言葉の使い分け
追求・追及・追究の違い
早見表と例文30、覚え方
即答:欲しいもの・目指すものを追い求めるなら「追求」、責任や不正を問い詰めるなら「追及」、原因や本質を調べて明らかにするなら「追究」です。迷ったときは「何を」ついきゅうするのか(目的語)を見ると決まります。
・利益・品質・理想・効率 → 追求(例:使いやすさを追求する)
・責任・不正・疑惑・ミスの経緯 → 追及(例:責任を追及する)
・原因・本質・真理・課題 → 追究(例:不具合の原因を追究する)
このページでは、目的語別の早見表、3問で決まる判定法、ビジネス文書を中心にした場面別の例文30、言い換え表、確認クイズをまとめました。
結論
追求は、手に入れたいものや実現したいことを、目指して追い求めること。追及は、責任・罪・欠点などを相手に問いただし、説明を求めること。辞書によっては「後から追いつく」という意味も載っています。追究は、まだわかっていない原因や本質を、掘り下げて調べ、明らかにしようとすること。
それぞれの意味と、字から見た覚え方
| 言葉 | 意味 | 注目する字 | 同じ字の熟語 | 向かう先 |
|---|---|---|---|---|
| 追求 | 目的のものを追い求める | 求(もとめる) | 要求・欲求・求人 | 欲しいもの・目指すもの |
| 追及 | 責任・欠点などを問い詰める | 及(およぶ) | 言及・波及 | 人や組織の責任 |
| 追究 | 本質・原因を調べて明らかにする | 究(きわめる) | 研究・究明 | まだわからないこと |
追求:手に入れたい・実現したいものを追い求める
「求」は求めるの字です。利益、品質、理想、効率、快適さのように「もっと良くしたい」「手に入れたい」ものが目的語になります。会社案内、採用ページ、商品の説明でよく使う字です。
追及:責任や不正を問い詰める(追いつく意味も)
「及」は及ぶの字です。逃げる相手のところまで追いかけて及ぶ、と考えると覚えられます。目的語は責任、罪、不正、疑惑、矛盾など、誰かが説明を求められるものです。辞書によっては「後から追いつく」意味も載っていますが、仕事の文書で目にするのはほぼ「問い詰める」意味です。
追究:わからないことを深く調べて明らかにする
「究」は研究・究明の字です。原因、本質、真理、仕組みのようにまだ答えが出ていないことが目的語になります。報告書や振り返り、研究の文脈で使います。
Point
求めるなら追求、問い詰めるなら追及、究めるなら追究。「要求の求」「言及の及」「研究の究」と熟語で思い出すと、変換候補を選ぶときに迷いません。
3問で決まる判定法
- 01目的語は「手に入れたい・高めたいもの」か?(利益、品質、理想、効率、幸福)→ はいなら追求
- 02目的語は「誰かが責めを負うもの」か?(責任、不正、疑惑、過失、矛盾)→ はいなら追及
- 03目的語は「まだわかっていないこと」か?(原因、本質、真理、仕組み、要因)→ はいなら追究
同じ目的語でも、書き手の狙いで字が変わることがあります。たとえば「原因」は、仕組みを明らかにしたいなら追究、原因をつくった人の責任を問いたいなら追及になります。どちらとも取られたくない社外向けの文書では、「原因の究明」「原因の調査」と言い換えると誤解を避けられます。
目的語別の早見表
| 目的語(何を) | 書き方 | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| 利益・収益性・売上 | 追求 | 経営方針、事業計画 |
| 品質・使いやすさ・効率 | 追求 | 商品説明、改善提案 |
| 理想・夢・幸福・自由・目標 | 追求 | スピーチ、理念、採用ページ |
| 責任・経営責任・法的責任 | 追及 | 株主総会、報道、懲戒の検討 |
| 不正・疑惑・罪・余罪 | 追及 | 監査、報道、捜査の記事 |
| 矛盾・食い違い | 追及 | 会議、交渉、取材 |
| 原因・根本原因・要因 | 追究(究明・調査も可) | 障害報告、顛末書、振り返り |
| 本質・真理・仕組み・謎 | 追究 | 研究、企画の背景説明、講演 |
