文例
電話が聞き取れないときの言い方
名前の聞き返し方・漢字の確かめ方
電話で相手の声が聞き取れなかったら、分からないまま話を進めず、その場で聞き返してください。そのまま言える一言は「恐れ入ります。お電話が少し遠いようでございます。もう一度伺ってもよろしいでしょうか」です。「聞こえない」と相手の話し方のせいにせず、電話のつながり具合のせいにする言い方なので、相手を責める響きがありません。名前を聞き返すのは失礼ではありません。聞き違えたまま取り次いだり、名前を間違えたりするほうが、相手にとってはずっと困ります。このページでは、聞き返し方の言い方と、名前・漢字・番号の確かめ方、場面別の会話例をまとめました。
結論
聞き取れないときは①「恐れ入ります」とクッション言葉を置く ②「お電話が少し遠いようでございます」と電話のせいにする ③聞き取れなかった部分だけを聞き直す ④聞き取れたら復唱するの順です。名前は読みを復唱し、必要なら漢字を確かめ、番号や日時は区切って復唱します。
聞き返すときの基本の流れ
- 01
クッション言葉を置く
「恐れ入ります」「申し訳ございません」。いきなり「え?」と言わないようにします。
- 02
電話のせいにする
「お電話が少し遠いようでございます」「お声が少々聞き取りにくいようでございます」。
- 03
聞き取れなかった部分だけ聞き直す
「お名前をもう一度伺ってもよろしいでしょうか」「お電話番号の最後のところを、もう一度お願いできますでしょうか」。全部を言い直してもらうより、相手の負担が少なく済みます。
- 04
復唱する
「◯◯株式会社の◯◯様でいらっしゃいますね」。合っているかを相手に確かめてもらいます。
- 05
お礼を言う
「ありがとうございます。失礼いたしました」。聞き返したことを一言で締めます。
Point
何度聞き返しても聞き取れないときは、かけ直しを提案します。「お電話が遠いようですので、恐れ入りますが、こちらからかけ直してもよろしいでしょうか」。こちらからかけ直すために、相手の番号を聞いておきます。
聞き返すときの言い方一覧
| 聞き取れなかったもの | 言い方 |
|---|---|
| 全体がよく聞こえない | 恐れ入ります。お電話が少し遠いようでございます。もう一度伺ってもよろしいでしょうか。 |
| 名前 | 恐れ入りますが、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか。 |
| 会社名 | 失礼ですが、御社名をもう一度伺ってもよろしいでしょうか。 |
| 名前の漢字 | 恐れ入りますが、お名前はどのような字をお書きになりますか。 |
| 電話番号 | 恐れ入ります、お電話番号をもう一度、ゆっくりお願いできますでしょうか。 |
| 日時・数字 | 念のため確認いたします。◯月◯日の◯時でよろしいでしょうか。 |
| メールアドレス | 恐れ入りますが、アドレスを一文字ずつ伺ってもよろしいでしょうか。 |
| 相手の声が小さい | 申し訳ございません、お声が少々遠いようでございます。 |
| こちらの周りがうるさい | 申し訳ございません、こちらの周りが騒がしく、聞き取りにくくなっております。 |
「恐れ入ります」は、相手に手間をかけるときの前置きです。使い方は「恐縮ですが」と「恐れ入りますが」の違い、「差し支えなければ」を添える言い方は「差し支えなければ」の使い方にまとめています。
場面別のトーク例
相手の名前が聞き取れなかったとき(受ける側)
相手:△△株式会社の(聞き取れない)と申します。
自分:△△株式会社様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。恐れ入りますが、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
相手:□□です。
自分:□□様でいらっしゃいますね。失礼いたしました。
注意
聞き取れた部分(会社名)は先に復唱し、聞き取れなかった部分(名前)だけを聞き直すと、相手は何を言い直せばよいかすぐ分かります。
名前の漢字を確かめたいとき
自分:恐れ入りますが、お名前はどのような字をお書きになりますか。
相手:「さいとう」の「さい」は、難しいほうの「齋」です。
自分:「齋藤」様でいらっしゃいますね。ありがとうございます。
折り返しのメモや宛名を書くときに、漢字が分からないと困ります。メールや書類で名前を書く予定があるときは、漢字まで聞いておきます。メールで名前を間違えてしまった場合のお詫びは名前を間違えたお詫びメールにあります。
同じ名字の人が社内にいるとき(取り次ぐ前)
相手:◯◯さんをお願いします。
自分:恐れ入ります、◯◯という者が二名おりまして。部署名か、下のお名前はお分かりになりますでしょうか。
相手の声が小さいとき
相手:(小さな声で話している)
自分:申し訳ございません、お電話が少々遠いようでございます。恐れ入りますが、もう一度お願いできますでしょうか。
相手:あ、すみません。(大きな声で)◯◯の件なんですが。
自分:ありがとうございます。よく聞こえるようになりました。
注意
相手の声が小さくても、「声が小さいです」とは言わず、電話のつながり具合のせいにします。大きな声で話してくれたら「よく聞こえるようになりました」と一言返すと、相手もそのまま話し続けられます。
こちらの周りがうるさいとき(かける側・移動中など)
自分:申し訳ございません、ただいま周りが騒がしく、お声が聞き取りにくい状況です。静かな場所に移りまして、すぐにかけ直してもよろしいでしょうか。
相手:はい、どうぞ。
自分:ありがとうございます。失礼いたします。
電話番号を聞き取るとき
相手:電話番号は◯◯◯◯の◯◯◯◯です。
