警備
イベント警備員の人数は何人必要?
計算式・場面別の例・配置表と交代の組み方
イベントの警備員・誘導スタッフの人数は、必要人数=延べ人時÷1人あたりの実働時間+予備で出します。延べ人時は「配置点(人が立つ場所)ごとの人数×その場所を埋める時間」の合計です。この式に本文の前提を置くと、出入口1か所の会議室セミナーは2名、2フロアの展示会は7名、公園での屋外の祭りは9名になります(前提は「場面別の計算例」の表に記載)。人数を決めるのは来場者数ではなく会場の形です。配置点を数えてから、その点を何時間埋めるかを計算し、出た数字をそのまま配置表と交代表に落とします。
結論
警備・誘導スタッフの人数は①配置点(ポスト)を会場図上で洗い出す ②各ポストの必要時間帯を決める ③延べ人時を積み上げる ④1人あたりの実働上限で割る ⑤予備を足すの順で算出します。来場者数は配置点の数と滞留量に影響する間接的な変数であり、人数を直接決める係数ではありません。なお警備業法は、人若しくは車両の雑踏する場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務で他人の需要に応じて行うものを「警備業務」に含めています(第2条第1項第2号)。該当しそうな場面は、警備会社や所轄の警察署に確認してください。
「来場者◯人につき◯人」で決めない理由
警備・誘導の人数を来場者数だけで決めると、たいてい外れます。同じ来場者数でも、出入口が1か所で一本道の会議室と、出入口が3か所あって階段とエレベーターが分かれているビルでは、必要な配置点の数がまったく違うからです。
- 人数が増えても配置点が増えない場面がある:一本道の通路は、通る人が少なくても多くても、立つ場所は同じ1か所
- 人数が増えなくても配置点が増える場面がある:会場が2フロアに分かれた瞬間、階段とエレベーターに人が要る
- 時間帯で必要数が変わる:開場前は入口に集中し、終演後は出口と駅方向に移る
Point
最初にやるべきことは人数の見積もりではなく、会場図への書き込みです。図面に「人が立つ点」を打っていく。打ち終わった点の数が、同時に必要な人数の下限になります。
配置点(ポスト)の洗い出し
会場図を広げて、次の条件に当てはまる場所に印を付けていきます。印の1つが1ポストです。この段階では人数を気にせず、必要だと思う場所をすべて出してください。削るのは後の工程です。
ポストになる場所の類型
| 類型 | 具体的な場所 | そこに人が要る理由 |
|---|---|---|
| 出入口 | 正面入口、通用口、非常口、搬入口 | 入退場の整理、関係者以外の流入防止、開放/閉鎖の管理 |
| 動線の交差部 | 通路のT字路・十字路、ロビーの合流点 | 進む方向を示さないと立ち止まる人が出て、後続が詰まる |
| 高低差 | 階段の上・下、エスカレーター乗降口、段差 | 転倒と将棋倒しの起点になりやすく、流量の調整が要る |
| 昇降設備 | エレベーター前(各階) | 待ち行列ができ、定員超過と積み残しが発生する |
| 滞留点 | 受付の列、物販、クローク、喫煙所、トイレ前 | 行列が通路を塞ぎ、別の動線を止める |
| 境界 | 客席とバックヤードの境、関係者エリアの入口 | 立入制限の維持 |
| 外周 | 会場建物の外、歩道、駐車場・駐輪場 | 近隣への影響が出る場所。道路上は扱いが変わるため注意 |
| 判断が要る場所 | 本部、インフォメーション | 迷子・体調不良・忘れ物など、現場で判断する案件の受け皿 |
洗い出しの手順
- 01
会場図を時間帯ごとに3枚用意する
「開場前・開場中」「本編中」「終演後」の3枚です。1枚の図面で考えると、時間帯による移動を設計できません。開場中に入口に6人必要でも、本編中は2人で足りることがあります。
- 02
来場者の動きを線でなぞる
駅や駐車場からの到着、入口、受付、クローク、トイレ、客席、物販、退場。自分が来場者になったつもりで、図面の上を指でなぞります。指が迷った場所が、来場者も迷う場所です。
- 03
迷う点・詰まる点・危ない点に印を打つ
迷う点(方向が分からない)、詰まる点(流量が落ちる)、危ない点(高低差・段差)の3種類です。印の色を分けると、後で優先順位を付けやすくなります。
- 04
スタッフと車両の動線も重ねる
搬入車両、ケータリング、登壇者の入り。来場者動線と交差する場所は、交差する時間帯を書き添えてください。
- 05
出した点に番号を振る
P1、P2…と番号を振り、配置表の行にします。番号が付いていない場所には人を置かない、というルールにすると当日の管理が楽になります。
注意
非常口と避難動線は、来場者が通らない場所でも必ずポスト候補に入れてください。平常時は誰も通らないからこそ、物が置かれたまま塞がれていることに気づけません。開場前点検の担当として割り当てるだけでも違います。
1人がカバーできる範囲の考え方
ポストを洗い出すと、必ず「この2か所は1人で見られるのでは」という議論になります。ここで必要なのは勘ではなく、自分で置いた前提に基づく判断です。次の3つの条件をすべて満たすときに限り、1人で複数ポストを兼ねられる、と考えてください。
- 01両方が同時に視界に入る:首を振れば見える距離と角度か。柱や扉で死角になっていないか