場面別の例文30
会社案内・理念・採用ページ(追求)
当社は、お客様にとっての使いやすさを追求し、画面の設計を一から見直しました。
短期的な利益の追求だけでなく、長くお付き合いいただける関係づくりを大切にしております。
一人ひとりが専門性を追求できるよう、外部研修の費用を会社が負担しています。
安全と品質を追求し続けることが、私たちの約束です。
働きやすさを追求するため、勤務時間の選択肢を増やしました。
企画書・改善提案(追求・追究)
本企画では、参加者の満足度と運営の効率の両立を追求します。
来場者が会場で迷う理由を追究し、案内表示の配置を見直しました。
コスト削減だけを追求すると、当日の安全確保が手薄になるおそれがあります。
申込みが伸びない要因を追究したところ、告知の開始時期が遅いことがわかりました。
障害報告・お詫び・顛末書(追究・究明)
このたびの配送遅延につきまして、現在、原因の追究を進めております。判明しだい、あらためてご報告いたします。
原因を追究した結果、受注データの取り込み設定に誤りがあったことがわかりました。
現在、原因を調査しております。〇月〇日までに経過をご報告いたします。
根本原因の究明と再発防止策の策定を最優先で進めてまいります。
表面的な原因にとどまらず、背後にある要因まで追究いたします。
社内の振り返り・議事録(追究・追及)
今回の振り返りは、担当者の責任を追及するためではなく、仕組みのどこに課題があったのかを追究するために行います。
個人の責任追及に終始せず、手順そのものの見直しを議題とする。
見積の誤りが起きた経緯を追究し、確認の手順を一つ増やすことで合意した。
会議では、前回報告との数字の食い違いについて追及があった。
監査・コンプライアンス・株主総会(追及)
株主総会では、経営陣の判断について厳しい追及がありました。
監査委員会は、経費の不正使用について関係者の責任を追及する方針です。
取引先から納期遅延の責任を追及される前に、こちらから経緯を説明しました。
記者会見では、記者から説明の矛盾を追及される場面もあった。
報道・ニュースでの使われ方(追及)
野党は、政府の対応の遅れを国会で追及した。
警察は、容疑者の余罪を追及している。
記者の厳しい追及をかわすように、社長は質問に答えなかった。
研究・学問・講演(追究)
生涯をかけて、言葉の成り立ちを追究した研究者です。
本研究は、集客の成否を分ける要因を追究することを目的とする。
現象の背後にある仕組みを追究する姿勢を学びました。
日常・スピーチ(追求)
自分にとっての幸せを追求してきた十年でした。
これからも二人で、理想の暮らしを追求していってください。
注意
経緯と原因の報告書は顛末書の書き方と例文、納期が遅れたときの連絡は納期遅延のお詫びの例文、会議の記録は議事録のテンプレートも参考にしてください。
イベントの仕事での使い方
イベントの仕事では、企画の段階では追求、本番後の振り返りでは追究、そして相手や社内の誰かを責める場面で追及が顔を出します。とくに本番でトラブルが起きた後は、どの字を選ぶかで文面の印象が大きく変わります。場面ごとに、そのまま使える例文をまとめました(【 】は媒体)。
| 場面 | 主に使う字 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 企画書・提案書 | 追求 | 何を追い求めるのかを具体的に書く |
| 本番後の原因の報告 | 追究(究明・調査) | 事実と原因を分け、報告の時期を添える |
| 社内の振り返り・再発防止 | 追究 | 人ではなく手順や仕組みを主語にする |
| クライアントへの事故報告 | 調査・究明 | 「追及」は使わず、相手を責める響きを避ける |
企画書・提案書:参加体験の「追求」
【企画書】本イベントでは、受付から退場までの参加体験の質の追求を軸に、導線と待ち時間の設計を見直します。
【提案書】登壇者の話を「聞くだけ」で終わらせないため、休憩時間の交流のしやすさも追求した会場レイアウトをご提案します。
