社内報
受賞者インタビューの質問例
賞の種類別・深掘りの質問と記事の例文
社内表彰や社外のアワードの受賞者に話を聞き、社内報や採用広報の記事にするときの質問集です。受賞の感想だけで終わらせず、「何をどう判断して動いたか」を引き出すことで、式に出られなかった人や来年の候補になる人に、評価される行動が伝わる記事になります。
結論
受賞者インタビューで聞くのは、①きっかけ②工夫と苦労③迷ったときの判断④周りの協力⑤受賞の受け止め⑥これからの六つです。中でも③の「何を基準に決めたか」が、ほかの社員が真似できる中身になります。質問は事前に本人へ送り、当日は答えに「たとえば?」と返して具体的な場面を聞きます。
まず聞くのはこの六つ
時間が取れないときは、次の六問だけで一本の記事になります。右の列は、答えを記事のどこに使うかの目安です。
| 聞くこと | 質問の例 | 記事での使いどころ |
|---|---|---|
| きっかけ | この取り組みは、どんなことに困って始めたのですか。 | 書き出し・背景 |
| 工夫と苦労 | いちばん工夫した点と、うまくいかなかったことを教えてください。 | 本文の中心 |
| 判断の基準 | 迷ったとき、何を優先して決めましたか。 | 見出し・読者への学び |
| 周りの協力 | 助けてくれた人や、ほかの部署とのやり取りで印象に残っていることは。 | 周りの声・お礼 |
| 受賞の受け止め | 受賞を知ったとき、最初に誰に伝えましたか。 | 人柄が伝わる一文 |
| これから | この経験を、次にどんな仕事で生かしたいですか。 | 締め |
Point
「受賞してどうですか」だけでは感想で終わります。「どうやって」「何を基準に」「たとえばどの場面で」と聞くと、行動と判断が出てきます。
そのまま使える質問例(流れ順)
人となり・仕事の紹介(プロフィール欄用)
- 今の部署で、ふだんはどんな仕事を担当していますか。
- 入社してから、どんな仕事を経験してきましたか。
- 仕事でいちばん時間を使っているのは、どんな作業ですか。
取り組みの背景
- 受賞の対象になった取り組みは、どんなきっかけで始まりましたか。
- 取り組む前は、誰がどんなことに困っていましたか。
- 最初に手をつけたことは何でしたか。
- 始めるとき、周りの反応はどうでしたか。
工夫と苦労
- いちばん工夫したのはどんな点ですか。
- うまくいかなかったこと、途中でやり方を変えたことはありますか。
- やめようと思った場面はありましたか。そのとき、何が続ける理由になりましたか。
- 前のやり方と比べて、何がいちばん変わりましたか。
判断の基準・大切にしていること
- 迷ったとき、何を基準に判断しましたか。
- あえてやらなかったこと、後回しにしたことはありますか。
- 仕事をするうえで、いつも意識していることは何ですか。
- 会社の行動指針の中で、この取り組みにいちばん近いものはどれですか。
周りの協力
- 一緒に取り組んだ人や、助けてくれた人のことを教えてください。
- ほかの部署とのやり取りで、意識したことはありますか。
- 協力をお願いするとき、どんな伝え方をしましたか。
受賞の受け止め
- 受賞を知ったとき、どう感じましたか。
- 受賞を最初に誰に伝えましたか。
- 選考理由を読んで、意外だった点や、うれしかった点はありますか。
これから・読者へ
- この経験を、これからの仕事にどう生かしたいですか。
- 同じような課題を抱えている人に、一つ伝えるとしたら何ですか。
- 次に挑戦してみたいことはありますか。
- 来年、表彰を目指す人にひと言お願いします。
賞の種類別に足す質問
基本の質問に、賞の趣旨に合わせて二、三問を足します。選考理由に書かれた言葉を質問に入れると、記事と選考の筋がそろいます。
| 賞の種類 | 足す質問の例 | 記事で伝えたいこと |
|---|---|---|
| 社長賞・最優秀賞 | この成果は、会社の今年の方針とどうつながっていると考えていますか。 | 会社が何を大事にしているか |
| 月間MVP | この一か月で、いちばん手応えがあったのはどの場面ですか。 | 身近で真似しやすい行動 |
