結論
来賓紹介は、主催者が決めた順番で来賓の所属・役職・氏名を司会が読み上げ、呼ばれた来賓が起立または会釈をする進行です。台本は①前置き(紹介の仕方の案内)②一人ずつ「◯◯、◯◯◯◯様でございます」③お礼④次の項目への案内の四つで組み立てます。
そのまま読める来賓紹介の台本(基本形)
来賓が客席の来賓席に座っている式典で、いちばん使いやすい形です。( )内は司会の動きで、読み上げません。
それでは、本日ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまをご紹介申し上げます。お名前をお呼びいたしましたら、恐れ入りますが、その場でご起立くださいますようお願い申し上げます。なお、拍手は皆さまをご紹介した後に、まとめてお願いいたします。
◯◯市長、◯◯◯◯様でございます。(起立と一礼を待ち、着席を見てから次へ)
◯◯市議会議長、◯◯◯◯様でございます。
◯◯商工会議所 会頭、◯◯◯◯様でございます。
以上、ご来賓の皆さまでございます。ご多用のところご臨席を賜り、誠にありがとうございます。皆さま、盛大な拍手をお願いいたします。(拍手が収まるのを待つ)
続きまして、ご来賓を代表いたしまして、◯◯市長 ◯◯◯◯様よりご祝辞を頂戴いたします。◯◯様、よろしくお願いいたします。
Point
台本の四つの部品は、①前置き(起立か会釈か・拍手のタイミング)②一人ずつの紹介 ③お礼と拍手 ④次の項目への案内、です。場面が変わっても、入れ替えるのは②の言い方と①の案内だけです。
席から立たずに会釈していただく場合の前置き
お名前をお呼びいたしましたら、恐れ入りますが、お席にてご会釈をお願いいたします。
一人ずつ拍手をする場合の前置き
お一人ずつお名前をお呼びいたしますので、皆さま、その都度拍手でお迎えください。
座り位置別の言い方(壇上・来賓席・会場のあちこち)
来賓がどこに座っているかで、司会が最初に添える一言が変わります。どちら側から紹介するかを先に言うと、会場の視線が迷いません。
| 座り位置 | 前置きの言い方 | ポイント |
|---|---|---|
| 壇上に並んでいる | 「壇上にお並びの皆さまを、客席から見て左手の方から順にご紹介いたします」 | 左右は客席から見た向きで言う。司会の立ち位置から見た左右と逆になることがあるので、リハーサルで確かめる |
| 前方の来賓席 | 「前方のご来賓席にお掛けの皆さまをご紹介申し上げます」 | 席札の並びと名簿の順番をそろえておく |
| 会場内に分かれて座っている | 「お名前をお呼びいたしましたら、その場でお手をお挙げいただけますと幸いです」 | 会場の後ろの方からも位置がわかるよう、起立か挙手のどちらで示していただくかを前置きで伝える |
| 懇親会の円卓 | 「各テーブルにお掛けのご来賓の皆さまをご紹介いたします」 | 紹介前にBGMの音量を下げ、会話が止まってから始める |
団体を代表して出席している来賓の言い方
◯◯商工会議所を代表してお越しいただきました、会頭の◯◯◯◯様でございます。
議会・協会・後援会など、団体として招いた来賓は「◯◯を代表してお越しいただきました」と添えると、なぜその方が来ているのかが会場に伝わります。
式典の種類別の例文
総会(自治会・PTA・業界団体・組合)
議事に先立ちまして、本日ご臨席いただいておりますご来賓の皆さまをご紹介いたします。お名前をお呼びいたしましたら、お席にてご会釈をお願いいたします。◯◯市 市民生活部長、◯◯◯◯様でございます。◯◯地区連合会 会長、◯◯◯◯様でございます。以上でございます。ご来賓の皆さま、本日はありがとうございます。なお、ご来賓の皆さまには、ご都合により議事の途中でご退席される方もいらっしゃいますので、あらかじめご了承ください。
総会では来賓紹介と来賓挨拶を議事の前にまとめ、来賓が議事を待たずに退席できるようにする進め方がよく見られます。総会の進め方は団体の規約と前年の次第に合わせます。