【メール・クライアントの担当者へ】前回のご要望を踏まえ、今回は演出の派手さよりも、客席のどこからでも見やすいことを追求した案をお送りします。
【口頭・制作会議で】予算の範囲で何を追求するのか、最初に一つ決めておきましょう。全部を狙うと、どれも中途半端になります。
【企画書】コストの削減だけを追求せず、当日の安全確保に必要な人員は確保する前提で見積もっています。
本番後の社内報告:トラブルの原因を「追究」する
【社内チャット・本番当日の夜】本日の受付の滞留について、明日の午前中に関係者で原因を追究します。各自、当日の時系列をメモしておいてください。
【報告書】音響トラブルの原因を追究した結果、リハーサル後に機材の接続を変更した際、変更内容が担当者間で共有されていなかったことがわかりました。
【報告書】接続を変更した担当者個人の問題で終わらせず、なぜ変更の共有が漏れたのかまで追究し、結果を手順書に反映します。
【社内チャット・営業担当へ】クライアントへの報告は、原因の追究が終わってからにしたいので、〇日まで待ってもらえますか。現時点でわかっている事実だけ先にまとめて共有します。
【口頭・撤収後のミーティングで】今日は誰のせいかを決める場ではありません。どこで何が起きたかを、順番に出していきましょう。
振り返り・再発防止:責任の「追及」にしない書き方
【振り返り会の案内メール・スタッフ全員へ】〇日の振り返り会では、受付の滞留が起きた流れを時系列で追究します。誰かの責任を追及する場ではありませんので、気づいたことを率直に出してください。
【再発防止策】「担当者が確認を怠った」ではなく、「機材変更の際に共有する手順が決まっていなかった」と記載し、変更時の共有ルールを追加する。
【議事録】発生した経緯を追究したうえで、次回からは本番前の最終確認に、機材担当と舞台監督の読み合わせを加えることで合意した。
【社内チャット・現場リーダーから外部スタッフへ】責任を追及するつもりはありません。次の現場で同じことが起きないよう、気づいたことを教えてください。
【口頭・上司から担当者へ】誰がやったかを追及しても、同じ仕組みのままならまた起きます。手順のほうを一緒に直しましょう。
クライアントへの事故報告:「追及」を避け、「調査・究明」で伝える
【メール・本番翌朝、クライアントの担当者へ】昨日の開場時、受付でお客様を長くお待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。現在、原因を調査しており、〇日までに経緯と対策をご報告いたします。
【メール・報告時】原因を究明した結果、開場直後に来場が集中することを見込まずに受付端末の台数を決めていたことがわかりました。次回は受付の配置を見直します。
【口頭・電話での第一報】詳しい原因は社内で確認を進めております。わかり次第、あらためてご連絡いたします。
【メール・協力会社に起因する場合】協力会社とともに経緯を確認し、再発防止策をまとめました。運営の責任者として、弊社からご報告いたします。
Point
クライアントへの文面に「協力会社の責任を追及します」と書くと、責任の押しつけに見えやすく、相手が知りたい「次はどうなるのか」も伝わりません。社外には「調査」「究明」と期限、対策を書き、責任の所在の話し合いは契約に沿って当事者間で進めるのが無難です。
迷ったときの言い換え表
漢字の選び方に自信がないときや、相手を責める響きを避けたいときは、次の言い換えが使えます。
| 元の言葉 | 言い換え | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 追求する | 追い求める/目指す/高める/突き詰める | 理念、商品説明、スピーチ |
| 追及する | 問いただす/責任を問う/説明を求める | 議事録、報告、社内の記録 |
| 追究する | 究明する/解明する/調査する/掘り下げる | お詫び、障害報告、顛末書 |
注意
お詫びの文面では「原因を追究いたします」より「原因を調査しております」「原因を究明し、〇日までにご報告いたします」のほうが、期限と行動が伝わり、相手が安心しやすくなります。