- 02片方で対応している間、もう片方が止まっても問題ないか:対応中は実質的に無人になります
- 03移動時間が許容範囲か:異常に気づいてから到達するまでの時間
視認範囲を数字で置く
「見える距離」は会場の明るさ、天井高、人の密度で変わります。だからこそ自分で測ってください。手順は単純です。
- 下見のときに、スタッフ1人を想定ポストに立たせる
- もう1人が、見てほしい地点まで歩いて離れる
- 「誰かが倒れていたら気づけるか」「手を挙げている人に気づけるか」を実際に確認する
- 気づける限界の地点までの距離を歩測またはメジャーで測る
- 本番は来場者で視界が遮られるため、測った距離を割り引いて使う
Point
仮に、実測した視認限界が半径20mだったとします。本番は人が入って見通しが落ちるため7掛けと置くと、実効14m。この14mを会場図にコンパスで円として描き、円が重なればそのポスト同士は兼任できる、離れていれば別の人が要ると判断します。20mも7掛けも自社で置いた前提なので、下見のたびに測り直して更新してください。
移動時間で考える
視界に入らないポストを兼任させる場合は、移動時間で判断します。人が歩く速さを秒速1.2mと置くと、30m離れたポスト間の移動は30÷1.2=25秒です。これに気づくまでの時間が加わるため、実際には1分近くかかると考えてください。1分の空白が許されない場所なら、兼任させてはいけません。
注意
秒速1.2mは平常時の数字として置いたものです。人混みの中、階段、荷物を持った状態ではこれより遅くなります。自社の会場で実際に歩いてストップウォッチで測り、その値に置き換えてください。
滞留点の上限を自分で計算する
最も危険なのは、人が密集して動けなくなる場所です。ここも「何人まで大丈夫か」を外から与えられるのではなく、自分で面積から計算して上限を決め、それを超えそうなら止めるという運用にします。
計算の手順
- 01
対象エリアの有効面積を出す
壁から壁までの面積ではありません。柱、什器、通路として空けておく帯を引いた、実際に人が立てる面積です。会場図に斜線を引いて算出してください。
- 02
1人あたりの占有面積を置く
立位でどれだけの床を占めるか。仮に1人0.5㎡と置くと、有効面積÷0.5が計算上の上限人数になります。ただしこの0.5㎡は、隣の人と肩が触れる程度の、かなり詰まった状態の仮定です。
- 03
余裕を見た運用上限を決める
計算値をそのまま上限にはしません。計算値の6割を運用上限と置くなら、計算上の上限×0.6が運用上限です。「ロビーがこの人数を超えたら入口で流入を絞る」という当日のルールになります。
- 04
現場で数えられる形に変換する
大人数を目視で数え続けるのは不可能です。「床のタイル◯列まで列が伸びたら」「柱の◯番を超えたら」という目印に翻訳して、ポストの担当者に伝えてください。
- 05
絞ったときの行き先を決めておく
流入を止めるなら、止められた人はどこで待つのか。待機列の場所を決めずに止めると、別の場所に危険な密集を作るだけになります。
Point
ここで使った0.5㎡と6割は、計算の仕組みを示すために置いた仮の値です。会場や自治体の基準、消防法上の収容人数、過去の自社イベントの実測がある場合は、必ずそちらを優先してください。密集が想定される規模なら、この計算を持って警備会社や会場管理者に相談し、妥当性を見てもらうのが確実です。
延べ人時から必要人数を算出する
配置点と時間帯が決まれば、人数は計算で出ます。使う式は1つだけです。
必要人数 = 延べ人時 ÷ 1人あたりの実働可能時間 + 予備
延べ人時 = Σ(各ポストの人数 × そのポストが埋まっている時間)
計算例
次の前提を置きます。すべて仮の値なので、自社の条件に置き換えてください。
- 前提1:洗い出したポストが3か所(うち2か所は終日、1か所は開場中のみ)
- 前提2:全体の稼働時間(スタッフ集合から撤収まで)が4時間、うち開場中が2時間
- 前提3:1人あたりの実働可能時間を4時間と置く(休憩は交代で回す)
- 前提4:欠員・急な増員への予備を1名と置く
小さな催しを例に、延べ人時を積み上げます。終日ポスト2か所×4時間=8人時。開場中のみのポスト1か所×2時間=2人時。合計10人時。これを前提3の4時間で割ると、10÷4=2.5なので切り上げて3名。前提4の予備を足して4名となります。規模が大きくなっても、計算の手順は同じです。
| 項目 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 終日ポストの人時 | ポスト数 × 稼働時間(例:2か所 × 4時間) | 8人時 |
| 開場中のみのポストの人時 | ポスト数 × 開場時間(例:1か所 × 2時間) | 2人時 |
| 延べ人時の合計 | 上の2行の合計 | 10人時 |
| 実働で割る | 延べ人時 ÷ 1人あたりの実働時間 | 2.5 → 3名 |
| 予備を加算 | 過去の欠員実績から決める | 4名 |
注意
前提3の「実働時間」は、休憩をどう取らせるかの方針そのものです。立ちっぱなしのポストで長い実働を課すなら、途中の小休止をどこで入れるかまで設計しないと成立しません。前提4の予備も、過去のイベントで実際に何名が欠勤・遅刻したかを記録しておき、その実績値に置き換えてください。記録がないうちは、記録を取り始めることが最初の仕事です。
