キューシート
キューシート(香盤表)の書き方
イベント・ラジオ・照明用の記入例とテンプレート
キューシートは、1行に1つの出来事を時刻順に並べ、「時刻・所要・進行内容・きっかけ・担当」を書くのが基本です。照明・音響・映像のスタッフが入る現場では、ここに音響・照明・映像の列を足します。時刻は手で打たず、所要時間から計算します。小さな行事なら「時刻・所要・進行内容・担当」の4列でも足ります。下に、式典・セミナー・小さな行事の3通りの記入例、部門別とラジオ番組のキューシート、配る前のチェックリストを載せています。
結論
キューシートとは、イベント当日の進行を時刻・進行内容・技術のきっかけ(照明・音響・映像のキュー)・担当者の軸で時系列に並べた進行表です。イベントの現場では「香盤表」と同じ意味で使われることが多く、このページでも同じものとして扱います。進行台本が「話す内容」を書くのに対し、キューシートは「誰が・いつ・何をきっかけに・何を動かすか」を書きます。
キューシートの書き方(5つの手順)
- 01
出来事を時系列に書き出す
集合、リハーサル、開場、開演、各プログラム、転換、閉会、撤収まで、起きることを順に並べます。1行に1つの出来事だけを書きます。
- 02
各行に所要時間を入れる
開始時刻ではなく、まず「その出来事に何分かかるか」を入れます。転換や登壇者の移動も独立した行にして所要を入れます。
- 03
所要から時刻を計算し、総尺を検算する
開始時刻に所要を足して各行の時刻を出し、終了時刻が会場の利用時間に収まるかを確かめます。
- 04
技術の列(きっかけ・音響・照明・映像)を埋める
照明・音響・映像の担当者と、各行で何を切り替えるか、何を合図に切り替えるかを決めて書きます。
- 05
担当を個人名で入れ、版番号を付けて配る
各行の責任者を個人名で書き、紙面の見える位置に版番号と更新日時を入れてから配布します。
Point
迷ったら行を分けてください。「代表挨拶・乾杯」のように2つの出来事を1行にまとめると、その間のマイクの受け渡しや照明の切り替えが書く場所を失い、当日の段取り漏れになります。
項目ごとの書き方と記入例
基本の列は次のとおりです。列を増やしすぎると読めなくなるため、小さな行事なら「時刻・所要・進行内容・担当」だけでも構いません。技術スタッフが入る場合に、きっかけ・音響・照明・映像の列を足します。
| 列 | 書くこと | 良い書き方(例) | 避けたい書き方(例) |
|---|---|---|---|
| 時刻 | その行の開始時刻 | 18:05 | 18時ごろ |
| 所要 | その行にかかる時間 | 5分 | (空欄) |
| 進行内容 | 何が起きるか。動詞で | 代表挨拶(登壇→挨拶→降壇) | 挨拶 |
| きっかけ | 次の動きに移る合図 | 司会「それでは代表よりご挨拶申し上げます」の後 | 司会の合図で |
| 音響 | BGM、マイク、効果音 | BGM-Aフェードアウト/演台マイクON | 音響対応 |
| 照明 | 明かりの状態 | ハウス(客席照明)を落とす/演台にスポット | いい感じに |
| 映像 | 投影する内容 | スライド「代表挨拶」静止画 | スライド |
| 担当 | その行の責任者 | 佐藤(進行) | 運営 |
| 備考 | 注意点、変更の記録 | 登壇者は上手から。原稿は演台に事前設置 | 注意 |
進行内容:動詞で書き、中身をかっこで補う
「開場」「登壇」「転換」のように動詞で書き、細かい動きはかっこで補います。読み手が「この行で何が起きるか」を一目で分かることが目的です。
| 避けたい書き方 | 書き直した例 |
|---|---|
| 表彰 | 表彰(受賞者呼び込み→賞状授与→記念撮影) |
| 乾杯 | 乾杯(グラス配布済みを確認→発声→歓談へ) |
| 休憩 | 休憩(客席BGM、ロビー開放) |
| ゲスト | ゲストトーク(ゲスト登壇→対談→降壇) |
きっかけ:「何を合図に」動くかを書く
キューシートの「キュー」は、次の動きに移る合図のことです。時刻どおりに進まない場面でも、きっかけが書いてあれば技術スタッフは迷わず動けます。司会のセリフ、登壇者の着席、映像の終わりなど、目で見て分かる合図を書きます。
| 場面 | きっかけの書き方(例) |
|---|---|
| 開演 | 客席のBGMが下がり、司会がマイク位置に着いたら |
| 登壇 | 司会「◯◯よりご挨拶申し上げます」の「申し上げます」で |
| 映像 | 司会「それではご覧ください」の後、暗転してから再生 |