周年記念式典・創立記念式典
本日は、◯◯株式会社 創立◯周年記念式典にご臨席を賜りまして、誠にありがとうございます。ここで、日頃より格別のご厚情を賜っておりますご来賓の皆さまをご紹介申し上げます。◯◯銀行 取締役頭取、◯◯◯◯様でございます。◯◯株式会社 代表取締役社長、◯◯◯◯様でございます。……以上、ご来賓の皆さまでございます。誠にありがとうございます。
学校行事(入学式・卒業式・運動会)
本日ご臨席いただいておりますご来賓の皆さまをご紹介いたします。◯◯市教育委員会 教育長、◯◯◯◯様です。本校PTA会長、◯◯◯◯様です。……以上の皆さまです。ありがとうございます。
児童・生徒が聞く式では、「でございます」より「です」の方が子どもに届きやすく、校内の慣行に合わせて選びます。
落成式・竣工式・開所式
ここで、本日ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまをご紹介申し上げます。本工事の設計・施工にご尽力いただきました、◯◯建設株式会社 代表取締役社長、◯◯◯◯様でございます。◯◯設計事務所 所長、◯◯◯◯様でございます。……以上、ご来賓の皆さまでございます。
工事関係者を紹介するときは「ご尽力いただきました」など、その方が式に関わる理由を一言添えると、会場の拍手が自然に集まります。
懇親会・祝賀会(乾杯の前)
乾杯に先立ちまして、本日お越しいただいておりますご来賓の皆さまをご紹介いたします。お名前をお呼びいたしましたら、その場でお手をお挙げいただけますと幸いです。……以上の皆さまでございます。ご来賓の皆さま、どうぞごゆっくりお過ごしください。
困る場面の言い方(名前のみ・代理・割愛・遅れて到着・欠席・紹介漏れ)
人数が多く、お名前のみ紹介する場合
ご来賓の皆さまが多数お見えでございますので、誠に恐縮ではございますが、お名前のみのご紹介とさせていただきます。
代理の方が出席している場合
◯◯県知事 ◯◯◯◯様の代理といたしまして、◯◯部長 ◯◯◯◯様にご臨席いただいております。
注意
代理の方はご本人の肩書と名前を先に、代理の方を後に読む形が多いようです。代理の方の席や紹介の順番を本人の位置に置くかどうかは主催者・団体の慣行で違うので、事前に決めておきます。
紹介を割愛し、お名前を配布物で代える場合
本日は多くのご来賓の皆さまにご臨席を賜っております。誠に失礼ながら、時間の都合により、お名前はお手元の式次第への記載をもってご紹介に代えさせていただきます。
主な方だけを紹介し、ほかは配布物で代える場合
時間の都合により、ご祝辞を賜る方を除くご来賓の皆さまにつきましては、お手元の名簿をもってご紹介に代えさせていただきます。何とぞご了承ください。
紹介の後に到着された来賓
ただいま、◯◯株式会社 取締役 ◯◯◯◯様がお見えになりました。ご紹介申し上げます。
途中で到着した方は、区切りのよい場面で改めて紹介します。挨拶やスピーチの最中に割り込まないようにします。
出席予定の来賓が欠席になった場合
なお、ご出席を予定されておりました◯◯様は、ご公務のため、本日はご欠席でございます。
式次第に名前が印刷されている来賓が欠席になったときに使います。欠席の理由は、先方から伺った範囲で短く述べます。祝電を頂いている場合は祝電披露で改めてお名前を読みます。
紹介漏れ・読み間違いに気づいたとき
先ほどのご紹介で、◯◯様のお名前が漏れておりました。大変失礼いたしました。改めてご紹介申し上げます。
先ほど、◯◯様のお名前を誤って申し上げました。正しくは◯◯◯◯様でございます。大変失礼いたしました。
紹介の仕方の比較(どれを選ぶか)
| 紹介の仕方 | 向いている場面 | かかる時間 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 一人ずつ・起立と一礼 | 来賓が少ない式典、記念式典 | 長い | 立ち座りが負担になる方がいれば会釈に切り替える |
