言葉の使い分け
精算と清算の違い
使い分け早見表と例文32
結論:金額を細かく計算して、払いすぎ・足りない分を合わせるなら「精算」。貸し借りや関係を整理して、すっかり片をつけるなら「清算」と書くのが一般的です。迷ったら「計算し直す」話か「終わらせる」話かで決めます。経費・立替金・仮払金・交通費・飲み会の会費など、仕事の日々のお金の手続きはほとんどが「精算」。「清算」は、会社の解散後の手続き、借金や取引の締めくくり、「過去を清算する」のような区切りの意味で使います。このページでは、3つの質問で決める判定手順、22場面の判定表、そのまま使える例文32、精算書と清算書の違い、送信前のチェックリストをまとめました。
結論
精算は、金額を細かく計算すること、特に概算で払った額や立て替えた額を計算し直して過不足を調整すること。清算は、貸し借りを計算して始末をつけること、また会社などが解散したあとに財産関係を整理すること。比喩として、人間関係や過去に区切りをつける意味でも使われます。
3つの質問で決める(迷ったときの判定手順)
- 01
手続きのあとも取引や関係が続く?
続くなら「精算」。経費を払い戻したあとも会社と社員の関係は続き、運賃を払ったあとも旅は続きます。
- 02
お金の過不足を合わせる話?
概算・立替・仮払と、実際の額との差を合わせるなら「精算」。電卓で差額を出す場面はまずこちらです。
- 03
それで片がつき、終わる話?
借金を返し切る、取引を締めくくる、会社をたたむ、関係に区切りをつけるなら「清算」。
Point
迷ったら「精算」と書けばよい場面がほとんどです。仕事のメールで「清算」が必要になるのは、契約や取引の終了、会社の解散、債権・債務の整理など「終わらせる」話に限られます。
それぞれの意味
精算(細かく計算し、過不足を合わせる)
「精算」の「精」は「精密」「精査」の精で、細かく詳しい様子を表します。いったん払った金額や立て替えた金額を、実際にかかった額と照らし合わせて調整する場面で使います。「経費精算」「交通費の精算」「立替金の精算」「仮払金の精算」「乗り越し精算」のように使います。
清算(貸し借りを整理して片をつける)
「清算」の「清」は「清らか」の清で、きれいにする様子を表します。互いの貸し借りを差し引きしてすっかり片づけることや、会社が解散したあとに財産を整理する手続きを指して使います。会社法では、解散した株式会社が行う手続きを「清算」と呼びます。
株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。(会社法第475条)
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。(会社法第476条)
清算の事務を担う人は「清算人」です。会社法第478条第1項は、取締役(定款で定める者や株主総会で選任された者がいる場合を除く)、定款で定める者、株主総会の決議で選任された者が清算人になると定めています。解散のお知らせに「清算人」と書くのはこのためで、「精算人」とは書きません。
このほか、「過去を清算する」「関係を清算する」のように、物事に区切りをつけて終わらせる比喩としても使われます。
使い分けの早見表
| 比べる点 | 精算 | 清算 |
|---|---|---|
| 一言でいうと | 計算し直して過不足を合わせる | 整理して片をつける |
| 注目する字 | 精(くわしい・こまかい) | 清(きよい・きれいにする) |
| 手続きのあと | 取引や関係は続く | そこで終わる・区切りがつく |
| お金以外にも使う? | ほぼお金の計算だけ | 人間関係・過去などにも使う |
| よく組む語 | 経費・交通費・立替金・仮払金・運賃・会費・精算書・精算機 | 会社・債務・債権・清算人・清算株式会社・関係・過去 |
| 例文 | 先月分のタクシー代を精算します。 | 解散に伴い、会社の清算手続きに入ります。 |
