PRODUCER AGENT 無料で始める

リスク管理

イベントのリスク管理
進め方5手順・リスク一覧表・中止の判断基準

結論から言うと、イベントのリスク管理は「起こりうることを一覧にし、優先順位をつけ、起きたときに誰が・どの基準で・いつ判断するかを紙に書いておくこと」です。対策の数より、判断の手順が決まっているかどうかで当日の被害が変わります。

更新: 2026-10-16読了:約14分PRODUCER AGENT 編集部

結論

進め方は①洗い出す ②評価する(発生のしやすさ×影響の大きさ) ③対策を決める ④当日運用する ⑤振り返って次に引き継ぐの5手順です。リスクは天候・災害/雑踏・事故/火災/健康・衛生/設備・技術/人的/法令・情報/お金・外部要因の8分類で洗い出すと漏れが減ります。なかでも中止・中断の判断基準と判断する人は必ず事前に文書にします。

最初に決める5つのこと(即答)

時間がない場合でも、次の5つだけは開催前に決めて、スタッフ全員に紙で配ってください。これがあれば、想定外のことが起きても判断が止まりません。

決めること書き方の例
判断する人(1人)と代理中止・中断・入場制限の判断は主催者側の◯◯。不在時は◯◯
中止・中断の基準会場の市区町村に大雨警報・暴風警報が発表されたら屋外プログラムは中止
判断の期限前日◯時に開催可否を決定し、◯時までに告知
連絡の順番発見者→持ち場の責任者→本部(判断者)→会場・警備・救護
来場者への伝え方場内アナウンスは本部のみ。SNS・メールの発信は◯◯が担当

Point

このページのリスク登録表・判断基準・アナウンス例文・チェックリストは、そのまま自分の案件に書き換えて使えます。

リスクマネジメントとは(似た言葉との違い)

イベントのリスクマネジメントは、事故やトラブルを起こさないための準備と、起きたときに被害を小さくする準備の両方を指します。よく混同される言葉は、次のように使い分けると話が通じやすくなります。

言葉意味イベントでの具体例
リスクマネジメント洗い出しから対策・振り返りまでの全体企画段階から終了後の報告までの一連の管理
リスクアセスメント洗い出したリスクの大きさを見積もる工程発生のしやすさと影響の大きさで優先順位をつける
リスクヘッジリスクを避ける・減らす・他者に移す手段雨天の代替会場の確保、保険への加入、契約での費用分担
危機管理(クライシスマネジメント)起きてしまった後の対応中断の判断、避難誘導、来場者への告知、報道・SNS対応

リスク管理の進め方5手順

  1. 01

    ① 洗い出す

    下の8分類を使い、企画・設営・開催中・撤去・終了後の時間軸ごとに「何が起こりうるか」を書き出します。会場担当、警備、音響、ケータリングなど、関係者に一人ずつ聞くと抜けが減ります。前回の同種イベントで起きたヒヤリとした出来事も必ず入れます。

  2. 02

    ② 評価する

    各リスクを「発生のしやすさ」と「起きたときの影響」の高・中・低で評価し、掛け合わせで優先度を決めます。人命に関わるものは、発生しにくくても優先度を上げます。

  3. 03

    ③ 対策を決める

    優先度の高いものから、予防策(起こさない)と発生時の対応(被害を小さくする)を決めます。対応には必ず「判断する人」と「判断の基準」を付けます。

  4. 04

    ④ 当日運用する

    朝の確認で判断基準と現状を照らし合わせ、発生時は決めた連絡経路で本部へ上げます。時刻・状況・対応を記録します。

  5. 05

    ⑤ 振り返って引き継ぐ

    終了後に、起きたこと・起きかけたこと・判断が遅れた場面を記録し、登録表を更新して次回の案件へ引き継ぎます。

注意

手順⑤を省くと、同じ会場・同じ種類のイベントで同じ危険が繰り返されます。過去の事故の教訓でも、前回の危険な状況が次の計画に生かされなかったことが指摘されています。

