社内表彰
社内MVPとは
選び方・投票・副賞・発表の文例
社内MVPとは、一定期間に会社や部署で最も活躍した社員を一人(または少数)選んで称える表彰です。呼び名はスポーツの「最優秀選手」から来ています。分かりやすい賞ですが、「何をもって最も活躍したとするか」を先に決めないと、目立つ人・人気のある人・数字の出やすい職種の人ばかりが選ばれる賞になります。このページでは、制度の作り方から評価の観点、投票の設計、副賞、発表の文面までを、そのまま使える例文つきでまとめました。
結論
社内MVPは、年・半期・四半期・月などの期間を区切り、最も活躍した人を選んで称える社内表彰です。選び方は上長・委員会の選考、推薦+選考、社員の投票の三つが基本で、どれを選んでも「活躍」とみなす観点を事前に社内へ示すことが要になります。
結論:社内MVPを始める前に決める5つのこと
- 01期間:年間・半期・四半期・月間のどれか(組み合わせてもよい)
- 02対象:全社員か、部署ごとか。管理職・派遣社員・業務委託の人を含めるか
- 03観点:成果・行動指針の体現・改善・周りを支えた行動など、何を「活躍」とするか
- 04選び方:上長選考・推薦+選考・投票のどれか。投票なら結果をどこまで反映するか
- 05発表と副賞:どの場で発表し、表彰状・副賞をどうするか
Point
迷ったら、月間は「推薦+短い選考」、年間は「推薦書+選考会」から始めると回しやすくなります。投票は参加感が出る反面、設計を誤ると人気投票になるため、二回目以降に取り入れても遅くありません。
社内MVPの目的と、期待できること
社内MVPの目的は、受賞者を称えることだけではありません。「この会社ではこういう行動が評価される」と全員に見せることが、もう一つの大きな役割です。
| 目的 | 期待できること | そのために必要なこと |
|---|---|---|
| 受賞者を称える | 本人の意欲が高まる | 受賞理由を具体的に伝える |
| 評価される行動を見せる | ほかの社員が真似しやすくなる | 発表で「何をしたか」を紹介する |
| 見えにくい活躍を拾う | 裏方の仕事にも光が当たる | 成果以外の観点も入れる |
| 会社の方針を伝える | 行動指針が言葉だけで終わらない | 観点を行動指針と結びつける |
注意
表彰の効果は、選考の納得感と発表の伝え方に左右されます。理由の見えない表彰は、受賞者以外の社員の意欲をかえって下げることがあります。
年間MVPと月間MVPの違い
| 年間MVP | 月間・四半期MVP | |
|---|---|---|
| 位置づけ | その年の最も大きな賞 | 日々の活躍をこまめに称える |
| 選考の重さ | 推薦書や選考会を経ることが多い | 上長の推薦や投票で軽く回すことが多い |
| 観点 | 一年を通じた成果・貢献 | その月に見られた具体的な行動 |
| 発表の場 | 全社総会、表彰式、キックオフ | 朝礼、部署の会議、社内チャット、社内報 |
| 副賞 | 表彰状に加えて記念品などを用意する会社もある | 表彰状やメッセージだけでも成り立つ |
| 注意点 | 成果の大きな人に偏りやすい | 回数が多い分、選考が形だけにならないようにする |
ほかの社内表彰との違い
| 表彰 | 称えるもの | 社内MVPとの違い |
|---|---|---|
| 社内MVP | 期間中に最も活躍した人 | 「最も」を一人(少数)に絞る |
| 目標達成賞 | 決めた条件を満たした人 | 条件を満たせば複数人が受賞できる |
| 新人賞 | 入社して間もない人の活躍 | 対象を新人に限る |
| チーム賞・プロジェクト賞 | チームとしての成果 | 個人ではなく集団を称える |
| 永年勤続表彰 | 長く勤めたこと | 活躍ではなく勤続年数が基準 |
| サンクスカード | 日々の感謝 | 選考がなく、誰でも贈り合える |
賞の組み合わせ方は社内表彰制度の作り方、チームの表彰はチーム表彰・プロジェクト賞、日々の感謝はサンクスカードで扱っています。
社内MVPを作る手順
- 01
目的を一文で書く
「行動指針の◯◯を体現した人を全社に紹介する」のように、何を見せたい賞かを決めます。
- 02
期間と対象を決める
年間か月間か、全社か部署ごとか、雇用形態で対象を分けるかを決めます。
- 03
観点と選び方を決める
下の観点の例から二〜三つに絞り、選考・推薦・投票のどれで選ぶかを決めます。
- 04
社内へ先に告知する
