交通
イベントの駐車場と交通整理
来場車両の段取りと誘導の体制
イベントの駐車場で最初に決めるのは、車で来てもらうか、来てもらわないかです。ここが決まらないまま駐車場を探し始めると、告知の文面も誘導の体制も決まりません。車で来てもらうなら、①何台分の駐車場をどこに確保するか ②満車になったらどうするか ③入出庫の動線と誘導を誰が担うかを決めます。決める時期は告知の前。告知に「駐車場あり」と書いた時点で、来場者は車で来ます。道路で誘導・案内をする場合や、道路に看板を出す場合の手続きは道路使用許可を参照してください。
結論
駐車場と交通整理の段取りは、①車での来場を受けるかの判断 ②駐車場の確保(会場・臨時駐車場・提携駐車場)③満車時の対応 ④入出庫の動線 ⑤誘導の体制(自社スタッフと警備会社の分担)⑥事前の周知の順で進めます。警備業法は、人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務を「警備業務」に含めています(第2条第1項第2号)。車両の誘導を誰に任せるかは、警備会社や所轄の警察署に確認してください。
決めることと、決める相手
| 決めること | 決める相手 | 決める材料 |
|---|---|---|
| 車での来場を受けるか | 主催者、会場 | 公共交通の便、来場者の属性、近隣の道路事情 |
| 駐車場の確保 | 会場、臨時駐車場の土地所有者、提携駐車場 | 見込む来場台数、場所、使える時間 |
| 満車時の対応 | 主催者、会場 | 代わりの駐車場、案内の方法 |
| 入出庫の動線 | 会場、警備会社 | 会場図、周辺の道路、歩行者動線との交差 |
| 誘導の体制 | 警備会社、自社 | 配置点、時間帯、道路にかかるか |
| 道路を使うか | 所轄の警察署 | 道路上での誘導・看板の有無 |
Point
「駐車場はありません」も立派な決定です。会場に駐車場がない、近隣に迷惑がかかる、という条件なら、車での来場をお断りする方針を告知の段階で明記し、公共交通の案内を手厚くするほうが、当日の混乱を防げます。
駐車場の確保
車での来場を受けるなら、駐車場の候補を種類別に洗い出します。
| 種類 | 確認すること | 注意点 |
|---|---|---|
| 会場の駐車場 | 使える台数、時間、他の利用者との共用か | 当日ほかの催しと重なっていないか |
| 臨時駐車場(空き地・グラウンドなど) | 所有者の承諾、地面の状態、出入口 | 雨で地面が緩むと使えなくなる |
| 近隣のコインパーキング・提携駐車場 | 台数、料金、割引や提携の可否 | 満車でも主催者は管理できない |
| シャトルバス+離れた駐車場 | バスの手配、乗降場所、運行間隔 | 乗降場所に行列ができる |
注意
見込む来場台数を出すには、想定来場者数のうち車で来る割合と、1台あたりの乗車人数を自分で置く必要があります。この割合を外部の「一般的な数字」で置かず、前回の実績や事前申込の回答(来場手段を聞く)から置いてください。根拠がない場合は会場や警備会社に過去の同種イベントの状況を聞きます。
入出庫の動線と満車時の対応
会場図に周辺の道路まで描き、車と歩行者の動きを線で重ねます。
- 入口と出口を分けられるか(分けられないなら時間帯で入庫と出庫を分ける)
- 入庫待ちの車列が公道に伸びないか。伸びるなら、どこで止まるか
- 車の動線と歩行者の動線が交差する場所に誘導員を置くか
- 車いす使用者用の駐車区画を会場入口の近くに確保したか
- 搬入車両・出演者の車両と、来場者の車両を分けたか
- 満車になったとき、どこで知らせ、どこへ案内するか
- 閉場後の出庫が集中したとき、出口の誘導をどうするか
満車時の手順を先に決める
- 01
満車の基準を決める
「残り数台になったら満車扱い」など、場内で車が迷わない段階で満車と判断する基準を決めます。何台を基準にするかは、会場と警備会社の意見を聞いて置いてください。
- 02
知らせる場所を決める
駐車場の入口ではなく、手前の分岐点で知らせないと、入口で車列が止まります。看板を出す場所が道路にかかるなら、道路使用の扱いを所轄の警察署に確認します。
- 03
代わりの案内先を決める
近隣の駐車場、離れた駐車場とシャトルバスなど。案内先が決まっていない「満車」は、周辺道路のうろつきを生みます。
- 04
Webと現地で同時に知らせる
告知ページやSNSで満車を知らせる担当を決め、現地の看板と同じ時刻に出します。
準備のチェックリスト
- 車での来場を受けるか決め、告知文に明記した
- 駐車場の候補ごとに、台数・時間・所有者の承諾を確認した
- 見込む来場台数の根拠(前回実績・事前申込の回答)を残した
- 入出庫の動線と、歩行者との交差点を会場図に書いた
- 満車の基準・知らせる場所・代わりの案内先を決めた
- 誘導の配置点と時間帯を決め、警備会社に見積を依頼した
