接待
接待の流れとマナー
当日の進行・会計・お見送りと場面別の例文
接待の流れを一言でいうと、先に着いて迎え、相手の話を聞き、見えないところで会計を済ませ、姿が見えなくなるまで見送るです。このページは、接待する側の担当者・新人が前日から翌朝まで、順番どおりに何をして何と言えばよいかを一枚で確認できるようにまとめました。各場面の一言は、そのまま口に出せる形で載せています。
結論
接待の当日は①先に着いて店と打ち合わせ ②出迎え ③上座へ案内 ④乾杯 ⑤食事と会話 ⑥相手の見えないところで会計 ⑦締めの挨拶 ⑧手土産を渡す ⑨お見送りの順で進み、⑩翌朝のお礼で終わります。接待する側の役割は相手が主役の時間をつくる裏方です。
接待の流れ(早見表)
まず全体の順番です。表の右端の「ひと言」は、その場面で実際に口にする言葉の例です。
| 順番 | すること | ポイント | ひと言の例 |
|---|---|---|---|
| 前日まで | 相手の好み・苦手・帰りの手段を確かめ、社内の役割を決める | 店にも料理・会計・タクシーの段取りを伝えておく | 「当日はどうぞよろしくお願いいたします」 |
| ① 到着 | 約束より早めに着き、店と最終確認 | 人数と到着時刻、会計の場所、手土産の預け先 | 「本日はよろしくお願いします。先方は◯名で、◯時ごろお見えです」 |
| ② 出迎え | 入口か店の前で相手を待つ | 相手より先に席に座らない。コートや荷物を預かる | 「本日はお越しいただき、ありがとうございます」 |
| ③ 案内 | 上座へ案内する | 手のひらで席を示す | 「どうぞ奥のお席へお掛けください」 |
| ④ 乾杯 | 自社の上位者が短く挨拶して乾杯 | 全員に飲み物が届いてから始める | 「それでは、乾杯」 |
| ⑤ 食事と会話 | 相手の話を聞く時間にする | 飲み物の残りと料理の進みを見る | 「お飲み物、追加でお頼みしましょうか」 |
| ⑥ 会計 | 締めの前に席を立って済ませる | 相手の前で金額のやりとりをしない | 「少々失礼いたします」 |
| ⑦ 締め | 自社の上位者がお礼を述べる | 次の機会に触れて前向きに終える | 「本日は誠にありがとうございました」 |
| ⑧ 手土産 | お開きのあと、店を出るまでに渡す | 自社の上位者から渡す | 「お荷物になりますが、皆様で召し上がってください」 |
| ⑨ お見送り | タクシーや駅まで見送る | 姿が見えなくなるまで頭を下げる | 「お気をつけてお帰りください」 |
| ⑩ 翌朝 | お礼のメールか電話 | 役職の高い人が先、担当者はその後 | 「昨日は貴重なお時間をいただき…」 |
前日までの準備と、社内の役割分担
接待の出来は前日までに半分決まります。当日に目配せで役割を決めようとすると、相手の前でもたつきます。
| 役割 | 担当の目安 | 当日にすること |
|---|---|---|
| 挨拶役 | 自社でいちばん上の立場の人 | 乾杯の挨拶、締めのお礼、手土産を渡す |
| 進行役 | 担当者・若手 | 飲み物の注文、料理のペース、時間の管理、話題をつなぐ |
| 会計役 | 担当者・若手 | 締めの前に席を立って会計、領収書を受け取る |
| 見送り役 | 担当者・若手 | タクシーの手配、相手のコート・荷物・手土産の管理 |
人数が少ないときは、進行・会計・見送りを一人が兼ねます。その場合も「誰が会計に立つか」だけは必ず決めておきます。
- 相手の苦手な食材・アレルギー・お酒を飲むかどうかを確かめた
- 相手の帰りの方向と手段(電車・タクシー・社用車)を把握した
- 店に、料理の内容・会計を席でしないこと・タクシーの予定を伝えた
- 乾杯と締めの挨拶を誰がするか決め、本人に頼んだ
- 会計役・見送り役を決めた
- 手土産を用意し、当日店に預ける段取りにした
- 支払い方法(法人カード・現金の予備)を確認した
- 服装と身だしなみを整えた(においの強い香水・整髪料は避ける)
注意
相手が国家公務員のときは注意が必要です。 国家公務員倫理規程 第3条第1項第6号は、職員が利害関係者から「供応接待を受けること」を禁じています。相手が公務員の場合は、接待を申し出る前に社内で確認してください。
