社内表彰
社内表彰の推薦書の書き方
推薦理由の例文とテンプレート
結論:推薦理由は「どんな状況で(背景)→本人が何をして(行動)→どうなり、周りにどう効いたか(結果と広がり)→だから賞のどの基準に当てはまるか」の順に書きます。推薦書を読むのは選考委員で、知りたいのは褒め言葉ではなく基準に当てはまるかを判断できる事実です。このページには、空欄を埋めるだけの推薦書テンプレート、営業・事務・チーム・新人・社長賞など場面別の例文、よくある弱い書き方の直し方、提出前のチェックリスト、推薦を募る側の案内文をまとめました。式で読み上げる短いコメントは表彰コメント・表彰理由の例文で扱っています。
結論
推薦書の推薦理由は、①背景(どんな状況・課題があったか)②行動(本人が何をしたか)③結果と広がり(どうなり、周りにどう効いたか)④基準との対応(賞のどの観点に当てはまるか)の順に書くと、選考委員が判断しやすくなります。いくつも実績を並べるより、一つの場面を具体的に書く方が伝わります。
推薦理由で選考の結果が変わる理由
選考委員が候補者と一緒に働いているとは限りません。推薦書に書かれていないことは、選考の場では判断の材料になりません。同じ働きぶりでも、推薦理由が具体的かどうかで評価が分かれることがあるのはこのためです。
推薦理由は、受賞が決まったあとにも役立ちます。表彰式の読み上げ、表彰状の文面、社内報の紹介記事を作るときの元になるためです。事実が書かれた推薦書は、そのまま受賞者を周りに紹介する材料になります。
| 選考委員が見ること | 推薦書で答えること |
|---|---|
| 基準に当てはまるか | 賞の観点のどれに、どの行動が当てはまるか |
| 本人の貢献か | チームの成果のうち、本人が担った部分はどこか |
| 事実として確かか | 成果物・記録・関係者の声など、確かめられる裏づけ |
| ほかの人の手本になるか | やり方が共有されたか、周りがまねできるか |
そのまま使える推薦書テンプレート
空欄を埋めると推薦理由の形になる型です。社内の推薦フォームに項目がない場合も、推薦理由の欄にこの順で書けば伝わります。
【推薦する賞】◯◯賞
【候補者】◯◯部 ◯◯課 ◯◯ ◯◯さん(チームの場合:チーム名と全メンバー)
【推薦者】◯◯部 ◯◯ ◯◯(候補者との関係:上司/同僚/他部署)
【対象期間】◯年◯月〜◯年◯月
【推薦理由】
(背景)◯◯の業務では、◯◯という課題がありました。
(行動)◯◯さんは、◯◯を◯◯し、◯◯に取り組みました。
(結果と広がり)その結果、◯◯となり、◯◯部でも◯◯として使われています。
(基準との対応)以上の取り組みは、◯◯賞の「◯◯」という観点に当てはまると考え、推薦します。
【裏づけ】◯◯(成果物・記録・関係者の声など)
【本人・社内報での紹介】推薦理由を紹介してよい/確認が必要
推薦書の様式を作る側の項目例
| 項目 | 書くこと | 置く理由 |
|---|---|---|
| 推薦する賞 | どの賞への推薦か | 賞ごとに基準が違うため |
| 候補者 | 氏名、所属、役職(チームならチーム名とメンバー) | 表彰状や発表での漏れを防ぐ |
| 推薦者 | 氏名、所属、候補者との関係 | 選考で確認したいときの連絡先になる |
| 対象期間 | いつの取り組みか | 前回の選考との重複を防ぐ |
| 推薦理由 | 背景・行動・結果と広がり・基準との対応 | 選考の判断材料の中心 |
| 裏づけ | 関係者の声、成果物、記録など(任意) | 事実を確かめるため |
| 紹介の可否 | 推薦理由を本人や社内報で紹介してよいか | 本人の事情への配慮 |
項目が多いと推薦する側の負担が増え、推薦が集まりにくくなります。選考に使わない項目は置かないようにします。賞の観点を推薦書の欄の近くに書いておくと、推薦理由が観点に沿って書かれるようになります。観点そのものの決め方は選考基準の決め方にあります。
推薦理由を書く手順
- 01
賞の基準を読み直す
推薦する賞の観点を確かめ、候補者のどの行動が当てはまるかを先に決めます。基準が分からないまま書くと、褒め言葉の羅列になりがちです。
- 02
材料を集める
成果物、日報やメール、関係者の声など、確かめられる材料を手元にそろえます。本人に聞いてよい場面なら、取り組みの経緯を短く聞いておきます。
- 03
場面を一つ選ぶ
いちばん伝えたい取り組みを一つ選びます。実績を並べるより、一つを具体的に書く方が伝わります。
