ビジネスの慣用句
念頭に置くの意味とは?
使い方・例文30と言い換え
「念頭に置く」は、いつも心にかけて、考えや行動の前提にしておくことです。読み方は「ねんとうにおく」。使った一文は「予算の上限を念頭に置いて、プランを考えます。」。自分の行動として言うなら上司や取引先にも使えますが、目上の人に「念頭に置いてください」と求めるのは避けます。このページでは、場面別の例文30とメールのテンプレート、言い換えの違い、英語、間違えやすい形をまとめました。
結論
「念頭に置く」は、ある事柄を心にとどめ、判断や作業のあいだ前提として意識し続けることを表す慣用句です。「◯◯を念頭に置いて」「◯◯を念頭に置きながら」「◯◯を念頭に置き、」の形でよく使います。
まず結論:30秒でわかる「念頭に置く」
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 意味 | いつも心にかけて、考えや行動の前提にしておくこと |
| 読み方 | ねんとうにおく |
| 使った一文 | 予算の上限を念頭に置いて、プランを考えます。 |
| 目上・取引先に使える? | 自分の行動として言うなら使える(「念頭に置いて進めてまいります」) |
| 目上に頼むときは? | 「念頭に置いてください」ではなく「お含みおきいただけますと幸いです」 |
| 近い言い換え | 心に留める/考慮する/留意する/頭に入れる(くだけた言い方) |
| 間違えやすい形 | 「念頭に入れる」→ 文書では「念頭に置く」が無難 |
| 英語 | keep ... in mind / bear ... in mind / with ... in mind |
「念頭に置く」の意味と「念頭」の成り立ち
「念頭」は心の中・考えのうちを表す言葉です。「念」は思いや考えを表し、「念頭」で胸のうち・心に思っていることを指します。その心の中に事柄を「置く」ので、いつも意識しているという意味になります。
一度覚えて終わりではなく、決める・進めるあいだずっと条件として忘れないところが、「覚えておく」との違いです。そのため「◯◯を念頭に置いて計画する」「◯◯を念頭に置きながら話す」のように、後ろに行動を表す言葉が続く形がよく使われます。
| 「念頭」を使った言い方 | 意味 |
|---|---|
| 念頭に置く | 前提としていつも意識しておく |
| 念頭にある | 心の中に思っている、考えに入っている |
| 念頭にない | 考えに入っていない、思ってもいない |
| 念頭に浮かぶ | ふと心に思い浮かぶ |
| 念頭を去らない | いつまでも頭から離れない |
注意
「年頭(ねんとう)」は年のはじめのことで、読みは同じでも別の言葉です。「年頭の挨拶」と「念頭に置く」を取り違えないようにします。
例文:自分の行動として使う(目上・取引先にも使える)
会議・打ち合わせで
1. 来期は人員が増えない前提なので、その点を念頭に置いて計画を立てたいと思います。
2. 初めて参加される方が多いことを念頭に置いて、説明の順番を組み直しました。
3. 前回のアンケートでいただいたご意見を念頭に置き、今回の進行を見直しました。
上司への報告で
4. 先週お伺いした優先順位を念頭に置いて、作業の順番を入れ替えました。
5. ご指摘いただいた費用の点を念頭に置きながら、代わりの案を考えております。
6. 今回は前回より参加者が増える見込みであることを念頭に置き、受付を二か所に増やす案をまとめました。
取引先へのメール・商談で
7. 先日伺ったご要望を念頭に置き、二つの案をご用意いたしました。
8. 貴社のご予算を念頭に置いて、内容を絞ったお見積もりも作成いたしました。
9. 当日の天候が崩れる場合も念頭に置き、屋内の会場も仮で押さえております。
面接・自己PRで
10. 前職では、お客様の待ち時間を減らすことを念頭に置いて業務に取り組んでまいりました。
11. 御社でも、製品を使う現場の方の負担を減らすことを念頭に置いて仕事に取り組みたいと考えております。
日報・振り返りで
12. 明日は先方の確認待ちが出ることを念頭に置いて、別の作業も並行して進めます。
13. 撤収の時間が限られていることを念頭に置いて、片付けやすい装飾を選びました。
14. 参加者に高齢の方が多いことを念頭に置いて、会場内の移動が少ない動線にしました。
例文:同僚・部下に伝える(社内向け)
面談・指導で