場面別の計算例:セミナー・展示会・屋外の祭り
同じ式に、会場の形が違う3つの場面を当てはめます。ポストの数と時間、実働時間、予備はすべて説明のために置いた前提です。自社の会場図で洗い出したポストに置き換えて計算し直してください。
| 場面 | 置いたポストと時間(前提) | 延べ人時 | 実働で割る | 予備 | 手配人数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 会議室のセミナー(1フロア・出入口1か所・稼働3時間) | P1 入口と受付の列:3時間/P2 エレベーター前:開場中1時間+終演後1時間 | 5 | 実働3時間と置く → 1.7 → 2名 | 置かない(本部にいる主催者スタッフが代わりに入る前提) | 2名 |
| 2フロアの展示会(出入口1か所・階段とエレベーターあり・稼働6時間) | P1 入口、P2 階段上、P3 階段下、P4 2階会場入口:各6時間/P5 受付の列:開場中2時間/P6 建物外の歩道:終演後1時間 | 27 | 実働5時間と置く → 5.4 → 6名 | 1名 | 7名 |
| 公園での屋外の祭り(出入口2か所・露店あり・稼働8時間) | P1・P2 出入口、P3・P4 露店通路の交差部、P5 駐輪場:各8時間/P6・P7 駅方向の歩道:終演後1時間 | 42 | 実働6時間と置く → 7名 | 屋外で体調を崩す人が出る前提で2名 | 9名 |
3つの場面で人数を分けたのは来場者数ではなく、階段・エレベーター・出入口・交差部の数と、それを何時間埋めるかです。展示会の例で階段をなくせばP2とP3が消え、延べ人時は大きく下がります。逆に、セミナーでも会場が2フロアにまたがれば、階段の上下にポストが増えます。
注意
屋外の例で実働を6時間と置いたのは、交代と休憩を挟む前提です。日射や寒さがある場合は連続配置の上限を短くし、そのぶん予備を厚くしてください。会場や来場者が道路にかかる場合は、後の「依頼から当日までの流れと、警察・消防の手続き」も確認してください。暑熱対策は屋外イベントの熱中症対策で整理しています。
交代の組み方
延べ人時の計算は「何名を手配するか」を出すためのものです。実際に動かすには、誰がいつどのポストにいるかの表が要ります。
交代を組む前に決めること
- 連続してポストに立たせる上限時間(屋外・夏季は短く置く)
- 休憩の長さと、休憩場所(ポストから何分で戻れるか)
- 交代時の引き継ぎ方法(口頭か、申し送り欄のある用紙か)
- 食事の時間帯(本編中など、来場者の動きが落ち着く時間に寄せる)
- 交代要員がポストに着くまでの移動時間(この間ポストが空かない組み方にする)
- トイレなど、計画外の離席をどう埋めるか
連続配置時間から交代回数を出す
連続配置の上限を90分と置き、稼働8時間のうち実際にポストに立つのが6時間だとすると、6時間÷90分=4コマ。1人が1日に4回ポストに入る計算になり、コマとコマの間に休憩や別業務が挟まります。1日の総コマ数は「ポスト数×(稼働時間÷連続配置の上限)」で出ます。これを手配人数で割ると、1人あたりのコマ数が分かります。4コマを大きく超えるなら、人数か上限時間を見直してください。
Point
90分という上限は、屋内・空調あり・座れないポストを想定して置いた仮の値です。屋外で日射がある、寒冷下である、騒音が大きいといった条件では短く置き直してください。逆に、座って受付をするようなポストなら長く置けます。ポストの種類ごとに上限時間を変えるのが現実的です。
引き継ぎで落としやすいこと
- そのコマ中に起きたこと:見かけた不審物、体調不良者、クレーム。「特になし」で済ませない
- 直前に受けた問い合わせ:同じ質問が繰り返される場所は、サイン追加で解決できる
- 変更された指示:本部からの指示は、コマをまたぐと伝わらなくなりやすい
- 備品の状態:パーティションの位置、張り紙の有無、拡声器の電池
注意
交代のたびに30秒の引き継ぎを口頭でするだけでも効果があります。引き継ぎ時間をシフト表に書き込んでおく(例:交代時刻の2分前から)と、省かれにくくなります。
コピーして使える配置表・交代表・引き継ぎメモ
計算で出した人数は、配置表(どこに誰が立つか)と交代表(いつ入れ替わるか)に落として初めて当日に使えます。次の例は形式を示すためのもので、ポスト名・時間帯・人数は自社の会場図と計算結果に置き換えてください。
配置表の例
| ポスト | 場所 | ここで見ること | 時間帯 | 担当 | 報告先 |
|---|---|---|---|---|---|
| P1 | 正面入口 | 入場の整理、関係者以外の流入防止 | 開場前〜終演後 | ◯◯ | 本部(◯◯) |
| P2 | 階段下 | 降りてくる流れを止めない、転倒を見る | 開場前〜終演後 | ◯◯ | 本部(◯◯) |
| P3 | 受付の列の最後尾 | 列が通路を塞がないよう折り返す | 開場中のみ | ◯◯ | 受付責任者(◯◯) |
| P4 | 非常口・避難経路 | 物が置かれていないか、扉が開くか | 開場前点検 | ◯◯ | 本部(◯◯) |