想定すべきリスク8分類と対策の一覧

分類主なリスク予防策発生時の初動
① 天候・自然災害大雨、強風、落雷、酷暑、降雪、地震判断基準と期限の事前決定、代替日・屋内の代替案、避難場所の確認判断者が基準に照らして中断・中止を決め、本部から一斉に告知
② 雑踏・事故混雑による転倒、将棋倒し、落下物、設営中の事故往路と帰路を分けた動線、滞留しやすい場所の特定、警備の配置、吊り物・仮設物の点検入場制限・一時停止、警備と連携して流れを止める
③ 火災露店・調理の火気、発電機・燃料、電気配線の過熱火気と観客席の距離、消火器の準備、消防への届出、燃料の保管場所初期消火と119番、周囲の来場者を離す、避難誘導
④ 健康・衛生熱中症、急病、けが、食中毒、感染症救護所と担当者、飲料と休憩場所、待機列を作らない工夫、食品の衛生管理救護所へ搬送、必要なら119番、記録を残す
⑤ 設備・技術停電、音響・映像の故障、配信の停止、通信の混雑予備機材、電源系統の分散、復旧手順、無線など携帯電話以外の連絡手段復旧担当が対応し、進行担当が時間調整または代替進行
⑥ 人的スタッフの欠員、出演者の急病・遅刻、関係者間の連絡ミス要の役割の代替要員、代役・短縮版の進行表、役割分担表代替要員の投入、進行の差し替え
⑦ 法令・情報許可・届出の漏れ、著作権・肖像権、個人情報の漏えい、表現による炎上必要な手続きの一覧化、権利処理、名簿の管理ルール、表現の事前レビュー事実確認、発信の一本化、関係先への報告
⑧ お金・外部要因集客不足、予算超過、中止時の費用負担、交通機関の乱れ、近隣からの苦情損益分岐の確認、予備費、契約でのキャンセル条件、近隣への事前周知開始時刻の調整、告知、費用負担の協議

手続きの漏れはイベントの許可・届出、個人情報はイベントの個人情報、暑さは屋外イベントの熱中症対策、救護はイベントの救護体制で詳しく扱っています。

優先順位のつけ方(評価表)

すべてに同じ手間をかける必要はありません。発生のしやすさ × 影響の大きさで、対策の深さを変えます。

発生のしやすさ\影響影響:小影響:中影響:大(人命・中止)
高い中:手順を決める高:予防策と発生時対応最優先:予防策・判断基準・訓練
中程度低:担当だけ決める中:手順を決める高:予防策と発生時対応
低い低:記録だけ残す低:担当だけ決める高:発生時対応と判断基準

対策の方向は、次の4つから選びます。

対応方針考え方例
回避そのリスクが生じる行為をやめる落雷の危険が高い時期の屋外ステージを屋内に変更
低減起こる可能性や影響を小さくする動線を一方通行にする、予備機材を置く
移転費用や責任の一部を他者と分ける保険への加入、契約で中止時の費用分担を決める
受容影響が小さく、対策の費用が見合わない軽微な遅延は進行の調整枠で吸収する

そのまま使えるリスク登録表(記入例つき)

表計算ソフトに次の列を作り、案件ごとに1枚用意します。記入例を自分の案件に書き換えてください。

リスク分類しやすさ影響予防策発生時の対応判断・担当
開催日の大雨①中大前日◯時に判断、屋内代替案を用意基準に該当したら屋外プログラム中止、◯時までに告知主催者◯◯
終演後の出口の混雑②高大退場を区画ごとに案内、出口付近の物販を閉める警備が流れを止め、アナウンスで分散退場警備責任者◯◯
キッチンカーの火気③中大観客席から離して配置、消火器を各車に初期消火・119番・周囲の退避会場責任者◯◯
来場者の熱中症④高中飲料・日陰・休憩所、待機列を作らない救護所へ搬送、症状により119番救護担当◯◯
配信の停止⑤中中回線を2系統用意、復旧手順書告知テロップ、復旧後にアーカイブ案内配信担当◯◯
司会者の欠席⑥低中代役候補と台本の共有代役に切り替え、進行を短縮版に進行担当◯◯
来場者名簿の紛失⑦低大紙の名簿を持ち出さない、保管場所を決める事実確認、責任者へ報告、対応を協議個人情報担当◯◯

