社内文書
経緯書の書き方と例文
顛末書との違いとテンプレート
経緯書は、ある出来事がどういう順で起きて、いまどうなっているかを、日付の順に説明する文書です。書き方の基本は、最初に概要を二〜三行で書き、経緯は日付ごとに事実だけを並べ、最後に現在の状況と今後の対応を書くことです。たとえば「◯月◯日納品予定の◯◯について、納品日を◯月◯日に変更することになりました。その経緯を下記のとおりご説明いたします」と書き出せば、読む人は何の文書かすぐに分かります。このページでは、テンプレートと場面別の例文を並べました。
結論
経緯書は①表題 ②宛先・日付・作成者 ③概要(何についての経緯か) ④経緯(日付ごとの事実) ⑤現在の状況 ⑥今後の対応で構成します。事実と推測を分け、誰が何を言ったかは確認できた範囲で書きます。様式や記載事項の指定がある場合は、提出先の指定に従ってください。
まず見本:短い経緯書
経緯書
◯◯部長 ◯◯◯◯ 殿
令和◯年◯月◯日
営業部 □□
◯◯株式会社への納品日変更の経緯について
1.概要
◯◯株式会社様向けの◯◯の納品日を、◯月◯日から◯月◯日に変更しました。その経緯を下記のとおりご報告いたします。
2.経緯
◯月◯日 ◯◯株式会社◯◯様より、仕様の一部変更のご依頼
◯月◯日 製造部と協議し、変更に◯日の追加作業が必要と判明
◯月◯日 ◯◯様に納品日の変更をご相談し、ご了承をいただく
3.現在の状況
変更後の仕様で製造を進めています。
4.今後の対応
◯月◯日に納品します。進み具合は毎週◯曜日に◯◯様へご連絡します。
以上
Point
経緯は「日付+起きたこと」を一行ずつ書くと、読み手が順番を追いやすくなります。日付が分からないものは「◯月上旬」と書き、推測で日付を埋めないでください。
経緯書と顛末書・始末書・報告書の違い
| 文書 | 中心になる内容 | 主に使う場面 |
|---|---|---|
| 経緯書 | 出来事の流れ(時系列)と、いまの状況 | 予定や内容が変わった理由の説明、引き継ぎ、問い合わせへの説明など |
| 顛末書 | トラブルの経緯・原因・対応・再発防止策 | 事故・ミス・トラブルの報告 |
| 始末書 | 自分の過失への反省とお詫び | 本人の過失があったとき |
| 報告書 | 結論・結果と今後の対応 | 業務や調査の結果を伝えるとき |
経緯書と顛末書は内容が近く、会社によっては同じ意味で使われたり、呼び方が違ったりします。トラブルの原因や再発防止策まで求められている場合は顛末書の書き方、本人の過失への反省を求められている場合は始末書の書き方を見てください。どの文書を求められているのか、人事上どう扱われるのかがはっきりしないときは、提出先の上司に確認し、就業規則など会社の決まりに従ってください。
注意
役所や金融機関など社外の機関に経緯書を出す場合は、提出先が様式や書く内容を指定していることがあります。指定がある場合は、このページの型よりも提出先の指定を優先してください。
経緯書に書く項目
| 項目 | 書くこと | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| 表題 | 何の経緯か | 「◯◯変更の経緯について」「◯◯に関する経緯書」 |
| 宛先 | 提出する相手 | 社内は役職と名前(「殿」「様」は社内の慣例や過去の文書に合わせる)。社外は会社名・部署・役職・名前に「様」 |
| 日付・作成者 | 提出日と、書いた人 | 社外に出すときは会社名と、会社として出す名義 |
| 概要 | 何がどうなったか | 二〜三行で、結果を先に |
| 経緯 | 日付ごとの出来事 | 「日付 誰が 何をした」を一行ずつ |
| 現在の状況 | いまどうなっているか | 終わったこと・続いていることを分ける |
| 今後の対応 | 次に誰が何をいつまでにするか | 担当と期限を書く |
| 添付資料 | やり取りの記録など | メールや議事録の写しを付けると説明が早い |
コピーして使えるテンプレート
経緯書
(宛先)◯◯部 ◯◯部長 ◯◯◯◯ 殿
令和◯年◯月◯日
(作成者)◯◯部 □□
◯◯の経緯について
1.概要
(何がどうなったかを二〜三行で)
2.経緯
◯月◯日 (誰が)(何をした)
◯月◯日 (誰が)(何をした)
◯月◯日 (誰が)(何をした)