- 04
背景を一文で書く
「どんな状況で、何が課題だったか」を書きます。ここがないと、取り組みの意味が伝わりません。
- 05
本人の行動を書く
「◯◯を◯◯した」と動詞で書きます。チームの成果なら、その中で本人が担った部分を分けて書きます。
- 06
結果と広がりを書く
どうなったか、ほかの人や部署にどう効いたかを書きます。社内で確かめられる数字があれば使います。
- 07
基準との対応で締める
「以上の取り組みは、◯◯賞の『◯◯』という観点に当てはまると考え、推薦します」で結びます。
- 08
声に出して読み直す
推薦する理由が一文で言えるか、主語が本人になっているかを確かめます。
Point
数字は社内で確かめられるものだけを書いてください。記憶だけで書いた数字は、選考の場で確認を求められます。数字がなくても、具体的な行動と周りの声があれば判断の材料になります。
弱い推薦理由と、伝わる推薦理由の違い
| 弱い書き方 | 何が足りないか | 直した書き方 |
|---|---|---|
| いつも一生懸命頑張っています | 何をしたかが分からない | 毎朝の出荷前に検品の手順を見直し、誤出荷の原因を一つずつ取り除きました |
| チームを引っ張ってくれました | 本人の役割が分からない | 週次の進捗会議を自ら設け、遅れている作業を早めに共有する仕組みを作りました |
| お客様からの評判がよいです | 裏づけがない | 取引先の◯◯様から、対応の早さについて部長宛てにお礼の連絡をいただきました |
| 売上に大きく貢献しました | どう貢献したかが分からない | 失注した顧客を一件ずつ訪ね、失注の理由を聞き取って提案の内容を作り直しました |
| 誰よりも遅くまで残って働いています | 働き方の美化になる | 締め前に作業が集中しないよう、前倒しの段取りを部内に提案しました |
| ◯◯さんよりも優れています | 比較は判断材料にならない | 受注の経緯を記録する様式を自ら作り、部署の全員が使える形で共有しました |
場面別の推薦理由の例文
例文は当サイトの作文です。名前・部署は◯◯で伏せています。自社の事実に置き換えて使ってください。
社長賞・最優秀賞
◯◯さんは今年度、取引が途絶えていた既存顧客への再提案を担当しました。前任者からの引き継ぎ資料がほとんどない状態から、過去のやり取りを一つずつ洗い出し、顧客の担当者を訪ねて現在の課題を聞き直しました。その結果、取引の再開につながっただけでなく、◯◯さんが作った顧客ごとの経緯の記録は、部署全体の引き継ぎの形として使われ始めています。成果とそこに至る行動の両面で、社長賞の「会社の重点方針を体現した取り組み」に当てはまると考え、推薦します。
営業部門(新規開拓)
◯◯さんは、これまで取引のなかった◯◯業界への新規開拓を任されました。業界の商習慣を知るために展示会や業界団体のセミナーに足を運び、顧客の業務の流れに合わせた提案資料を一から作りました。初回の受注に加えて、作成した提案資料は営業部の共有フォルダに置かれ、同じ業界を担当するメンバーが使っています。新しい市場を開いた行動と、その知見を部署に残した点が、営業優秀賞の「挑戦と共有」の観点に当てはまると考え、推薦します。
営業部門(既存顧客・顧客対応)
◯◯さんは担当顧客から納期についての厳しい指摘を受けた際、社内の製造・物流の担当者と調整して代わりの納品方法を用意し、当日中に顧客へ説明しました。その後も週に一度の進捗連絡を続けたことで、顧客からは取引を続けるとの返事をいただいています。問題が起きたときの初動と、その後の信頼の立て直しが、顧客満足賞の観点に当てはまると考えます。
業務改善賞
経理部では毎月の締め作業で、同じ内容を複数の表に転記する手間がありました。◯◯さんは作業の手順を一つずつ書き出して重複を洗い出し、転記を減らした新しい手順を提案しました。手順書を作って部内で説明会を開いたことで、担当が替わっても同じやり方で作業できるようになっています。改善が個人の工夫で終わらず手順として共有された点が、業務改善賞の観点に当てはまると考えます。
バックオフィス(社内システムの導入支援)
◯◯さんは情報システム担当として、勤怠管理の新しいシステムへの切り替えを担当しました。全部署の打刻のやり方を事前に聞き取り、部署ごとのつまずきやすい点をまとめた手引きを作り、切り替えの前後には問い合わせ窓口を設けて一件ずつ対応しました。大きな混乱なく切り替えを終えられたのは、使う人の立場で準備を重ねた◯◯さんの働きによるものです。全社の業務を支えた貢献として、功労賞に推薦します。