| 新人賞 | 配属されて最初に戸惑ったことと、それをどう乗り越えましたか。 | 若手が先輩に頼るときの手本 |
| チーム賞 | 役割はどう分けましたか。意見が分かれたとき、どうまとめましたか。 | チームの進め方 |
| 業務改善賞 | 改善の前と後で、手順や時間はどう変わりましたか。 | ほかの部署でも使えるやり方 |
| 縁の下・裏方の賞 | 表に出にくい仕事で、気づいてもらえたと感じた場面はありますか。 | 見えにくい貢献の中身 |
| 功労・永年勤続 | 長く続ける中で、変えずにきたことと変えてきたことは何ですか。 | 経験から出てくる言葉 |
| 社外のアワード | 応募を決めた理由と、審査で伝えるときに工夫した点は何ですか。 | 挑戦の過程と社内への還元 |
チーム賞では代表者だけでなく、メンバー一人ずつに「自分の担当で工夫したこと」を一問ずつ聞くと、全員の名前を記事に出せます。チーム表彰の進め方はチーム表彰にまとめています。
答えを深める返しの質問
事前の質問票だけでは、整った答えが返ってきて終わりがちです。当日は答えを受けて、次のように一歩だけ踏み込みます。
| よくある答え | 返す質問 | 引き出せるもの |
|---|---|---|
| 「みんなのおかげです」 | 特に助けられたのは、どなたの、どんな場面でしたか。 | 協力者の名前と具体的な場面 |
| 「とにかく頑張りました」 | いちばん時間をかけたのは、どの作業でしたか。 | 行動の中身 |
| 「特別なことはしていません」 | 前任のやり方から、変えたところを一つ挙げるとしたら。 | 本人が当たり前と思っている工夫 |
| 「うまくいきました」 | うまくいかなかった時期はありましたか。何がきっかけで変わりましたか。 | 転機と判断 |
| 「お客様に喜ばれました」 | どんな言葉をかけられましたか。(社外の方の名前は出さずに) | 成果が伝わる一言 |
注意
返しの質問は一つの答えに一回までにすると、問い詰める雰囲気になりません。
避けたい質問と言い換え
| 避けたい聞き方 | 避けたい理由 | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 受賞してどうですか。 | 感想だけで終わり、行動が出てこない | 受賞を知ったとき、最初に誰に伝えましたか。 |
| なぜあなたが選ばれたと思いますか。 | 本人が答えにくく、自慢に聞こえる答えになりやすい | 選考理由を読んで、うれしかった点はどこですか。 |
| ほかの人と何が違ったのですか。 | ほかの社員と比べる記事になる | ご自身のやり方で、続けてきたことは何ですか。 |
| 大変でしたよね。 | 答えが「はい」で終わる | いちばん手間がかかったのは、どの作業でしたか。 |
| 私生活とはどう両立していますか。 | 家庭や健康など、本人が出したくない話に触れるおそれがある | (本人から話が出た場合だけ、載せるかを確認する) |
インタビューの進め方
- 01
選考理由と推薦書を読む
何が評価されたのかを先に把握します。推薦者の言葉は、質問の手がかりになります。推薦書の書き方は推薦書の書き方にあります。
- 02
聞く質問を絞る
基本の六問に、賞の種類に合わせた質問を足します。長く拘束しないよう、長くても1時間に収まる量にします。
- 03
質問票を本人に先に送る
取材に慣れていない受賞者もいるので、質問を事前に渡しておくと答えがまとまりやすくなります。全部に答えなくてよいことも伝えます。
- 04
当日は録音の了解を取ってから聞く
録音するときは最初に了解を取ります。答えには「たとえば?」と返し、具体的な場面を聞きます。オンラインでもかまいません。
- 05
協力者にも一言もらう
上司や一緒に取り組んだ人の短いコメントがあると、記事に厚みが出ます。
- 06
原稿を本人に確認してもらう
発言の意図、名前や部署名の表記、社外の情報が含まれていないかを確かめてもらいます。
事前に送る依頼メールと質問票
依頼メールの例
件名:社内報 受賞者インタビューのお願い
◯◯部 ◯◯さん
このたびは業務改善賞の受賞、おめでとうございます。
