社内文書
始末書の書き方と例文
社内で使える場面別12例とテンプレート
結論:始末書は「①事実 ②原因 ③お詫び ④再発防止策 ⑤結び」の順に、言い訳を入れずA4・1枚に収めれば足ります。読む人が確かめたいのは、反省の言葉の多さではなく「何が起きて、なぜ起きて、次はどう防ぐのか」です。この記事では、すぐ使えるテンプレートと社内でよくある12場面の例文、書いてはいけない表現の言い換え、提出前のチェックリストをまとめます。経緯の報告が中心の文書は顛末書の書き方を参照してください。
結論
始末書は、仕事上のミスや規則違反について自分の過失を認め、お詫びと再発防止を約束する社内文書です。様式は①表題「始末書」 ②宛名・提出日・所属・氏名 ③事実 ④原因 ⑤お詫び ⑥再発防止策 ⑦結び「以上」。提出後の扱い(人事記録に残すか、懲戒の手続きとどう関わるか)は就業規則などで会社ごとに違うため、書式・提出先・期限は上司か人事に確認してください。
まず結論:始末書は5つの要素を1枚に
- 01
事実
いつ・どこで・何をしたか・どんな影響が出たかを、確認できたことだけ書く。
- 02
原因
なぜ起きたかを、自分の行動として書く。他人や環境のせいにしない。
- 03
お詫び
迷惑をかけた相手を挙げて、一文から二文で謝る。
- 04
再発防止策
「気をつけます」ではなく、誰が・いつ・何をするかを書く。
- 05
結び
「今後このようなことのないよう…」の一文と「以上」で締める。
Point
長さより具体性です。 反省の言葉を重ねるより、原因と再発防止策が具体的なほうが「同じことは起きない」と判断してもらえます。
始末書・顛末書・反省文の違い
| 文書 | 中心になる内容 | 書く人の立場 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 始末書 | 自分の過失の承認・お詫び・再発防止の約束 | ミスや違反をした本人(または管理責任者) | 自分の行動が原因のミス・規則違反 |
| 顛末書 | 出来事の経緯・原因・対応の報告 | 経緯を知る担当者 | 原因の調査や社外への報告が必要なトラブル |
| 反省文 | 自分の行動を振り返った反省 | 本人 | 上司から反省を求められたとき(社内の慣習による) |
どれを求められているか分からないときは、そのまま上司に「経緯の報告書と始末書のどちらを出せばよいでしょうか」と確認するのが確実です。両方を求められた場合は、先に顛末書で経緯を報告し、始末書で自分の責任とお詫びを示します。
コピーして使える始末書のテンプレート
社内に決まった様式がない場合は、次の型の◯◯を埋めれば始末書になります。様式がある場合は、その欄に同じ順で当てはめてください。
令和◯年◯月◯日
代表取締役 ◯◯◯◯ 殿
◯◯部 ◯◯課
氏名 ◯◯◯◯
始末書
このたび、令和◯年◯月◯日、◯◯(場所・業務)において、◯◯(したこと)により、◯◯(起きた影響)を生じさせました。
原因は、私が◯◯(自分の行動)を怠ったことにあります。
◯◯(迷惑をかけた相手)に多大なご迷惑をおかけしましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、◯◯(具体的な行動)を徹底し、◯◯(確認の仕組み)により再発の防止に努めます。
今後このようなことのないよう、業務に精励することを誓います。
以上
| 項目 | 書き方 | よくある迷い |
|---|---|---|
| 日付 | 提出する日 | ミスをした日は本文に書く |
| 宛名 | 会社の指定に従う(社長名・所属長名など) | 敬称は「殿」か「様」。社内の慣習に合わせる |
| 所属・氏名 | 宛名の下、右寄せ | 押印・自筆署名の要否は会社のルールに従う |
| 表題 | 「始末書」と中央に | 副題(「◯◯の件」)は付けても付けなくてもよい |
| 結び | 「以上」で終える | 「誓います」の一文は会社の慣習に合わせて省いてもよい |
場面別の例文12選(本文部分)
宛名・日付・氏名はテンプレートと同じです。ここでは本文だけを示します。自分の状況に合わせて、事実・原因・再発防止策の◯◯を具体的に書き換えてください。
①作業ミス(請求書の金額誤り)
このたび、令和◯年◯月◯日、◯◯株式会社への請求書の金額を誤って記載したまま送付いたしました。