観点、選び方、締切、発表の時期を、始める前に全社員へ伝えます。
- 05
推薦・投票を集めて選ぶ
理由の書かれた推薦をもとに選考します。同票や辞退のときの扱いも事前に決めておきます。
- 06
発表して、記録に残す
受賞理由を添えて発表し、社内報や表彰の記録に残します。次回の観点の見直しにも使います。
注意
常時10人以上の労働者を使う会社が表彰の定めをする場合、その種類と程度は就業規則に書く事項とされています(労働基準法第89条第9号)。賞を正式な制度にするときは、人事・労務の担当と就業規則の扱いを確認してください。
評価の観点の例(成果だけにしない)
| 観点 | 見る行動 | 推薦理由の書き方の例 |
|---|---|---|
| 成果 | 目標を超えた、大きな案件を前に進めた | 「難航していた◯◯の案件を、顧客と週ごとに調整してまとめた」 |
| 行動指針の体現 | 会社の行動指針どおりに動いた | 「『まず動く』を実践し、不具合の報告を受けた当日に対応を始めた」 |
| 改善 | 仕事のやり方を変えて手間や失敗を減らした | 「手作業だった集計を表計算の仕組みに置き換え、部署全員が使えるようにした」 |
| 支える仕事 | 人を助けた、育てた、裏方を担った | 「新人の質問に毎日時間を取り、手順書も作って共有した」 |
| 挑戦 | 前例のないことに取り組んだ | 「初めての展示会出展を企画から担当し、社内の協力を取りつけた」 |
観点をすべて入れると比べようがなくなります。一つの賞の観点は二〜三つに絞り、残りは別の賞(改善賞・縁の下の力持ち賞など)に分けると選考が楽になります。営業のように数字が見えやすい職種とそうでない職種が混ざる場合は、成果の観点だけで比べないようにします。
基準の書き方と選考会の進め方は社内表彰の選考基準と選考方法、賞の名前は社内表彰の賞の名前を参照してください。
選び方の種類
| 選び方 | よい点 | 気をつけたい点 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 上長・委員会の選考 | 会社の方針に沿った人を選びやすい | 選考理由が見えにくい。理由を発表する | 年間MVP、少人数の会社 |
| 推薦+選考 | 現場の目が入る。支える仕事も拾いやすい | 推薦書の手間。様式を短くする | 年間・月間どちらも |
| 社員の投票 | 参加感が出る。結果に納得が得られやすい | 人気投票・組織票になりやすい。観点と理由の記入を求める | 月間MVP、部署内の賞 |
| 投票+選考の組み合わせ | 参加感と方針の両立 | 投票の結果をどこまで反映するかを事前に示す | 全社の年間MVP |
推薦書の様式は社内表彰の推薦書にまとめています。
人気投票にしない投票の設計
- 投票の観点を示す:「行動指針の◯◯をいちばん体現した人」のように、何を基準に選ぶかを書く
- 理由の記入を必須にする:具体的な場面を一文で書いてもらう。理由のない票は数えない、と決める方法もある
- 自分への投票・同じ部署だけへの投票の扱いを決める:自分には投票できない、他部署の人にも投票できる、など
- 途中経過を公開しない:途中経過が見えると、票が集まっている人にさらに集まりやすい
- 集計の担当と方法を決める:誰が集計し、同票のときはどうするかを先に決める
- 投票結果をどう使うかを示す:最多得票者をそのまま選ぶのか、選考の参考にするのかを先に伝える
投票フォームの項目例
| 項目 | 形式 | 補足 |
|---|---|---|
| 投票する人の名前 | 記名/無記名 | 記名にすると組織票を確かめやすい。無記名は本音が出やすい。どちらかを方針で決める |
| 推薦する人の名前・部署 | 選択または記入 | 自分自身は選べないようにする |
| 当てはまる観点 | 選択 | 行動指針や賞の観点から選ぶ |
| 推薦の理由 | 記述(必須) | 「いつ・どんな場面で・何をしたか」を一文以上 |
| 本人に理由を伝えてよいか | はい/いいえ | 推薦の言葉を本人や社内報で紹介するための確認 |
投票の依頼文の例
件名:【◯月MVP】投票のお願い(◯月◯日締切)
皆さん、お疲れさまです。人事の◯◯です。
今月のMVPの投票を受け付けます。今月の観点は「部署をまたいで周りを助けた人」です。
・投票先:下のフォーム
・締切:◯月◯日(◯)◯時
・自分以外の方を一人選び、具体的な場面を一文以上書いてください