Point

「判断・担当」の欄が空いている行は、当日だれも動きません。全行に名前が入るまで登録表は完成ではありません。

過去の事故から学ぶこと

イベントの重大事故は、報告書で原因が公開されています。ここでは公的な報告書から、計画段階で防げた点を整理します。

明石市民夏まつり花火大会の歩道橋事故(2001年)

駅と会場を結ぶ歩道橋の上で群衆が押し合いになり、死者11人・負傷者247人が出ました(明石市民夏まつり事故調査委員会の報告書)。報告書では、主に次の点が指摘されています。

  • 会場へ向かう人と帰る人の流れが、同じ歩道橋の上でぶつかった
  • 階段の幅が橋の幅より狭く、立ち止まって花火を見る人や、階段の下に並ぶ夜店の混雑も重なって、出口が詰まった
  • 約半年前に同じ場所で開かれた催しで危険な混雑が起きていたのに、その状況が次の計画に生かされなかった
  • 警備の計画が別の催しの計画とよく似ており、今回の会場に合わせて作られていなかった
  • 主催者と警備会社の契約書が事前に作られておらず、多数の負傷者が出た場合の対応も関係機関と協議されていなかった

福知山花火大会の露店火災(2013年)

花火大会の露店で火災が起き、死者3名・負傷者56名の被害が出ました(総務省消防庁)。消防庁は課題として、観客席と火気を扱う露店・発電機・燃料の携行缶が近くに配置されていたこと、火災予防が個々の露店主任せになっていた場合があること、消火の準備が明確でなかったことを挙げています。これを受けて火災予防条例(例)が改正され、大勢が集まる催しで火気器具を使う場合の消火器の準備や、露店を開く場合の消防機関への届出などが加わりました。

Point

二つの事故に共通する教訓は、「その会場・その人出に合わせた計画を、主催者が責任を持って作ること」と「前回の危険を記録して引き継ぐこと」です。届出の期限や消火器の扱いは自治体の条例で異なるため、所轄の消防署に確認してください(東京都の例は消防の届出)。

中止・中断の判断基準の決め方

最も揉めるのがここです。曖昧なまま当日を迎えると、判断が遅れて被害が広がります。次の3点を文書にしてください。

  1. 01

    判断する人を1人決める

    主催者側か制作会社側か。複数人の合議にしないことが重要です。合議は判断を遅らせます。決めた人と代理の名前・連絡先を、緊急連絡網の最上位に書きます。

  2. 02

    判断の基準を、迷わない言葉で書く

    「荒天の場合」ではなく、「会場の市区町村に◯◯警報が発表された場合」のように、誰が見ても同じ結論になる基準にします。気象庁の警報・注意報の基準は地域で異なるため、会場の地域の基準を確認します。

  3. 03

    判断の期限を決める

    出演者の移動、ケータリングの発注、来場者への告知。それぞれのキャンセル期限から逆算して、判断のデッドラインを設定します。判断時刻を事前に告知しておくと、来場者の問い合わせも減ります。

判断基準シートの書き方の例

事象基準の例(自分の案件に合わせて決める)決めたときの対応
大雨・暴風会場の市区町村に大雨警報・暴風警報が発表されたら屋外プログラムを中止本部から一斉告知、来場者を屋内または駅方面へ誘導
落雷雷注意報の発表中に雷鳴・雷光を確認したら屋外プログラムを中断建物内などの安全な場所へ誘導し、再開は判断者が決める
暑さ環境省の熱中症警戒情報が発表されたら、屋外の待機列と長時間プログラムを見直す日陰・給水の追加、開始時刻の変更、救護体制の強化
混雑出口付近で人の流れが止まったら入場を一時停止警備と連携して流れを止め、区画ごとに案内
地震揺れを感じたらステージ進行を止めるその場で身を守るよう呼びかけ、揺れが収まってから避難経路を確認して誘導

