挨拶
献杯の挨拶 例文
法要の会食と乾杯との違い・発声の仕方
献杯の挨拶は、1分ほどで足ります。話す順番は①名乗りと故人との関係 ②故人の思い出を一言 ③ご遺族への言葉 ④「献杯」の発声。いちばん短い形なら、次の文でそのまま読めます。
「ご指名をいただきました、◯◯でございます。故人とは、同じ職場で◯年間ご一緒させていただきました。いつも穏やかで、誰の話にも耳を傾けてくださる方でした。本日は皆さまとともに、故人を偲びたいと存じます。それでは、献杯させていただきます。……献杯。ありがとうございました。」
献杯は乾杯と違い、杯を静かに掲げ、グラスを打ち合わせず、拍手もしないのが一般的です。会社が主催する偲ぶ会の挨拶一式(主催者・社員代表・閉会)は偲ぶ会の挨拶 例文にまとめています。
結論
献杯は、故人に敬意を表して杯をささげることで、法要のあとの会食や偲ぶ会の会食のはじめに行われることが多いものです。乾杯が祝いや門出を喜ぶものであるのに対し、献杯は故人を偲ぶためのものなので、声を抑え、静かに行うのが一般的です。献杯を行うかどうか、どう言うかは宗教・宗派や地域、ご遺族の考えによって違うことがあるので、施主(法要を主催する人)や司会の進め方に合わせます。
献杯の挨拶の組み立て(話す順番)
| 順番 | 言うこと | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 名乗りと故人との関係 | 「ご指名をいただきました、◯◯株式会社の◯◯でございます。故人とは◯年来、仕事でお世話になりました」 |
| 2 | 故人の思い出を一言 | 「どんな時も約束の時間より早く来て、資料を読み込んでいらっしゃる方でした」 |
| 3 | ご遺族への言葉 | 「ご家族の皆さまのお気持ちを思うと、言葉もございません」 |
| 4 | 献杯の案内と発声 | 「それでは、献杯させていただきます。……献杯」 |
| 5 | お礼 | 「ありがとうございました」と一礼 |
献杯の挨拶は会食の始まりの合図なので、思い出話は一つに絞り、1分ほどで終えます。長い思い出話は、会食中に指名されたときに回します。原稿の長さはスピーチの文字数と時間で確かめられます。
献杯と乾杯の違い
| 献杯 | 乾杯 | |
|---|---|---|
| 目的 | 故人に敬意を表し、故人を偲ぶ | 祝い・門出・会の始まりを喜ぶ |
| 杯の上げ方 | 胸から目の高さほどまで静かに掲げる | 高く掲げることが多い |
| 発声 | 落ち着いた声で「献杯」。唱和は小さな声で | 大きな声で「乾杯」 |
| グラス | 打ち合わせないのが一般的 | 近くの人と合わせることが多い |
| 拍手 | しないのが一般的 | することが多い |
| よく使われる場 | 法要のあとの会食、偲ぶ会 | 宴会・祝賀会・懇親会 |
献杯のあとは、杯に口をつけてからそっと置き、そのまま会食に移ります。乾杯の挨拶は乾杯の挨拶 例文、お酌とグラスの扱いはお酌と乾杯のマナーにあります。
献杯の発声のしかた
- 01
杯を用意してもらう
司会か施主が「お手元のグラスをお持ちください」と声をかけます。飲めない人はお茶や水でかまいません。
- 02
挨拶をする
名乗り、故人の思い出、ご遺族への言葉を1分ほどで述べます。
- 03
献杯の案内をする
「それでは、献杯させていただきます」と言い、杯を静かに掲げます。
- 04
「献杯」と発声する
落ち着いた声で「献杯」と言います。参列者が小さな声で唱和することもあれば、挨拶をする人だけが発声することもあります。
- 05
お礼を述べて座る
杯に口をつけたあと、「ありがとうございました」と一礼し、席に戻ります。拍手は求めません。
Point
「ご唱和ください」と言うかどうかは会によって違います。参列者に唱和してもらう形も、挨拶をする人だけが発声する形もあります。司会や施主と事前にそろえておくと、当日迷いません。
立場・関係別の例文(1〜2分)
会社の上司として(部下の一周忌の法要のあとの会食)
ご指名をいただきました、◯◯株式会社で◯◯さんの上司をしておりました、◯◯でございます。
本日は一周忌の法要にお招きいただき、ありがとうございます。
◯◯さんは、誰よりも先にお客さまのところへ足を運ぶ人でした。今も職場では「◯◯さんならどうするか」と話に出ることがあります。◯◯さんが残してくれた仕事の仕方は、今も私たちの手本です。
ご家族の皆さまには、この一年、さぞおつらい日々であったことと存じます。
本日は、皆さまとともに◯◯さんを偲びたいと存じます。それでは、献杯させていただきます。……献杯。
ありがとうございました。
同僚として(四十九日の法要のあとの会食)
ご指名をいただきました、◯◯さんと同じ部署で働いておりました◯◯と申します。
◯◯さんとは入社した年が近く、忙しい時期には夜遅くまで一緒に資料を作りました。疲れているときほど冗談を言って、周りを笑わせてくれる人でした。
ご家族の皆さまのお気持ちを思うと、言葉もございません。
本日は、◯◯さんの思い出を皆さまと語り合えればと存じます。それでは、献杯させていただきます。……献杯。