原因は、送付前の確認を自分ひとりで行い、元データとの照合を怠ったことにあります。
取引先と会社に多大なご迷惑をおかけしましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、送付前に元データと金額を照合し、上長の確認を受けてから送付することを徹底いたします。
②メールの誤送信
このたび、令和◯年◯月◯日、◯◯株式会社宛ての見積書を、宛先を誤って別の取引先に送信いたしました。誤送信に気づいた後、直ちに上司に報告し、誤って送った先に削除をお願いしました。
原因は、宛先の自動補完をそのまま使い、送信前に宛先を確認しなかったことにあります。
取引先の情報を社外に送ってしまったことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、社外へのメールは送信前に宛先と添付ファイルを声に出して確認し、添付のあるメールは送信予約を使って見直す時間を取ります。
③発注・手配のミス
このたび、◯月◯日開催の社内イベントで使う備品の発注数を誤り、当日に不足が生じました。
原因は、参加人数が増えた後に発注数を見直さなかったことにあります。
当日の運営にあたった皆さまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、発注の前日に最新の参加人数と発注数を照らし合わせ、チームの担当者と二人で確認します。
④備品の破損
このたび、令和◯年◯月◯日、会議室のプロジェクターを台車で運ぶ際に落下させ、破損させました。
原因は、機材を固定せずに運搬したことにあります。
会社の備品を破損させましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、機材を運ぶ際は必ず固定し、重いものは二人で運搬いたします。
⑤業務用パソコンの紛失
このたび、令和◯年◯月◯日、取引先からの帰りに乗ったタクシーの車内に業務用ノートパソコンを置き忘れました。
同日夜に気づいて上司に報告し、タクシー会社への問い合わせと、情報システム部による端末の遠隔ロック・アカウントの停止を行いました。翌日、タクシー会社から見つかったとの連絡があり、◯月◯日に回収しております。
原因は、パソコンを座席に置いたまま、降りる際に座席を見返さなかったことにあります。
顧客の情報を含む端末を一時的に管理できない状態にしましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、移動中はパソコンを膝の上か手に持ち、降車・退店のたびに座席と足元を確かめます。
⑥社員証・書類の紛失
このたび、令和◯年◯月◯日、社員証を紛失いたしました。同日中に総務部に報告し、社員証の利用を停止していただきました。
原因は、社員証を上着のポケットに入れたまま持ち歩き、定位置を決めていなかったことにあります。
会社の安全管理に支障をきたしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、社員証はストラップで常に身に着け、退社時に所在を確かめます。
⑦遅刻(連絡の遅れ)
このたび、令和◯年◯月◯日、始業時刻に遅刻し、会社への連絡も遅れたため、◯◯株式会社との打ち合わせの開始を遅らせる結果となりました。
原因は、前夜の準備に時間がかかり寝過ごしたことと、遅れると分かった時点で連絡しなかったことにあります。
取引先と職場の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、前日の準備は終業時刻までに終え、遅れる可能性がある場合は分かった時点ですぐに連絡いたします。
⑧遅刻を繰り返した場合
私は、◯月◯日、◯月◯日、◯月◯日の◯回にわたり始業時刻に遅刻し、上司から注意を受けていたにもかかわらず、改めることができませんでした。
原因は、起床と出発の時刻に余裕がなく、電車の遅れなどがあると間に合わない生活を続けていたことにあります。
職場の皆さまに業務の負担をおかけしましたことを深く反省し、お詫び申し上げます。
今後は、出発時刻を◯分早め、遅れが出た場合も始業に間に合うようにいたします。◯月末までの出勤時刻を自分で記録し、上司に報告いたします。
⑨無断欠勤
このたび、令和◯年◯月◯日、会社に連絡をしないまま欠勤いたしました。
