マナー
応接室での待ち方と訪問マナー
座る位置・鞄の置き場所・お茶のいただき方
訪問先で応接室に通されたら、案内の人が勧めた席に座り、指定がなければ入口に近い席で待つのが基本です。鞄は足元、コートはたたんで鞄の上に置き、浅めに座って資料と名刺入れを出しておきます。担当者がノックをしたらすぐ立ち上がって挨拶し、名刺交換のあと「どうぞ」と言われてから座ります。出されたお茶は勧められてからいただきます。案内の人への一言は「ありがとうございます。失礼いたします」で十分です。このページでは、通されてから部屋を出るまでの動きを順番に並べ、場面ごとの一言、置き場所の早見表、出発前のチェックリストまでまとめました。
結論
応接室での待ち方は①勧められた席に座る(指定がなければ入口側)②鞄は足元、コートはたたんで鞄の上 ③浅めに座り、資料と名刺入れを準備 ④担当者が来たら立って挨拶 ⑤お茶は勧められてから ⑥帰りは椅子を戻して一礼の六つです。上座は入口から遠い席とする考え方がよく知られていますが、部屋の形や相手先の慣行で変わるので、相手が勧めた席に従うのがいちばん確実です。
結論:応接室ですることと一言(早見表)
急いでいる人向けに、場面ごとに「すること」と「言うこと」を一つの表にしました。迷ったら相手に勧められるまで待つと覚えておけば、大きく外すことはありません。
| 場面 | すること | そのまま使える一言 |
|---|---|---|
| 部屋に通された | 入口で一礼して入る | 失礼いたします。 |
| 席を示された | 示された席に座る | ありがとうございます。失礼いたします。 |
| 「どちらでも」と言われた | 入口に近い席を選ぶ | ありがとうございます。では、こちらで失礼いたします。 |
| 一人で待つ | 鞄は足元、浅めに座って資料と名刺入れを準備 | (声は出さない) |
| お茶を出された | 会釈してお礼。口をつけるのは勧められてから | ありがとうございます。 |
| ノックの音がした | すぐ立ち上がる | (立って待つ) |
| 担当者が入ってきた | 立ったまま挨拶し、名刺交換 | 本日はお時間をいただき、ありがとうございます。 |
| 「どうぞおかけください」 | 相手が座るのに合わせて座る | 失礼いたします。 |
| 約束の時刻を過ぎても誰も来ない | しばらく待ち、それでも来なければ近くの人に確認 | 恐れ入りますが、ご確認いただけますでしょうか。 |
| 帰るとき | 椅子を戻し、ドアの前で振り返って一礼 | 本日はありがとうございました。失礼いたします。 |
通されてから部屋を出るまでの流れ
- 01
一礼して入る
案内の人がドアを開けてくれたら「失礼いたします」と言って入ります。コートは建物に入る前に脱いで腕にかけておくと、部屋に入ってから慌てません。
- 02
勧められた席に座る
「こちらへどうぞ」と席を示されたら、その席に座ります。「どちらでもどうぞ」と言われたときや、何も言われないときは、入口に近い席を選びます。
- 03
荷物を置く
鞄は足元の床に、コートはたたんで鞄の上に置きます。空いている椅子やソファの上は、勧められない限り使いません。
- 04
準備して待つ
打ち合わせで使う資料、筆記用具、名刺入れを出しておきます。名刺は名刺入れからすぐ出せる状態にします。携帯電話は音を消して鞄にしまいます。
- 05
ノックで立ち上がる
ノックの音やドアの開く気配がしたら、座ったまま待たずに立ち上がります。椅子の横(入口側)に出ておくと、名刺交換に移りやすくなります。
- 06
挨拶と名刺交換
「本日はお忙しいところお時間をいただき、ありがとうございます」と挨拶し、名刺交換をします。手土産があれば、このあとの挨拶の流れで渡します。
- 07
勧められてから座る
「どうぞおかけください」と言われてから、「失礼いたします」と座ります。受け取った名刺は、名刺入れの上に載せて机の上に置いておきます。
- 08
お茶は勧められてから
出されたら「ありがとうございます」。相手に「どうぞ」と勧められてから、または相手が口をつけてからいただきます。
- 09
帰り支度と退室
話が終わったら資料と名刺をしまい、立ち上がって椅子を元の位置に戻します。ドアの前で振り返り「本日はありがとうございました。失礼いたします」と一礼して出ます。
注意
名刺交換の手順そのものは名刺交換のマナー、手土産を渡す言葉は手土産のマナー、受付での名乗り方は訪問先の受付での名乗り方にまとめています。
