挨拶
年頭所感 例文
社長・役員の年頭挨拶の文章と業種別の書き出し
年頭所感は、「新年の挨拶 → 前年のお礼と振り返り → 今年の方針 → 読み手への呼びかけ → 結び」の順に書けばまとまります。書き出しは「新年おめでとうございます。年頭にあたり、ひと言ご挨拶申し上げます。」、結びは「本年が皆さんにとって実り多い一年となることを願い、年頭の挨拶といたします。」が使いやすい形です。いちばん大事なのは、今年の方針を一つか二つに絞ること。このページでは、社内報向けとWebサイト掲載向けの全文の例文、業種別の書き出し、状況別(厳しい一年の後・周年・新社長)の例文、避けたい表現をまとめました。年始に口頭で話す挨拶は仕事始めの挨拶 例文にあります。
結論
年頭所感(ねんとうしょかん)は、年のはじめにあたって、経営者や団体の代表が前の年を振り返り、新しい年の考えや方針を述べる文章です。社内報・社内ポータル・会社のWebサイト・業界紙などに載せます。仕事始めの式で話す「年頭の挨拶」を、そのまま文章にして載せることもあります。
すぐ使える短い年頭所感(そのまま使える形)
まず全体の形をつかめるよう、短くまとめた例です。◯の部分を自社の言葉に置き換えれば、そのまま社内ポータルや社内メールに載せられます。
新年おめでとうございます。
昨年は、◯◯の立ち上げをはじめ、多くの取り組みに力を尽くしていただき、ありがとうございました。
今年は「◯◯」を全社の方針とし、とくに◯◯に力を入れていきます。
一人ひとりの工夫が会社の力になります。健康に気をつけて、共に良い一年にしていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
Point
方針は一つか二つ。年頭所感は一年を通じて読み返されることがあります。たくさん並べるより、社員が覚えて口にできる言葉にしておくほうが伝わります。
年頭所感の構成と書き方
| 順番 | 書くこと | 書き方のこつ |
|---|---|---|
| ① 新年の挨拶 | 新年を祝う言葉 | 「新年おめでとうございます」「謹んで新春のお慶びを申し上げます」など。社外向けは改まった形に |
| ② お礼と振り返り | 前の年の出来事と、社員・お客様・取引先へのお礼 | 出来事は二つか三つに絞り、誰のおかげかを具体的に書く |
| ③ 今の状況 | 会社を取り巻く環境、課題の認識 | 不安をあおらず、「だからこうする」につながる書き方に |
| ④ 今年の方針 | 今年いちばん力を入れること | 一つか二つ。スローガンがあれば「 」でくくって示す |
| ⑤ 呼びかけ | 読み手にお願いしたいこと、期待していること | 社内なら行動のお願い、社外なら引き続きのお付き合いのお願い |
| ⑥ 結び | 健康や一年の実りを願う言葉 | 「本年もよろしくお願いいたします」で締めると座りがよい |
社内報向けとWebサイト向けの書き分け
| 項目 | 社内報・社内ポータル | Webサイト・業界紙(社外向け) |
|---|---|---|
| 読み手 | 社員(とその家族が読むこともある) | お客様・取引先・株主・求職者など |
| 呼びかけ | 「皆さん」 | 「皆様」 |
| お礼の相手 | 社員の働きへのお礼 | 日頃のお引き立てへのお礼 |
| 書いてよい内容 | 社内の取り組み・部署の名前・社内の目標 | 公表してよい情報だけ。社内の数字や未発表の計画は書かない |
| 文体 | です・ます。話しかける調子でもよい | です・ます、または改まった書き言葉 |
| 結び | 「共に頑張りましょう」など | 「本年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」など |
注意
社内報に載せる、社員一人ひとりの自己紹介や異動の挨拶文は社内報の挨拶文 例文にまとめています。原稿の文字数を数えるなら文字数カウント、同じ原稿を式で読み上げるならスピーチの長さの目安ツールで読む時間を確かめられます。
業種別の書き出し(②〜③の部分)