到着・出迎え・席への案内
相手より先に着き、担当の店員さんと段取りをすり合わせます。伝えておきたいのは相手の人数と到着時刻、苦手な食材、会計は入口で済ませたいこと、帰りのタクシー、手土産を預かってほしいことの5点です。
出迎えと案内で使う一言
- 出迎え:「◯◯様、本日はお忙しいところお越しいただき、ありがとうございます」
- コートを預かる:「よろしければ、お預かりいたします」
- 案内する:「こちらでございます。どうぞ奥のお席へお掛けください」
- 相手が下座に座ろうとしたとき:「◯◯様、どうぞあちらのお席へ」
- 相手が遅れると連絡があったとき:「承知いたしました。お気をつけてお越しください。お店にも伝えておきます」
上座は入口から遠い席が基本ですが、部屋の形や席の種類によって例外があります。迷ったら席次の早見表で確かめてください。タクシーの乗り方はタクシーの席次にあります。
乾杯の挨拶
乾杯の挨拶は自社の上位者が短く行います。お礼、今日の会の趣旨、乾杯の発声の三つで足ります。
本日はお忙しいところお運びいただき、誠にありがとうございます。◯◯様とはふだん会議やメールでばかりお話ししておりますので、今夜は少し肩の力を抜いて、いろいろなお話を伺えればと思います。どうぞごゆっくりお過ごしください。それでは、◯◯株式会社様のますますのご発展を祈念いたしまして、乾杯。
- 全員の手元に飲み物が届いたのを確かめてから始める
- グラスを合わせるときは、自分のグラスの縁を相手の縁より下にする。手が届かない席の人には会釈して軽く掲げる
- 乾杯のあとすぐに商談を始めない
もっと多くの言い回しは乾杯の挨拶の例文を参考にしてください。
お酒・料理のマナー(新人が気をつけること)
お酒
- グラスの中身が少なくなってきたら、メニューを相手に向けて「お飲み物、いかがなさいますか」と声をかける。瓶ビールも、注ぐ前にひと声かける
- 瓶ビールは右手で瓶の胴を持ち、左手を添えて注ぐ。注いでもらう側に回ったら、グラスを両手で持って少し傾ける
- お酒を飲まない人に無理にすすめない。ソフトドリンクの残りにも同じように気を配る
- 自分は飲みすぎない。接待する側は最後まで段取りをする立場
注ぎ方の細かい作法はお酌と乾杯のマナーにまとめています。
料理の種類ごとの注意
| 料理 | 気をつけること |
|---|---|
| 和食のコース | 椀や小鉢は手に取ってよいが、刺身や焼き物の平たい皿は置いたまま食べる。料理の説明は店の人に任せる |
| 寿司(カウンター) | 握りは出てきたら間を置かずにいただく。大将との会話は相手に譲り、こちらが話し込まない |
| フレンチ・イタリアン | ナプキンは最初の料理が来る前に膝へ広げる。口元をぬぐうのはハンカチではなくナプキンで |
| 中華の円卓 | 人が料理を取っている間は回転台を回さない。大皿に自分の箸を入れない |
| 大皿料理 | 若手が取り分けを引き受け、相手の皿から先に配る |
会話のマナーと話題
接待する側は話す人ではなく、相手に話してもらう人です。上司が話しているときは割り込まず、話を振られたら短く答えます。
| 向いている話題 | 避けたい話題 |
|---|---|
| 料理やお店の感想 | 政治・宗教 |
| 相手の地元や出張先の話 | 容姿や年齢に触れる話 |
| 休日の過ごし方・趣味 | 家族や結婚について踏み込んだ質問 |
| 相手の会社の最近の取り組み(公表されているもの) | 他社や同業者の悪口・社内の愚痴 |
| 業界の最近の話題 | 自社の宣伝を延々と続ける |
話をつなぐ一言
- 「こちらのお料理、お口に合いますでしょうか」
- 「◯◯様は、この業界に入られたきっかけは何だったのですか」
- 「先日の◯◯の発表、拝見しました。社内でも話題になっておりました」
- 「休日はどのようにお過ごしなのですか」
- 避けたい話題を振られたとき:「なるほど、そういうお考えもあるのですね」と受け止め、料理や相手の仕事の話へ戻す
注意
商談の話は、相手から出たときに応じる程度にします。こちらから持ち出すなら締めの少し前に、短く「また改めてご相談させてください」と次につなげる形が穏当です。
