書式
イベント計画書の書き方
テンプレートと記入例
結論:イベント計画書は、下の13項目を上から埋めれば形になります。 書き方の要点は3つです。担当は役職でなく氏名で、期限は「上旬」でなく日付で、中止や変更は「誰が・いつ・何を見て決めるか」まで書く。 この記事では、そのまま写せるテンプレートと記入例、場面別の書き方、配布前のチェックリストをまとめます。決裁を取るための書類を探している場合は、それは企画書です(イベント企画書の書き方)。
結論
イベント計画書(実施計画書・運営計画書)は、承認された企画を実行できる形に分解した文書です。企画書が「なぜやるか・いくらで・どんな効果か」を決裁者に示すのに対し、計画書は一緒に動く人に向けて「誰が・いつまでに・何をするか」と「何が起きたらどうするか」を書きます。一度出して終わりではなく、関係者が毎週見て更新する資料です。
イベント計画書のテンプレート(13項目と記入例)
この表をそのまま計画書の目次にしてください。 右の列は記入例です。◯の部分を自分の案件に置き換えます。
| 項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 1 概要 | 名称、日時、会場、想定人数、主催・共催(呼称の違い) | 「◯◯フォーラム/◯月◯日(◯)13:00開場/◯◯ホール/想定◯◯名/主催:◯◯部」 |
| 2 目的と達成基準 | 何をもって成功とするか。数字で(KPIの決め方) | 「目的:既存顧客との関係強化。達成基準:来場◯◯名、アンケート回収◯割、終了後の個別相談◯件」 |
| 3 体制 | 誰が何を持つか。氏名と連絡先。外注先の窓口も | 「全体責任:山田(携帯◯◯)/受付:佐藤/音響:◯◯社 鈴木様」 |
| 4 作業分解 | やることの一覧。担当1人と期限の日付つき | 「招待状の発送|担当:佐藤|期限:◯月◯日|前提:名簿の確定」 |
| 5 スケジュール | 動かせない締切からの逆算表(準備スケジュール。ガントチャート作成ツールで作れる) | 「◯月◯日 会場の最終人数連絡(動かせない)」 |
| 6 予算の配分 | 費目ごとの金額と支払時期・支払方法(予算書) | 「会場費|◯◯円|前払い・◯月◯日振込」 |
| 7 会場と設営 | レイアウト、搬入出の時刻と経路(会場レイアウト) | 「搬入 当日8:00〜 搬入口:北側。図面は別ファイル」 |
| 8 当日の進行 | 香盤表へのリンク(香盤表。下書きは香盤表・進行表作成ツール) | 「進行は香盤表 第◯版を正とする」 |
| 9 集客 | 告知の手段・時期・目標と、実績の記入欄 | 「メール告知 ◯月◯日/申込目標◯◯名/実績:◯◯名(終了後に記入)」 |
| 10 許認可・届出 | 必要なもの、申請先、締切、担当(必要な許可と届出) | 「火気を使う出店の届出|所轄消防署|締切:◯月◯日|担当:田中」 |
| 11 リスクと判断基準 | 何が起きたら、誰が、いつ、何を見て決めるか | 「荒天:判断者 山田(代理 佐藤)/前日17時に判断」 |
| 12 連絡網 | 当日つながる番号。紙でも持つ | 「会場・警備・外注先・救護の窓口と番号」 |
| 13 終了後 | 撤収、精算、報告、データの扱い(報告書) | 「精算締切 ◯月◯日/報告会 ◯月◯日/名簿データの削除日」 |
表紙(1行目)には「版数・更新日・更新者」を必ず入れてください。 例:「第3版/◯月◯日更新/更新者:佐藤」。
注意
香盤表・予算書・レイアウト図は別ファイルにして、計画書からリンクしてください。 更新の頻度が違うものを1つのファイルに入れると、どれが最新か分からなくなります。社内に前例の書式があれば、項目名はそちらに合わせてください。
企画書との違い:「計画書を出して」と言われたらどちらか
| 企画書 | 計画書 | |
|---|---|---|
| 読み手 | 決裁者 | 一緒に動く人(社内・外注先) |
| 目的 | 承認を得る | 実行を揃える |
| 中心 | 狙い・コンセプト・効果 | 体制・期限・手順・判断基準 |
| お金 | 総額と妥当性 | 費目ごとの配分と支払時期 |