新年の挨拶のすぐ後に続ける、振り返りと状況の部分の書き出しです。業種に合う一文を選んで、自社の出来事に置き換えてください。
| 業種 | 書き出しの例 |
|---|---|
| 製造業 | 昨年は、原材料の調達に苦労する場面もありましたが、皆さんが品質と納期を守り抜いてくれたおかげで、お客様からの信頼を保つことができました。 |
| 建設業 | 昨年も、各現場で大きな事故なく工事を終えることができました。安全を最優先に、日々の確認を積み重ねてくれた皆さんに、心から感謝します。 |
| IT・ソフトウェア | 昨年は、◯◯の新しい版を世に出し、多くのお客様に使っていただけるようになりました。開発・営業・サポートが一体となって取り組んだ成果です。 |
| 小売業 | 昨年は、店頭とネットの両方でお客様との接点を広げることができました。忙しい売り場を支えてくれた皆さんに、お礼を申し上げます。 |
| 飲食業 | 昨年も多くのお客様にご来店いただきました。毎日の仕込みと接客を丁寧に続けてくれた、店舗と本部の皆さんのおかげです。 |
| 医療・介護 | 昨年も、利用者の皆様とご家族の暮らしを支えるため、職員一人ひとりが力を尽くしてくれました。現場の皆さんの献身に、深く感謝いたします。 |
| 物流・運輸 | 昨年も、繁忙期を含めて荷物を確実にお届けすることができました。安全運転と丁寧な仕事を続けてくれた皆さんに感謝します。 |
| 不動産・住宅 | 昨年は、◯◯の物件を通じて、多くのお客様の新しい暮らしの始まりに立ち会うことができました。 |
| サービス業(BtoB) | 昨年は、お客様の課題に寄り添う提案を重ね、長くお付き合いいただける関係を広げることができました。 |
| 団体・組合 | 昨年は、会員の皆様のご協力のもと、◯◯の事業を予定どおり進めることができました。 |
注意
業界全体の動向(市場の伸びや業界の数字など)を書く場合は、出典を確かめてから載せます。確かめられないことは、自社が感じている実感として「◯◯という声を多く聞きました」程度にとどめると安全です。
立場・掲載先・状況別の例文
① 社長の年頭所感(社内報・全文)
新年おめでとうございます。
皆さん、そしてご家族の皆さんも、穏やかな新年を迎えられたことと思います。
昨年は、◯◯の立ち上げと、◯◯の拠点の開設という、二つの大きな取り組みがありました。慣れない仕事が続くなか、部署の垣根を越えて助け合ってくれた皆さんのおかげで、どちらも形にすることができました。あらためてお礼を申し上げます。
一方で、お客様の求めるものは年々変わり、これまでのやり方だけでは応えきれない場面も増えています。そこで今年は、「◯◯」を全社の方針に掲げます。具体的には、お客様の声を聞く機会を増やすこと、そして社内の手続きを見直し、お客様に向き合う時間をつくることの二つに力を入れます。
新しいことを始めるときは、うまくいかないこともあります。失敗を責めるより、そこから何を学んだかを共有できる会社でありたいと考えています。気づいたことがあれば、遠慮なく声を上げてください。
本年が皆さんにとって実り多い一年となることを願い、年頭の挨拶といたします。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
令和◯年元旦
株式会社◯◯ 代表取締役社長 ◯◯◯◯
② 社長の年頭所感(Webサイト・社外向け)
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
旧年中は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
昨年、当社は◯◯の提供を始め、多くのお客様にご利用いただくことができました。これもひとえに、皆様のご支援の賜物と深く感謝しております。
本年は「◯◯」を掲げ、お客様の声をこれまで以上に製品とサービスに生かしてまいります。また、地域の皆様とのつながりを大切にし、◯◯を通じて地域に貢献できる会社を目指してまいります。