| 一人ずつ・お席で会釈 | 総会、来賓が多めの式典 | やや長い | 会場から姿が見えにくいので、座り位置を先に案内する |
| お名前のみ | 来賓がかなり多い式典 | 短い | 冒頭に「お名前のみのご紹介とさせていただきます」と断る |
| 祝辞の方だけ紹介し、ほかは名簿で | 時間が限られる式典 | 短い | 名簿を全員に配り、名前を必ず載せる |
| 全員を配布物で代える | 時間が非常に限られる式 | 最も短い | 式次第・名簿に漏れがないかを主催者が確認する |
どれを選ぶかは主催者が決め、司会は前日までに確認します。式の途中で時間が押したときに切り替えられるよう、名前のみの言い方も台本に書いておくと安心です。
紹介の順番の決め方とタイミング
来賓紹介の順番は、司会ではなく主催者が決めるものです。考え方としてよく使われるのは次のとおりですが、団体や地域の慣行、来賓同士の関係で変わります。
- 主催者にとって関係の深さや立場の重い方から順に
- 行政・議会・団体・取引先など、区分ごとにまとめて並べる
- 席次と紹介の順番をそろえる(司会が席を見ながら読めるため)
- 来賓挨拶をする方を先に紹介するか、挨拶をしない方だけを紹介するかを決める
注意
議員や行政の来賓の並べ方は、地域・団体ごとに慣行があることが多い分野です。前年の式次第や担当者に確認し、迷ったら主催者の責任者に決めてもらってください。席の配置の考え方は式典の作法にまとめています。
来賓紹介と来賓挨拶はどちらが先か
決まった順番はなく、式次第によって分かれます。よく見られるのは次の二つの形です。
| 形 | 流れ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 紹介を先に | 来賓紹介 → 来賓祝辞 | 来賓が多く、祝辞は代表の方だけが述べる式典 |
| 祝辞を先に | 来賓祝辞 → 祝辞をされなかった来賓の紹介 | 祝辞の方を紹介で二度呼ばずに済ませたい式典 |
式次第のどこに置くか
よく見られるのは開会の言葉・主催者挨拶の後、来賓祝辞の前後です。懇親会では乾杯の前に置くと、来賓が歓談の場で声をかけられやすくなります。式次第の中での置き場所は式次第作成ツールで並べてみると、前後の流れが見えやすくなります。
司会の手元台本の書き方(テンプレート)
読み間違いと紹介漏れは、手元台本の書き方でほとんど防げます。名簿をそのまま読むのではなく、司会が読む順に次の列で一覧にします。
| 順 | 区分 | 所属・役職(読み上げる文字どおり) | 氏名 | ふりがな | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 行政 | ◯◯市長 | ◯◯◯◯ | まるまる まるまる | 祝辞あり・壇上左端 |
| 2 | 議会 | ◯◯市議会議長 | ◯◯◯◯ | まるまる まるまる | 代理:副議長 ◯◯◯◯様 |
| 3 | 団体 | ◯◯商工会議所 会頭 | ◯◯◯◯ | まるまる まるまる | 遅れて到着の予定 |
- 役職は読み上げる文字どおりに書く(「代表取締役社長」を略さない、旧肩書が残っていないか確かめる)
- ふりがなは本人側(秘書・事務局)に確かめた読みを書き、確認済みの印を付ける
- 代理・欠席・遅れて到着は備考に大きく書き、当日の変更は赤で書き足す
- 「(一礼を待つ)」「(拍手を待つ)」など間の指示を台本に書いておく
- 全体の台本の書式は司会台本の書き方にあります
よくある失敗と防ぎ方
| よくある失敗 | 起きる理由 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 名前・肩書の読み間違い | 名簿の漢字だけで読んだ | 本人側に読みを確かめ、ふりがなを台本に書く |
| 前年の肩書のまま読んだ | 前年の台本を使い回した | 名簿を当年の案内状の宛名と照らし合わせる |