| タイミング | 承認の前 | 承認の後 |
| 更新 | 通れば基本的に固定 | 毎週変わる |
| 分量 | 短いほどよい | 必要なだけ長くてよい |
社内では2つの言葉が混ざって使われます。迷ったら、依頼した人に1つだけ確認してください。
| 状況 | 求められているもの | 確認のひと言(例) |
|---|---|---|
| まだ開催が決まっていない | 企画書(企画書テンプレート) | 「開催の可否をご判断いただくための資料、という理解でよろしいでしょうか」 |
| 開催は決まり、準備に入る | 計画書(この記事) | 「担当と期限を入れた実施計画をお作りします。いつまでに必要でしょうか」 |
| 外部(会場・自治体・協賛先)への提出 | 先方指定の様式 | 「指定の様式があれば、お送りいただけますでしょうか」 |
注意
呼び方は組織によって違います(実施計画書・運営計画書・進行計画書)。社内に前例があれば名前も合わせてください。 それだけで、どこを見ればよいかが共有されます。
6W2Hで抜けを確認する
企画書でよく使う6W2Hは、計画書では「決まったこと」から「誰がいつやるか」へ書き方が変わります。
| 要素 | 企画書での書き方 | 計画書での書き方 |
|---|---|---|
| Why(なぜ) | 開催の狙い | 達成基準(数字で判定できる形) |
| Whom(誰に) | 対象の顧客層 | 集客の手段と、目標・実績の欄 |
| What(何を) | 内容・コンセプト | 作業分解の一覧 |
| When(いつ) | 開催日 | 作業ごとの期限と、動かせない締切 |
| Where(どこで) | 会場候補 | レイアウト・搬入出・許認可 |
| Who(誰が) | 主催・部署 | 担当者の氏名と連絡先、判断者 |
| How(どうやって) | 実施方法 | 当日の進行(香盤表)と手順 |
| How much(いくら) | 総額 | 費目ごとの配分と支払時期 |
作り方の手順
- 01
承認された企画書と条件を集める
決まった日時・会場・予算・目的を概要と達成基準に転記します。ここで決まっていない項目は「未定(◯月◯日までに決定・担当◯◯)」と書きます。
- 02
動かせない締切を先に書き出す
許認可の受付期限、印刷の入稿日、会場への最終人数連絡。 これらは交渉できません。ここから逆算すると、スケジュールの骨格が決まります。
- 03
やることを洗い出す
粒度は「1人が担当できる単位」。「会場対応」では大きすぎ、「メールを1通送る」では細かすぎます。
- 04
担当を1人にし、期限を日付で入れる
2人書くと、お互いに相手がやると思いがちです。 副担当は別欄に。「◯月上旬」は期限になりません。
- 05
順序の依存を書く
「Aが終わらないとBができない」を明示します。 前の作業が遅れたとき、どこまで影響するかがすぐに分かります。
- 06
リスクと判断基準を埋める
次の章の書き方で、判断者・時刻・基準・連絡順を1行ずつ書きます。
- 07
関係者に読んでもらい、毎週の確認日を決める
更新しない計画書は、すぐに実態とずれます。 確認日と更新者を決めて配布します。
注意
担当欄が空の作業を探してください。 そこが当日に落ちます。ゴミの持ち帰り、備品の返却、写真の整理、お礼の連絡が典型です。
場面別:どこを厚く書くか
| 場面 | 厚く書く項目 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 社内イベント(キックオフ・懇親会・表彰式) | 体制、当日の進行、出欠と費用の精算 | 「出欠締切 ◯月◯日(人事 佐藤が集計)/会費の徴収は受付で現金、精算は翌営業日」 |
| セミナー・カンファレンス | 集客、登壇者対応、配信・機材 | 「登壇資料の締切 ◯月◯日/リハーサル 前日15時/配信トラブル時は録画を後日公開」 |
| 展示会への出展 | 主催者への提出物と締切、搬入出、名刺・リードの扱い | 「主催者マニュアルの提出物一覧を作業分解に転記/リードは当日中に一覧へ入力」 |