3.現在の状況
(終わったこと/続いていること)
4.今後の対応
・(誰が)(何を)(いつまでに)
添付:(メールの写し、議事録など)
以上
社外に出す場合は、宛名を「◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様」とし、差出人は会社名と役職・名前にします。社外に出す経緯書は会社としての説明になるため、上司の確認を経てから出してください。宛名の敬称の使い分けは顛末書の書き方の宛名の項目も参考になります。
場面別の例文
仕様変更の経緯(社内・後から加わった人への説明)
◯◯の仕様変更の経緯について
1.概要
◯◯の画面の仕様を、当初の案から◯◯の形に変更しました。後から加わった方への説明のため、経緯をまとめます。
2.経緯
◯月◯日 ◯◯部より、入力の手間を減らしたいとの要望
◯月◯日 定例会議で、案Aと案Bを比較
◯月◯日 ◯◯部長の判断で案Bに決定
◯月◯日 案Bの画面の試作を◯◯部に確認していただき、了承を得る
3.現在の状況
案Bで作業を進めています。
4.今後の対応
◯月◯日に◯◯部向けの説明会を開きます。
添付:◯月◯日の議事録
以上
注意
引き継ぎや途中から加わった人への説明では、何を決めたかだけでなく、誰がどの場で決めたかを書くと、あとから同じ議論を繰り返さずに済みます。会議の記録の残し方は議事録のテンプレートを見てください。
請求金額の訂正の経緯(社外)
◯◯株式会社
経理部 ◯◯様
令和◯年◯月◯日
株式会社△△
営業部 部長 ◯◯◯◯
◯月分ご請求金額の訂正の経緯について
1.概要
◯月◯日にお送りした◯月分の請求書に誤りがあり、訂正した請求書をお送りいたします。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。経緯を下記のとおりご説明いたします。
2.経緯
◯月◯日 弊社より◯月分の請求書をお送りする
◯月◯日 ◯◯様より、単価が以前の金額になっているとのご指摘をいただく
同日 弊社で確認し、単価の更新漏れと判明
3.現在の状況
訂正した請求書を同封いたしました。先にお送りした請求書は、お手数をおかけしますが、破棄していただけますでしょうか。
4.今後の対応
請求書を発行する前に、単価を契約書と照らし合わせる確認を、担当者とは別の者が行うようにいたしました。
以上
請求書の誤りのお詫びメールは請求書の誤りのお詫びにまとめています。
担当者の変更で連絡が漏れた経緯(社外)
◯◯の件のご連絡が遅れた経緯について
1.概要
◯月◯日にご依頼いただいた◯◯の件について、ご回答が遅れましたことをお詫び申し上げます。経緯をご説明いたします。
2.経緯
◯月◯日 ◯◯様より、弊社の前任の◯◯宛てにご依頼をいただく
◯月◯日 弊社で担当を◯◯から□□に変更。その際、ご依頼の件が引き継ぎ資料から漏れる
◯月◯日 ◯◯様からのお問い合わせで、ご依頼を把握する
3.現在の状況
本日、ご依頼の◯◯について回答書をお送りいたしました。
4.今後の対応
担当を変更する際は、対応中のご依頼を一覧にして、前任と後任の二人で確認することといたしました。
以上
注意
社外向けの文書では、自社の社員には敬称を付けず「弊社の◯◯」「前任の◯◯」と書きます。担当が変わったことの挨拶は担当変更の挨拶メールを参考にしてください。
社内イベントを中止した経緯(社内)
◯◯(社内行事)中止の経緯について
1.概要
◯月◯日に予定していた◯◯は、中止としました。参加を予定していた皆さまへの説明のため、経緯をまとめます。
2.経緯
◯月◯日 会場より、設備の点検のため当日は利用できないとの連絡
◯月◯日 代わりの会場と日程を探したが、条件に合うものが見つからず
◯月◯日 ◯◯部長と相談し、今回は中止と決定
3.現在の状況
会場の予約は取り消し済みです。注文していた◯◯は、取り消しの手続きをしています。
4.今後の対応
改めての開催は、◯月の会議で検討します。
以上
中止のお知らせの文面はイベント中止のお知らせを参考にしてください。
納期変更の経緯(社外・お客様のご依頼による変更)
◯◯株式会社
◯◯部 ◯◯様
令和◯年◯月◯日
株式会社△△
◯◯部 □□
◯◯の納期変更の経緯について
1.概要
◯◯の納期を、◯月◯日から◯月◯日に変更することについてご相談したく、経緯をご説明いたします。