| 映像の終わり | 映像の最後のロゴが消えたら明転 |
| 降壇 | 登壇者が礼をして演台を離れたら、BGMを入れる |
音響:BGM名・マイクの種類と本数まで
BGMは曲名やファイル名で、マイクは「ハンド」「ピン」「演台」などの種類と本数で書きます。音楽を使う場合の権利の確認はイベントで音楽を使うときの著作権を参照してください。
| 避けたい書き方 | 書き直した例 |
|---|---|
| BGM | BGM-A(開場用)フェードイン |
| マイク | ハンドマイク×1(司会)、演台マイクON |
| 音出し | SE「表彰ファンファーレ」再生 |
照明:現場の呼び方で書く
照明は「暗転」「明転」「スポット」「ハウス(客席の明かり)」など、照明担当と打ち合わせで決めた呼び方で書きます。会場の常設設備だけで進める場合は、会場スタッフが分かる言葉に合わせます。
映像:ファイル名と尺を書く
「VTR」とだけ書くと、どの素材を流すかが分からなくなります。ファイル名と尺(長さ)を書き、音声の有無も添えます。差し替えがあったら、ファイル名の版も更新します。
担当:役職ではなく個人名で
担当欄に「運営」と書くと、誰も自分の担当だと思いません。個人名が入った瞬間に、当日の動きが変わります。1行に担当は1人にし、補助が要る場合は備考に書きます。
記入例(全体)
社内の周年パーティーを想定した記入例です。時刻・名前・ファイル名はすべて例です。実際の現場では、ここに搬入出やリハーサルの細かい行も加わります。
| 時刻 | 所要 | 進行内容 | きっかけ | 音響 | 照明 | 映像 | 担当 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 16:00 | 60分 | スタッフ集合・最終確認 | — | — | 作業灯 | — | 田中 |
| 17:00 | 30分 | リハーサル(通し) | — | 全系統 | 本番同様 | 全素材 | 田中 |
| 17:30 | 30分 | 開場・受付 | 受付準備完了の連絡 | BGM-A | ハウス明るめ | ロゴループ | 佐藤 |
| 18:00 | 5分 | 開演・司会挨拶 | BGM-Aが下がり司会が位置に着いたら | ハンド×1 | 司会にスポット | タイトル | 佐藤 |
| 18:05 | 10分 | 代表挨拶(登壇→挨拶→降壇) | 司会の呼び込み | 演台マイク | 演台にスポット | 静止画 | 佐藤 |
| 18:15 | 5分 | オープニング映像 | 司会「ご覧ください」の後 | 映像音声 | 暗転 | opening_v3.mp4 | 鈴木 |
| 18:20 | 30分 | トークセッション | 映像終わりで明転 | ピン×3 | ステージ全体 | 登壇者名 | 佐藤 |
| 18:50 | 10分 | 転換(椅子撤去・懇親会へ) | 登壇者の降壇 | BGM-B | ハウス明るめ | ロゴループ | 田中 |
| 19:00 | 120分 | 懇親会 | 転換完了の合図 | BGM-B | ハウス明るめ | スライドショー | 佐藤 |
| 21:00 | 30分 | 中締め・閉会 | 司会の呼び込み | ハンド×1 | 演台にスポット | 静止画 | 佐藤 |
| 21:30 | — | 撤収開始 | 来場者の退出完了 | — | 作業灯 | — | 田中 |
注意
転換の行を必ず立てること。転換を独立した行にしないと、そこにかかる時間が見えず、押しの原因になります。
記入例2:社外向けセミナー(照明は会場常設のみ)
照明の操作が少ない会場では、照明と映像を「技術」の1列にまとめると読みやすくなります。登壇者の入れ替わりが多いセミナーは、登壇者の移動と機材の切り替えを別の行にするのが要点です。
| 時刻 | 所要 | 進行内容 | きっかけ | 技術(音響・照明・映像) | 担当 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 12:00 | 60分 | 受付準備・登壇者の音声と投影の確認 | — | 全マイクの音出し、登壇者PCの接続確認 | 高橋 | 登壇者は控室で待機 |
| 13:00 | 30分 | 開場・受付 | 受付の準備完了 | BGM、ロゴ投影 | 山本 | 資料は受付で配布 |
| 13:30 | 5分 | 開会・注意事項の案内 | BGMを下げきったら | 司会マイクON | 山本 | 撮影可否・質問方法を案内 |