・推薦の言葉は、ご了承いただいた分だけ発表で紹介します
ご協力をお願いいたします。
注意
社内アンケートの形で投票を集める場合の依頼文は社内アンケートの依頼文も参考になります。
副賞の選び方
| 副賞 | よい点 | 確認しておきたいこと |
|---|---|---|
| 表彰状・盾・トロフィー | 形に残り、職場に飾れる | 名前と賞名の誤字。発注の締切 |
| 金一封 | 受け取る側の自由度が高い | 税の扱いを経理に確認する |
| 商品券・ギフトカード | 使い道を選べる | 税の扱いを経理に確認する |
| カタログギフト | 好みの違いに対応しやすい | 本人が自由に選べる形の扱いを経理に確認する |
| 特別休暇 | お金に代えにくい特別感がある | 就業規則・休暇の規程との整合 |
| 食事・体験・社長とのランチ | 記憶に残る | 本人の負担にならないか。辞退できるか |
国税庁は、永年勤続表彰の記念品について、現金や商品券などを支給する場合や、本人が自由に記念品を選べる場合は給与として課税されると案内しています(タックスアンサーNo.2591)。社内MVPの副賞も、何を渡すかで扱いが変わることがあるため、決める前に経理・税理士に確認してください。
注意
賞金・景品の税の考え方は社内イベントの景品と課税、記念品の考え方は永年勤続表彰の記念品にまとめています。
発表の文面の例
月間MVP:社内チャットでの発表
【◯月のMVPが決まりました】
今月のMVPは、◯◯部の◯◯さんです。
推薦では「新しい担当者が迷わないよう、問い合わせの対応手順を一から書き直してくれた」「忙しい時期に、他部署の締め作業まで手伝ってくれた」という声が集まりました。
◯◯さん、おめでとうございます。投票に参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
年間MVP:全社メールでの発表
件名:◯年度 社内MVPの発表
社員の皆さん
◯年度の社内MVPは、◯◯部の◯◯さんに決まりました。
◯◯さんは、取引先の要望を丁寧に聞き取りながら、社内の三部署を取りまとめて新しいサービスの立ち上げを担いました。選考会では、成果に加えて、若手に仕事を任せながら育てた姿勢も評価されました。
表彰は◯月◯日の全社総会で行います。皆さんで◯◯さんの一年の取り組みをたたえましょう。
朝礼・会議での読み上げ
今月のMVPを発表します。◯◯課の◯◯さんです。
◯◯さんは、システムの入れ替えで問い合わせが増えた時期に、よく聞かれる質問をまとめて全員に共有してくれました。おかげで対応の時間が短くなり、チーム全体が助かりました。◯◯さん、おめでとうございます。拍手をお願いします。
受賞者本人への事前の連絡
◯◯さん
このたび、◯月のMVPに◯◯さんが選ばれました。おめでとうございます。
◯日の朝礼で発表し、一言いただく時間を一分ほど設けたいと考えています。ご都合が悪ければ、遠慮なくお知らせください。
推薦の言葉は、別途お送りします。
表彰状の文面の例
表彰状
社内MVP
◯◯部 ◯◯ ◯◯ 殿
あなたは◯年度、三つの部署の協力を取りつけて新サービスの立ち上げをやり遂げ、若手に仕事を任せながら育てることにも力を注ぎました。
よって社内MVPとして、その働きをたたえ表彰します。
◯年◯月◯日
株式会社◯◯ 代表取締役 ◯◯ ◯◯
推薦の言葉をそのまま紹介すると、どんな行動が評価されたのかがほかの社員に伝わります。紹介するのは「本人に伝えてよい」と答えた推薦だけにします。
受賞者のスピーチは表彰式の挨拶 例文、読み上げるコメントは表彰コメントの例文、お祝いの言葉は表彰のお祝いメッセージ、表彰状は表彰状・感謝状の文例と賞状作成で作れます。社内報で紹介するなら受賞者インタビューの質問例も使えます。
受賞者の一言スピーチの例
このような賞をいただき、ありがとうございます。今回の仕事は、◯◯さんや◯◯部の皆さんが手を貸してくださったからこそ進められました。この場を借りてお礼を申し上げます。これからも、周りの方が仕事を進めやすくなるような工夫を続けていきます。
自分が選ばれるとは思っておらず驚いていますが、本当にうれしいです。推薦の言葉を読んで、見ていてくださる方がいたのだと励まされました。いただいた言葉に恥じないよう、来月からも取り組んでいきます。ありがとうございました。
よくある失敗と対策
| よくある失敗 | 起きる理由 | 対策 |
|---|---|---|