| 紹介漏れ | 当日の追加出席が司会に伝わっていない | 受付から司会へ最終名簿を渡す担当を決める |
| 欠席の方を紹介してしまった | 欠席の連絡が受付で止まった | 開式前に受付と司会で出欠を突き合わせる |
| 起立のタイミングで会場がざわつく | 起立か会釈かを案内していない | 前置きで起立・会釈・挙手のどれかを伝える |
| 拍手がばらばらになる | 拍手のタイミングを決めていない | 一人ずつかまとめてかを前置きで伝える |
| 来賓が座る前に次の名前を読んだ | 早く進めようとした | 着席を目で確かめてから次の名前を読む |
前日と当日のチェックリスト
前日までに確認すること
- 来賓の名簿(所属・役職・氏名)が最新か
- 名前の読み方(ふりがな)を本人側に確かめたか
- 代理出席の方の所属・役職・氏名
- 紹介の順番と席次・席札が一致しているか
- 起立していただくか、会釈か、挙手か
- 拍手を一人ずつにするか、最後にまとめるか
- 来賓祝辞をする方を紹介で呼ぶかどうか
- 時間が押したときの短縮の仕方(名前のみ・名簿で代える)
- 当日の欠席・追加を受付から司会へ伝える担当者
当日、開式前に確認すること
- 受付で最終の出欠を確かめた名簿を受け取った
- 来賓席・壇上の並び順を実際の席で確かめた
- 紹介を始める側(客席から見て左右どちらか)をリハーサルで確かめた
- 読み方に迷う名前を声に出して練習した
- マイクの音量と、来賓席から司会が見えるかを確かめた
この記事の要点
- 台本は前置き→一人ずつ紹介→お礼→次の項目への四つで組む。
- 順番は主催者が決める。司会は決まった順に読み、席次とそろえる。
- 壇上なら「客席から見て左手の方から」のように、紹介の向きを先に言う。
- 代理はご本人の肩書と名前→代理の方の順に読む形が多い。
- 人数が多い・時間が押すときは名前のみ、または名簿・式次第で代える。
- 読み間違いと紹介漏れは、ふりがな付きの手元台本と受付からの最終名簿で防ぐ。
FAQ
よくある質問
「それでは、本日ご臨席を賜りましたご来賓の皆さまをご紹介申し上げます。お名前をお呼びいたしましたら、その場でご起立くださいますようお願い申し上げます」と前置きし、「◯◯株式会社 代表取締役社長、◯◯◯◯様でございます」と一人ずつ読み、最後に「以上、ご来賓の皆さまでございます。ご臨席を賜り、誠にありがとうございます」と締めます。
「壇上にお並びの皆さまを、客席から見て左手の方から順にご紹介いたします」と、どちらから紹介するかを先に伝えます。左右は客席から見た向きで言うので、リハーサルで司会の位置から見た左右と食い違わないか確かめます。
「◯◯様の代理といたしまして、◯◯部長 ◯◯◯◯様にご臨席いただいております」のように、ご本人の肩書と名前を先に、代理の方を後に読む形が多いようです。順番や席をご本人の位置に置くかは、主催者で事前に決めておきます。
来賓が多い場合は「誠に恐縮ではございますが、お名前のみのご紹介とさせていただきます」、時間が足りない場合は「お手元の式次第への記載をもってご紹介に代えさせていただきます」と断ってから進めます。どちらにするかは主催者が決め、配布物に全員の名前を載せます。
決まりはなく、式次第によります。来賓紹介を先にして代表の方が祝辞を述べる形と、祝辞を先にして祝辞をされなかった来賓を後から紹介する形がよく見られます。
式典では開会の言葉・主催者挨拶の後、来賓祝辞の前後に置く形がよく見られます。総会では議事の前、懇親会では乾杯の前に置くと、来賓が途中で退席しやすく、歓談でも声をかけられやすくなります。
どちらでも構いませんが、決めたら前置きで会場に伝えます。来賓が多い式では最後にまとめると時間が読みやすく、少ない式では一人ずつの拍手で迎えると丁寧な印象になります。
気づいた時点で「先ほど、◯◯様のお名前を誤って申し上げました。正しくは◯◯◯◯様でございます。大変失礼いたしました」と短く訂正します。式の後、主催者からもご本人にお詫びを伝えると丁寧です。