご検討いただけますと幸いです。
回答の金額を訂正する
件名:【訂正】◯◯のお見積についてのご回答
◯◯様
度々申し訳ございません。株式会社△△の□□です。
先ほどのご回答で、お値引き後の金額を誤って記載しておりました。
誤:◯円
正:◯円
大変失礼いたしました。お見積書も正しい金額のものを添付いたします。
断った後のフォロー
それでも発注してもらえたときのお礼
件名:◯◯のご発注のお礼
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびは、ご希望に沿えなかったにもかかわらず、ご発注いただき誠にありがとうございます。
ご期待にお応えできるよう、精一杯務めてまいります。
見送りの連絡を受けたときの返事
件名:Re:◯◯のお見積について
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
ご連絡いただき、ありがとうございます。
今回はご希望にお応えできず、申し訳ございませんでした。
また機会がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 理由 | 言い換え |
|---|---|---|
| 無理です/できません | 突き放した印象になる | お応えすることが難しい状況です |
| その金額では赤字になります | 自社の内情を前面に出しすぎる | 品質を保つために必要な費用を積み上げた金額です |
| ご予算が少なすぎます | 相手の判断を責めている | ご予算に合わせた別の案をご提案いたします |
| 検討させていただきます(と書いたまま返事をしない) | 断りなのか保留なのか分からない | ◯月◯日までに改めてご回答いたします |
| 他のお客様にも同じ価格でお願いしております | 他の取引先を引き合いに出す | ほかのお取引先様と同じ基準で価格を定めております |
| 前向きに検討いたします(応じる気がない場合) | 期待させてから断ることになる | 今回は難しいと判断いたしました |
「お応えいたしかねます」「難しい状況です」は、断りをやわらかく伝える言い方です。「あいにく」を添える使い方は「あいにく」の意味と使い方、依頼全般の断り方はお断りメールの例文を見てください。
よくある失敗と防ぎ方
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 結論を最後まで書かない | 相手が断られたのか分からず、再び問い合わせが来る | 本文の前半で「難しい状況です」と書く |
| 理由を長く書く | 言い訳に見え、反論の材料にもなる | 理由は一つか二つ、一文ずつにする |
| 担当者がその場で金額を約束する | 社内の決まりと食い違い、訂正が必要になる | 保留の返事をして、社内で確認してから回答する |
| 代案の条件があいまい | あとで「その条件ではない」と行き違う | 数量・納期・内容を箇条書きにし、修正見積を添える |
| 期限を過ぎてから返す | 断りの内容以上に印象が悪くなる | 結論が出ないときは回答の日を先に伝える |
| 電話だけで断る | 伝えた条件が残らない | 電話のあとに同じ内容をメールで送る |
費用が上がって価格を見直したいとき
値下げを断るだけでなく、費用の上昇を理由にこちらから価格の協議を求めたい場面もあります。昭和31年法律第120号(現行の題名は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)第5条第2項第4号は、委託事業者が中小受託事業者の利益を不当に害してはならない行為として、「中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、当該協議に応じず」一方的に代金の額を決定することを挙げています(e-Gov 法令検索)。
Point
この規定が自社の取引に当たるかは、取引の内容と双方の会社の区分によって決まります。判断は社内の担当部署に確認し、会社の決まりに従ってください。価格を上げるときの通知の書き方は価格改定(値上げ)のお知らせにまとめています。
この記事の要点
- 値下げの断りは相手の期限までに、できるだけ早く返す。
- お礼 → 結論 → 理由 → 代案 → 結びの順に書く。
- 書く前に全面的に断る・一部・条件付き・保留のどれにするか社内で決める。
- 結論はぼかさず「お応えすることが難しい状況です」とはっきり書く。
- 代案は仕様・数量・納期・同じ金額で内容を足すなど、相手が選べる形で出す。
- 二度目の依頼には前回の結論が変わらないことを短く伝える。
FAQ
よくある質問
「品質を保つために必要な作業を積み上げた金額です」「材料費が上がっています」など、相手が納得しやすい範囲で書けば十分です。原価や利益の内訳まで書く必要はありません。自社の内情を細かく出すと、かえって交渉の材料にされることがあります。
必ずではありませんが、添えるほうが関係を保ちやすくなります。仕様を減らす、数量をまとめる、納期を延ばす、同じ金額で内容を足すなど、自社が無理なく出せる案がある場合は書いておきます。出せる案がない場合は、「今後とも変わらぬお付き合いのほど」と関係を続けたい気持ちを添えて結びます。
失礼にはなりません。「いたしかねる」は「することができない」をへりくだって言う表現です。前に「大変恐縮ですが」「心苦しいのですが」を置くと、よりやわらかくなります。
相手のメールで使われている言葉に合わせると行き違いがありません。見積金額から差し引く話なら「お値引き」、単価や価格そのものを下げる話なら「値下げ」「価格の引き下げ」と書き分けると、何についての回答かがはっきりします。
前回の結論が変わらないことを、理由を言い直さずに短く伝えます。説明を重ねると交渉の余地があるように受け取られます。取引を続けるかどうかの判断が必要な段階であれば、上司や営業責任者に相談してください。
断る前に、一部だけ応じる、条件付きで応じるなど、どこまでなら出せるかを社内で決めておくと、返事に迷いません。どこまで応じるかは会社の判断なので、上司や営業責任者に確認し、会社の決まりに従ってください。
その場で金額を約束せず、「社内で確認して、◯日までにご回答いたします」と伝えて電話を終えます。回答はメールで送ると、条件が文字で残り、行き違いを防げます。