場面別の判定表(22場面)
| 場面 | 書き方 | 理由 |
|---|---|---|
| 立て替えた経費の払い戻し | 経費精算 | 実際の額を計算して払い戻す |
| 出張・営業の交通費 | 交通費の精算 | 立て替えた運賃の過不足を合わせる |
| 出張の宿泊費・日当 | 旅費の精算 | 規程の額と実費を照らし合わせる |
| 仮払金の差額 | 仮払金の精算 | 概算で渡した額と実際の額の差を合わせる |
| 駅での乗り越し | 乗り越し精算 | 運賃の不足分を払う |
| 駐車場代の立替 | 駐車場代の精算 | 立替額を払い戻す |
| 会食費・打ち合わせの軽食代 | 会食費の精算 | 領収書の額で払い戻す |
| 備品・消耗品の立替購入 | 購入費の精算 | 立替額を払い戻す |
| 飲み会・二次会の会費の過不足 | 会費の精算 | 集めた額と実際の額を合わせる |
| 割り勘 | 割り勘で精算する | 一人あたりの額を出して合わせる |
| 法人カード利用分の確認 | 利用分の精算 | 明細と使途を突き合わせる |
| 月末の取引額の締め(取引は継続) | 精算(社内規程の表記に合わせる) | 差額を合わせるだけで取引は続く |
| 家賃・管理費の日割り | 日割り精算(契約書の表記に合わせる) | 日数で計算し直す。業界では「日割り清算」の表記も見られる |
| 契約終了時の未払い・前受けの差し引き | 清算 | 差し引きして取引を締めくくる |
| 売掛金と買掛金を相殺して締めくくる | 清算 | 貸し借りを片づけて終える |
| 借金を返し切る | 借金の清算 | 貸し借りをすっかり片づける |
| 共同事業の解消時の持ち分整理 | 清算 | 関係を解いて財産を分ける |
| 会社の解散後の手続き | 会社の清算 | 会社法の「清算」 |
| 清算の事務を行う人 | 清算人 | 会社法の用語 |
| 会社をたたむときの財産の整理 | 清算 | 財産関係を整理して終える |
| 人間関係を終わらせる | 関係を清算する | 比喩。区切りをつける |
| 過去に区切りをつける | 過去を清算する | 比喩。終わらせる |
注意
幹事の会計のまとめ方は幹事の会計報告の書き方、一人あたりの金額を出すなら割り勘計算ツールが使えます。
「精算書」と「清算書」の違い
仕事でよく使うのは「精算書」です。経費精算書・交通費精算書・旅費精算書・仮払金精算書など、立て替えた額や概算の額を、実際の額と照らし合わせて差額を示す書類を指します。「清算書」は、取引や契約を締めくくるときに貸し借りを差し引きした最終の結果をまとめる書類に使われることがありますが、日常の経費の手続きで使う場面はほとんどありません。会社の解散に関わる書類は、会社法や専門家の案内に沿った名称で作ります。
経費精算書に入れる項目(テンプレート)
| 項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
| 申請者・所属 | 氏名、部署名 |
| 申請日・対象期間 | ◯年◯月◯日/◯月分 |
| 日付 | 支払った日 |
| 区分 | 交通費・宿泊費・会食費・消耗品費など |
| 支払先・内容 | ◯◯駅〜◯◯駅(往復)、◯◯社と打ち合わせ |
| 金額 | 1件ずつの金額と合計 |
| 証憑 | 領収書・レシートの有無、番号 |
| 仮払金との差額 | 仮払いを受けた場合は、受けた額・実際の額・差額 |
| 承認欄 | 上長・経理の確認 |
注意
項目や様式は会社ごとに決まっています。社内の規程や会計システムの様式を優先してください。
そのまま使える例文32
経費・交通費の申請(精算)
◯月分の経費精算書を提出いたします。領収書の原本は、本日中に経理部へお持ちします。
先日の出張の交通費について、立て替えた分の精算をお願いできますでしょうか。明細を添付いたします。
◯◯社訪問の際のタクシー代を精算したく、領収書を添えて申請いたします。