| 屋外・地域イベント | 許認可、天候の判断基準、警備・救護 | 「荒天判断 前日17時・実行委員長/会場図に救護所と避難経路を記載」 |
| 外注先と一緒に作る場合 | 体制(窓口)、作業の分担境界、変更の連絡ルール | 「仕様変更は窓口同士のメールで確定。口頭の変更は無効」 |
注意
外注の範囲をどこで切るかは内製と外注の判断を参照してください。計画書には「どこからどこまでが先方か」を1行で書きます。
リスクと判断基準の書き方
企画書に無く、計画書にしか無い部分です。 1つの事態につき、次の項目を埋めます。
- 想定する事態(天候、交通、体調不良、機材、来場者数の大きなずれ)
- 判断する人——1人。代理も決める
- 判断する時刻——「開催◯時間前」「前日◯時」
- 判断の基準——数値か、公的な発表で
- 判断後の連絡順(中止の判断と告知)
- 費用の扱い——キャンセル料がいつから発生するか(契約書で確認)
- 保険の加入状況(イベント保険)
- 記録の取り方——事故が起きたとき何を残すか
記入例(計画書にはこの形で1行ずつ書きます):
| 事態 | 判断者(代理) | 判断の時刻 | 基準 | 決めたあと |
|---|---|---|---|---|
| 荒天 | 実行委員長 山田(佐藤) | 前日17時 | 開催地に気象庁の警報が出ているか | 出演者→外注先→申込者の順に連絡、Webに掲載 |
| 登壇者の欠席 | 進行責任者 鈴木 | 判明した時点 | 代役を立てられるか | 代役か、プログラムの入れ替え。司会の案内文は事前に用意 |
| 来場者が想定を大きく超える | 会場責任者 田中 | 受付開始後随時 | 会場の収容人数(会場に確認した数) | 入場制限、整理券、案内の掲示 |
| 急病人 | 救護担当 高橋 | 即時 | 意識・呼吸の状態 | 119番通報、会場の救護窓口へ連絡、記録をとる |
注意
リスクの洗い出し方はイベントのリスク管理を参照してください。計画書には結論(誰が、いつ、何を見て決めるか)だけを書き、検討の過程は別にします。
許認可・届出の欄に書くこと
必要な手続きは内容と場所と自治体で変わります。 計画書には「何が必要か・どこに出すか・締切・担当」を書き、具体的な日数や様式は申請先で確認してください。
| こんなとき | 手続きの例 | 申請・相談先 |
|---|---|---|
| 道路で催しをする、露店・屋台を出す | 道路使用許可(道路交通法第77条)(詳しく) | その場所を管轄する警察署長 |
| 火気を使う露店を出す | 露店等の開設の届出。東京都の火災予防条例では開設の3日前まで(詳しく) | 所轄の消防署(条例は自治体ごとに異なる) |
| 不特定多数に食品を出す | 臨時営業の許可または臨時出店の届出(詳しく) | 保健所(事前相談が前提) |
注意
締切は計画書のスケジュールに「動かせない締切」として転記してください。 一覧はイベントに必要な許可と届出にまとめています。
1枚版・詳細版、社内版・外注先版
| 版 | 使う場面 | 入れるもの |
|---|---|---|
| 1枚版 | 関係者全員への共有、キックオフ | 概要、達成基準、体制(氏名)、主要な締切、判断者 |
| 詳細版 | 担当者が日々見る本体 | 13項目すべてと、別ファイルへのリンク |
| 社内版 | 社内の担当者 | 予算・人件費・社内の判断経緯を含む |
| 外注先に渡す版 | 会場・制作会社・出演者 | 担当範囲、期限、窓口、当日の進行。社内の予算や人件費は外す |
Point
1枚版を先に作ると、詳細版の抜けが見つかります。 1枚に書けない「判断者」や「締切」は、詳細版でもまだ決まっていないということです。
よくある失敗と防ぎ方
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 企画書をそのまま計画書として配る | 担当も期限も無く、現場がメールとチャットで補う | 13項目の型に組み直す |
| 体制を役職で書く | 当日、誰に聞けばよいか分からない | 氏名と、つながる連絡先 |