- 道路上で誘導・看板を出すか確認し、必要なら所轄の警察署に相談した
- 近隣(住民・店舗)への事前のお知らせを出した
- 公共交通・シャトルバスの案内を告知ページに載せた
誘導員の人数の出し方はイベント警備員の人数の計算式、警備会社との契約で確認する点は警備の委託契約で整理しています。
当日の運用:役割・連絡・アナウンス
| 役割 | やること | 報告先 |
|---|---|---|
| 駐車場入口 | 入庫の案内、満車時の案内先の伝達 | 駐車場責任者 |
| 場内誘導 | 空き区画への誘導、歩行者との交差の安全確認 | 駐車場責任者 |
| 駐車場責任者 | 残り台数の把握、満車の判断、本部への報告 | 本部 |
| 本部 | Web・現地の満車告知、代わりの駐車場への連絡 | 責任者 |
- 残り台数は一定の間隔で報告:満車の判断が遅れると入口で車列が止まる
- 満車の判断は駐車場責任者が出し、本部が告知:判断と告知を同じ人に兼ねさせない
- 事故・接触は、まずけが人の有無を確認し、後続の車を止めて二次事故を防いだうえで本部へ:救急・警察への連絡と以後の対応は本部が引き取る
- 夜間・雨天は誘導員を目立たせる:反射ベストや誘導灯など、運転者から見える装備を警備会社・会場と確認しておく
アナウンス・案内文例
【告知ページ】会場の駐車場は台数に限りがあります。満車の際は近隣の有料駐車場をご利用ください。できるだけ公共交通機関でのご来場をお願いいたします。
【現地・満車時】ただいま会場駐車場は満車です。恐れ入りますが、案内に従って臨時駐車場へお進みください。臨時駐車場から会場までは、シャトルバスをご利用いただけます。
【閉場前の場内アナウンス】お車でお越しの皆さまにお知らせいたします。閉場後は出口付近が大変混み合います。駐車場内では係員の誘導に従い、歩行者に十分ご注意のうえご出庫ください。
よくある失敗
| 失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 告知で駐車場の有無を書かなかった | 車で来る人が想定を超える | 告知の段階で方針を明記する |
| 満車の知らせが入口だけ | 入口で車列が止まり、公道に伸びる | 手前の分岐点で知らせ、案内先を示す |
| 車と歩行者の交差を放置 | 接触の危険 | 交差点に誘導員を置くか、動線を分ける |
| 臨時駐車場の地面を確認しない | 雨で使えなくなる | 雨天時の代替を決めておく |
| 近隣に知らせていない | 路上駐車・渋滞の苦情 | 事前のお知らせと、周辺の巡回 |
この記事の要点
- 最初に決めるのは「車で来てもらうか」。決めたら告知に明記する。
- 見込む来場台数は、前回実績や事前申込の回答から置く。一般的な割合で置かない。
- 満車の基準・知らせる場所・代わりの案内先を事前に決める。知らせるのは入口ではなく手前の分岐点。
- 車両の誘導は警備業法の雑踏警備にかかわりうる。警備会社や所轄の警察署に確認する。
- 道路上で誘導・看板を出すなら、道路使用許可の要否を所轄の警察署に確認する。
FAQ
よくある質問
来場者のうち車で来る割合と、1台あたりの乗車人数で変わります。このページでは一般的な割合を示していません。前回の実績や、事前申込で来場手段を聞いた回答から置き、根拠がない場合は会場や警備会社に同種イベントの状況を聞いてください。
警備業法は、人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務を警備業務に含めています(第2条第1項第2号)。警備業務は他人の需要に応じて行うものと定義されているため、主催者が自社スタッフで行う場合の扱いは条文だけでは確定しません。会場図と想定台数を持って警備会社か所轄の警察署に確認してください。
道路で行う行為によっては、道路交通法第77条の道路使用許可が必要になります。申請先は行為を行う場所を管轄する警察署長です。誘導の内容や看板の設置が該当するかは、所轄の警察署に確認してください。手続きの詳細は道路使用許可の記事で整理しています。
満車の基準、知らせる場所、代わりの案内先を事前に決めておきます。知らせる場所は駐車場の入口ではなく手前の分岐点にし、告知ページやSNSでも同じ時刻に知らせると、周辺道路での車列を減らせます。
所有者の承諾、使える時間、地面の状態(雨で緩まないか)、出入口の位置と公道へのつながり、照明の有無、事故があったときの責任の分担です。賠償の範囲は保険の記事もあわせて確認してください。
車いす利用者の来場が見込まれる場合は、会場入口に近い区画の確保を検討してください。障害者差別解消法は、事業者が障害者から意思の表明があった場合、負担が過重でないときは合理的配慮をしなければならないと定めています(第8条第2項)。申込時に希望を受け付ける窓口を設けておくと準備しやすくなります。