15. 次の半年は、後輩への引き継ぎを念頭に置いて仕事を進めてください。
16. 数字だけでなく、お客様との関係づくりも念頭に置いて動いてみましょう。
朝礼・全体への呼びかけで
17. 今週は雨の予報が続いているので、屋外作業は安全を念頭に置いて進めましょう。
18. 繁忙期に入りますので、確認の手順を省かないことを念頭に置いてください。
チャット・依頼で
19. 明日の打ち合わせは時間が短いので、その点を念頭に置いて資料をまとめてもらえますか。
20. 先方は社内の決裁に時間がかかるので、それを念頭に置いて日程を組んでおいてください。
研修・マニュアルで
21. お問い合わせには、相手が専門用語を知らないことを念頭に置いて答えましょう。
22. 新しいルールは来月から始まりますので、各部署でもその点を念頭に置いて準備を進めてください。
注意
社内でも、先輩や上司に向けて「念頭に置いてください」と言うのは避けます。言い換えは下の目上・社外に使うときの言い換えを見てください。朝礼で話すときの組み立ては朝礼のスピーチの例文も参考になります。
例文:日常生活と「念頭にない」などの形
日常生活で
23. 帰りの電車の時間を念頭に置いて、店を選んだ。
24. 子どもが小さいことを念頭に置いて、旅行の予定にはゆとりを持たせた。
25. 来月は出費が多いことを念頭に置いて、今月は外食を控えている。
26. 医師に言われたことを念頭に置いて、塩分を控えるようにしている。
「念頭にない」「念頭に浮かぶ」などの形で
27. 正直なところ、その可能性はまったく念頭にありませんでした。
28. ご指摘いただくまで、海外のお客様のことが念頭にございませんでした。
29. 資料を読み返したとき、真っ先に念頭に浮かんだのは費用の問題でした。
30. あの日の失敗が、今も念頭を去らない。
イベントの仕事での使い方(場面別の例文)
イベントの仕事では、安全・予算・参加者層・天候や混雑など、準備から当日まで忘れてはいけない条件がいくつも重なります。「念頭に置く」は、そうした条件を相手と共有し、判断の前提にしていることを示すときに使いやすい言葉です。ここでは場面ごとに、そのまま使える例文を、メール・チャット・口頭の別とあわせて並べました。
企画段階:前提条件を共有する
【社内チャット】来週の企画会議までに、参加者に家族連れが多い想定を念頭に置いて、休憩スペースと授乳室の配置案を出してもらえますか。
【口頭・企画会議】今回は会場の搬入口が一つしかないことを念頭に置いて、出展者ごとの搬入時間を分ける方向で考えています。
【メール・上司へ】ご提示いただいた予算の上限を念頭に置き、装飾を絞った案と、映像演出を残した案の二つを作成しました。
【口頭・企画会議】ステージ前に人が集まりやすいことを念頭に置いて、客席と通路の境目を先に決めておきたいです。
スタッフ説明会:当日の注意を伝える
【口頭・前日のスタッフ説明会】開場直後は入口に人が集中しますので、その点を念頭に置いて、誘導係は持ち場に早めに着いてください。
【口頭・当日朝の朝礼】今日はお子さま連れのお客様が多い見込みです。迷子の申し出があることも念頭に置いて、迷子の受付場所を全員で確認しておきましょう。
【社内チャット・スタッフ全体へ】撤収は会場の退館時刻が決まっていることを念頭に置いて、終演前から片付けられる備品は先に下げてください。
【口頭・リーダーから新人スタッフへ】お客様から質問されたら、会場の案内図を初めて見る方だということを念頭に置いて、目印になるものから伝えてください。
クライアントへの提案:配慮していることを示す
【メール・提案書の送付】御社の新製品を初めて知る来場者が多いことを念頭に置き、体験コーナーを入口近くに配置する案をご用意いたしました。
【口頭・提案の打ち合わせ】先日伺った「社員の皆さまが交流できる場にしたい」というご要望を念頭に置いて、着席形式ではなく立食形式をご提案いたします。
【メール・見積もりの送付】来場者数がまだ読みにくいと伺っておりますので、その点を念頭に置き、人数に応じて増減できる項目を分けてお見積もりいたしました。
【メール・日程のご相談】御社内のご決裁にお時間がかかると伺っておりますので、その点を念頭に置き、会場の仮押さえの期限を延ばせるか、会場側に確認しております。
雨天・混雑への備え:準備の根拠として伝える
【メール・クライアントへ】屋外会場のため、雨天の場合も念頭に置き、テントの追加手配と屋内への動線変更案をあわせてご用意しております。