| 本部 | ◯◯室 | 報告の受け付け、判断、無線の統括 | 終日 | ◯◯ | — |
表計算ソフトや共有文書に貼る場合は、次の形を1ポスト1行で使えます。
P2|階段下|降りてくる流れを止めない・転倒を見る|開場前〜終演後|担当:◯◯|報告先:本部(◯◯)
P3|受付の列の最後尾|列が通路を塞がないよう折り返す|開場中のみ|担当:◯◯|報告先:受付責任者(◯◯)
P4|非常口・避難経路|物が置かれていないか・扉が開くか|開場前点検|担当:◯◯|報告先:本部(◯◯)
交代表の例(終日のポスト3か所を4名で回す場合)
4名で3か所を埋めると、各コマで1名が休憩または予備に回ります。1人ずつずらして入れると、全員が同じ回数ずつ休憩を取れます。
| 時間帯 | P1 正面入口 | P2 階段下 | P3 受付の列 | 休憩・予備 |
|---|---|---|---|---|
| ◯:◯◯〜◯:◯◯ | Aさん | Bさん | Cさん | Dさん |
| ◯:◯◯〜◯:◯◯ | Dさん | Aさん | Bさん | Cさん |
| ◯:◯◯〜◯:◯◯ | Cさん | Dさん | Aさん | Bさん |
| ◯:◯◯〜◯:◯◯ | Bさん | Cさん | Dさん | Aさん |
注意
交代時刻とは別に、引き継ぎの時刻(交代の少し前)を表に書いてください。休憩・予備の人は、計画外の離席(トイレ、体調不良者への付き添い)を埋める役も兼ねます。表を作る作業はシフト表・配置表の作成ツールで進められます。
引き継ぎメモ(コピー用)
前任:◯◯ → 後任:◯◯
・このコマで起きたこと(不審物・体調不良者・苦情):
・受けた問い合わせ(同じ質問が続いたか):
・本部からの指示の変更:
・備品の状態(パーティション、張り紙、拡声器の電池):
・次のコマで気をつけること:
Point
「特になし」で済ませない欄を1つ決めておくと、引き継ぎが形だけになりません。たとえば「受けた問い合わせ」は毎回必ず1件以上書く、と決めれば、サイン(案内表示)の不足が早く見つかります。
主催者スタッフと警備会社の線引き
ここが最も判断を誤りやすい部分です。「人手が足りないから自社の社員を立たせる」という発想で埋めてはいけない領域があります。
考え方の軸
| 軸 | 自社スタッフに向く | 警備会社への委託を検討する |
|---|---|---|
| 業務の性格 | 案内、受付、誘導の声かけ、問い合わせ対応 | 混雑の整理、流入規制、立入制限の実力的な維持 |
| 判断の重さ | 手順書どおりに対応できる範囲 | その場で中止・規制を判断する必要がある場面 |
| 規模・密集度 | 来場者が分散し、滞留が起きにくい | 出入口や通路に人が集中し、密集が想定される |
| 場所 | 会場建物の内部、自社が管理する敷地 | 道路上や公共空間にかかる部分 |
| 継続性 | 数時間の単発 | 長時間、夜間、複数日にわたる |
| 知見 | 自社イベントの中身に詳しい必要がある | 群集の扱いに専門的な知見が要る |
警備会社に委託すると決めたら、契約で何を取り決めるかはイベント警備の契約で整理しています。
警備業法に関わる判断が必要な場面
警備業法は「警備業務」を、他人の需要に応じて行う次のような業務と定めています(第2条第1項)。イベントの会場や来場者に直接関わるのは主に第1号と第2号で、第3号・第4号は運搬や登壇者の警護を別に頼む場面で関わります。
| 号 | 条文の内容(要旨) | イベントで当たりうる場面 |
|---|---|---|
| 第1号 | 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 | 会場施設や駐車場での盗難等の警戒、手荷物検査、場内の巡回 |
| 第2号 | 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務 | 雑踏警備、交通誘導 |
| 第3号 | 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務 | 売上金や展示品の運搬(イベント本体の警備とは別に頼むことが多い場面) |
| 第4号 | 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務 | 登壇者・出演者の身辺の警護 |
警備業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の認定を受けなければなりません(第4条)。また十八歳未満の者は警備員となってはならないとされ、警備業者はそうした者を警備業務に従事させてはなりません(第14条)。警備会社に依頼すれば、こうした要件を満たした体制で業務を請け負ってもらう形になります。
Point
「自社のイベントだから自社で誘導すればよい」とは限りません。定義に「他人の需要に応じて行うもの」とあるため、主催者が自社のスタッフで自社のイベントを警備する場合の扱いは、条文の文言だけでは確定しません。とくに、来場者が密集する場所での整理、道路にかかる誘導、有料で第三者から請け負う形になる場合は、法令上の扱いを確認してください。判断に迷ったら、警備会社に会場図と想定来場者数を見せて相談する、または所轄の警察署(生活安全課など)に問い合わせるのが確実です。本記事は人数設計の方法論を扱うもので、法令の適用可否を判断するものではありません。