原因は、体調が悪く、連絡を後回しにしたまま休んでしまったことにあります。
当日の業務を同僚に引き継いでいただくことになり、職場の皆さまにご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、体調にかかわらず、休む場合は始業前に必ず上司へ電話で連絡いたします。
⑩社用車での事故
このたび、令和◯年◯月◯日、社用車で◯◯へ向かう途中、◯◯の駐車場で後退する際に後方の確認が不十分なまま後退し、駐車中の車両に接触いたしました。けが人はなく、その場で警察に届け出、相手方と上司に連絡いたしました。
原因は、急いでいたためにバックモニターだけに頼り、目で後方を確かめなかったことにあります。
会社の車両を損傷させ、相手方と会社にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。
今後は、後退の前に必ず降りて後方を確かめ、移動の予定には余裕を持たせます。
⑪社内規則の違反(資料の無断持ち出し)
このたび、社内の規程で持ち出しが禁じられている顧客資料を、許可を得ずに自宅に持ち帰りました。
原因は、締切に間に合わせることを優先し、規程を確認しないまま自分で判断したことにあります。
会社の規則に反し、情報管理を危うくしましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、資料を社外に持ち出す必要があるときは、規程を確かめたうえで必ず事前に上司の許可を得て、持ち出しの記録を残します。
⑫管理不行き届き(上司の立場)
このたび、当部の◯◯が、顧客情報を含む資料を社外に持ち出したまま紛失する事態が発生いたしました。
部内では資料の持ち出しのルールを周知していたものの、実際に守られているかの確認を行っておりませんでした。部下の指導と管理が行き届かなかった私の責任であり、顧客と会社に多大なご迷惑をおかけしましたことを深く反省し、心よりお詫び申し上げます。
今後は、持ち出しの記録表を設けて毎週私が確認するとともに、部内で情報の取り扱いについての勉強会を開き、再発防止に努めます。
注意
顧客や参加者の個人情報が入った端末や書類をなくした場合は、始末書より先に会社としての対応が必要です。初動は個人情報が漏れたときの初動を参照し、すぐに上司と担当部署に報告してください。上司の立場の始末書は、部下の過失を書き連ねるのではなく、管理の仕組みのどこが足りなかったかを書きます。
原因がまだ分からないときの書き方
調査中の事柄を推測で書くと、あとで事実と食い違ったときに二度目の訂正が必要になります。確認できたことと確認中のことを分けて書いてください。
現時点で確認できているのは、◯月◯日◯時に◯◯が起きたことです。◯◯の原因については現在◯◯部で確認中であり、◯月◯日までに判明した内容を改めてご報告いたします。
紛失物が見つかっていない、相手方との話し合いが終わっていないといった場合も、同じように「現時点で」「◯日までに報告する」と書けば、未確定のまま断定せずに済みます。
再発防止策は「誰が・いつ・何を」で書く
| あいまいな書き方 | 具体的な書き方 |
|---|---|
| 今後は気をつけます | 送付前に元データと照合し、上長の確認を受けてから送付します |
| 確認を徹底します | 送信前に宛先と添付を声に出して確認し、送信予約で見直す時間を取ります |
| 遅刻しないようにします | 出発時刻を◯分早め、◯月末まで出勤時刻を記録して上司に報告します |
| 管理を強化します | 持ち出しの記録表を設け、毎週金曜に私が確認します |
| 二度と紛失しません | 端末は常に手元に持ち、退社時と降車時に所在を確かめます |
再発防止策は、あとで「やったかどうか」を確かめられる形で書きます。確認の頻度や担当、記録の残し方まで書けると、読む側も実行を確かめやすくなります。
よくある失敗と言い換え
| よくある書き方 | なぜよくないか | 言い換え |
|---|---|---|
| 「忙しかったので確認できませんでした」 | 言い訳に読める | 「送付前の照合を省いたことが原因です」 |
| 「◯◯さんの指示どおりにしたところ」 | 責任を他人に移している | 「指示の内容を自分で確かめなかったことが原因です」 |