応接室の座る位置(番号つきの説明)
入口のある応接室に、長椅子(ソファ)と一人掛けの椅子が向かい合っている配置で説明します。番号が小さいほど上座です。ここで挙げるのはよく紹介される考え方で、部屋の形や相手先の慣行によって違うことがあります。
| 番号 | 位置 | 主に座る人 |
|---|---|---|
| ① | 入口から最も遠い側の、長椅子の奥 | 訪問した側でいちばん立場が上の人 |
| ② | ①と同じ長椅子の、入口寄り | 訪問した側の二番目の人 |
| ③ | ①の向かいにある一人掛けの椅子のうち、入口から遠いほう | 迎える側でいちばん立場が上の人 |
| ④ | ③の隣の一人掛けの椅子(入口寄り) | 迎える側の二番目の人 |
| ⑤ | 入口に最も近い椅子・補助の椅子 | 迎える側の三番目の人・担当者 |
部屋の形が違うときの目安
| 部屋の形 | 上座とされやすい席 | 訪問した側の動き |
|---|---|---|
| 長椅子と一人掛けの椅子 | 入口から遠い長椅子 | 勧められたら長椅子へ。勧められなければ入口側で待つ |
| 長机が一つの会議室 | 入口から遠い側の、列の中央か奥 | 相手が来る側(入口から遠い側)を空けて待つことが多い |
| 一人掛けの椅子だけ | 入口から遠く、肘掛けのある椅子 | 入口に近い椅子で待つ |
| 窓や絵が見える部屋 | 景色や絵がよく見える席とする考え方もある | 相手に勧められた席を優先する |
| 入口が二つある・部屋が細長い | 決めにくい | 自分で判断せず、案内の人に聞く |
席がわかりにくいときは、案内の人に「どちらにおかけすればよろしいでしょうか」と聞いて構いません。黙って上座に座るより、ひと言たずねるほうが感じのよい対応です。訪問した側が自分ひとりなら、①を勧められることが多いでしょう。
Point
自分から①に座らないでください。案内の人が①を勧めたら座って構いませんが、何も言われないうちは入口側で待ち、担当者が来て勧められてから移ります。席の順位の一般論は席次とは?上座・下座の順位を見てください。
荷物の置き場所の早見表
| 持ち物 | 置き場所 | ひと言・注意 |
|---|---|---|
| 鞄 | 足元の床(自分の座る席の横) | 椅子やソファ、テーブルの上には置かない |
| コート | 裏返しにたたみ、鞄の上か自分の席の横 | ハンガーを勧められたら「ありがとうございます。お借りします」 |
| 傘 | 入口の傘立て。なければ案内の人に聞く | 濡れた傘を部屋に持ち込まない |
| 手土産 | 紙袋のまま自分の座る席の端か膝の上。挨拶のあとで渡す | 食べ物なので床に直接置かないほうが無難。テーブルに先に出しておかない |
| 資料・筆記用具 | 机の上の自分の前 | 相手の席の前まで広げない |
| 名刺入れ | すぐ出せるよう手元か上着の内ポケット | 受け取った名刺は名刺入れの上に載せて机に置く |
| 携帯電話 | 音を消して鞄の中 | 机の上に出しっぱなしにしない |
| 大きな荷物・キャリーケース | 案内の人に置き場所をたずねる | 「こちらに置かせていただいてもよろしいでしょうか」 |
待っている間の座り方・振る舞い
- ソファには浅めに座り、背もたれに深くもたれない。
- 膝と足をそろえ、足は組まない。
- 手は膝の上に置くか、資料を確認して待つ。
- 部屋の中を歩き回ったり、置いてある物を手に取ったりしない。
- 打ち合わせで話す要点、相手の名前と役職をもう一度確かめておく。
- 社員が出入りしたら、軽く会釈する。
- 同行者がいる場合も、私語は小声で短く。応接室の声は廊下に聞こえることがある。
待っている時間は、最初の数分の話し方を決めておく時間でもあります。雑談のきっかけは打ち合わせの最初の雑談も参考になります。
お茶・コーヒーのいただき方
出された飲み物は、相手に「どうぞ」と勧められてから、または相手が口をつけてからいただくのが無難です。運んできてくれた人には、話の途中でも軽く会釈して「ありがとうございます」と伝えます。
| 出されたもの | いただき方の目安 |
|---|---|
| 蓋つきの湯のみ | 蓋はそっと外し、しずくが落ちないよう裏返して茶托の脇へ。飲み終えたらかぶせ直す |
| 茶托つきの湯のみ | 湯のみだけを持ち上げ、もう一方の手を底に添えて飲む。茶托ごと持ち上げない |