警備会社に雑踏警備を頼むとき:検定合格警備員と「区域」
警備会社が雑踏の整理を請け負う場合、国家公安委員会規則(警備員等の検定等に関する規則)で、検定に合格した警備員を置く基準が決まっています。この規則は「人の雑踏する場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務(雑踏の整理に係るものに限る。)」を雑踏警備業務と呼び(第1条第3号)、次の配置を警備業者に求めています(第2条)。
| 置く警備員 | 置く単位(規則第2条の表の四の項) | 主催者が押さえておくこと |
|---|---|---|
| 雑踏警備業務に係る一級または二級の検定合格警備員 | 雑踏警備業務を行う場所ごと(場所が二以上の区域に区分される場合は、区域ごと)に一人以上 | 区域を何個に分けるかで、必要な検定合格警備員の数が変わる |
| 雑踏警備業務に係る一級の検定合格警備員 | 場所が二以上の区域に区分される場合に限り、その場所ごとに一人 | 会場を複数の区域に分けるなら、場所全体に一級の警備員が一人必要になる(質疑応答集では、複数の区域全体を統括する役割とされる) |
区域をどう分けるかは、規則の備考で「雑踏警備業務を行う場所の広さ、当該場所において予想される雑踏の状況、当該雑踏警備業務に従事する警備員の人数及び配置の状況、情報通信技術の利用の状況その他の事情」を勘案するとされています。神奈川県警察の「雑踏警備配置基準質疑応答集」は、この区域はイベントの主催者等の委託者と警備業者との契約で定めるものと説明し、面積や人数で機械的に決まる数値基準は示せないとしています。つまり、この記事で洗い出したポストと時間帯の図は、そのまま区域の話し合いの材料になります。
その持ち場は雑踏警備か、別の業務か
同じ質疑応答集は、イベントで見かける業務が雑踏警備業務に当たるかを個別に示しています。持ち場を警備会社と自社のどちらに割り振るかを考えるときの目安になります。最終的な判断は、契約書の内容と業務の実態から個々に行うとされている点に注意してください。
| 持ち場の例 | 質疑応答集での扱い(要旨) |
|---|---|
| 混雑した客をアナウンスや誘導で整理する | 雑踏警備業務に当たる |
| 手荷物検査、警備区域内の巡回 | 通常は施設の警備(第1号)で、雑踏警備業務ではない。ただし同じ警備員が雑踏の整理も兼ねていれば雑踏警備業務も行っていることになる |
| 来場者用駐車場での車両の誘導 | 雑踏警備業務ではない。駐車場を横切って会場へ向かう大勢の歩行者を整理するなら雑踏警備業務に当たる |
| 会場から離れた駅前で道順を案内するだけ | 案内業務のみなら雑踏警備業務に当たらず、区域に含める必要はない |
| 小規模なイベントの雑踏の整理 | 雑踏事故は規模などに関わらず起こりうるとして、すべての雑踏警備業務に検定合格警備員の配置が必要 |
注意
この表は警備業者に課される配置基準の話で、主催者が自社スタッフで誘導する場合の扱いを決めるものではありません。自社スタッフの扱いは前の節のとおり条文だけでは確定しないため、警備会社か所轄の警察署に確認してください。警備会社との契約で区域や配置を書き込む方法はイベント警備の契約で整理しています。
警備会社に見積を依頼するときに渡すもの
- 会場図(洗い出したポストに番号を振ったもの)
- 時間帯別のタイムテーブル(搬入から撤収まで)
- 想定来場者数と、その根拠(申込数、過去実績、招待数)
- 来場者の属性(年齢層、荷物の量、同伴者の有無)
- ピークがいつ来るか、どこに集中するかの想定
- 自社スタッフが担当する範囲(どこまでを自社でやるか)
- 過去に起きたトラブルと、その再発防止として求めること
- 近隣・会場管理者から出ている条件
- 区域の分け方の案(ポスト番号をどの区域にまとめるか)と、警備会社に任せる持ち場・自社で受け持つ持ち場の区分
注意
見積を取るときに「何名でいくら」だけを聞かないでください。「このポストは何名必要か、その理由は何か」を聞くと、自社で洗い出したポストの抜けが見つかります。複数社から取ると、各社が重要だと考える場所の違いが見え、それ自体が設計の材料になります。見積の比較方法は見積の比較も参照してください。
費用は「人数×拘束時間」で決まる:見積書で確認すること
警備会社に払う費用は、ここまでで出した手配人数と、1人あたりの拘束時間、そして単価や諸経費の条件の掛け合わせで決まります。人数の計算に使った「実働時間」はポストに立っている時間で、請求の基になる「拘束時間」とは一致しません。持ち場に着く前の説明や、ポスト間の配置換え、撤収後の報告にかかる時間も、請求側では数えられることがあります。見積を受け取ったら、まず拘束時間が何時から何時までで計算されているかを確かめてください。
| 費用を動かす条件 | 人数・時間への効き方 | 主催者が先に決めておくこと |
|---|---|---|
| ポストの数と時間帯 | 延べ人時がそのまま手配人数に効く | 時間帯別の会場図とポスト番号 |
| 拘束時間の範囲 | 集合から解散までが長いほど、同じ人数でも費用が増える | 集合時刻、説明の時間、撤収の終わり |
