言葉の使い分け
「規定」と「規程」の違い
使い分けと例文、覚え方
「規定」と「規程」は、どちらも「きてい」と読みます。一般的な使い分けは、一つひとつの定めや条文を指すなら「規定」、決まりをひとまとまりにした文書(その名前)なら「規程」です。見分けるコツは、「◯◯規程」と文書の名前になっているか、「〜する」と動詞にできるか。使った一文は「旅費規程の第◯条の規定により、宿泊費は実費精算となります。」。このページでは、それぞれの意味、早見表、社内通知・メールの例文、迷いやすい書き方と覚え方をまとめました。
結論
規定は、物事のあり方や手続きを定めること、また定められた個々の内容を指し、「規定する」「◯条の規定により」の形で使います。規程は、ある目的のために定めた一連の決まりの全体、またはそれをまとめた文書を指し、「就業規程」「旅費規程」「文書管理規程」のように名前の一部として使われます。
それぞれの意味
規定:個々の定め・条文
「規定」は、決まりとして定めること、または定められた一つひとつの内容を指す言葉です。「第◯条に規定する」「前項の規定にかかわらず」のように、どの条文の定めかを言うときによく使われます。動詞として「規定する」と言えるのが特徴です。
法令の条文でも、「◯条◯項の規定による」のように、個々の条文の定めを「規定」と呼ぶ言い回しが使われています。
規程:決まりをまとめた文書
「規程」は、ある目的のための決まりをひとまとまりにしたもの、またその文書を指す言葉です。会社では「旅費規程」「慶弔見舞金規程」「文書管理規程」のように、文書の名前として使われることが多い言葉です。
法令の例では、国家公務員倫理法の第5条が、内閣が定める政令を「国家公務員倫理規程」と呼ぶと定めています。決まりの集まりに名前を付けるときに「規程」が使われている例です。
Point
迷ったら「中身の一つか、まとまりの名前か」。条文の一つ、決まりの一項目なら「規定」。決まりを集めた一冊・一つの文書なら「規程」。
注意
会社によっては、文書の名前に「◯◯規定」を使っていることもあります。社内の文書名は、その会社で決めている表記に合わせるのが無難です。新しく文書を作るときに迷ったら、上の使い分けで選ぶと説明しやすくなります。
使い分けの早見表
| 言葉 | 意味 | よく組む語 | 例文 |
|---|---|---|---|
| 規定 | 定めること/定められた個々の内容(条文・条項) | 規定する、規定により、規定に従う、前条の規定、特別な規定 | 就業時間は第◯条に規定しています。 |
| 規程 | 目的ごとの決まりをまとめた全体、その文書 | 旅費規程、慶弔見舞金規程、文書管理規程、規程を改定する | 来月から新しい旅費規程が適用されます。 |
「規定」は中身の一つひとつ、「規程」はまとまりの名前と考えると、一文の中に両方が出てきても書き分けられます。
ビジネス文書・メールでの例文
社内通知(規程の改定)
件名:旅費規程の改定について
社員各位
◯月◯日付で旅費規程を改定しました。主な変更点は、第◯条(宿泊費)の規定です。
改定後の規程は社内ポータルに掲載していますので、出張の前にご確認ください。
上司への確認(メール)
◯◯課長
お疲れさまです。□□です。
来月の展示会の出張について、念のため確認させてください。
宿泊費は、旅費規程の第◯条の規定に沿って実費で精算するという理解でよろしいでしょうか。
稟議書の本文
本件は、購買管理規程第◯条の規定により、部長の決裁を要する案件です。
取引先への回答
お問い合わせいただいた返品の条件につきましては、取引基本契約書の第◯条に規定がございます。該当箇所を抜き出したものを添付いたしますので、ご確認いただけますと幸いです。
社内チャット
在宅勤務の申請は、在宅勤務規程の様式で出してください。回数の上限は規程の中で別に規定されています。
議事録
決定事項:文書管理規程を改定し、電子データの保存期間に関する規定を追加する。改定案は◯月◯日までに総務部が作成する。
注意
社内に向けた通知の組み立ては社内通知・お知らせの文例、規程の条文を根拠に承認をもらう書き方は稟議書の書き方と例文を参考にしてください。
迷いやすい例と正しい書き方
| 迷いやすい書き方 | 気になる点 | 一般的な書き方 |
|---|---|---|
| 就業時間を規程する | 「規程」はふつう動詞にしない | 就業時間を規定する |
| 第◯条の規程により | 条文の一つを指している | 第◯条の規定により |
| 旅費規定を改定しました(新しく文書を作る会社で) | 文書の名前なら「規程」を選ぶほうが説明しやすい | 旅費規程を改定しました(社内の表記が「規定」ならそれに合わせる) |
| 規程の規程に従って | 同じ字が続き、どちらの意味か分からない | ◯◯規程の第◯条の規定に従って |
| 規定どおりに処理します(どの決まりか不明) | 相手がどの文書のどこかを探せない | ◯◯規程の第◯条のとおりに処理します |
相手に決まりを示すときは、文書名(規程)と条文(規定)の両方を書くと、探す手間がかかりません。
覚え方
「程」は「旅程」「日程」「工程」の程と結び付けると思い出しやすくなります。どれも一つひとつではなく全体の流れを表す言葉なので、決まりを集めた全体なら「規程」、と覚えます。語源の説明ではなく、思い出すための目安です。
一方の「定」は「定める」。「規定する」と動詞にできるのは「定」のほうだけ、と覚えておけば、文の中での使い方も迷いません。
Point
「定める」なら規定、「まとまりの名前」なら規程。
この記事の要点
- 規定は定めること・個々の定め(条文)。「規定する」と言える。
- 規程は決まりをまとめた全体・その文書。「旅費規程」のように名前に使う。
- 「規程する」とはふつう言わない。
- 社内の文書名は会社で決めている表記に合わせる。
- 相手に示すときは文書名と条文番号の両方を書く。
FAQ
よくある質問
一般的には、個々の定めや条文を指すのが「規定」、決まりをひとまとまりにした全体やその文書を指すのが「規程」です。「旅費規程の第◯条の規定」のように、一文の中で両方を使い分けることもあります。
文書の名前としては「規程」と書かれることが多いですが、会社によっては「規定」を使っていることもあります。社内に決まった表記があればそれに合わせ、新しく作るときは「規程」を選ぶと説明しやすくなります。
ふつうは使いません。動詞として使うのは「規定する」です。
どれも決まりを表す言葉ですが、文書の名前としての使われ方は分野や組織によって違います。「規約」は会員規約・利用規約のように、参加する人どうしや利用者との約束事に使われることが多い言葉です。社内では、会社で使っている名前に合わせるのが確実です。
どちらも「きてい」と読みます。耳で聞くと区別がつかないので、会議や電話では「旅費の規程(文書)の」「第◯条の定めで」のように言い添えると行き違いが減ります。