| コーヒー・紅茶 | 砂糖やミルクを入れたらスプーンはカップの奥に置く。カップの持ち手を持って飲む |
| ペットボトル | 勧められてから開ける。飲み残したら持ち帰ってよいか一言たずねる |
| お菓子 | 勧められてからいただく。食べきれなければ、包み紙ごとまとめておく |
| 飲まなかった | 無理に飲まなくてもよい。帰り際に「ごちそうさまでした」と一言添える |
注意
作法は流派や地域、会社ごとに違うことがあります。ここにある手順は「迷ったときの一つの目安」と考え、相手のふるまいに合わせてください。お茶を出す側の作法はお茶出しのマナーにあります。
場面別の言い方(そのまま使える一言)
案内の人に「こちらでお待ちください」と言われた
ありがとうございます。失礼いたします。
どの席に座ればよいかわからない
恐れ入ります。どちらにおかけすればよろしいでしょうか。
上座を勧められた
ありがとうございます。それでは、失礼いたします。
遠慮して入口側にいたら、もう一度勧められた
恐れ入ります。では、お言葉に甘えて失礼いたします。
コートの置き場所を聞きたい
恐れ入りますが、コートはこちらに置かせていただいてもよろしいでしょうか。
ハンガーを勧められた
ありがとうございます。お借りいたします。
お茶を出してくれた社員に
(軽く会釈して)ありがとうございます。
担当者に「どうぞ、召し上がってください」と勧められた
ありがとうございます。いただきます。
担当者が「お待たせしました」と入ってきた
(立ち上がって)いえ、本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
初めて会う担当者に
(立ち上がって)はじめまして。株式会社△△の□□と申します。本日はお忙しいところ、ありがとうございます。
担当者の上司が後から入ってきた
(立ち上がって)お忙しいところ恐れ入ります。株式会社△△の□□と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
手土産を渡す
皆さまで召し上がっていただければと思い、お持ちしました。どうぞお納めください。
長く待っていて、様子を確かめたい
(受付や近くの社員に)恐れ入ります。株式会社△△の□□と申します。◯時から◯◯様とお約束をいただいているのですが、ご確認いただけますでしょうか。
担当者が遅れて「お待たせして申し訳ありません」と言った
いえ、資料を見直すことができましたので、どうぞお気になさらないでください。
待っている間にお手洗いを借りたい
恐れ入りますが、お手洗いをお借りしてもよろしいでしょうか。
お茶をこぼしてしまった
大変失礼いたしました。恐れ入りますが、拭くものをお借りできますでしょうか。
帰るとき(部屋を出る前)
本日はお忙しいところ、ありがとうございました。失礼いたします。
お茶を出してくれた人・案内の人にも
ごちそうさまでした。ありがとうございました。
注意
長く待たされても、苛立ちを表に出さないでください。前の会議が長引いていることもあります。約束の時刻を過ぎてもしばらく誰も来ないときに、ひと声かけるくらいで十分です。次の予定があるなら「◯時に次の約束がございまして」と事情を添えると伝わりやすくなります。
帰り際・退室のマナー
- 01
片付けてから立つ
資料、受け取った名刺、筆記用具を鞄にしまいます。名刺は相手の前でぞんざいに扱わず、名刺入れに入れてからしまいます。
- 02
椅子を戻す
立ち上がったら、椅子を元の位置に戻します。湯のみは動かさず、そのままで構いません。
- 03
コートは部屋を出てから
コートは腕にかけて持ち、着るのは建物を出てからにします。「どうぞお召しになってください」と勧められたら、お礼を言ってその場で着ても構いません。
- 04
ドアの前で一礼
ドアの前で振り返り、「本日はありがとうございました。失礼いたします」と一礼します。
- 05
見送りにお礼
エレベーターや玄関まで見送ってもらったら、扉が閉まる前、建物を出る前にもう一度お礼を伝えます。
迎える側から見た見送りの流れはお客様のお見送りのマナーにまとめています。
やりがちなNG
- 案内される前に自分で上座に座る
- 鞄をテーブルの上や隣の椅子に置く
- ソファに深くもたれかかって座る、足を組む
- 待っている間に部屋の中を歩き回る、置いてある物を手に取る
- 携帯電話で通話する、机の上に出しっぱなしにする
- 担当者が入ってきても座ったまま挨拶する
