言葉の使い分け
保証・保障・補償の違い
使い分けと例文、覚え方
結論から言うと、「間違いない・大丈夫だと請け合う」なら「保証」、「権利や安全が損なわれないよう守る」なら「保障」、「生じた損を埋め合わせる」なら「補償」と書くのが一般的です。見分けるコツは、何について言っているかを見ること。品質・性能・身元なら保証、安全・生活・権利なら保障、損害・損失なら補償になりやすいです。たとえば「本製品は購入日から一年間、無償修理を保証いたします」(品質を請け合う)、「破損した備品の修理費用は弊社で補償いたします」(損を埋め合わせる)と書き分けます。このページでは、それぞれの意味、早見表、メールの例文、迷いやすい書き方の直し方、覚え方をまとめました。
結論
保証は、ある物事が確かであること・間違いないことを請け合い、責任を持つこと。保障は、地位・権利・安全などが損なわれないように守ること。補償は、受けた損失や損害を補って償うこと、埋め合わせること。いずれも辞書によって説明の言い回しは少しずつ違いますが、おおむねこの区別で使われています。
それぞれの意味
保証(請け合う・責任を持つ)
「保証」は、品質や性能、人物などについて「確かだ」と請け合い、その責任を持つことを表します。「品質保証」「保証書」「保証期間」「保証人」のように使います。民法では「保証人」の責任について、次のように定めています。
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。(民法第446条第1項)
代わりに責任を負う、という点で「請け合う」の意味がよく表れている使い方です。
保障(守る)
「保障」は、地位・権利・安全・生活などが損なわれないよう、守ることを表します。「安全保障」「社会保障」「生活の保障」「権利を保障する」のように使います。憲法第25条第2項にも「社会保障」の語が出てきます。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(日本国憲法第25条第2項)
補償(埋め合わせる)
「補償」は、生じた損失や損害を、お金などで補って償うことを表します。「損害補償」「休業補償」「補償金」「補償の対象」のように使います。憲法第29条第3項の「正当な補償」がよく知られた例です。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。(日本国憲法第29条第3項)
Point
保証=請け合う、保障=守る、補償=埋め合わせる。「前もって請け合う・守る」のが保証・保障、「損が出た後に埋める」のが補償、と考えると整理しやすくなります。
使い分けの早見表
| 言葉 | 意味 | よく組む語 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 保証 | 確かだと請け合い、責任を持つ | 品質・性能・保証書・保証期間・保証人・動作 | 本製品の動作を保証いたします。 |
| 保障 | 権利・安全・生活などを守る | 安全・社会・生活・身分・権利 | 参加者の安全を保障する体制を整えます。 |
| 補償 | 損失・損害を補って償う | 損害・損失・休業・補償金・補償額 | 破損した備品は弊社で補償いたします。 |
注意
保険の資料では、商品の種類によって「保障」と「補償」が書き分けられていることがあります。契約や保険について書くときは、約款・契約書・パンフレットの表記にそろえるのが無難です。イベントで何に備えるかの整理はイベント保険の考え方にまとめています。
ビジネス文書・メールでの例文
製品・サービスの品質について(保証)
お届けした機材は、納品日から◯か月間、通常のご使用の範囲で生じた故障について無償で修理することを保証いたします。
恐れ入りますが、この条件での動作は保証の対象外となります。ご了承いただけますと幸いです。
契約・人について(保証)
賃貸借契約にあたり、保証人の方の署名と押印をいただく必要がございます。
安全・待遇について(保障)
当日は警備員を配置し、来場者の安全を保障できるよう運営体制を整えております。
業務委託の契約では、会社員と同じ身分の保障があるわけではない点にご留意ください。
損害について(補償)
弊社の作業中に生じた床の傷につきましては、修理にかかる費用を弊社で補償いたします。修理業者の手配についてご相談させてください。
運送中の破損に関する補償の範囲につきましては、添付の契約書の第◯条をご確認ください。
注意
損害を補償する連絡は、お詫びと一緒に送ることがほとんどです。お詫び文の組み立てはお詫びメールの書き方、契約での取り決め方はイベント制作の契約書を参考にしてください。
迷いやすい例と一般的な書き方
| 迷いやすい書き方 | 一般的な書き方 | 考え方 |
|---|---|---|
| 品質を保障します | 品質を保証します | 品質が確かだと請け合うので「保証」 |
| 損害を保証します | 損害を補償します | 生じた損を埋め合わせるので「補償」 |
| 安全を保証します | 安全を保障します(または「安全を確保します」) | 安全を守る意味なら「保障」が一般的。「安全であることを請け合う」意味で「保証」と書く例もあり、揺れがある |
| 社会保証 | 社会保障 | 生活を守る制度なので「保障」 |
| 休業保証 | 休業補償 | 休んだことによる損を埋め合わせるので「補償」 |
| 連帯補償人 | 連帯保証人 | 代わりに責任を負う人なので「保証」 |
「安全」は「保障」と組むのが一般的ですが、「この製品の安全性を保証する」のように確かさを請け合う意味なら「保証」と書かれることもあります。迷う場合は、「安全を確保する」「安全に配慮する」と言い換えると、どちらの意味にも取られずに済みます。
覚え方
共通の「保」ではなく、もう一方の字に注目すると覚えやすくなります。
| 言葉 | 注目する字 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 保証 | 証(あかし) | 「証明する」の証。確かだとあかしを立てる |
| 保障 | 障(さわり) | 「障害」の障。差し障りが起きないよう守る |
| 補償 | 補(おぎなう)・償(つぐなう) | 足りない分を補い、償う |
Point
迷ったら、「証明」できるのが保証、「障害」から守るのが保障、「補って償う」のが補償と思い出してください。
この記事の要点
- 保証は確かだと請け合うこと(品質保証・保証書・保証人)。
- 保障は権利や安全を守ること(安全保障・社会保障)。
- 補償は生じた損を埋め合わせること(損害補償・休業補償)。
- 「安全」は保障と組むのが一般的だが、揺れがあるので「確保する」への言い換えも便利。
- 保険や契約の文書では、約款・契約書の表記にそろえる。
FAQ
よくある質問
保証は「確かだと請け合う」、保障は「損なわれないよう守る」、補償は「生じた損を埋め合わせる」です。後ろに来る言葉が品質なら保証、安全や生活なら保障、損害なら補償になりやすいです。
品質が確かだと請け合う意味なので「品質保証」と書くのが一般的です。
安全が損なわれないよう守る意味では「安全保障」「安全を保障する」が一般的です。ただし「安全性を保証する」のように請け合う意味で使われることもあり、揺れがあります。迷う場合は「安全を確保する」と書くと誤解されにくくなります。
保険の種類によって、生活を守る意味で「保障」、損害を埋め合わせる意味で「補償」と書き分けられていることがあるためです。保険について書くときは、その保険の約款やパンフレットの表記に合わせるのが無難です。
「修理にかかる費用は弊社で補償いたします」や「弊社にて負担いたします」と書きます。お詫びの言葉と、今後の進め方(修理の手配や支払いの方法)を一緒に伝えると丁寧です。