| 13:35 | 30分 | 講演1(登壇→講演→降壇) | 司会の講師紹介の後 | ピンマイク、講師1のPCに切替 | 山本 | 残り時間はタイマーで表示 |
| 14:05 | 5分 | 講師交代(PC切替・ピンマイク付け替え) | 講演1の拍手が終わったら | 投影をロゴに戻す→講師2のPCに切替 | 高橋 | 余白。押したらここで吸収 |
| 14:10 | 30分 | 講演2 | 司会の講師紹介の後 | ピンマイク、講師2のPC | 山本 | |
| 14:40 | 20分 | 質疑応答 | 講演2の終わり | ハンドマイク×2(客席用) | 山本 | 調整可。押したら質問数を減らす |
| 15:00 | 5分 | 閉会・アンケートの案内 | 質疑の終了 | アンケートの案内画面 | 山本 | |
| 15:05 | — | 退場・撤収 | 来場者の退出完了 | BGM | 高橋 | 会場の退出時刻を確認 |
記入例3:小さな行事(4列だけ)
社内の表彰や歓送迎会のように、技術スタッフがいない行事は4列で十分です。マイクやBGMの操作は進行内容の中に書き込みます。
| 時刻 | 所要 | 進行内容 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 18:30 | 30分 | 受付(名札と席次表を渡す) | 伊藤 |
| 19:00 | 5分 | 開会の言葉(幹事がマイクを持って前へ) | 伊藤 |
| 19:05 | 5分 | 部長挨拶(幹事がマイクを手渡す) | 伊藤 |
| 19:10 | 5分 | 乾杯(グラスが行き渡ったのを確認してから発声を依頼) | 中村 |
| 19:15 | 60分 | 歓談・食事(BGMを流す) | 中村 |
| 20:15 | 10分 | 記念品の贈呈・本人挨拶 | 伊藤 |
| 20:25 | 5分 | 中締め・閉会 | 伊藤 |
式典や表彰式で、来場者に配る式次第も作る場合は式次第作成ツールが使えます。キューシートは運営用、式次第は来場者用として分けて作ります。
部門別のキューシート(照明・音響・映像・配信)
全体のキューシートは「全員が同じ一枚を見る」ための表です。照明・音響・映像のオペレーターは、そこから自分が操作する行だけを抜き出し、キュー番号を振った表を手元に置きます。暗い卓の前で全体表の8列を追うのは難しいためです。全体表と部門別の表は同じキュー番号でつなぐのが要点で、全体表の備考欄に「L3/S5/V2」のように各部門の番号を書いておくと、変更があったときに照らし合わせられます。
照明キューシートの書き方
照明はキュー番号・きっかけ・明かりの状態・切り替えの速さの4つが基本です。明かりの状態は「前のキューから何が変わるか」だけを書くと、本番中に読む量が減ります。
| Q | きっかけ | 明かりの状態(前から変わる点) | 切り替え | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| L1 | 開場 | ハウス明るめ、ステージは薄明かり | — | 開場前にプリセット |
| L2 | BGM-Aが下がり始めたら | ハウスを落とす | ゆっくり | 司会が位置に着くまでに完了 |
| L3 | 司会がマイク位置に着いたら | 司会位置にスポット | すばやく | |
| L4 | 司会「ご覧ください」の後 | 全体を暗転 | すばやく | 暗転を確認してから映像を出す |
| L5 | 映像の最後のロゴが消えたら | ステージ全体を明転 | ゆっくり | 登壇者の着席を待たない |
| L6 | 登壇者が降壇したら | ハウス明るめに戻す | ゆっくり | 転換に入る |
注意
「切り替え」の速さは、照明担当と決めた言葉か秒数で書きます。卓の種類や現場によって書き方が違うため、最初に照明担当へ「どの書式で渡せばよいか」を聞くのが確実です。
音響キューシートの書き方
音響はキュー番号・きっかけ・音源(曲名やファイル名)・入れ方と切り方・マイクを書きます。入れ方は「フェードイン(徐々に上げる)」「カットイン(いきなり出す)」、切り方は「フェードアウト」「カットアウト」で区別します。
| Q | きっかけ | 音源・マイク | 入れ方/切り方 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| S1 | 開場 | BGM-A(開場用) | フェードイン | ループ再生 |
| S2 | 開演の合図 | BGM-A | フェードアウト | 司会マイクを生かしてから下げきる |