自分:恐れ入ります、復唱いたします。◯◯◯◯の◯◯◯◯でよろしいでしょうか。
相手:はい、そうです。
番号は相手が区切ったところで区切って復唱すると、聞き違いに気づきやすくなります。「いち」と「しち」は聞き違えやすいので、「しち」を「なな」と言い換えて確かめる人もいます。
メールアドレスを聞き取るとき
自分:恐れ入りますが、アドレスを一文字ずつ伺ってもよろしいでしょうか。
相手:エス、エー、アイ……
自分:「エス」は、サンフランシスコのエスでよろしいでしょうか。
相手:はい。
注意
アルファベットは「エム」と「エヌ」、「ビー」と「ディー」のように聞き違えやすいものがあります。聞き取りにくい文字は、身近な単語の頭文字で確かめると確実です。聞き取ったアドレスに、試しに短いメールを送って届くか確かめてもらうのも一つの方法です。
自分の名前を、相手に聞き返されたとき
相手:すみません、お名前をもう一度よろしいですか。
自分:失礼いたしました。◯◯株式会社の、◯◯と申します。◯◯は、◯◯の◯に、◯◯の◯と書きます。
自分の名前が聞き取られにくい、漢字を間違えられやすいと分かっているなら、説明の仕方を決めておくと、相手も自分も助かります。
聞き取ったら確かめる項目
- 相手の会社名・名前(読み、必要なら漢字)
- 電話番号(区切って復唱したか)
- 日時(月日と曜日の組み合わせが合っているか)
- 数量・金額・品番(聞き違えやすい数字はないか)
- メールアドレス(一文字ずつ確かめたか)
- 聞き取れなかったまま、推測で書いた部分が残っていないか
日付は曜日も一緒に言って確かめると、聞き違いがあれば食い違いに気づけます。伝言メモにまとめる項目は電話の取り次ぎの例文にあります。
言ってはいけない・避けたい言い方
| 避けたい言い方 | 言い換え | 理由 |
|---|---|---|
| え?/はい? | 恐れ入ります、もう一度伺ってもよろしいでしょうか | 聞き返し方が乱暴に聞こえる |
| 声が小さくて聞こえません | お電話が少々遠いようでございます | 相手の話し方を責める言い方になる |
| 何て言いました? | 恐れ入りますが、もう一度お願いできますでしょうか | くだけすぎている |
| お名前様をお願いします | お名前を伺ってもよろしいでしょうか | 「お名前」にさらに「様」を付けるのは不自然 |
| もう一回言ってください | もう一度お聞かせいただけますでしょうか | 命令のように聞こえる |
| 聞き取れないまま「はい、はい」と相づちを打つ | その場で聞き返す | 聞き違えたまま話が進み、後で大きな手間になる |
聞き取れていないのに分かったふりをするのが、いちばん困る対応です。聞き返すのは一回でも二回でも構いません。三回目になりそうなら、かけ直しを提案するか、「念のため、メールでもお送りいただけますでしょうか」と頼みます。
後日のフォロー(お礼・お詫び)
聞き取りにくかった内容を、メールで確かめる
件名:本日のお電話の内容のご確認
△△株式会社
□□様
お世話になっております。◯◯株式会社の◯◯です。
本日はお電話をいただき、ありがとうございました。
お電話が遠く、何度も聞き返してしまい失礼いたしました。
念のため、伺った内容を以下にまとめました。
・◯◯
・◯◯
相違がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
聞き違えて間違った対応をしてしまったとき
□□様
お世話になっております。◯◯株式会社の◯◯です。
先日お電話でいただいたご注文の数量を、私が聞き違えておりました。
ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。
正しい数量の◯◯を、◯月◯日(◯)にお届けいたします。
今後は、お電話でいただいた内容をメールでもご確認いただくようにいたします。
聞き違いによる不手際は、原因(聞き違えたこと)、正しい対応、今後の防ぎ方をそろえてお詫びします。影響が大きい場合は、まず電話でお詫びしてからメールを送ります。手順はお詫びの電話のかけ方を参考にしてください。
この記事の要点
- 聞き取れなければその場で聞き返す。分かったふりをしない。
- 決まり文句は「恐れ入ります。お電話が少し遠いようでございます」。相手の声のせいにしない。
- 聞き取れなかった部分だけを聞き直し、聞き取れたら復唱する。
- 名前は漢字まで、番号は区切って、日付は曜日と一緒に確かめる。
- 何度聞いても難しければ、かけ直しやメールを提案する。
FAQ
よくある質問
失礼ではありません。聞き取れないまま取り次いだり、名前を間違えたりするほうが相手は困ります。「恐れ入りますが、もう一度お名前を伺ってもよろしいでしょうか」と丁寧に聞き直し、聞き取れたら復唱して確かめてください。
電話の音声が聞き取りにくいことを、相手の話し方ではなく電話のつながり具合のせいにして伝える言い方です。相手の声が小さい場合でも、相手を責める響きがないので、ビジネスの電話でよく使われます。
「恐れ入りますが、お名前はどのような字をお書きになりますか」と尋ねます。相手が説明してくれたら「◯◯の◯という字でよろしいでしょうか」と確かめます。メールや書類に名前を書く予定があるときは、漢字まで聞いておくと安心です。
「お電話が遠いようですので、こちらからかけ直してもよろしいでしょうか」とかけ直しを提案するか、「念のため、メールでもお送りいただけますでしょうか」と文字で送ってもらうよう頼みます。
「申し訳ございません、お電話が少々遠いようでございます」と伝えます。「声が小さい」と言うと相手を責めるように聞こえるので、電話のせいにする言い方が無難です。