| 雑踏警備の区域の数 | 区域ごとに検定合格警備員が要る | ポストをどの区域にまとめるかの案 |
| 日程の広がり | 前日設営の立ち会いや複数日開催では、同じポストを埋める日数が増える | 設営日・本番日・撤収日のどれに警備を置くか |
| 屋外・天候 | 交代を増やすぶん人数が増える | 雨天時の実施判断と、中止時の扱い |
見積書で確認する項目
- ポストごとの人数と、その人数にした理由が書かれているか
- 拘束時間の起点と終点(何時から何時までで数えたか)と、休憩時間を含めるかどうか
- 検定合格警備員の人数と、置く区域
- 業務の範囲(雑踏の整理、手荷物検査、駐車場の誘導、巡回のどれを含むか)
- 終演が押した、ポストを1か所増やした、開催をやめた、という3つの場合の扱い(いつまでに連絡すれば費用が変わらないか)
- 人数×時間の外で請求される行が何か(移動の費用、下見の同行、無線機の貸し出しなど)
- 自社スタッフとの持ち場の境と、報告先
Point
見積どうしの差は、たいていどのポスト番号に人が付いていないかで説明できます。自社の配置表の行に各社の人数と拘束時間を書き込み、空欄になった行を見つけてください。予算に合わせて減らすときも、配置表の上で行います。候補にしてよいのは、兼任の3条件(視界・移動時間・対応中の空白)を下見で確かめたポストと、本編中のように来場者が席に着いている時間帯です。配置表を作る段階で、非常口・避難経路の点検の行と、階段・出入口の行に「減らさない」と印を付けておくと、交渉中に迷いません。
トラブル別:どのポストが気づき、本部が何を決めるか
警備員がその場で動けるのは、誰が最初に気づき、誰に上げ、誰が決めるかが配置表に書いてあるときです。起こりうる場面を、配置表のポストと本部の判断に結び付けておきます。
| 場面 | 最初に気づくポスト(例) | ポストでしてもらうこと | 本部で決める人と基準 |
|---|---|---|---|
| 入口の列が歩道まで伸びる | P1 正面入口、外周のポスト | 列を敷地内で折り返す、歩道を歩く人の通り道を空ける | 列を伸ばせる限界の目印と、限界に来たら開場を早めるかどうか |
| ロビーや階段の手前で人が止まる | 階段の上・下のポスト | 上流のポストに連絡して入ってくる人を止め、決めてある待機場所へ回す | 滞留点の運用上限(「滞留点の上限を自分で計算する」の節で出した値) |
| 体調不良者・けが人 | 見つけたポストすべて | その場から動かさずに周りの人を離し、本部へ場所と様子を伝える | 救護に向かう人、救急車を呼ぶか決める人、付き添いに抜けた穴を誰が埋めるか |
| 子どもが保護者とはぐれる | 見つけたポスト、出口のポスト | 子どもから離れず本部へ連絡し、出口のポストに特徴を伝える | 子どもを預かる場所、呼び出しの方法、保護者だと確かめる手順 |
| 持ち主の分からない荷物・様子のおかしい人 | 見つけたポスト | 荷物に触れず周りを空け、本部へ報告する | 通報する人と、そのエリアを閉じると決める人 |
| 関係者エリアに入ろうとする人 | 境界のポスト | パスを確かめ、入れない人には別の通路を案内する | 入れる人の見分け方(パス・リストバンドの種類) |
| 終演後に駅へ向かう人が一度に出る | 出口のポスト、駅方向の歩道のポスト | 退場の順番を案内し、道路を渡る場所で足を止めてもらう | 退場の順番、案内する道筋、場内アナウンスの文言 |
注意
表の右の列が空いたままだと、ポストの警備員は判断を待つしかありません。迷子の手順はイベントの迷子対応、起こりうる事象の洗い出しはイベントのリスク管理で整理しています。
依頼から当日までの流れと、警察・消防の手続き
- 01
会場図にポストを打ち、人数を計算する
この記事の手順で、時間帯別の会場図、ポスト番号、延べ人時、手配人数の案を作ります。
- 02
警備会社に相談し、見積を取る
ポスト番号付きの会場図とタイムテーブルを渡し、ポストごとの人数と理由を書いてもらいます。複数社に同じ資料を渡すと比べやすくなります。
- 03
区域・持ち場・報告先を決めて契約する
雑踏の整理を委託するなら区域の分け方と検定合格警備員の配置、自社スタッフとの持ち場の境を契約に書き込みます。
- 04
下見をする
視認距離と移動時間を測り、兼任の可否と配置を見直します。会場管理者から出ている条件もここで確認します。
- 05
警察・消防の手続きと照らし合わせる
道路や火気を使う催しでは、許可や届出の内容と配置表が食い違わないようにします(下の表)。
- 06
配置表・交代表を確定し、当日の説明をする
担当者のいないセルがないか確かめ、ブリーフィングで伝える内容を絞ります。
警備の配置と関わる手続き
| 手続き | 関わる場面 | 根拠・届け先 | 配置表との関係 |
|---|---|---|---|
| 道路使用許可 | 道路で祭礼行事をする、道路に露店・屋台を出すなど | 道路交通法第77条第1項。行為を行う場所を管轄する警察署長 | 警察署長は必要に応じて許可に条件を付けられる(同条第3項)。許可証に書かれた条件を、該当するポストの「ここで見ること」欄に書き写す |