社内報の次号で、受賞された取り組みを紹介したいと考えています。インタビューにご協力いただけないでしょうか。
・日時:◯月◯日(◯)から◯日(◯)の間で、ご都合のよい時間
・場所:◯◯会議室またはオンライン
・内容:下記の質問票をご覧ください。すべてにお答えいただかなくてもかまいません
原稿は掲載前にご確認いただきます。写真の掲載についても、その際にご相談させてください。
人事部 ◯◯
質問票の例
受賞者インタビュー 質問票
1. 今のお仕事を簡単に教えてください。
2. 取り組みを始めたきっかけは何でしたか。
3. いちばん工夫した点、うまくいかなかったことを教えてください。
4. 迷ったとき、何を基準に決めましたか。
5. 助けてくれた方のことを教えてください。
6. 受賞を知ったとき、最初に誰に伝えましたか。
7. これから挑戦したいこと、同じ課題を持つ方へのひと言をお願いします。
※当日は、このほかに具体的な場面を伺うことがあります。
取材に協力してもらったあとのお礼は取材協力のお礼メールを参照してください。
記事の形式の選び方
| 形式 | 向いている場面 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| Q&A形式(「――」で質問を示す対話型) | 本人の言葉と考え方をそのまま伝えたいとき | 質問をそのまま並べるだけにせず、話の流れで順番を組み替える |
| 地の文のレポート形式 | 背景や数字の説明が多い取り組み | 本人の発言を「」で残し、書き手の解説ばかりにしない |
| 一問一答(短い質問に短い答え) | 月間MVPなど毎回載せる小さな枠 | 質問を毎回そろえると、続けて読んだときに比べやすい |
| 複数受賞者のまとめ記事 | 賞の数が多い年度や、全受賞者を一号で紹介するとき | 一人ずつにプロフィール欄を付け、全員に同じ質問を一つ入れる |
| 座談会 | チーム賞や、同じ年度の受賞者を集めるとき | 話す量に偏りが出ないよう、聞き手が順に話を振る |
社内報の表彰記事の構成と例文
- 01見出し:受賞者名と、取り組みの中身が分かる一言
- 02プロフィール欄:所属、担当業務、受賞した賞の名前
- 03書き出し:賞の名前、受賞者、何が評価されたかを最初の段落で
- 04取り組みの中身:背景、工夫、苦労、判断の基準をインタビューから
- 05周りの声:上司・協力者のコメント
- 06これから:本人の言葉で締める
見出しの例
- 【業務改善賞】◯◯部 ◯◯さん 「誰が担当しても迷わない」締め作業の手順づくり
- 今年度の社内表彰が決まりました 受賞者の取り組みを紹介します
- 月間MVP ◯◯さんが続けてきた、問い合わせ対応の見直し
- 新人賞 ◯◯さんが配属先で最初に始めた、先輩への質問メモ
- チーム賞 ◯◯プロジェクトの皆さんに聞く、部署をまたいだ役割分担
プロフィール欄の例
◯◯ ◯◯さん
経理部 経理課。入社後、営業事務を経て現在の部署へ。毎月の締め作業と支払処理を担当。今年度の業務改善賞を受賞。
書き出しの例
今年度の業務改善賞は、経理部の◯◯さんが受賞しました。評価されたのは、毎月の締め作業で重なっていた転記の手間を洗い出し、誰が担当しても同じやり方でできる手順にまとめた取り組みです。どんなきっかけで始め、どこで迷ったのか。◯◯さんに話を聞きました。
Q&A形式の本文の例
――取り組みを始めたきっかけを教えてください。
締めの時期になると、同じ数字を別の表に何度も写していました。担当が替わるたびに手順の説明に時間がかかるのも気になっていたんです。
――途中で迷ったことはありましたか。
全部を一度に変えるか、少しずつ変えるかで迷いました。最後は、締めを止めないことを優先して、毎月一つずつ置き換えることにしました。
――周りの方の協力はいかがでしたか。
課の皆さんが、新しい手順を試した感想をその都度くれました。おかげで、分かりにくい箇所をすぐに直せました。
周りの声の例
上司の◯◯課長は「手順を書き出すところから、課の全員を巻き込んでくれた。おかげで、休みの人がいても締めが回るようになった」と話します。
締めの例
