言葉の使い分け
構成・校正・更正・更生の違い
使い分けと例文、覚え方
結論から言うと、組み立て・まとまりの作りなら「構成」、原稿などの誤りを照らし合わせて直すなら「校正」、申告や登記などの記載を改めて正すなら「更正」、悪い状態から立ち直る・立て直すなら「更生」と書くのが一般的です。見分けるコツは、何をしているかを見ること。組み立てるのか(構成)、チェックして直すのか(校正)、手続きの上で正すのか(更正)、立ち直るのか(更生)です。たとえば「提案書の構成案をお送りします」、「パンフレットの校正をお願いいたします」と書き分けます。このページでは、それぞれの意味、早見表、メールの例文、迷いやすい書き方の直し方、覚え方をまとめました。
結論
構成は、いくつかの要素を組み合わせて一つのまとまりを作ること、またその組み立て。校正は、原稿や刷り上がりを照らし合わせて文字・内容の誤りを直すこと。計測機器を基準に照らして合わせる意味でも使われます。更正は、誤りを改めて正しくすること。税の申告や登記の手続きの言葉としてよく使われます。更生は、悪い状態から立ち直ること、立て直すこと。辞書によって説明の言い回しは少しずつ違いますが、おおむねこの区別で使われています。
それぞれの意味
構成(組み立てる)
「構成」は、部分を組み合わせて全体を作ること、その組み立て方を表します。「資料の構成」「構成案」「番組構成」「メンバー構成」「家族構成」のように使います。仕事の文書では、提案書や報告書の目次や話の順番を指すことが多い言葉です。
校正(照らし合わせて誤りを直す)
「校正」は、原稿と刷り上がり(またはデータ)を照らし合わせ、文字や内容の誤りを直すことを表します。「校正をお願いする」「校正刷り」「初校・再校」「校正記号」のように使います。また、計測機器の示す値を基準と照らして合わせる意味でも「機器の校正」と使われます。
近い言葉に「校閲」があります。一般に、校正が文字や表記の誤りを見るのに対し、校閲は内容や事実関係の誤りまで見る作業を指して使われることが多いですが、職場によって分け方は違います。
更正(改めて正す)
「更正」は、誤りを改めて正しくすることを表します。日常の文書で使うことは少なく、主に税の申告や登記などの手続きの言葉として出てきます。国税通則法では、税務署長が申告の内容を改めることを「更正」と呼んでいます。
税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。(国税通則法第24条)
納税者の側から改めてもらうよう求める手続きは「更正の請求」と呼ばれます。手続きの中身は税理士や税務署に確かめてください。
更生(立ち直る・立て直す)
「更生」は、悪い状態から立ち直ること、もとのよい状態に立て直すことを表します。人が生活を立て直す意味のほか、「会社更生」「更生計画」のように経営が行き詰まった会社の立て直しにも使われます。会社更生法の目的規定にも「更生」の語が出てきます。
この法律は、窮境にある株式会社について、更生計画の策定及びその遂行に関する手続を定めること等により、債権者、株主その他の利害関係人の利害を適切に調整し、もって当該株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とする。(会社更生法第1条)
Point
構成=組み立てる、校正=照らして直す、更正=手続きで改める、更生=立ち直る。ふだんのメールや資料で迷うのは、ほとんどが「構成」と「校正」です。
使い分けの早見表
| 言葉 | 意味 | よく組む語 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 構成 | 要素を組み合わせて全体を作ること・その組み立て | 構成案・資料の構成・番組構成・メンバー構成 | 提案書の構成を見直しました。 |
| 校正 | 原稿などを照らし合わせて誤りを直すこと/機器を基準に合わせること | 校正刷り・初校・再校・校正記号・機器の校正 | チラシの校正をお願いいたします。 |
| 更正 | 誤りを改めて正しくすること(主に手続きの言葉) | 更正の請求・税の更正・更正登記 | 前期の申告について、更正の請求が必要か税理士に相談します。 |
| 更生 | 悪い状態から立ち直ること・立て直すこと | 会社更生・更生計画・更生手続き | 取引先が会社更生手続きに入ったとの連絡がありました。 |
注意
文書の一部を直すときにメールで使う言葉は、ふつうは「校正」より「訂正」「修正」です。「校正」は、印刷物やWeb原稿を確認して直す工程を指して使うと伝わりやすくなります。
