費用
イベント費用の公開単価
相場ではなく、出典のある数字だけ
イベントの費用を調べると「相場」がたくさん出てきますが、どこから出た数字なのかが書かれていないものがほとんどです。この記事は逆に、国や公共施設が自分で公開している単価だけを集めました。全部の費目はそろいません。そのかわり、どの数字も出典を開けば確かめられます。
結論
この記事の数字は、①国土交通省の公共工事設計労務単価(警備員)②東京労働局の東京都最低賃金(スタッフの賃金の下限)③大田区産業プラザPiOの料金表(会場)の3つの一次資料から取っています。いずれも2026年10月18日に原本を確認しました。どれも「イベントの相場」ではありません。 何の数字なのかを、それぞれの節で説明します。
警備員:国の公共工事設計労務単価
国土交通省は毎年、公共工事の積算に使う職種ごとの賃金の単価を公表しています。その中に交通誘導警備員があります。令和8年3月から適用されている単価です。
| 交通誘導警備員A | 交通誘導警備員B | |
|---|---|---|
| 東京都(8時間あたり) | 20,500円 | 18,700円 |
| 東京都・参考値(単価+必要経費) | 30,300円 | 27,600円 |
| 全国平均値 | 18,911円 | 16,749円 |
注意
Aは、交通誘導警備業務に係る一級または二級の検定に合格した警備員。Bは、それ以外で交通の誘導に従事する警備員です(資料の定義による)。参考値は、単価に法定福利費(事業主負担分)・労務管理費・宿舎費等を加えたものとして資料に示されている値です。
Point
この単価は、警備会社への支払額ではありません。 資料は、単価が所定労働時間内8時間あたりで、時間外・休日・深夜の割増賃金を含まないこと、そして「交通誘導警備員の単価については、警備会社に必要な諸経費は含まれていない」ことを明記しています。警備会社の見積がこの単価より高いのは、おかしなことではありません。
注意
イベント会場での雑踏警備は、交通誘導警備とは別の業務です。 この単価は駐車場や周辺道路の誘導を考えるときの参考にとどめてください。警備の区分と委託の注意点はイベント警備の外注と警備業法にあります。
出典: 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(令和8年2月17日発表)報道発表・資料PDF(2026年10月取得)
スタッフ:東京都最低賃金
受付や誘導など、運営スタッフの賃金には最低賃金という下限があります。東京都の最低賃金は、令和8年10月1日から時間額1,280円です。
| 金額 | |
|---|---|
| 東京都最低賃金(時間額) | 1,280円 |
| 8時間働いた場合の下限(1,280円×8時間) | 10,240円 |
Point
これは賃金の下限で、派遣会社やイベント会社への支払額ではありません。 会社に依頼する場合は、ここに会社の経費が加わります。また、深夜や時間外の割増、交通費は別です。
注意
人数×時間で考えてください。 スタッフ費は、1人あたりの単価よりも延べの時間で膨らみます。前日の設営や当日の撤収に入る人の時間を、見積が含んでいるか確認してください(スタッフの人数と配置)。
出典: 東京労働局「東京都最低賃金は10月1日から時間額1,280円になります」(令和8年9月30日発表)報道発表(2026年10月取得)
会場:区立施設の料金表(大田区産業プラザPiO)
公共施設の多くは、条例にもとづく料金表を公開しています。ここでは一例として、大田区産業プラザPiOの大展示ホールを取り上げます。この施設の料金は、会場費の相場ではありません。 会場費が何で決まるかを見るための例です。
| 大展示ホール(1区分あたり) | 区内利用者 | 区外利用者 | 入場料等を徴収する利用者 |
|---|---|---|---|
| 現行(前半9:00〜14:00、後半14:00〜19:00 それぞれ) | 150,000円 | 180,000円 | 225,000円 |
| 令和9年4月利用分から(前半・後半それぞれ) | 187,500円 | 225,000円 | 281,300円 |
注意
令和9年4月利用分からの料金表では、3つ目の区分の名前が「営利を目的とした利用者」に変わり、全日(9:00〜19:00)の料金も設けられています(区内375,000円、区外450,000円、営利を目的とした利用者562,500円)。
料金表の注記から分かる、見落としやすいこと
- イベント会社が申し込むと、高い区分になる——3つ目の区分の例として「利用申請者が施設利用を事業として受託している場合(イベント会社など)」が挙がっています。現行では区内150,000円が225,000円になり、1.5倍です
- 利用時間には設営・撤収も含まれる——本番の時間だけで区分を取ると足りません