皆様のご期待に応えられるよう、社員一同、一層努めてまいります。
本年も変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
皆様のご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。
令和◯年一月
株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯◯◯
③ 役員・事業部長の年頭所感(部門の社内報)
新年おめでとうございます。◯◯事業部の◯◯です。
昨年は、◯◯の大型案件を、チームの力で納期どおりに仕上げることができました。休日の対応も含め、支えてくれた皆さんに感謝しています。
今年の事業部の目標は、社長の示した「◯◯」の方針を受けて、「◯◯」とします。まずは、案件ごとの振り返りを必ず行い、うまくいったやり方を事業部全体で使えるようにしていきます。
私自身も、現場に足を運ぶ機会を増やし、皆さんの声を直接聞くつもりです。今年もよろしくお願いします。
④ 小さな会社・店の年頭所感(社内掲示・メール)
新年おめでとうございます。
昨年も一年間、本当にお疲れさまでした。少ない人数で、たくさんのお客様に対応してくれたことに感謝しています。
今年は、無理をしない働き方と、常連のお客様を大切にすることの二つを心がけたいと思います。困ったことがあれば、いつでも相談してください。
今年もよろしくお願いします。
⑤ 厳しい一年の後の年頭所感(社内報)
新年おめでとうございます。
昨年は、◯◯の影響を受け、当社にとって厳しい一年となりました。思うような結果が出ないなかでも、目の前のお客様に誠実に向き合い続けてくれた皆さんに、心からお礼を申し上げます。
今年は立て直しの年です。方針はただ一つ、「◯◯」です。手を広げるのではなく、当社の強みである◯◯に力を集め、一つひとつのお客様との取引を大切にしていきます。
苦しいときこそ、情報を隠さず、早めに相談し合える職場でありたいと考えています。私も状況をできる限り皆さんに伝えていきます。
共にこの一年を乗り越えていきましょう。本年もよろしくお願いいたします。
注意
厳しい年の年頭所感では、責任を社員に向けないことと、何をするのかを具体的に示すことが大切です。原因の説明を長く書くより、今年の打ち手を短く示すほうが読み手に届きます。
⑥ 創業◯周年を迎える年の年頭所感
新年おめでとうございます。
当社は今年、創業◯周年を迎えます。創業以来、多くのお客様と取引先の皆様、そして歴代の社員の皆さんに支えられて、この節目を迎えられることに深く感謝しています。
節目の年は、これまでを振り返るだけでなく、次の時代に何を残すかを考える年でもあります。今年は「◯◯」を掲げ、次の◯年を担う若い社員の皆さんの挑戦を、会社として後押ししていきます。
記念の行事も予定しています。皆さんと一緒に、この節目を祝えることを楽しみにしています。本年もよろしくお願いいたします。
注意
周年の式典で読む挨拶は周年の挨拶 例文にまとめています。
⑦ 新しく社長に就任して初めての年頭所感
新年おめでとうございます。
昨年◯月に社長に就任してから、初めての新年を迎えました。この間、各拠点を回り、多くの皆さんと話をすることができました。どの職場でも、お客様のために工夫を重ねる姿に触れ、この会社の力を改めて感じています。
前社長が築いてきた◯◯を大切に受け継ぎながら、今年は「◯◯」に取り組みます。まだ至らない点も多い私ですが、皆さんの声に耳を傾け、共に考えながら進めていきます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
⑧ 短い版(社内ポータルの一言・年賀メールの冒頭)
新年おめでとうございます。昨年の皆さんの頑張りに感謝します。今年は「◯◯」を合言葉に、お客様に選ばれ続ける一年にしましょう。本年もよろしくお願いします。
注意
年明けに全社や部署へ送る一斉メールの文面は仕事始めの社内一斉メール 例文にあります。方針に添える四字熟語を探すなら温故知新の意味と使い方、方針の説明でよく使う「念頭に置く」(「年頭」とは別の言葉)の使い方は念頭に置くの意味と使い方も参考になります。