会計のタイミングと言い方
会計は料理が出そろい、締めの挨拶の前に、相手から見えないところで済ませます。予約のときに「会計は席ではなく入口で」と店に伝えておくと、相手の前で金額のやりとりをせずに済みます。
- 席を立つとき:「少々失礼いたします」(行き先や理由は言わない)
- 店の人への頼み方(入口で小声で):「お会計をお願いします。領収書は◯◯株式会社でお願いします」
- タクシーもあわせて頼む:「◯時ごろに◯台、手配をお願いできますか」
- 相手が「ここは私どもが」とおっしゃったとき:「本日はお招きした席ですので、どうかお気遣いなく」
- 相手にお礼を言われたとき:「とんでもないことでございます。お付き合いいただき、ありがとうございました」
Point
相手がどうしても支払うとおっしゃる場合、担当者がその場で判断せず、自社の上位者の判断に任せます。経費の扱いは会の費用の扱いを参照してください。
締めの挨拶と手土産
締めの挨拶は自社の上位者が行います。お礼、印象に残った話、今後のお願いの順で、長くしないのがこつです。
締めの挨拶の例
本日はお忙しいところ、遅くまでお付き合いいただきまして誠にありがとうございました。◯◯様から現場のお話を伺えて、私どもにとって大変勉強になりました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
名残惜しいのですが、そろそろお時間となりました。本日は楽しいひとときを、本当にありがとうございました。今後とも変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
宴会のように手締めをするのは、人数の多い会や相手も慣れている場合です。少人数の接待なら、挨拶だけで十分です。宴会での締め方は中締めの挨拶と一本締めのやり方にあります。
手土産を渡すタイミングと言葉
手土産はお開きのあと、店を出るまでのあいだに、自社でいちばん上の人の手から渡します。会の始めに渡すと、相手は食事中もその袋の置き場所に気を遣います。到着時に店の人へ「帰りまで預かってください」と頼んでおけば、席に紙袋を置かずに済みます。
- 「本日のお礼に、ささやかですが。皆様で召し上がってください」
- 「お荷物になって恐縮ですが、よろしければお持ち帰りください」
- 遠方から来た相手に:「こちらの土地のものですので、お帰りの道中にでも」
選び方はビジネスの手土産の選び方・渡し方にまとめています。
お見送りと二次会
席を立つ前に、相手の上着と鞄、手土産がそろっているか、座敷なら履物が出しやすく並んでいるかを店の人と一緒に確かめます。タクシーで帰る相手は車が角を曲がるまで、電車なら改札の向こうに姿が消えるまで、その場に残ってお見送りします。
- タクシーに乗る相手に:「本日はありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください」
- 駅まで送るとき:「改札までご一緒いたします」
- 二次会に誘うとき:「もしお時間がおありでしたら、もう一軒いかがでしょうか。もちろん、ご無理のない範囲で」
- 相手が帰る意向のとき:「承知いたしました。すぐにお車を呼んでまいります」
二次会は必ず誘うものではありません。相手の様子と翌日の予定を見て決め、誘うときも断りやすい言い方にします。見送りの基本は来客のお見送りのマナーと同じです。
翌朝のお礼と社内の報告
お礼は翌日の午前中に届くようにします。送る順番は役職の高い人が先です。担当者のメールは、上司のお礼が届いたあとに実務の連絡を兼ねて送ると、内容が重なりません。
| 相手・状況 | 伝え方 |
|---|---|
| ふだんメールでやりとりしている相手 | 午前中にメール。前夜の話題にひとつ触れる |
| 日頃から電話で話すことの多い相手 | 午前中に電話。つながらなければ同じ内容をメールで |
| 翌日が相手の休み | 休日に届かないよう、休み明けの朝にメール。気になるなら当日中に短いお礼だけ送る |