| 担当を2人書く | お互いに相手がやると思う | 主担当1人、副担当は別欄 |
| 期限が「◯月上旬」 | 誰も遅れに気づかない | 日付で書く |
| 判断者を書いていない | 当日、関係者が顔を見合わせる | 名前を1つと代理を1つ |
| 添付ファイルで回す | 古い版で動く人が出る | 置き場所を1か所にし、更新日を表紙に |
| 外注先に社内版を渡す | 予算や人件費が外に出る | 外注先に渡す版を分ける |
| 終了後に放置 | 次回も推測で書くことになる | 予定と実績を書き込んで残す |
配布前チェックリスト
- 表紙に版数・更新日・更新者がある
- 達成基準が数字で判定できる
- 体制がすべて氏名で、当日つながる連絡先がある
- 作業一覧に担当が空の行が無い
- すべての期限が日付で入っている
- 動かせない締切(許認可・入稿・人数確定)に印がある
- 予算に支払時期が入っている
- リスクごとに判断者・代理・時刻・基準がある
- 香盤表・予算書・レイアウト図へのリンクが最新版を指している
- 外注先に渡す版から社内の予算・人件費を外した
- 連絡網と判断基準を紙でも用意した
- 毎週の確認日と更新者が決まっている
開催後:実績を書き込んで次回へ
予定した人数と実際、予定した費用と実際、予定した所要時間と実際を計画書に書き込んでください。この差が、次回の計画書を推測で書かずに済む材料になります。ファイルを残すだけでなく、どこがずれたかを1枚にまとめて引き継ぎます(引き継ぎ資料、報告書)。
この記事の要点
- 計画書は承認後に、一緒に動く人に向けて作る。 決裁用の企画書とは読み手が違う。
- 13項目のテンプレートを上から埋める。 香盤表・予算書・図面は別ファイルにしてリンクする。
- 担当は氏名で1人、期限は日付で。 担当が空の作業が当日に落ちる。
- 動かせない締切から逆算する。 許認可・入稿・人数確定は交渉できない。
- リスクごとに判断者・代理・時刻・基準を書く。
- 表紙に版数・更新日・更新者。 外注先には社内の予算を外した版を渡す。
FAQ
よくある質問
この記事の「テンプレート(13項目と記入例)」の表を、そのまま目次として使えます。概要、目的と達成基準、体制、作業分解、スケジュール、予算の配分、会場と設営、当日の進行、集客、許認可・届出、リスクと判断基準、連絡網、終了後の13項目です。表紙には版数・更新日・更新者を入れてください。社内に前例の書式があれば、項目名はそちらに合わせます。
読み手と時期が違います。企画書は承認の前に決裁者へ出す文書で、狙い・効果・総額が中心です。計画書は承認の後に一緒に動く人へ配る文書で、体制・期限・手順・判断基準が中心になり、毎週更新します。「計画書を出して」と言われて開催がまだ決まっていない場合は、企画書を求められている可能性があるので、依頼した人に確認してください。
決まった分量はありません。小規模な社内イベントなら13項目を1〜2枚に収められます。規模が大きい場合は、関係者全員に配る1枚版と、担当者が日々見る詳細版に分けると読まれやすくなります。香盤表・予算書・図面は別ファイルにして、本体は短く保ってください。
作れます。決まっていない項目は空欄にせず「未定(◯月◯日までに決定・担当◯◯)」と書いてください。未定のまま担当と期限が付いていれば、それ自体が作業分解の1行になります。
役職ではなく氏名で書き、当日つながる連絡先と外注先の窓口まで入れてください。担当は1人に絞り、副担当は別欄にします。作業一覧で担当が空の行があれば、配布前に埋めてください。
全13項目は不要でも、体制(氏名)、主要な締切、当日の進行、判断者の4つは書いておくと、担当者が休んだときや当日の変更に対応できます。1枚版の形で十分です。
作業分解とスケジュールは行が増えるので表計算、全体の説明は文書が扱いやすいです。スライドは、キックオフで1枚版を見せるときに向いています。大事なのは形式よりも、最新版の置き場所を1か所にし、添付ファイルで回さないことです。
予定と実績(人数・費用・所要時間)を書き込み、どこがずれたかを1枚にまとめて次回に引き継いでください。この差が次回の計画書の精度になります。