「一人で抱えずに、まず手順を書き出してみること。それだけで、周りに相談しやすくなりました」と◯◯さん。次は、ほかの部署の締め作業の見直しにも関わっていきたいと話してくれました。
社内報のほかの記事の挨拶文は社内報の挨拶文 例文、表彰理由の短い書き方は表彰コメント・表彰理由の例文を参照してください。
受賞者発表のお知らせの文面
社員各位
件名:今年度 社内表彰 受賞者決定のお知らせ
今年度の社内表彰の受賞者が決まりましたので、お知らせします。多くの推薦をいただき、ありがとうございました。
■最優秀賞 ◯◯部 ◯◯さん
既存顧客との取引の再開と、部署全体で使える引き継ぎの形づくり
■業務改善賞 ◯◯部 ◯◯さん
締め作業の手順の見直しと共有
■縁の下賞 ◯◯部 ◯◯さん
事務所のレイアウト変更を、業務を止めずに進めた段取り
表彰式は◯月◯日の全社総会で行います。受賞者の取り組みは、次号の社内報で詳しく紹介する予定です。
人事部 ◯◯
賞の名前と受賞者だけでなく、「何が評価されたか」を一行添えると、発表がほかの社員へのメッセージになります。お祝いを伝える側の文面は表彰・受賞のお祝いメッセージにあります。
よくある失敗
- 感想と抱負だけの記事になる:判断の基準を聞く質問を必ず一つ入れる。
- 本人が謙遜して中身が出ない:推薦書にある場面を示して「このときのことを教えてください」と聞く。
- 協力者の名前が抜ける:記事に名前を出してよいか、協力者にも確認したうえで入れる。
- 毎回同じ質問で記事が似る:基本の六問は残し、賞の種類別の質問を入れ替える。
- 社外の情報が載る:顧客名や取引の条件は、原稿確認の段階で外す。
写真と掲載の確認
- 受賞者本人に、社内報への名前・顔写真の掲載を確認したか
- 一緒に写っている人にも掲載を伝えたか
- 取り組みの成果物や作業の様子の写真に、顧客名や社外秘の情報が写り込んでいないか
- 記事を採用広報などで社外にも公開する場合、本人がそれを了承しているか
- 協力者のコメントと名前の掲載を、協力者本人に確認したか
- インタビュー原稿を本人に確認してもらったか
注意
写真の公開と個人情報の考え方は、イベント写真のSNS投稿と個人情報にまとめています。
この記事の要点
- まず聞くのはきっかけ・工夫と苦労・判断の基準・協力・受け止め・これからの六つ。
- 「何を基準に決めたか」が、ほかの社員が真似できる中身になる。
- 賞の種類に合わせて二、三問を足し、当日は「たとえば?」で具体的な場面を聞く。
- 質問票は事前に送り、原稿は本人と協力者に確認してもらう。
- 受賞発表には何が評価されたかを一行添える。
FAQ
よくある質問
取り組みのきっかけ、いちばん工夫した点とうまくいかなかったこと、迷ったときの判断の基準、助けてくれた人、受賞の受け止め、これからの抱負の順に聞くと記事にしやすくなります。「どうやって」「何を基準に」と聞くと、ほかの社員が真似できる行動が出てきます。
基本の六問に、賞の種類に合わせた質問を二、三問足す程度で一本の記事になります。当日は答えを深める返しの質問をするので、事前の質問は絞っておくほうが話が広がります。
送っておくと、取材に慣れていない受賞者でも答えを準備できます。すべてに答えなくてよいことと、当日は具体的な場面を聞くことがあることも伝えておきます。
推薦書や選考理由にある具体的な場面を示して、そのときに何をしたかを聞きます。「特別なことはしていません」という答えには、前のやり方から変えた点を一つだけ挙げてもらいます。
代表者に全体の流れを聞いたうえで、メンバー一人ずつに自分の担当で工夫したことを聞きます。座談会にする場合は、聞き手が順に話を振って、話す量に偏りが出ないようにします。
見出し、プロフィール欄、書き出し(賞の名前・受賞者・何が評価されたか)、取り組みの中身、周りの声、本人のこれからの言葉の順が基本です。最初の段落で何が評価されたかを書くと、読み飛ばされにくくなります。
賞の名前、受賞者の所属と名前、何が評価されたかの一行、表彰式の日時と場所、社内報での紹介予定などを書きます。推薦してくれた人へのお礼も添えます。
本人に掲載を確認してから載せます。一緒に写っている人への配慮や、記事を採用広報などで社外にも公開する場合の了承もあわせて確認してください。