注意

中止の場合の費用負担も事前に決めておいてください。主催者都合の中止、天災などによる中止、制作会社都合の中止。それぞれの費用分担を契約書に書いておくと、発生時の紛争を避けやすくなります。中止を決めた後の告知と返金はイベント中止の判断と告知にまとめています。

緊急連絡網の作り方(記入テンプレート)

電話番号を並べただけのリストは、緊急時に機能しません。次の形で1枚にまとめます。

項目記入する内容
判断する人氏名・携帯番号・無線のチャンネル/不在時の代理
連絡の順番発見者→持ち場の責任者→本部→判断する人(並列ではなく系統で)
事象別の初動急病・けが/火災/停電/不審物・不審者/迷子。それぞれ最初にすることを1行で
外部の連絡先会場の防災センター、最寄りの医療機関、所轄の消防署・警察署、警備会社の責任者
来場者への告知場内アナウンス・SNS・メール。それぞれ発信する人を1人ずつ
集合場所本部の場所と、本部が使えない場合の第二集合場所

Point

緊急連絡網は紙で配布してください。停電や通信の混雑で、スマートフォンの共有ファイルは開けないことがあります。当日のスタッフ全員が携帯する形にします。事故が起きたときの責任の考え方はイベント事故の責任にまとめています。

そのまま使える例文(アナウンス・告知・連絡)

例文1:進行の一時中断(場内アナウンス)

ご来場の皆さまにお知らせいたします。ただいま、安全確認のため、プログラムを一時中断しております。再開の時刻が決まりしだい、こちらからご案内いたします。スタッフの案内があるまで、その場でお待ちください。

例文2:落雷・荒天による屋内への誘導

ご来場の皆さまにお知らせいたします。雷の危険があるため、屋外のプログラムを中断いたします。お近くのスタッフの案内に従い、◯◯の建物内へ移動してください。木の下やテントの下は安全ではありませんので、近づかないでください。

例文3:混雑時の分散退場

本日はご来場いただき、ありがとうございました。出口付近が大変混み合っております。安全のため、◯◯エリアの皆さまから順にご案内いたします。ご案内があるまで、その場でお待ちください。ご案内したエリアの皆さまは、立ち止まらず、前の方との間隔を空けてお進みください。

例文4:暑さへの注意喚起

ご来場の皆さまにお知らせいたします。本日は気温が高くなっております。こまめに水分をとり、日陰や◯◯の休憩所をご利用ください。気分が悪くなった方、周りに具合の悪そうな方がいらっしゃる場合は、お近くのスタッフにお声がけください。

例文5:避難誘導

ただいま、◯◯で火災が発生しました。係員の誘導に従って、落ち着いて避難してください。◯◯側の出口は使えません。◯◯側の出口から外へ出てください。走らず、押さずに移動してください。

例文6:前日の開催可否のお知らせ(SNS・メール)

【◯月◯日(◯)◯◯の開催について】
台風の接近にともない、来場される皆さまの安全を第一に検討した結果、明日の◯◯は中止いたします。楽しみにしてくださっていた皆さまには、心よりおわび申し上げます。
チケットの払い戻しは◯月◯日から◯◯にて受け付けます。詳しい手順は◯◯をご確認ください。
お問い合わせ:◯◯(受付時間◯時〜◯時)