縁の下賞・功労賞
◯◯さんは総務として、会議室の予約の調整、備品の管理、来客の受付を毎日担当しています。今年は事務所のレイアウト変更があり、各部署の要望を聞いて回り、引っ越し当日も全員が業務を止めずに済むよう段取りを組んでくれました。目立たない仕事ですが、周りが本業に集中できる環境を支え続けていることを、縁の下賞にふさわしい貢献として推薦します。
カスタマーサポート
◯◯さんは問い合わせ対応のなかで、同じ質問が繰り返し寄せられていることに気づき、内容を分類して開発部に伝えました。これをきっかけに製品の画面の表示が見直され、その質問はほとんど寄せられなくなりました。お客様の声を社内の改善につなげた行動が、顧客満足賞の「お客様の声を形にする」という観点に当てはまると考え、推薦します。
安全・品質
◯◯さんは製造ラインで、作業者がつまずきやすい通路の段差に気づき、ヒヤリハットとして報告したうえで、改善案を写真付きでまとめて提出しました。改善後は同じ場所での報告がなくなり、ほかのラインでも同じ点検が行われています。事故が起きる前に手を打ち、それを工場全体に広げた点が、安全賞の観点に当てはまると考えます。
チーム表彰
◯◯チーム(◯◯さん、◯◯さん、◯◯さん、◯◯さん)は、営業部と技術部の混成チームとして新サービスの立ち上げを担当しました。営業側が集めた顧客の要望を技術側が毎週の打ち合わせで仕様に落とし込み、部署の垣根を越えて役割を分担しながら、予定どおり提供を始めました。立ち上げの進め方は社内の手順書としてまとめられ、次の新規事業でも使われる予定です。部署をまたいだ協力の手本として、チーム賞に推薦します。
チームで推薦するときは、メンバー全員の名前と範囲を推薦の段階で確定させます。詳しくはチーム表彰・プロジェクト賞にあります。
管理職・人材育成
◯◯課長は、今年度配属された若手メンバーの育成を担当しました。週に一度の面談で業務の困りごとを聞き、担当の範囲を少しずつ広げて任せたことで、メンバーは年度の後半には顧客の窓口を一人で担当できるようになりました。育成のやり方は課内で共有され、ほかのメンバーが新人を受け入れる際の手本になっています。人を育てて組織の力を高めた点が、マネジメント賞の観点に当てはまると考え、推薦します。
新人賞
◯◯さんは配属後、受注データの入力でつまずいた箇所を自分用のメモに書きためてきました。そのメモを、次に配属される人が使えるよう画面ごとの手順書にまとめ直し、部署で共有しています。自分の経験を後から来る人のために形にした点が新人賞の観点に当てはまると考え、推薦します。
若手の挑戦
◯◯さんは入社◯年目ながら、社内の新規事業の提案制度に自ら応募しました。業務の合間に顧客へ聞き取りを重ね、提案は試験導入として採用されています。結果がまだ出ていない段階ですが、自ら手を挙げて形にするまで進めた行動が、チャレンジ賞の「挑戦した過程を評価する」という観点に当てはまると考えます。
自薦の場合
私は今年度、問い合わせ対応の手順の見直しに取り組みました。担当者によって回答の内容がばらつくという課題があったため、よくある問い合わせを洗い出し、回答の型を作ってチームで共有しました。見直しの過程では、営業部の◯◯さん、技術部の◯◯さんに内容の確認でご協力いただきました。業務改善賞の「手順として共有された改善」に当てはまると考え、応募します。
自薦では、協力してくれた人の名前を入れると、取り組みの範囲と周りへの広がりが伝わります。
推薦欄が小さいときの短い版
取引の途絶えていた顧客の経緯を一から洗い出し、取引の再開につなげた。作成した経緯の記録は部署の引き継ぎの形として使われている。重点方針を体現した取り組みとして社長賞に推薦する。
短い欄でも、背景・行動・広がり・基準の四つを一文ずつ入れると、判断の材料が残ります。
提出前チェックリスト
- 推薦する賞の基準(観点)を読み、どれに当てはまるかを書いた
- 背景(どんな状況・課題だったか)が一文で書けている
- 本人の行動が「◯◯を◯◯した」と動詞で書けている
- チームの成果の場合、本人が担った部分を分けて書いた
- 結果だけでなく、周りや他部署への広がりを書いた
- 数字は社内で確かめられるものだけを使った
- ほかの社員との比較を書いていない
- 長時間労働や無理をしたことを称える書き方になっていない