| 火気を使う露店等の開設届出(東京都の例) | 催しで火気使用器具等を使う露店等を出す | 東京都の火災予防条例。開設の3日前までに消防署長へ届出 | 消火器の置き場所と、露店エリアのポストの持ち場をそろえる。条例は自治体ごとに異なる |
注意
手続きの詳細は道路使用許可とイベント、イベントの消防への届出、全体の一覧はイベントに必要な許可・届出一覧を参照してください。
人数と配置でよくある間違い
計算式があっても、前提の置き方で結果は大きく外れます。手配の前に、次の表に当てはまるものがないか確かめてください。
| よくある間違い | 当日に起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 来場者数だけで人数を決める | 階段・エレベーター・合流点など、立つべき場所に人がいない | 会場図にポストを打ってから延べ人時で計算する |
| 全員を同時にポストへ割り振る | 休憩・トイレ・体調不良者の付き添いでポストが空く | 予備を足し、交代表に休憩・予備の列を作る |
| 開場前と終演後を同じ配置で考える | 終演後に出口と駅方向へ人が集中し、入口側に人が余る | 時間帯ごとに会場図を分け、配置転換の時刻を書く |
| 非常口・避難経路をポストに入れない | 物が置かれて塞がっていることに誰も気づかない | 開場前点検の担当を割り当てる |
| 兼任を勘で決める | 片方の対応中にもう片方が無人になる | 下見で視認距離と移動時間を測ってから判断する |
| 警備会社と自社スタッフの持ち場の境を決めない | 境目のポストで指示が二重になる、または誰も立たない | 配置表に持ち場ごとの担当会社と報告先を書く |
| 「何名でいくら」だけで見積を比べる | 安い見積がポストの抜けによるものだと気づけない | ポストごとの人数と理由を書いてもらって比べる |
| 引き継ぎを省く | 前のコマで受けた指示や不審物の情報が途切れる | 交代時刻とは別に引き継ぎ時刻を表に書く |
手配前の最終チェックリスト
- 時間帯別の会場図3枚に、番号付きのポストがすべて打たれている
- 各ポストに「ここで見ること」と報告先が書かれている
- 延べ人時・実働時間・予備の前提を書き出し、根拠(実測・過去の記録)を残した
- 交代表に、担当者のいないセルが残っていない
- 警備会社に任せる持ち場と自社スタッフの持ち場の境が、配置表で分かる
- 雑踏の整理を委託する場合、区域の分け方と検定合格警備員の配置を警備会社と確認した
- 滞留点の運用上限と、流入を絞ったときの待機場所を決めた
当日運用に落とす
ブリーフィングで必ず伝えること
- 01自分のポストで何が起きたら報告するか:判断に迷うものはすべて報告、と伝えるほうが安全です
- 02報告の経路:誰に、どの手段で。無線かインカムかチャットか
- 03持ち場を離れてよい条件:原則離れない。離れる場合は交代が来てから
- 04来場者に聞かれる定番の質問と答え:トイレ、クローク、喫煙所、終了時刻
- 05答えられない質問の逃がし先:本部かインフォメーションに案内する
- 06緊急時の最初の行動:まず何をするか。考えさせず、1つだけ決めておく
Point
ブリーフィングは長くしないでください。覚えられる量に絞り、残りは配置表の裏面に書く。口頭で伝えた内容は、配置に就いた時点でどれだけ残っているか分かりません。手元の紙に書いてあることだけが、確実に参照されます。全体の体制設計はイベント運営スタッフの人数と配置、想定すべき事象の洗い出しはイベントのリスク管理を参照してください。
この記事の要点
- 人数は来場者数ではなく配置点の数から決まる。まず会場図に「人が立つ点」を打つ。
- 兼任の可否は、下見で実測した視認距離と移動時間で判断する。勘で決めない。
- 必要人数=延べ人時÷1人あたり実働時間+予備。前提の数字は自社の実績に置き換える。
- 計算した人数は、配置表(どこに誰が)と交代表(いつ入れ替わるか)に落として初めて当日に使える。
- 雑踏警備など警備業法に関わる場面がある。該当しそうなら警備会社や所轄に確認する。
- 雑踏の整理を警備会社に頼むと、区域ごとに検定合格警備員が置かれる。区域は契約で決めるので、ポストの図を持って話し合う。
- 費用は手配人数×拘束時間×単価・諸経費の条件で決まる。見積は合計額ではなく、ポストごとの人数と拘束時間で比べる。
FAQ
よくある質問
来場者数だけでは決まりません。同じ来場者数でも、出入口の数、階段やエレベーターの有無、動線が交差する場所の数で、人が立つ必要のある場所の数が変わるからです。会場図の上で、出入口・動線の交差部・階段・滞留点など「人が立つ必要のある点」を洗い出し、各点を埋める時間を足して延べ人時を出し、1人あたりの実働可能時間で割ってください。たとえば終日ポスト2か所を4時間、開場中のみのポスト1か所を2時間埋める場合、延べ10人時となり、実働4時間と置けば3名、予備1名を足して4名、という形で算出します。前提に置いた実働時間や予備の人数は、自社の運用と過去の欠員実績に置き換えて計算し直してください。