| S3 | 司会の呼び込み | 演台マイクON | — | 司会のハンドマイクは生かしたまま |
| S4 | 受賞者名の読み上げの後 | SE「ファンファーレ」 | カットイン | 1回だけ再生 |
| S5 | 登壇者の降壇 | BGM-B(歓談用) | フェードイン | 演台マイクOFF |
映像キューシートの書き方
映像はキュー番号・きっかけ・ファイル名・尺・音声の有無・終わったら何を出すかを書きます。「終わった後の画面」を書き忘れると、再生後にパソコンのデスクトップが映る事故が起きます。
| Q | きっかけ | 素材(ファイル名) | 尺 | 音声 | 終わった後 |
|---|---|---|---|---|---|
| V1 | 開場 | logo_loop.mp4 | ループ | なし | — |
| V2 | 暗転を確認してから | opening_v3.mp4 | (実測値) | あり | タイトル静止画 |
| V3 | 司会の呼び込み | slide_代表挨拶.png | — | なし | ロゴループ |
配信用キューシートの書き方
ライブ配信がある場合は、会場の進行とは別に画面の切り替え(どのカメラを映すか)・テロップ・配信の開始と終了の行が要ります。配信は会場より細かい刻みで動くため、全体表とは別の表にし、全体表のキュー番号と対応させます。配信の準備はイベントのライブ配信にまとめています。
| Q | きっかけ | 画面 | テロップ | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| C1 | 配信開始の時刻 | 待機画面 | 「まもなく開始します」 | 音声はBGMのみ |
| C2 | 司会の第一声 | 全景カメラ | イベント名 | |
| C3 | 代表の登壇 | 演台カメラ | 役職・氏名 | 表記は事前に本人確認 |
| C4 | オープニング映像の再生 | 映像素材を直接 | なし | 会場の音を下げる |
ラジオ番組のキューシートの書き方
ラジオの生放送では、キューシートは番組の時間の中に、トーク・曲・CM・ジングルをどう並べるかを示す表になります。イベント用との違いは、時刻を「放送開始からの経過時間」と「実際の時刻」の両方で持つこと、そして曲やCMの入り方と終わり方を細かく書くことです。
書く順番
- 01
枠の時刻と、動かせない要素を先に置く
番組の開始と終了、CMや時報など、時刻が決まっていて動かせないものを先に書き込みます。
- 02
ブロック(コーナー)に分ける
オープニング、コーナー、ゲスト、エンディングのように区切り、ブロックごとの尺を決めます。
- 03
曲・ジングルの入り方と終わり方を書く
曲は曲名と尺、イントロの長さ、終わり方(フェードアウトか、曲の最後まで流すか)を書きます。
- 04
トークは話題と台本の参照先だけにする
話す言葉は台本に任せます。キューシートには話題を一言で書き、台本のどのページにあたるかを添えます。
- 05
終わりの時刻から逆算して検算する
最後のブロックで時間が足りるかを確かめ、押したときに削れる曲やトークに印をつけます。
よく使う略号
略号は局や番組によって違います。下は一例で、ディレクターやミキサーと使う記号をそろえてから書いてください。
| 略号の例 | 意味 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| M | 曲(音楽) | M1「曲名」 |
| TM | 番組のテーマ曲 | TM(オープニング) |
| J | ジングル(番組名などの短い音) | J(コーナー明け) |
| CM | コマーシャル | CM(提供読みの後) |
| CI/CO | カットイン/カットアウト(いきなり出す/切る) | M1 CI |
| FI/FO | フェードイン/フェードアウト(徐々に上げる/下げる) | TM FO |
| BG | トークの下に流す音楽 | BG:TMを薄く |
記入例(番組の冒頭部分)
時刻・曲名・尺はすべて例です。「経過」は放送開始からの時間です。
| 時刻 | 経過 | 内容 | 音源・入り方 | 尺 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 15:00:00 | 0:00 | オープニング | TM CI → トーク中はBG | 1:30 | トークは台本1ページ |
| 15:01:30 | 1:30 | 今日のゲスト紹介 | TM FO | 2:00 | ゲストの肩書は事前確認 |