- 名刺交換が済む前に、勧められないうちに座ってしまう
- 勧められる前にお茶に口をつける
- 帰るときに椅子を出したままにする、部屋の中でコートを着る
訪問前・待つ間のチェックリスト
- 名刺は名刺入れに十分な枚数入っているか
- 資料はすぐ出せる順番で鞄の上のほうに入れたか
- 携帯電話の音を消したか
- コートは建物に入る前に脱いだか
- 手土産は紙袋ごと持ち、渡す言葉を決めたか
- 相手の名前・役職・部署を確かめたか
- 最初に話す挨拶と本題の一言目を決めたか
- 約束の時刻と、次の予定までの余裕を把握したか
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 理由 | 言い換え |
|---|---|---|
| あ、どうも(だけ) | 挨拶として短すぎる | ありがとうございます。失礼いたします。 |
| 座らさせていただきます | 「さ」が余計に入っている(さ入れ言葉) | 失礼いたします。 |
| いいです、いいです | 断っているのか受けているのか分かりにくい | 恐れ入ります。では、お言葉に甘えて。 |
| お茶、いただきますね | くだけすぎている | ありがとうございます。いただきます。 |
| まだですか? | 相手を責める言い方になる | ご確認いただけますでしょうか。 |
| 全然大丈夫です | くだけた印象になる | いえ、どうぞお気になさらないでください。 |
| つまらないものですが | へりくだりすぎと受け取る人もいる | 皆さまで召し上がっていただければと思い、お持ちしました。 |
注意
「させていただく」は使いすぎると回りくどく聞こえます。「失礼いたします」で足りる場面では、そちらを使うとすっきりします。
後日のフォロー(お礼・お詫び)
応接室でのことを後日のメールで触れる必要は、ふつうはありません。丁寧にもてなしてもらったときや、お茶をこぼすなど迷惑をかけたことがあれば、お礼メールに一言添えます。
本日はお忙しいところ、ご準備のうえ丁寧にお迎えいただき、ありがとうございました。
本日は応接室でお茶をこぼしてしまい、大変失礼いたしました。ご対応いただき、ありがとうございました。
お礼メールの書き方は訪問後のお礼メール、打ち合わせのお礼メールを見てください。
この記事の要点
- 座るのは案内の人が勧めた席。指定がなければ入口に近い席。わからなければ聞いてよい。
- 鞄は足元、コートはたたんで鞄の上。椅子やテーブルには置かない。
- 浅めに座り、資料と名刺入れを出して待つ。ノックの音がしたらすぐ立つ。
- 名刺交換のあと、勧められてから座る。お茶も勧められてから。
- 帰りは椅子を戻し、ドアの前で一礼。コートは建物を出てから着る。
FAQ
よくある質問
案内の人が上座を示して「こちらへどうぞ」と勧めたら、座って構いません。何も言われなければ入口に近い席で待ち、担当者が来て勧められてから移ります。
入口から最も遠い席を上座とする考え方がよく知られています。長椅子と一人掛けの椅子がある部屋では、長椅子のほうを客用の上座とする考え方もあります。部屋の形や相手先の慣行によって違うので、勧められた席に従うのがいちばん確実です。
案内の人に「どちらにおかけすればよろしいでしょうか」と聞いて構いません。すでに案内の人がいなくなっていたら、入口に近い席で待ちます。
足元の床に置きます。椅子やソファの上、テーブルの上には置かないようにします。大きな荷物で置き場所に困るときは、案内の人に「こちらに置かせていただいてもよろしいでしょうか」と確かめます。
建物に入る前に脱いでたたみ、部屋では鞄の上か自分の席の横に置きます。ハンガーを勧められたら、お礼を言って借ります。
座って待って構いません。ノックの音がしたり、ドアが開いたりしたら、すぐ立ち上がって迎えます。
相手に「どうぞ」と勧められてから、または相手が口をつけてからいただくのが無難です。飲まずに帰っても構いません。帰り際に「ごちそうさまでした」と添えると丁寧です。
打ち合わせに使う資料を確認したり、メモの準備をしたりして待つのは自然です。携帯電話は音を消してしまい、急ぎの確認が要るときだけ短く済ませます。通話は避けます。
前の予定が長引いていることもあるので、まずは落ち着いて待ちます。しばらくたっても誰も来なければ、受付や近くの社員に名乗ったうえで「ご確認いただけますでしょうか」とたずねます。
片付けずにそのまま置いて構いません。椅子を元の位置に戻し、ドアの前で一礼して出ます。