打ち合わせで立て替えた駐車場代を、今月の経費と合わせて精算させてください。
申請が遅くなり申し訳ございません。先月分の交通費の精算をお願いいたします。
経理・上長からの依頼と連絡(精算)
今月の経費精算は、◯日(◯)までに申請をお願いします。期限を過ぎた分は翌月の処理となります。
申請いただいた精算書について、◯月◯日分の領収書が見当たりません。お手数ですが、ご確認をお願いいたします。
◯月◯日申請分の精算が完了しました。◯日に給与口座へ振り込みます。
精算の対象外となる費用が含まれていたため、該当の明細を差し戻しました。内容をご確認ください。
仮払金(精算)
展示会の仮払金につきましては、実際にかかった費用との差額を、◯月◯日までに精算いたします。
出張の仮払金のうち、使わなかった分を返金し、精算いたします。
仮払金だけでは足りなかったため、不足分の精算をお願いいたします。内訳を添付いたします。
飲み会・社内行事の会費(精算)
懇親会の会費は当日に徴収し、不足分は後日精算いたします。精算の結果はあらためてご報告します。
先日の歓迎会の会費を精算したところ、お一人あたり◯円のお釣りが出ました。次回の出社時にお返しします。
二次会の費用は、参加された方で割り勘にて精算させてください。
社員旅行の費用の精算が終わりましたので、収支の報告書を共有いたします。
取引先との費用(精算)
イベント当日に追加となった備品の費用は、実費にて精算させていただけますでしょうか。
お見積りの額は概算のため、実施後に実際の額で精算いたします。
前回のご請求で多くいただいた分は、次回のご請求で精算させていただきます。
交通費は実費精算とし、領収書の写しを添えてご請求ください。
家賃・会費などの日割り(精算)
月の途中からのご入居のため、初月の賃料は日割りで精算いたします。
年会費は、プランを変更された月から月割りで精算し、差額をお返しします。
取引・契約の終了(清算)
◯月末をもちまして本契約を終了するにあたり、未払い分と前受け分を差し引きのうえ清算させていただきたく存じます。
お取引の終了に伴い、売掛金と買掛金を相殺して清算したいと考えております。ご意向をお聞かせください。
共同事業の解消にあたり、双方の出資分を清算する方法について、あらためてご相談させてください。
これまでのお立替え分をすべて清算いたしました。長きにわたり、ありがとうございました。
会社の解散(清算)
当社は◯月◯日開催の株主総会の決議により解散し、現在清算手続きを進めております。お取引に関するお問い合わせは、清算人の◯◯までお願いいたします。
清算手続きの完了までは、引き続き下記の窓口でお問い合わせを承ります。
子会社◯◯の解散と清算について、取締役会で決議いたしましたのでお知らせいたします。
借金・関係・過去(清算)
友人から借りていたお金を、今月ですべて返し、清算しました。
長年の関係を清算し、新しい環境で再出発することにしました。
過去の失敗を清算するつもりで、このプロジェクトに取り組みます。
注意
請求額に誤りがあり、差額を返す・追加で払ってもらう連絡は請求書の間違いのお詫びの例文を参考にしてください。
よくある失敗と直し方
| 迷いやすい書き方 | 一般的な書き方 | 考え方 |
|---|---|---|
| 経費清算 | 経費精算 | 実際にかかった額を計算して払い戻すので「精算」 |
| 交通費の清算をお願いします | 交通費の精算をお願いします | 立て替えた額の過不足を合わせる手続き |
| 仮払金の清算 | 仮払金の精算 | 概算で渡した額と実際の額の差を合わせる |
| 清算書(経費の申請書類) | 精算書 | 日々の経費の書類は「精算書」 |
| 乗り越し清算 | 乗り越し精算 | 運賃の不足分を計算して払う |
| 会社の精算 | 会社の清算 | 解散後に財産関係を整理して片をつける手続き |
| 借金を精算する | 借金を清算する | 貸し借りをすっかり片づける意味なら「清算」 |
