マナー
タクシーの席次
上座・乗る順番と人数別の座り方
結論:タクシーの上座は「運転席の後ろ」、下座は「助手席」です。後ろに三人座るときは運転席の後ろ→助手席の後ろ→後部座席の中央→助手席の順とされることが多く、助手席には案内役(いちばん立場が下の人)が座って行き先を伝え、支払いをします。乗るのは上座の人からで、案内役は最後。一方、上司や取引先が自分で運転する車では「助手席」が上座に変わります。乗る前には「◯◯様、どうぞ奥へお乗りください」と一声かけますが、奥へ詰めにくい人には手前の席を勧めて構いません。下に人数別の早見表・声かけ例文・チェックリストを置きました。宴会場や会議室の席次は席次の決め方にまとめています。
結論
車の席次は①運転手がいる車(タクシー・ハイヤー・運転手付きの社用車)と②同乗者の誰かが運転する車の二つで考えます。①は運転席の後ろ→助手席の後ろ→後部座席の中央→助手席、②は助手席→運転席の後ろ→助手席の後ろ→後部座席の中央の順とされることが多いです。①で助手席が下座なのは行き先を伝え、支払いをする役の席だから、②で助手席が上座なのは運転してくれる人の隣で話し相手になる席だからです。どちらも、席次より相手の希望・体調・荷物・降りる順番が優先で、社用車の使い方に決まりがある会社はその決まりに従います。
30秒でわかる早見表
番号の小さいほうが上座です。どれも「とされることが多い」並びで、地域や会社によって考え方が違うこともあります。
| 車の種類 | ①(上座) | ② | ③ | ④(下座) |
|---|---|---|---|---|
| タクシー・運転手付きの車 | 運転席の後ろ | 助手席の後ろ | 後部座席の中央 | 助手席 |
| 上司・取引先が運転する車 | 助手席 | 運転席の後ろ | 助手席の後ろ | 後部座席の中央 |
注意
理由が分かれば例外にも対応できます。運転手のいる車の助手席=案内・支払い役、同乗者が運転する車の助手席=運転する人の話し相手。迷ったら「この席はどんな役か」で考えます。
人数別の座り方(タクシー)
| 乗る人 | 運転席の後ろ | 助手席の後ろ | 後部座席の中央 | 助手席 |
|---|---|---|---|---|
| 上司と自分の二人 | 上司 | 自分(または助手席) | — | — |
| 取引先と自分の二人 | 取引先 | — | — | 自分 |
| 取引先・上司・自分の三人 | 取引先 | 上司 | — | 自分 |
| 取引先二人・自分の三人 | 取引先(上位) | 取引先 | — | 自分 |
| 取引先二人・上司・自分の四人 | 取引先(上位) | 取引先 | 上司 | 自分 |
- 二人のとき:自社の上司と二人なら、自分は助手席の後ろに並んで座るか助手席に座るか、会社の慣習に合わせます。取引先と二人なら、自分は助手席に座り、行き先と支払いを受け持つのが無難です。
- 四人のとき:後部座席の中央は狭く、出入りもしにくい席です。中央に座る人がいるときは、助手席の人が「少し前に詰めましょうか」と座席を前に出すなど、後ろの三人が窮屈にならないよう気を配ります。
- 五人以上のとき:普通のタクシーに無理に詰めず、二台に分けるか、ジャンボタクシー(大きな車両)を手配します。二台に分けるときは、上位の人の車に案内役が一人乗り、もう一台にも行き先を伝えられる人を乗せます。
三列シートのジャンボタクシー・ミニバンのとき
三列の車は車種によって乗り降りのしやすさが違うため、決まった並びは一つではありません。二列目は乗り降りしやすく、三列目は奥に入り込むことが多いので、上位の人には二列目を勧め、三列目には若手が座るのが無難です。助手席は普通のタクシーと同じく案内役の席です。迷ったら「二列目と三列目、どちらがお楽ですか」と聞きます。
上司・取引先が運転する車の座り方
| 状況 | どう座るか |
|---|---|
| 上司が運転し、部下が一人で同乗 | 部下は助手席。後ろに一人で座るのは避ける |
| 上司が運転し、部下が二人で同乗 | 上位の部下が助手席、もう一人は運転席の後ろ |
| 上司が運転し、取引先と自分が同乗 | 取引先に助手席か後部座席かを選んでもらい、自分は残った席へ |
| 取引先が運転して送ってくれる | 勧められた席に座る。特に勧められなければ助手席 |
| 運転してくれた人の家族が乗っている | 家族の席を優先し、空いた席に座る |
| 相手が体調を崩している・荷物が多い | 相手の楽な席を優先し、席次は気にしない |
助手席に座ったら、道案内・ナビの操作・料金所や駐車場の支払いの手伝いを申し出ます。運転している人の横で眠り込むのは避けます。途中で運転していた人が降りたら、残った人は後部座席から助手席に移るのが丁寧とされることもあります。
呼ぶ・乗る・降りるまでの流れ