警備業法は、人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務を「警備業務」の一つとしています(第2条第1項第2号)。イベントでは、混雑する出入口や通路、会場周辺での整理や誘導がこれに当たりうる場面です。警備業務は他人の需要に応じて行うものと定義されているため、主催者が自社スタッフで行う場合の扱いは条文だけでは確定しません。該当しそうな場合は、警備会社か所轄の警察署に確認してください。
1ポスト1行で、ポスト番号、場所、そこで見ること、担当する時間帯、担当者、報告先を書きます。あわせて交代表に、交代時刻と引き継ぎの時刻を分けて書いてください。表のどこかに担当者のいない時間帯が残っていれば、そこが設計の穴です。本文にコピーして使える配置表・交代表・引き継ぎメモの例を載せています。
警備業法は、十八歳未満の者は警備員となってはならないと定め、警備業者がそうした者を警備業務に従事させることも禁じています(第14条)。このため、警備会社が警備業務に就かせる警備員は18歳以上です。主催者側のスタッフに案内や声かけを任せる場合でも、雑踏の整理に当たる持ち場には置かず、扱いに迷うときは警備会社か所轄の警察署に確認してください。
土台になるのは、延べ人時から出した手配人数と、請求側で数える拘束時間です。ポストに立つ実働時間より拘束時間のほうが長くなるのが普通なので、同じ人数でも拘束時間の数え方で金額が変わります。そこに単価や諸経費の条件が加わります。条件は警備会社ごとに異なるため、このページでは金額の目安を示していません。配置点と時間帯を決めた会場図とタイムテーブルを渡して見積を取り、ポストごとの人数・拘束時間・検定合格警備員の人数を確認してください。公的に公表されている単価の読み方はイベント費用の公開単価で整理しています。
自社の配置表の行に各社の人数と拘束時間を書き込み、空欄になる行がないかを見てください。差の多くは、どのポストに人を付けたか、拘束時間を何時から数えたかで説明できます。とくに非常口・避難経路の点検と、階段・出入口のポストに人が付いているかを最初に確かめます。業務の範囲と、終演の延長や開催中止のときの扱いも並べて比べます。
案内や声かけ、問い合わせ対応といった業務であれば自社スタッフで対応できる場面が多くあります。一方で、来場者が密集する場所での整理や、道路にかかる誘導などは、警備業法の対象となる場合があります。自社のイベントであっても該当する可能性があるため、会場図と想定来場者数を持って警備会社に相談するか、所轄の警察署に確認してください。
会場の明るさ、天井高、人の密度で変わるため、一律の数字はありません。下見のときにスタッフを立たせ、どこまで離れたら「倒れている人」「手を挙げている人」に気づけなくなるかを実際に測ってください。測った距離を本番の混雑で割り引いた値を、会場図に円として描くと、兼任できるポストと別の人が必要なポストが視覚的に判断できます。
ポストの条件によって変えてください。屋内で空調があり立位のポストと、屋外で日射があるポストでは、無理なく立てる時間がまったく違います。まず自社でポスト種別ごとの連続配置の上限を決め(たとえば立位の屋内ポストを90分と置く)、稼働時間をその上限で割ってコマ数を出し、総コマ数を手配人数で割って1人あたりの負担を確認する、という順で組みます。
警備員等の検定等に関する規則第2条は、警備業者が雑踏警備業務を行うとき、行う場所ごと(区域に分ける場合は区域ごと)に一級または二級の検定合格警備員を一人以上置くことを求めています。神奈川県警察の雑踏警備配置基準質疑応答集は、雑踏事故はイベントの種類や規模に関わらず起こりうるとして、すべての雑踏警備業務に検定合格警備員の配置が必要としています。区域の分け方は主催者と警備業者の契約で決めるため、ポストを打った会場図を持って相談してください。
神奈川県警察の雑踏警備配置基準質疑応答集では、駅前で道順を案内するだけの業務は雑踏警備業務に当たらず、手荷物検査や巡回は通常は施設の警備(第1号)とされています。ただし、同じ警備員が人の雑踏の整理も兼ねていれば雑踏警備業務も行っていることになります。該当するかは契約書の内容と業務の実態で個々に判断されるため、警備会社に持ち場ごとの扱いを確認してください。
一つのイベントでも、持ち場ごとに当たる号が分かれることがあります。警備業法第2条第1項第2号は人若しくは車両の雑踏する場所などでの負傷等の事故の警戒・防止で、来場者の整理はここに入りえます。手荷物検査や場内の巡回は、神奈川県警察の雑踏警備配置基準質疑応答集では通常、第1号(施設での盗難等の警戒)とされます。登壇者の身辺を守るなら第4号です。配置表の持ち場ごとにどの業務として頼むかを、警備会社と確認してください。
道路で祭礼行事をする、露店を出すなど、道路交通法第77条第1項に当たる使い方をする場合は、行為を行う場所を管轄する警察署長の許可が要ります。列が歩道にはみ出すだけの場面でも、列を伸ばしてよい範囲を決め、入口のポストに折り返しを任せてください。判断に迷う場合は所轄の警察署に相談してください。
ポスト番号を振った会場図、搬入から撤収までのタイムテーブル、想定来場者数とその根拠、来場者の属性、ピークの想定、自社スタッフが担当する範囲、過去のトラブルと再発防止の要望です。「何名でいくら」だけでなく「このポストに何名必要で、その理由は何か」を聞くと、自社の洗い出しの抜けが見つかります。