ありがとうございました。
取引先の代表として(故人が取引先の役員だった場合)
ご指名をいただきました、株式会社◯◯の◯◯でございます。
故◯◯様には、◯年にわたり格別のお引き立てをいただきました。初めてお目にかかった日に、「長く付き合える相手かどうかを見ている」とおっしゃったことを、今もよく覚えております。そのお言葉に恥じない仕事をしていくことが、私どもにできることだと思っております。
ご遺族の皆さまには、心からお悔やみ申し上げます。
それでは、故人を偲び、献杯させていただきます。……献杯。
ありがとうございました。
親族(施主側)として、会社関係の参列者もいる席で
故人の弟の◯◯でございます。僭越ながら、献杯の発声をさせていただきます。
本日は、兄の◯◯のために、お忙しいなかお集まりいただき、誠にありがとうございます。会社の皆さまにもお越しいただき、兄も喜んでいることと思います。仕事の話を家でするときの兄は、いつもどこか楽しそうでした。
ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。兄の思い出話などお聞かせいただければ幸いです。
それでは、献杯。
ありがとうございました。
注意
お悔やみの言葉の選び方はお悔やみの言葉(口頭)、弔辞は弔辞の書き方と例文にあります。
避けたい言葉・話題
弔事の場では、不幸が重なることや続くことを連想させる重ね言葉・繰り返しの言葉を避けるのが一般的です。どこまで気にするかは人や地域によって違いますが、原稿からは外しておくと安心です。
| 避けたい言い方・話題の例 | 理由として言われること | 言い換えの例 |
|---|---|---|
| 重ね重ね/たびたび/くれぐれも/ますます | 重ね言葉で、不幸が重なることを連想させる | 深く/心より/どうか |
| 再び/続いて/追って | 不幸が続くことを連想させる | (文を分けて言い直す) |
| 「乾杯」と言い間違える | 祝いの言葉になってしまう | 原稿に「献杯」と大きく書いておく |
| 亡くなった経緯・闘病の様子 | ご遺族のつらい記憶に触れる | (触れない) |
| 故人の失敗談・内輪の冗談 | ご遺族が知らない話で戸惑わせることがある | 人柄が温かく伝わる話を選ぶ |
宗教によって違う言い方
「ご冥福をお祈りします」「成仏」「供養」などは仏教の言葉とされ、宗派や宗教によっては使わないとする考え方もあります。故人やご遺族の宗教が分からないときは、「心からお悔やみ申し上げます」「故人を偲び」など、どの宗教でも使いやすい言い方を選ぶと無難です。言葉の扱いは宗派や考え方によって違うので、迷う場合は施主や司会に確かめてください。
当日のマナーと、事前に確認すること
| 項目 | 一般的な目安 | 確認すること |
|---|---|---|
| 服装 | 法要に参列した服装のまま会食に出る | 案内に「平服で」とあるか。喪服か地味な色の服かは施主の案内に合わせる |
| 席 | 施主や親族が席を決めていることが多い | 献杯をする人が前に出るのか、自分の席で立って行うのか |
| 杯 | お酒が飲めない人はお茶や水でかまわない | 飲み物がそろってから始めるか |
| 唱和 | 小さな声で唱和するか、挨拶をする人だけが発声するか | 司会・施主の進め方 |
| 献杯そのもの | 宗教・宗派や地域によって行わないこともある | 施主が献杯を予定しているか |
会社として参列するときの服装は式典の服装、香典の表書きは会社の香典の書き方を参考にしてください。偲ぶ会で黙祷を行う場合の司会の言葉は黙祷の司会 例文にあります。
この記事の要点
- 献杯の挨拶は1分ほど。名乗りと関係→思い出を一言→ご遺族への言葉→「献杯」。
- 乾杯と違い、静かに掲げ、グラスを打ち合わせず、拍手もしないのが一般的。
- 唱和してもらうかどうかは司会・施主とそろえる。
- 重ね言葉・亡くなった経緯は避け、「乾杯」と言い間違えないよう原稿に書いておく。
- 宗教が分からないときは宗教によらない言い方を選ぶ。
FAQ
よくある質問
乾杯は祝いや会の始まりを喜ぶためのもので、献杯は故人に敬意を表し、故人を偲ぶためのものです。献杯では杯を静かに掲げ、グラスを打ち合わせず、拍手もしないのが一般的です。
1分ほどが目安です。献杯は会食の始まりの合図なので、思い出話は一つに絞り、長い話は会食中に指名されたときに回します。
会によって違います。参列者に小さな声で唱和してもらう形も、挨拶をする人だけが「献杯」と発声する形もあります。司会や施主と事前にそろえておくと迷いません。
お茶や水、ソフトドリンクで杯を掲げてかまいません。飲み物を替えたいときは、会食の係やお店の人に早めに伝えておきます。
名乗りと故人との関係、職場での思い出を一つ、ご家族への言葉を述べ、「献杯させていただきます」と続けて発声します。仕事の話は人柄が伝わるものに絞り、亡くなった経緯には触れません。
献杯のあとは拍手をしないのが一般的です。杯に口をつけてからそっと置き、そのまま会食に移ります。