- 01
タクシーを呼ぶ
立場が下の人が先に立って止めるか、配車アプリや電話で呼んでおきます。人数が多いときは、車の大きさも伝えます。相手には車が来るまで建物の中で待ってもらいます。
- 02
荷物を積む
大きな荷物は「トランクにお入れしましょうか」と尋ね、立場が下の人が積み込みます。書類かばんなど、手元に置きたい物は相手に任せます。
- 03
一声かけて上座の人から乗る
ドアの横に立って「どうぞ奥へお乗りください」と示し、上座の人が先に乗って奥へ、次の人が手前へ。案内役は最後に助手席へ乗ります。
- 04
行き先を伝える
助手席の人が「◯◯ビルの正面玄関までお願いします」のように建物名・入口・目印まで伝えます。住所をすぐ出せるように控えておくと迷いません。
- 05
車内で過ごす
相手が資料を読んだり休んだりしているときは、無理に話しかけません。社外秘の話は控え、電話は一言断って短く済ませます。
- 06
着く前に支払いを準備する
降りる少し前に財布や決済アプリを用意し、着いたらすぐ支払います。会社の経費で精算するなら領収書を受け取ります。
- 07
降りる
降りるときは、ドアに近い人から降りるのが自然です。案内役は先に降りて相手が降りるのを待ち、忘れ物がないか座席を確かめます。運転手には「ありがとうございました」と一言お礼を伝えます。
Point
「奥へどうぞ」が合わない場面もあります。タクシーの上座は運転席の後ろなので、歩道側から乗ると上座の人が奥まで詰めることになります。裾の長い服の人、足の悪い人、先に降りる人には「手前の席のほうがお楽でしたら、どうぞそちらへ」と選んでもらうほうが親切です。
迷いやすい場面
| 場面 | どうするか |
|---|---|
| 雨の日 | 案内役が傘を差しかけて相手を先に乗せ、自分は最後に傘をたたんで乗る。濡れた傘は袋や足元にまとめる |
| スカートや着物の人がいる | 奥へ詰める動きは負担になるので、手前の席を勧める。乗るときは先に腰を下ろしてから足を入れると乗りやすい |
| 高齢の人・足の悪い人がいる | 乗り降りの少ない手前の席を勧め、ドアの開け閉めを手伝う |
| 降りる場所が違う | 先に降りる人を手前の席に。席次より降りる順番を優先する |
| 相手が自分から助手席に座った | そのまま受け入れる。「お気遣いありがとうございます」と添える |
| 自分一人だけ後で合流する | 上位の人の車に行き先を伝えられる人が乗っているか確かめてから見送る |
注意
後部座席でもシートベルトを締めます。道路交通法第七十一条の三第二項では、運転者は座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置に乗せて運転してはならないとされています(幼児や療養上適当でない者などの例外あり)。乗ったら「ベルトをお締めください」と声をかけても失礼にはなりません。
そのまま使える声かけ例文
乗る前
◯◯様、お車が参りました。どうぞ奥へお乗りください。
奥の席と手前の席、どちらでもお楽なほうにお掛けください。
お荷物はトランクにお入れしましょうか。
部長、どうぞお先にお乗りください。行き先は私から伝えます。
(雨の日)足元が濡れておりますので、お気をつけてお乗りください。
運転手に伝える(助手席から)
◯◯駅の◯◯口までお願いします。急ぎませんので、安全にお願いいたします。
◯◯ビルの正面玄関に着けていただけますか。
途中で一人降ります。先に◯◯駅に寄っていただけますか。
車内
到着まで十五分ほどだそうです。資料をご覧になるようでしたら、どうぞお気になさらず。
失礼いたします、少しだけ電話に出させてください。
後ろのお席、狭くございませんか。座席を前に出しますので、おっしゃってください。
上司・取引先が運転する車
助手席に失礼いたします。道案内が必要でしたらおっしゃってください。
お気遣いいただき、ありがとうございます。お言葉に甘えて、乗せていただきます。お席はどちらがよろしいでしょうか。
降りるとき
到着いたしました。お支払いは済ませておきますので、お忘れ物のないようお降りください。
(運転手に)ありがとうございました。助かりました。
(送ってもらったとき)わざわざ送っていただき、ありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください。
自社の上司のことを社外の人に話すときは、「弊社の◯◯が」と名前で呼び、尊敬語は使いません。「部長がおっしゃっていました」ではなく「◯◯が申しておりました」とします。
車内の会話と沈黙
移動中は、無理に話し続けなくて構いません。相手が窓の外を見ている、スマートフォンを見ているときは静かにしておくのも気配りです。話すなら、次の打ち合わせの段取りの確認など、運転手に聞かれても困らない話題を選びます。