| 同じ人ばかり受賞する | 観点が成果だけ。前回の受賞者も同じ土俵 | 観点を月ごとに変える。一定期間の再受賞を控える決まりを作る |
| 数字の見える職種に偏る | 成果の大きさだけで比べている | 支える仕事・改善の観点を入れる。部署ごとのMVPに分ける |
| 人気投票・組織票になる | 観点と理由の記入がない | 観点を示し、理由を必須にする。結果の使い方を先に示す |
| 選ばれなかった人が冷める | 理由が見えず、不公平に感じる | 受賞理由を具体的に発表する。推薦された人にも推薦の言葉を届ける |
| マンネリになる | 毎回同じ発表の仕方、同じ観点 | 観点の焦点を変える。社内報での紹介など伝え方を変える |
| 運営が負担になり続かない | 推薦書が長い、集計が手作業 | 推薦の様式を短くする。フォームで集める。頻度を見直す |
| 受賞者が多すぎて重みが消える | 全員に配慮して数を増やした | MVPは一人(少数)に絞り、ほかの活躍は別の賞やサンクスカードで称える |
小さな会社・リモートの職場での工夫
- 小さな会社:候補が限られるため、月間ではなく四半期・半期にする、全員参加の推薦にするなど、回数と選び方を調整する
- リモートの職場:活躍が見えにくいので、日々のチャットで「ありがとう」を共有する場を作り、推薦の材料にする
- オンラインでの発表:会議の冒頭に発表の時間を取り、推薦の言葉を画面に映して読み上げる
- 拠点が分かれている:拠点ごとにMVPを選び、年に一度の全社の場でまとめて紹介する
社内MVPを始める前のチェックリスト
- 目的を「見せたい行動」の一文で書いたか
- 期間(年間・月間など)と対象者を決めたか
- 観点を二〜三つに絞り、成果以外の観点も入れたか
- 選び方(選考・推薦・投票)と、投票結果の使い方を決めたか
- 同票・辞退・再受賞の扱いを決めたか
- 観点・締切・発表の時期を事前に全社員へ告知したか
- 推薦の言葉を紹介してよいか、本人と推薦者に確認する手順があるか
- 副賞の内容と税の扱いを経理に確認したか
- 正式な制度にする場合、就業規則の扱いを人事・労務と確認したか
- 発表の場、表彰状、受賞者の一言の段取りを決めたか
この記事の要点
- 社内MVPは一定期間に最も活躍した人を称える表彰で、評価される行動を全員に見せる役割もある。
- 始める前に期間・対象・観点・選び方・発表と副賞の五つを決める。
- 観点は二〜三つに絞り、成果以外の観点も入れて職種の偏りを防ぐ。
- 投票では観点の提示と理由の記入で人気投票を避け、結果の使い方を先に示す。
- 副賞の税の扱いは経理・税理士に確認。発表では推薦の言葉を紹介して受賞理由を伝える。
FAQ
よくある質問
一定の期間(年・半期・四半期・月など)に、会社や部署で最も活躍した社員を選んで称える表彰です。スポーツで最も活躍した選手に贈られる賞の呼び名を、社内表彰に取り入れたものです。
上長や選考委員会が選ぶ方法、推薦を集めて選考する方法、社員の投票で選ぶ方法があります。どの方法でも、行動指針や重点方針など「何を活躍とみなすか」の観点を先に示すことが大切です。
人気投票や組織票にならないよう、投票の観点を示し、具体的な理由の記入を必須にします。自分への投票の扱い、同票のときの決め方、投票結果をどこまで反映するかを事前に決めておきます。途中経過は公開しないようにします。
年間の賞より軽く、その月に見られた具体的な行動を観点にします。行動指針の中から毎月一つ焦点を決める、部署ごとに推薦を出してもらうなど、回しやすい形にしておくと続けやすくなります。
観点が成果に偏っていないかを見直し、月ごとに観点の焦点を変えます。一定期間は再受賞を控える決まりを作る方法もあります。その場合は、決まりを事前に社内へ示しておきます。
人数が少ない分、選考が身内びいきに見えやすいため、観点と理由を公開することがより大切になります。月間では候補が限られる場合は、四半期や半期に回数を減らすと続けやすくなります。
反映するかどうかは会社の評価制度の設計しだいです。反映する場合は、選考の基準と手続きを評価制度と整合させ、事前に社員へ示す必要があります。表彰を正式な制度にするときは、就業規則の扱いもあわせて人事・労務の担当と確認してください。
国税庁は、永年勤続表彰の記念品について、現金や商品券などを支給する場合は給与として課税されると案内しています。社内MVPの副賞も渡す物によって扱いが変わることがあるため、事前に経理・税理士に確認してください。