よくある失敗と避けたい表現
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 今年の方針を五つも六つも並べる | どれが大事なのか伝わらず、覚えてもらえない | 一つか二つに絞り、残りは部門の計画で伝える |
| 「新年あけましておめでとうございます」 | 「新年」と「あけまして」が重なると気にする人もいる(気にしない人も多い) | 文書では「新年おめでとうございます」「あけましておめでとうございます」のどちらかにするのが無難 |
| (社外向けに)「皆さん、今年も頑張りましょう」 | 社内向けの調子のままで、読み手に合わない | 「本年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」 |
| (社外向けに)社内の売上目標や未発表の計画を書く | 公表してよい情報か確認が必要 | 公表済みの内容だけにし、広報や法務の確認を通す |
| 前の年の失敗を、部署や個人を名指しで責める | 読んだ社員の意欲が下がる | 「会社として」の反省にし、今年の打ち手を示す |
| 成果の自慢だけで終わる | 読み手が自分ごとにしにくい | 誰のおかげかを書き、今年のお願いにつなげる |
| 年賀の文面で「去年」と書く | 「去る」の字を年賀の場で避ける人もいる | 「昨年」「旧年」と書く |
注意
「本年」「今年」はどちらを使っても問題ありません。社外向けの改まった文では「本年」、社内向けの話しかける文では「今年」を使うと調子がそろいます。
公開前のチェックリスト
- 今年の方針が一つか二つに絞れている
- 読み手(社内か社外か)に合わせて「皆さん」「皆様」を使い分けている
- 前の年の出来事に、誰へのお礼かが書かれている
- 社外向けに、公表していない数字や計画が入っていない
- 業界の動向などの記述は、出典を確かめた内容だけになっている
- 日付(令和◯年元旦・一月など)と肩書き・氏名が正しい
- 会社名・商品名・人名の表記が社内の決まりどおり
- 社長本人が読んで、自分の言葉だと思える文になっている(代筆の場合)
この記事の要点
- 年頭所感は「新年の挨拶→お礼と振り返り→今の状況→今年の方針→呼びかけ→結び」の順。
- 今年の方針は一つか二つに絞る。
- 社内報は「皆さん」、Webサイトは「皆様」。社外向けは公表済みの内容だけ。
- 業種に合う書き出しで、自社の出来事とお礼を具体的に書く。
- 厳しい年ほど、責任を社員に向けず、打ち手を具体的に示す。
FAQ
よくある質問
年のはじめに、経営者や団体の代表が前の年を振り返り、新しい年の考えや方針を述べる文章です。社内報・社内ポータル・会社のWebサイト・業界紙などに掲載します。
大きな違いはありません。一般に、式や朝礼で話すものを「年頭の挨拶」、文章として掲載するものを「年頭所感」と呼ぶことが多いです。仕事始めの式で話した挨拶を整えて、年頭所感として社内報に載せる会社もあります。
社内向けなら「新年おめでとうございます」、社外向けなら「謹んで新春のお慶びを申し上げます」が使いやすい書き出しです。続けて前の年のお礼と振り返りを書きます。
社内向けは「本年が皆さんにとって実り多い一年となることを願い、年頭の挨拶といたします」、社外向けは「本年も変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます」などがよく使われます。
決まりはありません。社内報なら一ページに収まる量、Webサイトなら画面を何度もスクロールしなくても読み終えられる量を目安にすると読みやすくなります。式で読む場合は、読み上げる時間から逆算して長さを決めます。
広報や秘書の担当者が下書きをする会社は少なくありません。その場合も、方針の言葉は社長本人と相談して決め、最後に本人が読んで自分の言葉として納得できる文にしておくことが大切です。