ビジネス文書
督促状の書き方と例文
第1回から最終通知までの文面
督促状の決まりごとは、段階ごとに言葉の強さを上げていくことです。第1回は「お支払いのご確認」として、行き違いの可能性に触れる。2回目は新しい期限をはっきり区切る。最終の通知では期限までに対応がない場合にどうするかを書きます。第1回の文面なら、主文はこれだけで足ります。
「さて、令和◯年◯月◯日付でご請求いたしました◯◯の代金につきまして、◯月◯日のお支払い期日を過ぎましたが、本日現在ご入金の確認がとれておりません。お手数ですがご確認のうえ、◯月◯日までにお振り込みくださいますようお願い申し上げます。なお、本状と行き違いでお支払いいただいておりましたら、ご容赦ください。」
このページでは、文書で出す督促状の書式と、段階別・用件別の見本をまとめました。メールで軽く催促したいときは催促メールの例文を参照してください。
結論
督促状は、支払い・返却・提出など、約束した期日を過ぎても果たされていないことについて、相手に対応を求める文書です。「催促状」と呼ぶこともあります。一般的な使い分けとしては、「催促」は早くするよう促すこと全般、「督促」は支払いや義務の履行を強く促すことに使われることが多いものの、辞書や会社によって説明や呼び方は揺れます。
督促状の決まりごと一覧
| 項目 | 書き方の目安 |
|---|---|
| 件名 | 第1回は「お支払いのご確認(お願い)」、2回目は「お支払いについて(再度のお願い)」、最終は「お支払いについて(最終のご通知)」など、段階が分かる件名にする |
| 前文 | 第1回・2回目は「拝啓」と時候の挨拶を入れることが多い。最終の通知では「前略」として前文を省き、用件から入る書き方もある |
| 対象の特定 | 請求書の日付・請求番号・品名・金額、または返却・提出してほしい物を、記書きに具体的に書く |
| 事実の書き方 | 「◯月◯日の期日を過ぎたが、本日現在入金の確認がとれていない」と、こちらで確認できた事実だけを書く |
| 新しい期限 | 「◯月◯日までに」と日付で書く。「至急」「早急に」だけでは、いつまでかが伝わらない |
| 行き違いの一文 | 第1回・2回目には「本状と行き違いでお支払い済みの場合はご容赦ください」を入れる |
| 問い合わせ先 | 担当者名・部署・電話・メールを書き、事情があれば相談してほしいと添える |
| 控え | 送った督促状は控え(写し)を残し、送った日と方法を記録しておく |
Point
強い言葉は最終の通知まで取っておきます。第1回から「法的措置」と書くと、単なる手違いだった相手との関係まで損ないます。
日付・宛名・差出人・件名の位置は社外文書の基本フォーマットと同じです。横書きなら、右上に日付(文書番号を付けるならその上)、左上に宛名、宛名より下の右側に差出人、中央に件名、続けて本文と記書きを置きます。縦書きで出す場合は、本文と結語のあとに日付、その下に差出人、最後に左寄りに宛名を書く形が一般的です(縦書きの手紙の位置)。督促状は請求番号や金額を並べることが多いので、数字が読みやすい横書きが扱いやすいでしょう。
督促状の見本・例文(段階別・用件別)
見本1 支払いの第1回(お支払いのご確認)
令和◯年◯月◯日
株式会社◯◯
経理ご担当者様
株式会社△△
経理部 □□□□
お支払いのご確認(お願い)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、下記のとおりご請求いたしました代金につきまして、お支払い期日を過ぎましたが、本日現在ご入金の確認がとれておりません。
ご多忙のところ恐縮ですが、ご確認のうえ、◯月◯日までにお振り込みくださいますようお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いでお支払いいただいておりましたら、ご容赦くださいますようお願い申し上げます。
敬具
記
請求書の日付 令和◯年◯月◯日
請求番号 ◯◯◯◯
品名 ◯◯
ご請求金額 ◯◯円(税込)
お支払い期日 令和◯年◯月◯日
お振込先 ◯◯銀行 ◯◯支店 普通 ◯◯◯◯ 株式会社△△
お問い合わせ先 経理部 □□(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)
以上
第1回は請求書が届いていない、担当者が替わった、振込を忘れていたといった手違いのことが多いので、確認をお願いする書き方にとどめます。請求書の写しを同封すると、相手が社内で確認しやすくなります。
見本2 支払いの2回目(再度のお願い)
お支払いについて(再度のお願い)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日付「お支払いのご確認(お願い)」にてお願いいたしました下記代金につきまして、本日現在もご入金の確認がとれておりません。
何かご事情がおありでしたら、お手数ですが担当までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
つきましては、令和◯年◯月◯日までに、お振り込みくださいますよう重ねてお願い申し上げます。
なお、本状と行き違いでお支払いいただいておりましたら、ご容赦ください。
敬具
記
(請求書の日付・請求番号・金額・当初のお支払い期日・お振込先・お問い合わせ先)
以上
2回目は前回の督促状の日付を書き、新しい期限を日付で区切ります。相手に事情があるなら、分割や期日の相談に応じられるかどうかも社内で決めておくと、連絡が来たときに慌てません。
見本3 支払いの最終のご通知
お支払いについて(最終のご通知)
前略 令和◯年◯月◯日付および令和◯年◯月◯日付の書面にて、下記代金のお支払いをお願いしてまいりましたが、本日現在ご入金の確認がとれておらず、ご連絡もいただけておりません。