【社内チャット・前週の準備確認】当日は風が強まることも念頭に置いて、のぼりや看板の重しは多めに持ち込みましょう。
【口頭・会場の下見】人気の出演者の時間帯はロビーが混み合うことを念頭に置いて、物販の列をどこに伸ばすか、ここで決めてしまいましょう。
【メール・協力会社へ】終演後は最寄り駅に向かう方が一度に出ることを念頭に置き、退場の案内を区画ごとに分けて行う予定です。誘導員の配置について、ご相談させてください。
注意
クライアントや出演者など社外の相手・目上の相手に「念頭に置いてください」と頼むのは避けます。「雨天時は内容を一部変更する場合がございます。お含みおきいただけますと幸いです」のように言い換えます。
そのまま使えるメールのテンプレート
上司へ:方針を踏まえて進めたと報告する
件名:◯◯の工程見直しのご報告
◯◯課長
お疲れさまです。□□です。
先日ご指示いただいた◯◯の件、納期を最優先にすることを念頭に置いて、作業の順番を見直しました。
見直した工程表を添付いたしますので、ご確認いただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
取引先へ:要望を踏まえた提案を送る
件名:◯◯のご提案(二案)
株式会社◯◯
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
先日伺ったご要望を念頭に置き、二つの案をご用意いたしました。
なお、どちらの案も◯月◯日までのご発注で手配が間に合う内容です。この点、お含みおきいただけますと幸いです。
資料を添付いたしますので、ご査収ください。
どうぞよろしくお願いいたします。
社内へ:前提を共有して準備を頼む
件名:【共有】◯月からの◯◯ルール変更について
各位
お疲れさまです。□□です。
◯月◯日から、◯◯の申請方法が変わります。
各部署で準備を進める際は、旧方式の申請が◯月◯日で締め切られることを念頭に置いて進めていただけますよう、お願いいたします。
詳細は添付の資料をご確認ください。
以上、よろしくお願いいたします。
言い換え・類語の違い(一覧表)
| 表現 | 意味・ニュアンス | 例文 | 目上にお願いするとき |
|---|---|---|---|
| 心に留める | 忘れないよう心にとどめる。やわらかい | いただいた助言を心に留めて取り組みます。 | お心に留めていただけますと幸いです |
| 頭に入れる | 覚えておく。くだけた響き | 当日の流れを頭に入れておきます。 | (目上へのお願いには向かない) |
| 肝に銘じる | 教えや反省を深く刻んで忘れない | ご指摘の点、肝に銘じます。 | (相手に求めない) |
| 考慮する/考慮に入れる | 事情や条件を考えに入れて判断する | ご事情を考慮し、日程を調整いたしました。 | ご考慮いただけますと幸いです |
| 配慮する | 相手のために気を配る | 車いすの方に配慮した席をご用意しました。 | ご配慮いただけますと幸いです |
| 留意する | 気をつけて心にとどめておく | 個人情報の扱いに留意して作業いたします。 | ご留意いただけますと幸いです |
| 意識する/心掛ける | 日ごろから気をつける。日常語 | 早めのご連絡を心掛けます。 | (自分の行動に使う) |
| 視野に入れる | 選択肢・可能性の一つとして考える | 延期も視野に入れて検討しております。 | ご検討いただけますと幸いです |
| 前提とする | 条件として置く。硬い | 現行の予算を前提として試算しました。 | (自分の行動に使う) |
| 含みおく | 事情を理解して心にとどめておく | (主に相手へのお願いに使う) | お含みおきいただけますと幸いです |
迷ったときは、「判断の条件にする」なら念頭に置く/考慮する、「気をつける」なら留意する、「候補の一つ」なら視野に入れる、「反省して忘れない」なら肝に銘じると覚えると選びやすくなります。
「視野に入れる」と「念頭に置く」は取り違えやすい組み合わせです。「撤退も視野に入れる」は候補の一つとして考えることですが、「撤退を念頭に置く」と言うと、撤退を前提に考えているように聞こえることがあります。
反対の意味の言い方は「念頭にない」「失念する(うっかり忘れる)」です。反省を伝える言い方は「肝に銘じる」の意味と例文にまとめています。
英語ではどう言う?