| 話してよい話題 | 避けたい話題 |
|---|---|
| 到着時刻や次の予定の確認 | 商談の金額・条件、社外秘の案件 |
| 天気や街並み、相手の地元の話 | 他社や個人の噂話、社内の人事 |
| この後の食事の場所の案内 | 相手の会社への不満、愚痴 |
乗る前のチェックリスト
- 行き先の建物名・入口・住所を控えた
- 人数に合う車か(五人以上なら二台かジャンボタクシー)を確かめた
- 誰がどこに座るか、上座と自分の席を決めた
- 支払い方法(現金・カード・アプリ・タクシーチケット)と領収書の要否を確かめた
- 雨なら傘袋やタオルを用意した
- 降りる順番が違う人がいれば、手前の席に案内する段取りをした
- 相手に「どうぞ奥へ」か「お好きな席へ」か、かける一言を決めた
よくある失敗
| 失敗 | なぜまずいか | こうする |
|---|---|---|
| 自分が先に乗って奥に座る | 上座を取ってしまう | 上位の人を先に、自分は最後に助手席 |
| 上司の運転する車で後ろに一人で座る | 運転する人を運転手扱いしているように受け取られることがある | 「助手席に失礼いたします」 |
| 奥へ詰めにくい人に席次どおりを求める | 型を優先して相手に負担をかける | 「手前のほうがお楽でしたら」と選んでもらう |
| 着いてから財布を探す | 降りるのが遅れ、相手を待たせる | 着く少し前に支払いを準備 |
| 車内で商談の中身を話す | 運転手にも聞こえる | 込み入った話は降りてから |
| 「そこ上座なので座ってください」 | 席次を押しつけているように聞こえる | 「どうぞ奥へお乗りください」 |
| 「狭いですけど我慢してください」 | 相手に負担を押しつける言い方 | 「少々手狭で恐れ入ります」 |
| 降りた後、相手より先に歩き出す | 置いていく形になる | 忘れ物を確かめ、相手の横か少し後ろを歩く |
送ってもらった後のお礼
取引先に車で送ってもらったときは、その日のうちか翌日の朝に、短いお礼を伝えます。打ち合わせのお礼メールに一文添えるだけでも十分です。
件名:本日のお打ち合わせのお礼
株式会社◯◯
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
帰りは駅までお車で送っていただき、大変助かりました。お心遣いに感謝申し上げます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
道を間違えて遅れたなど、こちらに落ち度があったときは、お礼と合わせて「お手間をおかけし、申し訳ございませんでした」と一言お詫びします。お礼メール全体の形は打ち合わせのお礼メール、お見送りの作法は来客のお見送りを見てください。
この記事の要点
- タクシーは運転席の後ろが上座、助手席が下座(案内・支払い役)。
- 後ろに三人なら運転席の後ろ→助手席の後ろ→中央。五人以上は二台かジャンボタクシー。
- 上司・取引先が運転する車は助手席が上座。部下が後ろに一人で座らない。
- 乗るのは上座の人から、案内役は最後。降りるのはドアに近い人から。
- 型より相手の乗りやすさ・体調・荷物・降りる順番を優先し、一声かけて選んでもらう。
FAQ
よくある質問
運転席の後ろが上座、次が助手席の後ろ、後部座席に三人座るときは中央がその次、助手席が下座とされることが多いです。助手席に座る人が行き先を伝え、支払いをします。
助手席が案内・支払い役の席とされるため、後部座席が上位の席になり、その中で奥の運転席の後ろが上座とされています。乗り降りのしやすさから、助手席の後ろを勧める考え方もあるので、相手に選んでもらうのが確実です。
乗るときは上座の人が先に乗って奥へ、次の人が手前へ、案内役は最後に助手席に乗ります。降りるときはドアに近い人から降りるのが自然で、案内役は先に降りて相手を待ちます。
上司が運転席の後ろに座り、自分は助手席の後ろか助手席に座ります。どちらにするかは会社の慣習で違うので、迷ったら「私は前に乗りましょうか」と聞いてみてください。
助手席に座ることが多いです。運転してくれる上司の隣で道案内や話し相手をする席だからです。部下が二人以上いるときは、上位の人が助手席に座ります。
普通のタクシーに詰めず、二台に分けるかジャンボタクシーを手配します。二台に分けるときは、上位の人の車に案内役が乗ります。
受けるか断るかは、状況と会社の決まりで判断します。受けるときは「お言葉に甘えて」とお礼を伝え、勧められた席に座ります。特に勧められなければ助手席に座ることが多いです。
相手の体調や荷物、降りる順番などで席を変えるのは失礼ではありません。「手前の席のほうがお楽でしたら、どうぞ」のように、理由が伝わる一言を添えれば十分です。