| 15:03:30 | 3:30 | 曲紹介 → 曲 | M1「曲名」 イントロでタイトルを言う | 4:10 | 曲の最後まで流す |
| 15:07:40 | 7:40 | コーナー明け | J CI | 0:05 | |
| 15:07:45 | 7:45 | メール紹介コーナー | BG | 3:15 | 調整可。押したら紹介数を減らす |
| 15:11:00 | 11:00 | CM | CM | 1:00 | 時刻固定 |
注意
曲はイントロの長さ(曲が始まってから歌が入るまでの、話し手が言葉を重ねられる時間)と終わり方を書いておくと、話し手と音を出す人のタイミングがそろいます。曲の放送に関わる権利の手続きは局の運用によるため、担当部署の指示に従ってください。
出演者が提出する「曲ごとのキューシート」
ライブ、ダンス、発表会など出演者が複数いる催しでは、主催者が配る進行表とは別に、出演者が1曲(1演目)ごとにキューシートを書いて音響・照明に提出するやり方があります。書式は主催者や会場が決めることが多いため、指定があればそれに従います。指定がない場合に入れておくと伝わる項目は次のとおりです。
| 項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 曲名・音源 | 曲名、音源の種類とトラック番号 | 「◯◯」/音源ファイル 3曲目 |
| 尺 | 演奏や再生の長さ | (実測値を書く) |
| 構成 | 曲の流れと、照明を変えたい箇所 | イントロ→1番→間奏→2番→ラスト |
| 出はけ | 登場と退場の方向とタイミング | 上手から登場、音が鳴ってから動き出す |
| マイク・楽器 | 使うマイクの種類と本数、楽器の配置 | ハンドマイク×2、キーボード1台 |
| 照明の希望 | 場面ごとの明るさや色の希望 | 間奏は暗め、ラストは全体を明るく |
| 音響の希望 | 音量の変化、返し(演者用スピーカー)の希望 | ボーカルを返しに多めに |
| 終わり方 | 曲の終わりと、暗転・明転の合図 | 最後のポーズで3秒止まってから暗転 |
注意
照明の希望は「明るく」「かっこよく」より、「どこで」「何を見せたいか」を書くほうが伝わります。「2番のサビはソロの人だけを照らしたい」のように、場面と目的をセットにしてください。
キューの出し方(当日の合図)
キューシートは書いて終わりではなく、当日は進行役(ステージマネージャーや進行ディレクター)がインカムなどでキューを出して各部門を動かします。合図の中心は「予告(スタンバイ)」と「実行(キュー)」の2段階で、その間に各部門の返事、実行の後に確認の報告を挟むと、操作の取りこぼしが減ります。進行役の役割はステージマネージャーの役割を参照してください。
| 段階 | 言い方(例) | ポイント |
|---|---|---|
| 予告 | 「照明L4、映像V2、スタンバイお願いします」 | 番号で呼ぶ。全体表と同じ番号を使う |
| 返事 | 「照明スタンバイOKです」 | 準備ができた部門から返す |
| 実行 | 「L4、キュー」(暗転を確かめてから)「V2、キュー」 | 「キュー」の一語で動かす。順番がある操作は一つずつ出す |
| 確認 | 「V2、再生確認しました」 | 映像や暗転など、失敗に気づきにくいものは報告させる |
| 保留 | 「L4、ホールドでお願いします」 | 待たせるときも番号で伝える。再開は改めて予告から |
Point
予告は早めに、実行は短く。実行の合図に説明を混ぜると、どこで動けばよいか分からなくなります。説明はすべて予告の段階で済ませます。
キューシートでよく使う現場用語
キューシートに書く言葉は、照明・音響・会場のスタッフと共通の意味で使えることが前提です。よく出てくる言葉をまとめます。現場によって呼び方が違うことがあるため、最初の打ち合わせでそろえてください。
| 用語 | 意味 | キューシートでの書き方の例 |
|---|---|---|
| キュー(Q) | 次の動きに移る合図。照明・音響・映像の一つひとつの操作 | L3、S5、V2 |
| きっかけ | キューを出す基準になる出来事 | 司会「ご覧ください」の後 |
| 暗転/明転 | 明かりを消す/明かりをつける | 全体を暗転 |
| ハウス | 客席の明かり | ハウスを落とす |
| フェードイン/フェードアウト | 音や明かりを徐々に上げる/下げる | BGM-Aフェードアウト |