例文7:協力会社への中止連絡

件名:【至急】◯月◯日◯◯ 開催中止のご連絡

◯◯株式会社 ◯◯様

いつもお世話になっております。◯◯の◯◯です。
◯月◯日に予定しておりました◯◯は、気象警報の発表を受け、本日◯時に中止を決定いたしました。直前のご連絡となり、大変申し訳ございません。
お手数ですが、搬入・設営の手配を止めていただきますよう、お願いいたします。発生する費用につきましては、契約の取り決めに沿って改めてご相談させてください。

何とぞよろしくお願いいたします。

例文8:本部への無線連絡(スタッフ間)

本部、こちらBゲート◯◯です。来場者1名が座り込んでいます。意識はあり、会話もできます。暑さによる体調不良の可能性があります。救護担当の派遣をお願いします。現在、日陰に移動して付き添っています。以上。

注意

無線や電話の報告は「場所・誰が・どんな状態・何をしてほしいか・今していること」の順にすると、本部が一度で状況をつかめます。

当日の運用

朝の確認(5分)

  • 判断する人の所在と連絡手段の確認
  • 気象情報の確認と、判断基準に照らした現状
  • 救護・警備の配置確認
  • 避難経路と出口の物理的な確認(荷物や什器で塞がっていないか)
  • 消火器の位置と、火気を使う場所の確認

発生時の原則

  1. 01人命が最優先:進行より安全。判断に迷ったら中断する
  2. 02本部に即報告:一人で解決しようとしない
  3. 03事実を記録する:時刻、状況、対応。後の検証と保険の請求に必要
  4. 04来場者への情報提供:分からないことも「確認中」と伝える。沈黙が最も不安を生む

注意

安全に関わる判断は必ず人間が行ってください。AIは現場の制約から対応方針を提示できますが、中止・避難・入場制限の判断は人間の責任領域です。PRODUCER AGENTもこの領域は判断を人間に仰ぐ設計にしています。

時期別チェックリスト

企画・準備の段階

  • 8分類でリスクを洗い出し、登録表の全行に担当者の名前が入っている
  • 前回の同種イベント・同じ会場で起きたヒヤリとした出来事を確認した
  • 中止・中断の判断者、基準、期限を文書にした
  • 許可・届出(道路・公園・消防・保健所など)の要否を確認した
  • 警備・会場・協力会社との契約で、役割の範囲と中止時の費用分担を決めた
  • 保険の対象と免責を確認した

前日まで

  • 緊急連絡網を紙で人数分刷った
  • 往路と帰路の動線、混雑しやすい場所、避難経路を図面に書き込んだ
  • 救護所の場所と担当、最寄りの医療機関を確認した
  • アナウンス原稿(中断・誘導・暑さ・避難)を本部に置いた
  • 開催可否の告知文を下書きした

当日・終了後

  • 朝の確認(判断者・気象・配置・避難経路・消火器)を行った
  • 発生した事象を時刻つきで記録した
  • 終了後に、起きたこと・起きかけたことを登録表に追記した
  • 次回の担当者に引き継ぐ資料に反映した

よくある失敗と防ぎ方

よくある失敗なぜ起きるか防ぎ方
当日に関係者で相談して判断が遅れる判断する人を決めていない判断者を1人に決め、代理も書く
前回と同じ計画書を使い回す会場や人出が違うのに見直さない会場・人出・時間帯が変わったら動線と配置から作り直す
混雑対策が入口だけ帰りの流れを想定していない終演後の退場と、往路・帰路が交差する場所を図面で確認
連絡網がスマートフォンの中だけ紙は古いと思っている紙で配り、本部に予備を置く
保険に入ったのに対象外だった免責を読んでいない加入前に対象事由と免責を一覧で確認
終わったら記録を残さない片付けで手一杯になる振り返りの日時を事前に予定に入れる

保険の考え方

イベント保険は、対象と免責の範囲を確認せずに加入すると、いざというときに使えません。最低限、次を確認してください。

確認項目見るポイント
対象となる事由中止・延期の原因として何が含まれるか(天候、出演者の事故、感染症など)
補償される費用既に支出した費用のみか、得られるはずだった利益も含むか
免責事項何が対象外か。とくに社会情勢や行政の要請による中止の扱い
加入期限開催の何日前まで加入できるか
賠償責任来場者のけがや物の破損に対する補償の有無と上限