2.経緯
◯月◯日 ◯◯様より、◯◯の追加のご依頼をいただく
◯月◯日 弊社で作業内容を確認し、追加分に◯日ほど要すると判断
3.ご相談
追加分を含めて一度に納品する場合は◯月◯日、当初の分を先に納品する場合は、当初の分を◯月◯日、追加分を◯月◯日の二回に分けて納品できます。どちらがよろしいか、◯日までにお知らせいただけますでしょうか。
以上
注意
相手の判断が必要な経緯書では、「今後の対応」の代わりに選べる案と返事の期限を書きます。こちらの都合で納期が遅れる場合のお詫びは納期遅延のお詫びを見てください。
避けたい書き方・言い方
| 避けたい書き方 | 理由 | 言い換え |
|---|---|---|
| 日付を推測で埋める | あとで記録と食い違う | 分からない日は「◯月上旬」「確認中」と書く |
| 「◯◯さんがそう言ったので」 | 責任を押しつけているように読める | 「◯月◯日、◯◯さんと確認し、◯◯としました」と事実で書く |
| 感想や言い訳を経緯の中に混ぜる | 事実の流れが追えない | 経緯は事実だけ。補足は別の項目に |
| 「〜と思われます」を事実の欄で使う | 事実か推測か分からない | 確認できたことは「〜です」、推測は「〜と考えられます」と分けて書く |
| 社外向けで自社の社員に敬称を付ける | 身内を高めることになる | 「弊社の◯◯」「担当の◯◯」 |
| 「ご説明させていただきます」を重ねる | 回りくどく感じる人もいる | 「ご説明いたします」 |
提出したあとのお礼・お詫び
経緯書を読んで了承してもらったとき(社外)
◯◯様
お世話になっております。株式会社△△の□□です。
このたびは、◯◯の経緯についてご確認いただき、ありがとうございました。
ご了承いただいた内容で進めてまいります。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
提出後に経緯の誤りに気づいたとき
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
先日提出した◯◯の経緯書に誤りがありました。申し訳ございません。
「2.経緯」の◯月◯日の出来事は、正しくは◯月◯日でした。メールの記録で確認し、修正版を添付いたします。
今後の対応が終わったときの報告
◯◯部長
お疲れさまです。□□です。
先日の経緯書でお伝えした◯◯の件は、本日、予定どおり対応が終わりました。
これで本件は完了となります。ご確認いただき、ありがとうございました。
経緯書は出して終わりではなく、「今後の対応」に書いたことが終わったら、一言報告しておくと、読み手がこの件を閉じられます。
この記事の要点
- 経緯書は、出来事がどういう順で起きて、いまどうなっているかを説明する文書。
- 概要を先に書き、経緯は日付ごとに事実だけを並べる。
- 最後に現在の状況と今後の対応(担当と期限)を書く。
- 原因・再発防止策まで求められたら顛末書、反省を求められたら始末書。
- 社外や公的な機関に出すときは、上司の確認と提出先の指定を優先する。
FAQ
よくある質問
ある出来事がどういう順で起きて、いまどうなっているかを、日付の順に説明する文書です。予定や内容が変わった理由の説明、引き継ぎ、問い合わせへの回答などで使われます。会社によって呼び方や使い方が違うので、求められている内容は提出先に確認してください。
どちらも出来事の流れを書く文書で、会社によっては同じ意味で使われることもあります。このページでは、出来事の流れといまの状況の説明が中心のものを経緯書、トラブルについて原因・対応・再発防止策まで書くものを顛末書として分けています。どちらを求められているか分からないときは、提出先に確認してください。
表題・宛先・日付・作成者のあとに、「◯◯について、◯◯となりました。その経緯を下記のとおりご報告いたします」と概要を書きます。社外向けでご迷惑をおかけした場合は、概要の中でお詫びを一言添えます。
社内に決まりがなければ、パソコンで作って構いません。提出先が様式や手書きを指定している場合は、その指定に従ってください。
文書の最後に「以上」と書いて締めます。社外向けでお詫びが必要な場合は、今後の対応のあとに「今後このようなことのないよう努めてまいります」と添えてから「以上」とします。