| カットイン/カットアウト | 音や明かりをいきなり出す/切る | SEカットイン |
| 上手(かみて)/下手(しもて) | 客席から見て右/左 | 上手から登壇 |
| 出はけ | 出演者の登場と退場 | 下手にはける |
| 尺 | 時間の長さ | 映像の尺 |
| 押し/巻き | 予定より遅れること/予定より早めること | 5分押し。懇親会で吸収 |
| 転換 | 場面や舞台の配置を入れ替えること | 転換(椅子撤去) |
| バミリ | 立ち位置などを床に印すこと | 演台前にバミリ |
押したときの調整を、先に書いておく
進行は遅れる前提で作ります。当日に「どこで時間を取り戻すか」を考えると判断が遅れるため、キューシートの段階で「縮められる行」と「縮められない行」に印をつけておきます。
| 行の種類 | 調整のしかた(例) | 注意 |
|---|---|---|
| 縮められる | 歓談・懇親会の時間、休憩、BGMだけの時間 | 料理や会場の終了時刻と合わせて判断する |
| 縮め方を決めておく | トークセッション、質疑応答 | 登壇者に事前に「短くする場合はここで切る」と伝えておく |
| 縮められない | 映像(尺が決まっている)、転換、来賓の挨拶 | ここを削ると事故や失礼につながる |
| 最後の調整 | 閉会前の行 | 会場の利用時間を超えない最終ライン |
余白(バッファ)を置く場所
余白は最後にまとめて置くより、押しやすい場面の直後に分けて置くほうが効きます。どこにどれだけ置くかに決まりはないため、リハーサルで実際にかかった時間を見て決めます。
| 置く場所 | 理由 |
|---|---|
| 登壇者の交代・機材の切り替えの後 | マイクの付け替えやパソコンの接続に、想定より時間がかかりやすい |
| 質疑応答・来賓の挨拶の後 | 話す長さを運営側で決めきれない |
| 休憩・転換 | 会場の入れ替えや客席の移動が重なる |
| 閉会の前 | それまでの押しを吸収する最後の場所。ここを過ぎると会場の利用時間に響く |
注意
全体のキューシートの備考欄に「調整可」と書くだけでも十分です。押しが出たら、進行役が何分押しているかとどの行で吸収するかを全員に伝えます。
香盤表・タイムテーブル・進行台本との違い
イベントの現場では、キューシートと香盤表はほぼ同じ意味で使われます。強いて分けるなら、香盤表は「誰が・いつ・どこにいるか」の全体の進行表、キューシートは照明・音響・映像の「きっかけ」に寄せた技術用の表として作り分ける現場もあります。呼び方は会社や現場によって違うため、最初の打ち合わせで「この資料を何と呼ぶか」をそろえておくと混乱しません。
| 資料 | 書くこと | 主な読み手 | 社外に出すか |
|---|---|---|---|
| キューシート/香盤表 | 誰が・いつ・何をきっかけに・何を動かすか | 運営、技術、会場 | 出さない(内部資料) |
| タイムテーブル | 来場者向けの時間割 | 来場者 | 出す |
| 進行台本 | 司会が話す内容、登壇の順と持ち時間 | 司会、登壇者 | 関係者のみ |
| 緊急連絡網 | 誰に・どの順で連絡するか、判断基準 | 全スタッフ | 出さない |
来場者向けの時間割はタイムテーブルの作り方、司会が読む台本は司会台本・進行台本の書き方、撮影現場で使う香盤表(出演者の入り時間やシーンの順番を管理する表)は撮影の香盤表とスケジュール表にまとめています。
無料テンプレートと作成ツール
上の列をそのまま使える道具を用意しています。どれも登録は要りません。
| 道具 | 向いている使い方 | できること |
|---|---|---|
| 香盤表・進行表作成ツール(ブラウザ) | その場で作って、印刷して配る | 所要時間から時刻を自動計算、総尺の表示、音響・照明・映像・担当の列、行の並べ替え、実績の記入欄、A4横の印刷、CSV(Excel)保存、表のコピー |
| 香盤表のExcelテンプレート | 社内の書式に合わせて育てる | 列の追加や色分けを自由に。共有フォルダで版を管理する |
| 大画面タイマー | 当日、登壇者に残り時間を見せる | スピーチや発表の残り時間を全画面で表示 |
Point
時刻は手で打たず、所要時間から計算させてください。1行の所要を直すと以降の時刻がすべてずれるため、手打ちのキューシートでは検算漏れが起きやすくなります。作成ツールは所要時間を入れるだけで、開始から終了までの時刻と総尺をそろえます。「きっかけ」の列が要る場合は、ツールの備考欄に書くか、CSVで書き出してExcelで列を足してください。