- 本人が公開を望まない事情を書いていない
- 氏名・所属・賞の名前に誤りがない
推薦を募る社内案内の文面
社員各位
件名:今年度 社内表彰の推薦受付のお知らせ
今年度の社内表彰の推薦を受け付けます。日頃一緒に働くなかで「この取り組みをみんなに知ってほしい」と感じた方を、ぜひ推薦してください。上司・同僚・他部署の方からの推薦、自薦のいずれも受け付けます。
【対象の賞と観点】別紙「社内表彰の選考基準」をご覧ください
【推薦の方法】推薦フォームに記入してください(◯◯に掲載)
【締切】◯月◯日(◯)
【選考】選考委員会で選考し、◯月の全社総会で発表します
推薦理由には、候補者が「どんな状況で、何をしたか」を具体的に書いてください。書き方の例を別紙に添えています。いただいた推薦は、すべて選考委員会で確認します。
人事部 ◯◯
締切前のリマインド
社員各位
件名:【◯月◯日締切】社内表彰の推薦受付について
社内表彰の推薦の締切が近づいてきましたので、お知らせします。推薦理由は長い文章でなくてもかまいません。「どんな状況で、何をしたか」が分かれば、選考委員会で詳しく確認します。身近な方の取り組みを、ぜひお寄せください。
人事部 ◯◯
社内向けのお知らせ全般の書き方は社内通知・お知らせの文例、案内の告知物はお知らせ作成で作れます。
推薦書でよくある失敗
- 褒め言葉だけで事実がない:「いつも頑張っている」「人柄がよい」だけでは判断できない
- 実績を並べすぎる:一つひとつが浅くなり、どれが推薦の理由か伝わらない
- チームの成果を本人一人の成果として書く:本人が担った部分を分けて書く
- 賞の基準と結びついていない:よい取り組みでも、別の賞の観点で書くと選考で外れやすい
- ほかの社員との比較:「◯◯さんより優れている」は選考の材料にならず、比べられた人を傷つける
- 長時間労働や体調を押して働いたことを称える:働き方を美化する推薦理由は避ける
- 本人が公開を望まない事情:社内報で紹介される可能性があるなら、本人に確認できない内容は書かない
注意
生成AIで推薦理由の下書きを作る場合も、背景・行動・結果の事実は推薦者が用意し、出てきた文に事実と違う点や誇張がないかを必ず確かめてください。候補者の個人的な事情は入力しないようにします。
この記事の要点
- 推薦理由は背景→本人の行動→結果と広がり→基準との対応の順で書く。
- 選考委員は候補者を知らない前提で、判断できる事実を書く。
- 実績を並べるより、一つの場面を具体的に書く。
- 数字は社内で確かめられるものだけ。なくても行動と周りの声で書ける。
- 比較・働き方の美化・本人が望まない事情は書かない。
- 推薦を募る側は、基準と書き方の例を案内に添える。
FAQ
よくある質問
どんな状況・課題があったか(背景)、本人が何をしたか(行動)、どうなり周りにどう効いたか(結果と広がり)、賞のどの観点に当てはまるか(基準との対応)の順に書きます。一つの場面を具体的に書くと、選考委員が判断しやすくなります。
推薦書は選考委員が受賞者を決めるための判断材料で、背景や行動の事実を詳しく書きます。表彰コメントは式で読み上げたり社内報に載せたりするための短い文で、推薦書や選考理由をもとに耳で分かる長さにまとめます。
社内の様式に字数の指定があればそれに従います。指定がなければ、背景・行動・結果と広がり・基準との対応をそれぞれ一、二文で書けば、判断の材料として足ります。欄が小さい場合は、この四つを一文ずつに縮めます。
数字の代わりに、具体的な行動と周りの変化を書きます。「誰が、何に困らなくなったか」「どのやり方が共有されたか」、関係者からの声などが判断の材料になります。
取り組みの背景と自分が担った部分を分けて書き、協力してくれた人の名前を入れます。取り組みの範囲と、周りへの広がりが伝わります。
成果そのものに加えて、その成果にいたる行動が会社の重点方針や行動指針とどうつながるかを書きます。ほかの社員の手本になる点を具体的な場面で示すと、社長賞の趣旨に沿った推薦になります。
受け付けるかどうかは会社ごとに決まりが違うため、募集要項で確かめてください。他部署から見た貢献は、本人の部署では見えにくい広がりを示す材料になります。
社内の決まりがあればそれに従います。決まりがない場合、結果が出る前に伝えると、受賞しなかったときに本人が気まずくなることがあります。推薦理由を社内報などで紹介する可能性があるときは、本人への確認の方法を事務局に確かめておきます。