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様 いつもお世話になっております。△△株式会社の◯◯です。 昨夜はお忙しいなか、遅くまでお付き合いくださりありがとうございました。 新しい拠点を立ち上げられた際のご苦労のお話は、私どもが来期に取り組む案件にもぜひ活かしたいと感じております。 お話に出ました資料は、本日中に改めてお送りいたします。 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
社内では、上司へのお礼と、誰が出席し何の話が出たかを短く報告しておくと、次の商談につながります。立場別のお礼メールの全文例は会食のお礼メール、接待された側の書き方は接待のお礼メールにあります。
よくある失敗と防ぎ方
| よくある失敗 | 防ぎ方 |
|---|---|
| 相手より後に着いた | 店との打ち合わせの時間を含めて、早めに着くよう逆算する |
| 会計を席で済ませ、金額が相手に見えた | 予約の時点で「会計は入口で」と店に頼んでおく |
| 会計役が決まっておらず、締めの直前に慌てた | 前日までに会計役を一人決めておく |
| 手土産を最初に渡し、相手に荷物を持たせ続けた | 店に預けておき、帰り際に渡す |
| 自社の説明ばかりして、相手が話せなかった | 質問を用意し、相手が話す時間を長くする |
| 接待する側が飲みすぎた | 自分のペースを決め、合間に水を頼む |
| タクシーが来ず、相手を外で待たせた | 会計のときに台数と時刻を伝えて呼んでおく |
| お礼が数日後になった | 翌朝に送る下書きを前日までに作っておく |
当日のチェックリスト
- 相手より早く着き、店と料理・会計・タクシーの段取りを確かめた
- 相手を出迎え、上座へ案内した
- 全員に飲み物が届いてから乾杯した
- 飲み物の残りと料理の進みに気を配った
- 締めの前に、相手の見えないところで会計を済ませた
- 領収書を受け取った
- 手土産を帰り際に、自社の上位者から渡した
- 相手の荷物・コート・忘れ物を確かめた
- 相手の姿が見えなくなるまで見送った
- 翌朝のお礼の連絡を送った
この記事の要点
- 流れは到着→出迎え→案内→乾杯→会話→会計→締め→手土産→お見送り→翌朝お礼。
- 社内で挨拶・進行・会計・見送りの役割を前日までに決める。
- 会計は締めの前に、相手の見えないところで。店に「会計は入口で」と頼んでおく。
- 手土産は帰り際に、自社の上位者から渡す。
- 接待する側は相手に話してもらう人。飲みすぎない。
- 翌朝のお礼までが接待。相手が公務員なら事前に社内で確認する。
FAQ
よくある質問
先に着いて店と打ち合わせ、出迎え、上座へ案内、乾杯、食事と会話、相手の見えないところで会計、締めの挨拶、帰り際に手土産、お見送り、翌朝のお礼、の順です。
料理が出そろったあと、締めの挨拶の前に、相手から見えないところで済ませます。「少々失礼いたします」とだけ言って席を立ち、入口で支払います。予約時に店へ「会計は席ではなく入口で」と頼んでおくと確実です。
飲み物の残りに気を配ること、相手の話をよく聞くこと、飲みすぎないことです。料理の取り分けやタクシーの手配など、上司が相手との会話に集中できるよう裏方に回ると喜ばれます。
お開きのあと、店を出るまでのあいだに、自社でいちばん上の人から渡します。到着時に店へ預けておけば、席に紙袋を置かずに済みます。「お荷物になって恐縮ですが」と一言添えます。
「本日はお招きした席ですので、どうかお気遣いなく」と丁寧にお断りします。それでもと言われた場合は、担当者が判断せず、自社の上位者に任せます。
料理の感想、相手の地元や趣味、相手の会社の公表されている取り組みなど、相手が話しやすい話題です。政治・宗教・容姿・他社の悪口は避けます。
必ず誘う必要はありません。相手の様子や翌日の予定を見て決めます。誘う場合は「ご無理のない範囲で」と断りやすい言い方にし、相手が帰る意向ならすぐにタクシーを手配します。
ふだんメールでやりとりしている相手ならメールで十分です。日頃から電話で話すことの多い相手には午前中に電話をし、つながらなければメールで補います。送る順番は、役職の高い人が先、担当者はその後です。