よくある間違いと直し方
| よくある間違い | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| きっかけを書かず、時刻だけで動かす | 進行が押した瞬間に、技術スタッフがいつ動けばよいか分からなくなる | 技術が動く行には、目で見て分かる合図を書く |
| 「VTR」「BGM」とだけ書く | 違う素材が流れる。差し替え前の古い版が流れる | ファイル名と版、尺、音声の有無まで書く |
| 転換・移動を行に立てない | 転換の時間が見えず、押しの原因になる | 転換を独立した行にし、所要を入れる |
| 全体表と部門別の表で番号がずれる | 変更が片方にしか反映されない | 同じキュー番号でつなぎ、全体表の備考に各部門の番号を書く |
| 映像の「終わった後」を書かない | 再生後にパソコンの画面が映る | 終わった後に出す画面(静止画やロゴ)を書く |
| 会場の図面と立ち位置が合っていない | 登壇の方向やマイクの位置が当日に食い違う | 会場レイアウト図と照らし合わせ、上手・下手をそろえる |
| 版が複数出回る | 部門ごとに違う進行を見て動く | 版番号と更新日時を紙面に入れ、配布経路を一本にする |
会場の配置図の作り方は会場レイアウトの作り方、リハーサルでキューシートを確定させる手順はリハーサルの進め方にまとめています。
配る前のチェックリスト
- 1行に出来事が1つだけになっているか
- 所要の合計が、開始から終了までの総尺と合っているか
- 終了時刻が会場の利用時間(撤収を含む)に収まっているか
- 転換・移動が独立した行になっているか
- 技術が切り替わる行にきっかけが書いてあるか
- 映像の行にファイル名と尺が書いてあるか
- 担当欄がすべて個人名になっているか
- 紙面に版番号と更新日時が入っているか
- 来場者向けの資料に、キューシートの内容(技術・担当)が混ざっていないか
- 全体表と部門別の表でキュー番号が一致しているか
- 映像の行に終わった後に出す画面が書いてあるか
- 縮められる行に印がついているか
会場と共有するときに確認すること
キューシートは会場のスタッフにも渡します。会場側の設備や決まりと食い違うと当日に動けないため、渡す前に次を確かめます。
| 確認すること | キューシートのどこに関わるか |
|---|---|
| 入館・搬入・退出の時刻 | 最初の行(集合・搬入)と最後の行(撤収完了) |
| 照明・音響を操作するのは会場側か、持ち込みの業者か | 照明・音響の列の担当、部門別の表を誰に渡すか |
| 客席の照明(ハウス)を落とせるか、どこまで暗くできるか | 暗転・映像の行 |
| 音量や演出(煙・火気など)の制限 | 音響の列、演出の行 |
| 会場スタッフへの合図の出し方(インカムの有無) | きっかけの列、キューの出し方 |
| 料理や飲み物を出す時刻(宴会場の場合) | 乾杯・歓談の行の時刻 |
持ち込みの演出に会場や消防への届出が関わる場合は、イベントの許認可で確認してください。
版管理:最新版を一つに保つ
キューシートで最も多い事故は、現場に複数の版が存在することです。前日にLINEで送った版と、当日朝に修正した版が混在すると、照明と音響が違う進行を見ながら動くことになります。
ルール1:版番号と更新日時をヘッダーに入れる
「v0.3/◯月◯日 ◯時更新」のように、ファイル名ではなく紙面の見える位置に書きます。ファイル名だけだと、印刷された瞬間に分からなくなります。
ルール2:変更箇所を色で示す
前版からの変更点をハイライトします。全部読み直させるのではなく、差分だけ見れば済む状態を作ります。
ルール3:配布経路を一本化する
「最新版はここ」という共有場所を決め、個別のメール添付をやめます。当日は紙が正になるため、印刷のタイミングと担当も決めておくのが確実です。
Point
PRODUCER AGENTでは、クライアントからの変更依頼を検知して香盤表に反映し、何をどう変えたかを差分つきで記録します。版が枝分かれせず、最新版が常に一つに保たれる設計です。詳しくは運営マニュアル・台本の機能をご覧ください。
当日の運用
- 01朝に全員で読み合わせ:前版からの変更点だけを確認する
- 02紙を配る:スマートフォンだけに頼ると、電池切れや通知で見落としが起きる
- 03変更は1人に集約:誰が更新権を持つかを事前に決める
- 04押したらすぐ共有:遅れが出た時点で、以降の時刻を全員に伝える