ビジネス文書・メールでの例文
資料の組み立てについて(構成)
件名:◯◯ご提案書の構成案について
◯◯様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
来週お持ちする提案書について、構成案を添付いたしました。
本文を書き進める前に、項目の順番や過不足についてご意見をいただけますと幸いです。
当日の運営チームは、受付・誘導・進行の三つの係で構成する予定です。
原稿のチェックについて(校正)
件名:◯◯パンフレット 初校のご確認のお願い
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯◯パンフレットの初校をお送りいたします。
文字や数字の誤りのほか、お名前・肩書きの表記もご確認いただけますでしょうか。
修正がございましたら、◯月◯日(◯)までに校正刷りへ直接ご記入のうえ、ご返送いただけますと幸いです。
社内報の原稿は、掲載前に総務部で校正を行います。気になる表記があれば、コメントで残してください。
測定器は、使用前に校正済みであることを確認してからお使いください。
手続きについて(更正)
◯◯先生
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
前期の申告内容に誤りがあることが分かりました。更正の請求が必要かどうかも含め、対応についてご相談に乗っていただけますでしょうか。
会社の立て直しについて(更生)
取引先の◯◯社について、会社更生手続きの開始が発表されました。当社との取引の状況を確認のうえ、本日中に経理部へ共有いたします。
注意
原稿の確認をお願いするメールの書き方は依頼メールの書き方、資料を送るときの添え状は資料送付のメールの例文を参考にしてください。
迷いやすい例と一般的な書き方
| 迷いやすい書き方 | 一般的な書き方 | 考え方 |
|---|---|---|
| 資料の校正を考え直します(組み立ての意味で) | 資料の構成を考え直します | 目次や順番の組み立てなので「構成」 |
| 原稿の構成をお願いします(誤字のチェックの意味で) | 原稿の校正をお願いします | 照らし合わせて誤りを直すので「校正」 |
| 更生の請求 | 更正の請求 | 申告の誤りを改める手続きなので「更正」 |
| 会社更正法 | 会社更生法 | 会社を立て直すので「更生」 |
| 誤字を更正しました | 誤字を訂正しました(修正しました) | ふだんの文書の直しは「訂正」「修正」が一般的 |
「構成」と「校正」は、原稿づくりのどの段階かで選ぶと決めやすくなります。書く前の骨組みが構成、書いた後のチェックが校正です。
覚え方
共通の「せい」ではなく、前の字に注目すると覚えやすくなります。
| 言葉 | 注目する字 | 覚え方 |
|---|---|---|
| 構成 | 構(かまえる) | 「構造」の構。組み立てて形にする |
| 校正 | 校(くらべる) | 「校合(きょうごう)」の校。原稿と照らし比べて正す |
| 更正 | 更(あらためる)+正 | 改めて「正しく」する。手続きの言葉 |
| 更生 | 更(あらためる)+生 | 改めて「生きる」。立ち直る・立て直す |
Point
迷ったら、「構造」の構成、「比べる」校正、「正す」更正、「生き直す」更生と思い出してください。
この記事の要点
- 構成は組み立て(資料の構成・構成案)。
- 校正は原稿などを照らし合わせて誤りを直すこと(初校・校正刷り)。機器を基準に合わせる意味もある。
- 更正は改めて正すこと。主に税や登記の手続きの言葉(更正の請求)。
- 更生は立ち直る・立て直すこと(会社更生)。
- ふだんの文書の直しは「訂正」「修正」と書くのが無難。
FAQ
よくある質問
構成は「組み立てる」、校正は「照らし合わせて誤りを直す」、更正は「改めて正す(主に手続きの言葉)」、更生は「立ち直る・立て直す」です。
組み立てを考えるので「構成」です。できあがった原稿の誤字や表記を確かめて直すのが「校正」です。
一般に、校正は文字や表記の誤りを直すこと、校閲は内容や事実関係の誤りまで確かめることを指して使われることが多いです。ただし職場や業界によって分け方は違うので、依頼するときは何を見てほしいかを具体的に書くと行き違いが減ります。
「更正」です。国税通則法でも、税務署長が申告の内容を改めることを「更正」と書いています。手続きの中身は税理士や税務署に確かめてください。
ふだんの連絡では「訂正」「修正」と書くのが一般的です。「先ほどのメールに誤りがありましたので、訂正いたします」のように使います。