| 反省の言葉を何行も重ねる | 肝心の原因と対策が埋もれる | お詫びは一、二文にし、対策を具体的に書く |
| 確認していないことを書く | あとで訂正が必要になる | 「現時点で確認できているのは…」と分ける |
| 「申し訳ございませんでした」で終える | 結びがない | 「今後このようなことのないよう…」+「以上」 |
敬語は「お詫び申し上げます」「深く反省しております」「徹底いたします」程度で十分です。「させていただきます」を重ねると文が長くなるので、「いたします」で言い切ります。
提出・拒否・懲戒との関係で知っておくこと
始末書を懲戒処分の一つとして就業規則に定めている会社もあれば、単なる報告として扱う会社もあります。自社でどう扱われるかは、就業規則で確かめてください。
- 労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則に記載する事項として、「表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項」を挙げています(第9号)。始末書の提出が制裁の一つとされているかどうかは、就業規則の制裁(懲戒)の項目で確かめられます。
- 労働契約法第15条は、懲戒が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は権利の濫用として無効になると定めています。
- 事実と違う内容への署名を求められた場合や、扱いに納得できない場合は、提出前に人事や社内の相談窓口に相談してください。
注意
上司・人事の立場で始末書を求める場合は、反省の気持ちを強制する書き方を求めるより、事実の確認と再発防止策の合意に重点を置くと、本人とのやり取りが進めやすくなります。提出後は、書かれた再発防止策が実行されているかを期限を決めて確認します。
提出前のチェックリスト
- 表題・宛名・提出日・所属・氏名がある
- 事実・原因・お詫び・再発防止策・結びがそろっている
- 事実は確認できたことだけで、確認中のことは分けて書いた
- 原因を他人や環境のせいにしていない
- 言い訳(「忙しかった」「指示されたので」)が入っていない
- 再発防止策が「誰が・いつ・何を」の行動になっている
- 日付・金額・相手先の名前に誤りがない
- 手書きかパソコンか、押印・署名の要否、提出期限を上司に確認した
- 個人情報や取引先が関わる場合、会社としての対応を先に済ませた
この記事の要点
- 始末書は事実・原因・お詫び・再発防止策・結びの5点を1枚に。
- 言い訳を書かない。原因は自分の行動として書く。
- 再発防止策は「気をつける」ではなく誰が・いつ・何をで書く。
- 原因が未確定なら、確認できたことと確認中のことを分ける。
- 個人情報の紛失は、始末書より先に会社としての対応を。
- 扱い(懲戒との関係)は就業規則で会社ごとに違う。書式と期限は上司・人事に確認する。
FAQ
よくある質問
表題「始末書」、宛名、提出日・所属・氏名を書き、本文は事実・原因・お詫び・再発防止策・結びの順にまとめます。言い訳を交えず、A4・1枚程度に具体的にまとめるのが基本です。
始末書は自分の過失を認めてお詫びと再発防止を約束する文書、顛末書は出来事の経緯と原因・対応を報告する文書です。どちらを求められているか分からない場合は上司に確認してください。
「このたび、取引先への請求書の金額を誤って記載したまま送付いたしました。原因は、元データとの照合を怠ったことにあります。深く反省し、心よりお詫び申し上げます。今後は送付前に元データと照合し、上長の確認を受けてから送付することを徹底いたします」という形が基本です。
推測で書かず、「現時点で確認できているのは◯◯です。◯◯については確認中で、◯月◯日までに改めて報告いたします」と、確認できたことと確認中のことを分けて書きます。
会社の指定があればそれに従います。指定がない場合も、押印や自筆の署名が要るかを含めて、提出先の上司に確認してください。
始末書を懲戒の一つとして就業規則に定めているかどうかで扱いが変わるため、まず就業規則を確認してください。事実と違う内容を書くよう求められた場合などは、提出前に人事や社内の相談窓口に相談してください。
部下の過失の経緯よりも、管理の仕組みのどこが足りなかったかと、今後どう確認するか(記録表、定期的な確認、勉強会など)を書きます。