つきましては、令和◯年◯月◯日までに、下記の金額をお振り込みくださいますよう、改めてお願い申し上げます。
期日までにご入金またはご連絡をいただけない場合は、誠に遺憾ながら、しかるべき対応を検討せざるを得ませんので、あらかじめご承知おきください。
なお、本状と行き違いでお支払いいただいておりましたら、ご容赦ください。
草々
記
(請求書の日付・請求番号・金額・お振込先・お問い合わせ先)
以上
注意
最終の通知に「法的手続き」「取引の停止」など具体的な対応を書く場合は、本当にその対応を取るかを決めてから書きます。どの手続きが取れるか、書き方に問題がないかは、出す前に弁護士などの専門家に相談してください。
見本4 書類の提出の督促(取引先へ)
◯◯ご提出のお願い(再送)
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、令和◯年◯月◯日にご提出をお願いいたしました下記書類につきまして、本日現在、弊社に届いておりません。
お取引の登録手続きに必要な書類のため、お手数ですが令和◯年◯月◯日までにご提出くださいますようお願い申し上げます。
すでにご発送いただいておりましたら、行き違いをご容赦ください。
敬具
記
ご提出いただきたい書類 ◯◯(様式は同封のとおり)
ご提出先 〒◯◯◯-◯◯◯◯ ◯◯県◯◯市◯◯ 株式会社△△ ◯◯部 □□宛
以上
見本5 貸出品の返却の督促
貸出品ご返却のお願い
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
先般は弊社の◯◯をご利用いただき、誠にありがとうございました。
さて、令和◯年◯月◯日を返却日としてお貸し出しいたしました下記の品につきまして、本日現在ご返却をいただいておりません。
次のご利用予定が入っておりますため、お手数ですが令和◯年◯月◯日までにご返却くださいますようお願い申し上げます。
ご返却が難しいご事情がございましたら、担当までご連絡ください。
敬具
記
品名・数量 ◯◯ ◯台
貸出日・返却日 令和◯年◯月◯日〜令和◯年◯月◯日
返却先 株式会社△△ ◯◯部(電話 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)
以上
返却や提出の督促は、なぜその日までに必要なのか(次の予定がある、手続きに必要など)を一文入れると、相手が優先して動きやすくなります。
内容証明郵便で送るかどうか
最終の通知を内容証明郵便で送ることがあります。日本郵便は内容証明を「一般書留郵便物の内容文書について証明するサービス」と説明し、証明するのは文書の内容が真実かどうかではなく、いつ・どのような内容の文書を・誰から誰あてに差し出したかだとしています。
内容証明で送るかどうか、送るならどの文面にするかは、その後の手続きにかかわることがあります。自社だけで判断せず、弁護士などの専門家に相談してからにしてください。
よくある間違い
| ありがちな書き方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| 第1回から「法的措置を取ります」と書く | 手違いだった相手との関係まで損なう | 第1回は確認の形にとどめ、行き違いの一文を入れる |
| 「至急お支払いください」だけ | いつまでかが分からない | 「◯月◯日までに」と日付で書く |
| 請求番号・金額を書かない | 相手が何の件か調べられない | 請求書の日付・番号・金額を記書きにまとめる |
| 「なぜ払わないのですか」と問い詰める | 相手を責める調子になる | 「ご事情がおありでしたらご連絡ください」と相談の窓口を開けておく |
| 実際には取るつもりのない対応を最終通知に書く | 書いた内容と行動が食い違い、信用を損なう | 取る対応を社内で決め、専門家に相談してから書く |
| 宛名を経理担当でなく営業担当にだけ送る | 支払いの担当者に届かないことがある | 請求書の送付先と同じ宛先にし、必要なら営業担当にも知らせる |
入金を確認できたら、お礼と、督促状とお支払いが行き違いになっていなかったかを短く連絡しておくと関係を保ちやすくなります。こちらの請求書に誤りがあった場合のお詫びは請求書の間違いのお詫びを参照してください。
この記事の要点
- 督促状は第1回(確認)→2回目(期限を区切る)→最終(期限後の扱い)と段階で強さを上げる。
- 対象は請求書の日付・番号・金額まで記書きで特定する。
- 期限は「◯月◯日までに」と日付で書く。
- 第1回・2回目には行き違いの一文を入れる。
- 法的な手続きや内容証明は、出す前に専門家に相談する。
FAQ
よくある質問
一般的な使い分けとしては、「催促」は早くするよう促すこと全般、「督促」は支払いや義務の履行を強く促すことに使われることが多いです。ただし辞書や会社によって説明や呼び方は揺れるので、社内で使っている呼び方に合わせれば構いません。
決まった回数はありません。第1回で確認をお願いし、対応がなければ期限を区切って再度お願いし、それでも対応がなければ最終の通知、と段階を分けるのが一般的です。各段階の間にメールや電話で連絡を取ることもよくあります。
最終の通知で、期限までに対応がない場合の扱いを書くことはあります。ただ、実際に取るつもりのない対応を書くのは避け、どの手続きが取れるか・どう書くかは出す前に弁護士などの専門家に相談してください。
どちらでも構いませんが、請求番号や金額を並べることが多いため、横書きのほうが数字を読みやすく扱いやすいでしょう。縦書きにする場合は、本文のあとに日付・差出人、最後に宛名を置く形にします。
はい。まずメールや電話で確認し、それでも対応がない場合に文書で督促状を出す、という順番もよく使われます。メールの文面は催促メールの例文を参考にしてください。