よくある誤変換と直し方
| 迷いやすい書き方 | 直した書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 利益を追究する | 利益を追求する | 利益は手に入れたいもの |
| 責任を追求する | 責任を追及する | 責任は問い詰めるもの |
| 真理を追求する | 真理を追究する | 明らかにしようとする対象 |
| 原因を追求する | 原因を追究する(究明する・調査する) | 原因は明らかにするもの |
| 品質を追及する | 品質を追求する | よりよい品質を追い求める |
| 不正を追究する | 不正を追及する | 関わった人の責任を問う意味 |
| 理想を追及する | 理想を追求する | 理想は目指すもの |
「原因の追及」という書き方も目にします。原因を明らかにするのが狙いなら「追究」、原因をつくった側の責任を問う狙いなら「追及」と考えると選べます。また、同じ読みの「追給」は、不足していた給与などを後から支給する意味の別の言葉です。変換候補に出ても、追求・追及・追究とは混ぜないようにしましょう。
送信前のチェックリスト
- 目的語が利益・品質・理想なら「追求」になっている
- 目的語が責任・不正・疑惑なら「追及」になっている
- 目的語が原因・本質・要因なら「追究」になっている
- 社外へのお詫びで、相手を責める響きの「追及」を使っていない
- 原因の調査を伝える文に、報告の時期を書き添えている
- 変換候補の「追給」が紛れ込んでいない
確認クイズ(答えは下)
- 01顧客満足を( )する。
- 02監査役は、損失を出した経緯について取締役の責任を( )した。
- 03システム障害の根本原因を( )し、再発防止策をまとめた。
- 04理想の働き方を( )するため、在宅勤務を導入した。
- 05株主から説明の矛盾を( )された。
- 06人はなぜ迷うのかという問いを( )する研究。
答え:1. 追求 2. 追及 3. 追究(究明も可) 4. 追求 5. 追及 6. 追究
この記事の要点
- 追求は追い求めること(利益・品質・理想の追求)。
- 追及は問い詰めること(責任・不正・疑惑の追及)。
- 追究は調べて明らかにすること(原因・本質・真理の追究)。
- 迷ったら目的語を見る。原因は追究、責任は追及。
- お詫びや報告では「原因を調査しております」「究明し、〇日までにご報告いたします」が使いやすい。
- 覚え方は要求の求・言及の及・研究の究。
FAQ
よくある質問
追求は「追い求める」、追及は「問い詰める」、追究は「調べて明らかにする」です。利益や理想は追求、責任は追及、原因や真理は追究と書きます。
原因を明らかにしようとする意味なら「原因の追究」です。「原因の追及」と書かれることもありますが、責任を問う響きが出るため、社外の文書では「原因の究明」「原因の調査」と言い換えると誤解を避けられます。
責任を問い詰める意味なので「責任の追及」です。
どちらも手に入れたい・高めたいものを追い求める意味なので「利益の追求」「品質の追求」です。
真理を明らかにしようとする意味なので「追究」です。「理想の追求」と並べて覚えると区別しやすくなります。
辞書によっては「後から追いつく」意味も載っています。ただ、仕事の文書やニュースでは「責任を追及する」のように問い詰める意味で使うのがほとんどです。
失礼ではありませんが、「原因を調査しております」「原因を究明し、〇日までにご報告いたします」のほうが、行動と期限が伝わり落ち着いた印象になります。
原因を明らかにする意味なので「追究」を使います。社内の振り返りでは「個人の責任を追及するのではなく、手順の課題を追究する」と目的を書き分けると、関係者が事実を話しやすくなります。クライアントへの報告では「原因を調査しております」「原因を究明し、〇日までにご報告いたします」のように、行動と期限を伝える言い方が向いています。
不足していた給与などを後から支給することを指す別の言葉です。読みが同じなので変換で紛れ込まないよう注意してください。