| 精算人 | 清算人 | 会社の清算の事務を行う人(会社法の用語) |
| 関係を精算する | 関係を清算する | 区切りをつけて終わらせる比喩 |
- 変換の一発目をそのまま送る:「せいさん」は「生産」「成算」「凄惨」なども候補に出ます。送る前に一度読み返します。
- 1通のメールに両方が混ざる:同じ手続きを「精算」と「清算」で書くと、別の手続きと読まれかねません。同じ件は同じ字にそろえます。
- 相手の書類の表記を直してしまう:契約書や請求書が「日割り清算」と書いていれば、その件のやり取りは相手の表記に合わせると話が通じやすくなります。
- 会社の解散の連絡で「精算」と書く:法律上の手続きなので、「清算」「清算人」「清算株式会社」と書きます。
「売掛金と買掛金を相殺して清算する」のように、取引の締めくくりとして差し引きする場面では「清算」が使われます。一方、取引が続く中で毎月の金額を合わせるだけなら「精算」とする社内文書も多く、社内の規程や会計システムの表記にそろえるのが無難です。
送信前のチェックリスト
- 経費・交通費・立替・仮払・会費の話は「精算」になっている
- 契約・取引の終了、借金の返し切り、会社の解散の話は「清算」になっている
- 会社の清算の事務を行う人は「清算人」になっている
- 同じ件の中で「精算」と「清算」が混ざっていない
- 社内規程・会計システム・契約書の表記とそろっている
- 「生産」「成算」など別の変換になっていない
- 金額・日付・期限・振込先などの数字を読み返した
覚え方
| 言葉 | 注目する字 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 精算 | 精(くわしい) | 「精密に計算」する。電卓をたたいて過不足を合わせる |
| 清算 | 清(きよい) | 貸し借りを「きれいさっぱり」片づける |
Point
駅の「精算機」を思い出してください。乗り越した分の差額を計算して払う機械です。払ったあとも旅は続きます。日々のお金の手続きは、この「精算」と同じ字を使います。
この記事の要点
- 精算は細かく計算して過不足を合わせること(経費精算・交通費・仮払金・会費・日割り)。
- 清算は貸し借りを整理して片をつけること、会社の解散後の手続き(会社法第475条)。
- 判定は「手続きのあとも続くか」。続くなら精算、終わるなら清算。
- 経費の書類は「精算書」、会社の清算の事務を行う人は「清算人」。
- 迷ったら社内規程・会計システム・契約書の表記にそろえる。
FAQ
よくある質問
精算は「細かく計算して過不足を合わせる」、清算は「貸し借りを整理して片をつける」です。経費や交通費は精算、会社の解散後の手続きや借金の整理は清算と書くのが一般的です。
立て替えた経費を計算して払い戻す手続きなので「経費精算」と書くのが一般的です。書類も「経費精算書」です。
集めた会費と実際にかかった額を計算して合わせるので「精算」です。割り勘も「割り勘で精算する」と書きます。
精算書は、立替や仮払の額と実際の額を照らし合わせて差額を示す書類で、経費の手続きで使います。清算書は、取引や契約を締めくくるときに差し引きの最終結果をまとめる書類に使われることがあります。
日数で計算し直して過不足を合わせるので「日割り精算」と書けます。ただし不動産の契約書では「日割り清算」と書く例も見られるため、その契約書の表記に合わせると話が通じやすくなります。
会社が解散したあとに財産を整理する手続き(会社法の「清算」)や、互いの貸し借りをすっかり片づけるとき、また「過去を清算する」のように区切りをつける比喩で使います。
契約を終えるにあたり、未払い分や前受け分を差し引きして片をつけるなら「清算」が合います。ただし、社内の文書では「精算」と書く例も見られるので、社内規程や契約書の表記にそろえるのが無難です。
会社法の用語は「清算人」です。解散後の手続きも「清算手続き」と書きます。