保険の種類と選び方はイベント保険に、予算での位置づけはイベント予算の立て方と内訳にまとめています。

この記事の要点

  • 進め方は、洗い出す・評価する・対策を決める・当日運用する・振り返るの5手順。
  • 最重要は「誰が、どの基準で、いつ判断するか」の事前決定。合議にすると判断が遅れる。
  • 判断基準は誰が見ても同じ結論になる言葉で。「荒天の場合」ではなく「◯◯警報が発表された場合」。
  • 過去の事故の教訓は、会場と人出に合わせた計画を主催者が作ることと、前回の危険を引き継ぐこと。
  • 緊急連絡網とアナウンス原稿は紙で用意する。安全に関わる判断は必ず人間が行う。

FAQ

よくある質問

01イベントのリスク管理は何から始めればいいですか?

まず、中止・中断を判断する人を1人決め、判断の基準と期限を書くことから始めます。そのうえで、天候・災害、雑踏・事故、火災、健康・衛生、設備・技術、人的、法令・情報、お金・外部要因の8分類でリスクを洗い出し、優先度の高いものから対策と担当者を決めます。

02リスクマネジメントと危機管理は何が違いますか?

リスクマネジメントは、リスクの洗い出しから予防策、発生時の備え、終了後の振り返りまでの全体を指します。危機管理(クライシスマネジメント)は、そのうち実際に事故やトラブルが起きた後の対応を指す言葉として使い分けると、関係者と話が通じやすくなります。

03雨天決行か中止かの判断は、いつすべきですか?

出演者の移動、ケータリングの発注、来場者への告知のそれぞれのキャンセル期限から逆算して決めます。屋外の場合は、前日と当日朝の2回に分けて判断時刻を決めておくと、天気予報の変化に対応しやすくなります。判断時刻をあらかじめ告知しておくと、来場者の混乱も防げます。

04小規模なイベントでもリスク管理は必要ですか?

必要です。ただし、規模に合わせて簡略化して構いません。判断する人、中止の基準、連絡の順番、救護の担当、避難経路の5点を1枚の紙にまとめるだけでも、当日の判断の速さが変わります。

05イベント保険はどんなイベントでも必要ですか?

規模や内容によります。来場者が多い、屋外、火気を使う、体験型で来場者が機材に触れる。これらに当てはまる場合は加入を検討してください。会場によっては賠償責任保険への加入が利用条件になっていることもあるため、会場の利用規約を確認します。

06炎上リスクはどう予防しますか?

企画段階での第三者レビューが有効です。表現、起用する人物、演出の内容について、関係者以外の視点から確認します。発生時は事実確認を先に行い、発信する人を一本化します。PRODUCER AGENTでは既視感チェックと併せて表現リスクのレビューを行いますが、最終判断は人間に委ねる設計です。

07スタッフの当日欠員にはどう備えますか?

役割ごとに「この人がいないと回らない」ポジションを洗い出し、そこに代替要員を用意します。全ポジションに予備を置くのは現実的でないため、進行、音響、判断する人など、要の役割に絞るのが実務的です。

Related

関連記事

実務ガイド

キューシート(香盤表)の書き方イベント・ラジオ・照明用の記入例とテンプレート

キューシートは1行1出来事で時系列に書く。3通りの記入例、照明・音響・映像・配信の部門別、ラジオ番組の書き方と記号、曲ごとのキューシート、余白の置き方、無料テンプレート。

実務ガイド

イベントに必要な許可・届出の一覧飲食の保健所手続き・申請先の早見表・申請の流れ

やることから申請先と根拠条文を引く早見表と索引。飲食を出すときの保健所の手続きと主催者・出店者の分担、場面別の例、私有地・屋内の考え方、用意する資料、問い合わせ文例付き。