- 05終了後に実績を記入:実際の時刻を書き込み、次回の精度に使う
注意
最後の「実績を記入」を習慣にすると、次回以降の見積時間の精度が上がります。転換に何分かかったかは、経験ではなく記録で持つべき情報です。運営全体の手順は運営マニュアルの作り方、準備の抜け漏れはイベント準備のチェックリストで確認できます。
この記事の要点
- キューシートは1行に1つの出来事を時系列で書く。時刻は所要時間から計算する。
- 技術が切り替わる行には「きっかけ(何を合図に動くか)」を書く。
- 照明・音響・映像は、全体表と同じキュー番号で部門別の表を持つ。照明は「前から変わる点」だけを書く。
- 当日の合図は「スタンバイ」と「キュー」の2段階。押したときに縮める行は先に決めておく。
- 担当欄には役職ではなく個人名。転換は独立した行に。
- 香盤表とほぼ同じ意味。呼び方は最初の打ち合わせでそろえる。
- 版番号と更新日時は紙面の見える位置に。ファイル名だけでは印刷後に分からない。
FAQ
よくある質問
1行に1つの出来事を時系列で並べ、時刻・所要・進行内容・きっかけ・音響・照明・映像・担当の列を埋めます。進行内容は「開場」「登壇」「転換」のように動詞で、きっかけは「司会の◯◯というセリフの後」のように目で見て分かる合図で、担当は個人名で書きます。時刻は所要時間から計算し、転換は独立した行にします。
イベント当日の進行を、時刻・進行内容・照明や音響や映像のきっかけ(キュー)・担当者の軸で時系列に並べた進行表です。運営・技術・会場のスタッフが同じ一枚を見て動くために使います。司会の話す内容を書く進行台本とは役割が違います。
イベントの現場ではほぼ同じ意味で使われます。分けて使う現場では、香盤表を「誰が・いつ・どこにいるか」の全体の進行表、キューシートを照明・音響・映像のきっかけに寄せた技術用の表とすることがあります。呼び方は現場ごとに違うため、打ち合わせでそろえておくのが確実です。
ブラウザで使える香盤表・進行表作成ツール(時刻の自動計算、印刷、CSV保存)と、Excelのテンプレートを無料で用意しています。どちらも登録は要りません。
タイムテーブルは来場者向けに公開する時間割で、香盤表(キューシート)は運営側が使う内部資料です。香盤表には技術のきっかけや担当者、転換の詳細など、来場者には不要な情報が入ります。混同すると、社外に出さない情報が公開資料に混ざる事故につながります。
決まりはありませんが、リハーサルの前に初版を関係者へ配り、リハーサルで見つかった修正を反映した版を本番前に確定させる流れにすると混乱が少なくなります。当日朝の変更は避けられないため、変更点を差分で示せる状態にしておきます。
決まりはなく、現場の複雑さで決めます。転換や配信の切り替えなど、短い時間で複数の人が動く場面ほど細かく刻みます。刻みを細かくするほど正確になりますが、読みにくくもなるため、全体は粗めにし、技術が動く行だけ細かくする方法もあります。
キュー番号、きっかけ、明かりの状態、切り替えの速さの4つが基本です。明かりの状態は、前のキューから変わる点だけを書くと本番中に読む量が減ります。書式は照明担当によって違うため、先に「どの書式で渡せばよいか」を確認してください。
1曲(1演目)ごとに、曲名と音源、尺、曲の構成、出はけの方向、マイクや楽器、照明と音響の希望、終わり方を書きます。照明の希望は「どの場面で、何を見せたいか」を書くと伝わります。主催者や会場の指定書式があれば、それに従います。
番組の枠の中に、トーク・曲・CM・ジングルを時刻と放送開始からの経過時間で並べます。曲は曲名と尺、イントロの長さ、終わり方を書き、トークは要点と台本の参照先だけを書きます。略号は局や番組で違うため、ディレクターと使う記号をそろえてから書きます。
最後にまとめるより、登壇者の交代、質疑応答、休憩や転換、閉会の前など、押しやすい場面の直後に分けて置くほうが効きます。どれだけ置くかはリハーサルで実際にかかった時間を見て決めます。
全体のキューシートは、進行を取りまとめる人(制作担当、ディレクター、ステージマネージャーなど)が作り、照明・音響・映像の担当がそれを元に部門別の表を作るのが分かりやすい分担です。小さな催しでは、幹事が全体表を作り、会場スタッフと読み合わせるだけでも十分に機能します。
その場で作って印刷するなら、時刻を自動計算できる作成ツールが手早く済みます。部門別の列や色分けを足して社内の書式として育てるなら、Excelのテンプレートが向いています。作成ツールで作ってCSVで書き出し、Excelで列を足す使い方もできます。