- 設営・撤去だけの日は50%減額——展示ホールの場合。ただし1日の利用を分割しての減額はできません
- 冷暖房は別料金——大展示ホールの冷房料は現行5,800円/時間、令和9年4月からは7,300円/時間
- 備品は区分ごとに別料金——音響装置1,200円/式、長机100円/脚、折り畳み椅子50円/脚(いずれも現行・1区分あたり)
Point
会場費は「部屋代」だけでは決まりません。 区分の取り方、申込者の名義、設営日、冷暖房、備品。料金表の注記を読むと、見積に入れるべき行がそのまま見えてきます。申込者の名義で区分が変わる施設があることは、イベント会社に任せる前に知っておく価値があります。
出典: 大田区産業プラザPiO ご利用料金に掲載の「施設・備品料金表」および「(令和9年4月1日利用分から)施設・備品料金表」(2026年10月取得)
見積を読むときの使い方
- 01
警備:割増の前提を確かめる
国の単価は、所定内8時間の賃金です。 夜間や休日の作業があるのに割増の扱いが見積に書かれていなければ、前提を確認してください。
- 02
スタッフ:延べの時間で見る
人数×時間。設営日と撤収の時間が入っているか。見積の並べ方は見積の比較のしかたにまとめています。
- 03
会場:申込者の名義を決める
自社名義で申し込むか、イベント会社に任せるか。 料金区分が変わる施設があります。料金表の注記を先に読んでください。
- 04
会場:本番以外の時間を数える
設営・撤収を含めた区分になっているか、冷暖房と備品の行があるか。
- 05
出典を聞く
見積の単価に根拠を聞いて構いません。答えられる会社は、数字の作り方が分かっている会社です。
注意
費目の分け方はイベント予算の立て方と内訳、イベント会社に頼む費用の内訳の読み方はイベント運営代行・イベント会社の料金相場にあります。
この記事の要点
- 相場ではなく、国や公共施設が公開している単価だけを集めた。 どれも出典を開けば確かめられる。
- 交通誘導警備員の公共工事設計労務単価は、東京都でA 20,500円・B 18,700円(8時間あたり)。 警備会社の諸経費と割増は含まれていない。
- 東京都最低賃金は令和8年10月1日から1,280円。 スタッフの賃金の下限であって、会社への支払額ではない。
- 区立施設では、イベント会社が申し込むと料金区分が上がる例がある。 大田区産業プラザPiOの大展示ホールは現行で1.5倍。
- 会場費は部屋代だけでは決まらない。 設営・撤収の時間、冷暖房、備品が別に要る。
FAQ
よくある質問
出どころが書かれていない「相場」より、国や公共施設が公開している一次資料を基準にするほうが確かです。この記事では、警備は国土交通省の公共工事設計労務単価、スタッフの賃金の下限は東京都最低賃金、会場は区立施設の条例にもとづく料金表を使っています。いずれも会社への支払額ではないので、見積を読むときの下限や比較の物差しとして使い、実際の金額は複数社の見積で比べてください。
この記事では相場を示していません。参考になる公開の数字として、国土交通省の公共工事設計労務単価があり、令和8年3月から適用の東京都の交通誘導警備員はA(検定合格者)20,500円、B 18,700円です(所定労働時間内8時間あたり)。ただしこれは公共工事の積算に使う賃金の単価で、資料は警備会社に必要な諸経費や時間外・休日・深夜の割増賃金が含まれていないことを明記しています。警備会社への支払額はこれより高くなるのが通常の構造です。
東京都では、令和8年10月1日から最低賃金が時間額1,280円です。8時間なら10,240円が賃金の下限になります。これは労働者に払う賃金の下限であり、派遣会社やイベント会社に依頼する場合の料金ではありません。深夜や時間外の割増、交通費も別です。
施設によっては変わります。大田区産業プラザPiOの料金表では、「利用申請者が施設利用を事業として受託している場合(イベント会社など)」が、入場料等を徴収する利用者(令和9年4月利用分からは営利を目的とした利用者)の区分の例として挙げられています。大展示ホールの現行料金では、区内利用者の150,000円に対してこの区分は225,000円です。任せる前に、会場の料金表の注記を確認してください。
設営・撤収の時間、冷暖房、備品です。大田区産業プラザPiOの料金表は、利用時間に設営・準備・撤収・後片付けも含むと明記しており、大展示ホールの冷房料は現行で1時間5,800円、音響装置や机・椅子も区分ごとの別料金です。一方で、展示ホールの設営・撤去だけの日は利用料金の50%相当額が減額されます。
そのままは使えません。公共工事設計労務単価は都道府県ごとに異なり、全国平均値は交通誘導警備員A 18,911円、B 16,749円です。最低賃金も都道府県ごとに決まります。会場の料金は施設ごとに違います。この記事は、どこを見れば一次情報があるかを示すためのものとして使ってください。