| 英語 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|
| keep ... in mind | 覚えておく、意識しておく。日常からビジネスまで | Please keep in mind that the venue closes early.(会場が早く閉まる点にご留意ください) |
| bear ... in mind | keep より改まった響き | We will bear your budget in mind.(ご予算を念頭に置いて進めます) |
| with ... in mind | ◯◯を念頭に置いて(作った・考えた) | We prepared two plans with your request in mind.(ご要望を念頭に置き、二案をご用意しました) |
よくある間違い・失敗
| 言い方 | 気になる点 | 直した形 |
|---|---|---|
| 念頭に入れる | 「頭に入れる」と混ざった形とされることがある。辞書・人によって受け止め方が分かれる | 念頭に置く |
| 念等に置く/年頭に置く | 漢字の書き間違い。「年頭」は年のはじめ | 念頭に置く |
| (目上に)念頭に置いてください | 指示・命令の形になる | お含みおきいただけますと幸いです |
| 念頭に置かさせていただきます | 「置く」は「置かせる」が正しい形で、「さ」が余分(さ入れ言葉) | 念頭に置いて進めてまいります |
| 撤退を念頭に置いて検討します | 前提として決めているように聞こえることがある | 撤退も視野に入れて検討します |
| 念頭に置いて、忘れないようにします | 「忘れない」意味が重なり、くどく見える | 念頭に置いて進めます |
「念頭に入れる」は会話ではよく聞かれますが、気にする人もいる言い方です。文書では「念頭に置く」と書くのが無難です。
目上・社外に使うときの言い換え
「念頭に置く」は自分の行動として使うなら、目上の人や取引先にも問題なく使えます。一方、相手に「念頭に置いてください」と求めると、指示しているように聞こえます。
| 相手・場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 自分の方針を上司・取引先に伝える | ◯◯を念頭に置いて進めてまいります |
| 前提を知っておいてほしいと目上に伝える | ◯◯の点、お含みおきいただけますと幸いです |
| 注意してほしいと目上に伝える | ◯◯の点にご留意いただけますと幸いです |
| 事情を汲んでほしいと目上に伝える | ◯◯の事情をご考慮いただけますと幸いです |
| 社内の同僚・部下に伝える | ◯◯を念頭に置いておいてください |
| 検討の候補として伝える | ◯◯も視野に入れて検討しております |
目上の人に前提を伝える言い方は「ご承知おきください」の意味と例文、注意を促す言い方は「ご留意ください」の意味と例文にまとめています。
送る前のチェックリスト
- 「念頭に置く」と書いている(「念頭に入れる」「年頭に置く」になっていない)
- 主語は自分か。目上の相手に「念頭に置いてください」と求めていない
- 前提にしたいのか、候補の一つなのか(後者なら「視野に入れる」)
- 「念頭に置いて」のあとに、何をしたか・何をするかが続いている
- 「置かさせていただく」のような余分な「さ」が入っていない
- 同じ文の中で「忘れないように」など意味の重なる言葉を重ねていない
この記事の要点
- 「念頭に置く(ねんとうにおく)」は前提としていつも意識しておくこと。
- 自分の行動として言うなら目上・取引先にも使える。
- 目上に頼むときは「お含みおきいただけますと幸いです」に言い換える。
- 「視野に入れる」は候補の一つ、「念頭に置く」は前提。
- 「念頭に入れる」は気にする人もいるので、文書では「念頭に置く」が無難。
FAQ
よくある質問
「ねんとうにおく」と読みます。ある事柄をいつも心にかけて忘れず、考えや行動の前提にしておくことを表します。
会話ではよく使われますが、「頭に入れる」と混ざった形とされることがあり、受け止め方は辞書や人によって分かれます。文書では「念頭に置く」と書くのが無難です。
相手に指示する形になるため、目上の人や取引先には避けるのが無難です。「お含みおきいただけますと幸いです」「ご留意いただけますと幸いです」と言い換えます。
自分の行動を述べる形なので失礼ではありません。より丁寧にするなら「念頭に置いて進めてまいります」「念頭に置いております」と言います。
「視野に入れる」は選択肢や可能性の一つとして考えること、「念頭に置く」は前提としていつも意識しておくことです。候補として挙げたいだけなら「視野に入れる」が合います。
「心に留める」「考慮する」「留意する」「配慮する」「頭に入れる」などがあります。目上の人に前提を伝えるときは「お含みおきください」が使いやすい言い方です。
「keep ... in mind」が近い言い方です。改まった場面では「bear ... in mind」、「◯◯を念頭に置いて作った」と言うなら「with ... in mind」が使えます。
考えに入っていない、思ってもいなかったという意味です。「その可能性は念頭にありませんでした」のように使います。
安全・予算・参加者層・天候や混雑など、準備の前提にしている条件を伝えるときに使います。「雨天の場合も念頭に置き、屋内への動線変更案もご用意しております」のように、自分たちの準備として述べると、クライアントにも配慮が伝わります。相手に求めるときは「お含みおきいただけますと幸いです」と言い換えます。