実務ガイド

イベント会場の選び方6つの手順と下見チェック42項目

選ぶ順番、目的別・タイプ別の比較表、下見42項目、問い合わせ例文5通。

実務ガイド

イベントの消防への届出種類・期限と相談の例文

場面別に必要な消防の届出と期限の早見表(東京都の例)。露店の火気、催物開催届、一時使用、禁止行為の解除承認、花火・発電機、指定催し。例文付き。

実務ガイド

チケット不正転売禁止法を主催者側から読む「特定興行入場券」になる3つの要件

法律の対象になるのは3要件をすべて満たす券だけ。「転売禁止」と書くだけでは足りない。

実務ガイド

イベント警備を外注する手順依頼文例・見積比較・警備業法の確認点

依頼先は第4条の認定業者に限る。業務を号ごとに分け、配置図と条件を揃えて見積を取る。

実務ガイド

イベント事故で主催者は責任を負うのか民事・刑事の根拠と、事故後にやること

主催者の責任は民事と刑事の2系統。場面別早見表、争点になる場面、事故直後の手順と例文。

実務ガイド

個人情報の漏えい報告対象の4類型・期限・本人通知の例文

報告が要るのは規則第7条の4類型(おそれを含む)。速報は知ってから速やかに(目安3~5日)、確報は30日以内(不正目的は60日以内)。本人への通知も必要。

実務ガイド

イベント中止の判断と告知基準と例文は、先に用意しておく

中止の判断は当日ではなく企画段階で基準を決めておくもの。告知文も先に用意しておく。

実務ガイド

イベント保険の考え方商品より先に、何に備えるかを決める

保険は商品名から探さない。起きうることを列挙してから、それが対象かを確認する。

実務ガイド

イベント警備員の人数は何人必要?計算式・場面別の例・配置表と交代の組み方

人数の計算式と場面別の計算例3つ、配置点の洗い出し、コピー用の配置表・交代表・引き継ぎメモ、費用の決まり方と見積書の確認項目、トラブル別の役割分担、雑踏警備の検定合格警備員と区域、警察・消防の手続き。

実務ガイド

イベント運営マニュアルのテンプレート目次構成と役割別ページの作り方

書く項目一覧と記入例、目次の4部構成、役割別ページの記入例、声かけ例文、設営・撤収、緊急時対応、香盤表との使い分け。

実務ガイド

避難訓練のお知らせ 例文12選社内・お客様・近隣・中止と訓練後

避難訓練のお知らせは、社員には「日時・想定・自分の役割・避難経路と集合場所」、お客様と近隣には「日時と、非常ベルや人の動きがあるが訓練であること」を書く。

実務ガイド

来場者動線の設計入退場・一方通行・混雑を防ぐ時間帯別の組み方

動線は時間帯ごとに設計する。詰まる点の見つけ方、一方通行と規制退場の判断、当日の連絡とアナウンス。

実務ガイド

イベントの救護所の作り方体制の目安・AED・通報から救急車の誘導まで

救護所の場所と体制の決め方、東京都ガイドラインの目安、AEDの確認、通報と救急車誘導の役割分担、救護計画書・記録の様式、そのまま使える文例。

実務ガイド

夏の屋外イベントの熱中症対策暑さ指数(WBGT)で基準を決め、判断者を置く

暑さ指数(WBGT)の区分と警戒アラート、判断基準の作り方、来場者・スタッフの準備、当日の役割と応急処置の流れ。

#面白いを実現しろ

Produce your IDEA.

判断基準と連絡経路を案件ごとに保持します。安全に関わる判断そのものは人が行う設計です。

法令アップデート

改正がなかった月は、なかったとだけ送ります

e-Gov法令検索から条文を取得し、出典と取得日を添えてお知らせします。解説記事の要約は送りません。水増しのために書くことがないので、月によっては短くなります。

PRODUCER AGENT のご案内を含みます。配信停止はいつでも、メール本文のリンクから行えます。