ビジネス用語
割愛の意味と読み方
本来の意味と省略との違い
「割愛」は、本来、惜しいと思うものを、思い切って手放したり省いたりすることです。読み方はかつあい。使った一文は「時間の都合で、事例の詳しいご紹介は割愛させていただきます。」。ふだんは「省略」とほぼ同じ意味で使われていますが、もとは「惜しいけれど」という気持ちを含む言葉です。このページでは、意味と由来、文化庁の調査での受け止め方、場面別の例文、「省略」との違い、目上の人や社外に使うときの注意をまとめました。司会の台本で使う言い回しは会議の司会の台本にもあります。
結論
「割愛」は、惜しいと思いながら、手放す・省く・切り捨てることを表します。「◯◯は割愛します」「割愛させていただきます」の形で、話や資料の一部を省くときによく使われます。
「割愛」の意味と由来
「割」はさく・断ち切る、「愛」は愛着・惜しむ気持ち。愛着を断ち切るという組み立てで、もとは仏教の言葉として、執着を断つことを表したと説明されることが多い言葉です(由来の説明は辞書によって異なります)。
そこから、惜しいと思うものを思い切って手放す・省くという意味で使われるようになりました。読み方は「かつあい」で、「わりあい」ではありません。
人事の場面では、他の組織に移る職員を、所属先が手放して送り出すことを「割愛」と呼ぶことがあります。これも「惜しい人材を手放す」という本来の意味に沿った使い方です。
Point
割愛=惜しいと思うものを手放す・省くこと。「要らないから省く」ではなく、「本当は入れたいが省く」というのが本来の意味合いです。
文化庁の調査での受け止め方
文化庁「国語に関する世論調査」(平成23年度)では、例文「説明は割愛した。」の「割愛する」を、どちらの意味だと思うかを尋ねています。
| 選択肢 | 調査での位置づけ |
|---|---|
| 不必要なものを切り捨てる | 本来の意味ではない方 |
| 惜しいと思うものを手放す | 辞書等で本来の意味とされるもの |
結果は、本来の意味ではない「不必要なものを切り捨てる」を選んだ人のほうが多いというものでした。年齢別に見ても、すべての年代で「不必要なものを切り捨てる」を選んだ人の割合が上回ったと報告されています。
つまり、書き手が「惜しいけれど」という気持ちを込めて「割愛」と書いても、読み手には「要らないから省いた」と受け取られることがある、ということです。気持ちを伝えたいときは、言葉を添えておくと確実です。
使い方の例文(会議・メール・朝礼・面談)
会議・プレゼンで
時間の都合で、事例の詳しいご紹介は割愛させていただきます。資料の◯ページに載せておりますので、後ほどご覧ください。
注意
目上の人がいる場でも使える言い方です。省いた内容の参照先を添えると、「惜しいけれど省く」という気持ちが伝わります。
報告メールで(社内の上司へ)
件名:◯◯の調査結果のご報告
◯◯課長
お疲れさまです。□□です。
◯◯の調査結果をご報告いたします。
本メールでは結論と主な理由のみを記し、細かな集計表は割愛いたしました。
集計表は添付ファイルにまとめておりますので、必要に応じてご確認ください。
注意
メールを短くまとめる工夫はメールを短くする書き方も参考になります。
メールで(取引先へ)
先日のお打ち合わせの内容を下記にまとめました。なお、すでにご承知の前提事項は割愛しております。不足がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
朝礼で
本当はもっとお話ししたいことがあるのですが、今朝は時間が限られているので割愛して、一点だけお伝えします。
面談で(上司から部下へ)
報告書は、経緯の説明を思い切って割愛して、結論を最初に書くと読みやすくなるよ。
似た表現・言い換え・反対の表現
| 表現 | 意味 | 使い方の目安 |
|---|---|---|
| 割愛 | 惜しいと思うものを手放す・省く | 「本当は入れたいが」という気持ちを込めたいとき |
| 省略 | 一部を省いて簡単にする | 気持ちを込めず、事実として省いたことを伝えるとき |
| 省く | 取り除いて減らす | 和語の分かりやすい言い換え |
| 端折る(はしょる) | 話などを一部省いて短くする | くだけた話し言葉。社外の文書には向かない |
| カット | 削ること | 社内の会話で。文書ではかたく言い換える |
| 詳述/詳しく述べる | 細かく説明する | 割愛と反対の向き |
| 補足 | 足りないところを補う | 割愛した内容をあとで足すときに使う |
単に不要な部分を省いただけなら、「省略」と書くのが無難です。「割愛」は、聞き手・読み手に「大事な内容だが、時間や紙面の都合で省く」と伝えたいときに向いています。
間違えやすい使い方
| ありがちな言い方 | 気になる点 | 直し方 |
|---|---|---|
| わりあいさせていただきます | 読み間違い | かつあいさせていただきます |
| 誤字の箇所は割愛しました | 惜しいものではないので、本来の意味と合わない | 誤字の箇所は削除しました |
| (取引先の提案について)ご提案の◯◯は割愛します | 相手の大事な提案を「要らない」と切り捨てたように受け取られるおそれがある | ご提案の◯◯は、今回は見送らせていただけますでしょうか |
| 割愛させていただきますので、ご了承ください(参照先なし) | 何を省いたのか、どこを見ればよいのか分からない | 割愛した内容の参照先(資料のページ・添付)を添える |
注意
読み間違えやすいビジネスの漢字はビジネスで読み間違えやすい漢字一覧にまとめています。
目上の人・社外に使うときの注意
「割愛させていただきます」は、目上の人や社外の方の前でも使える丁寧な言い方です。ただし、相手のもの(提案・資料・発言など)を「割愛」すると、相手には「切り捨てられた」と聞こえることがあります。
| 場面 | おすすめの言い方 |
|---|---|
| 自分の説明を短くする | 詳細は割愛させていただきます。資料の◯ページをご覧ください |
| 式典で祝電・紹介を省く | 時間の都合により、お名前のご紹介をもって代えさせていただきます |
| 相手の提案を今回は扱わない | 今回は見送らせていただけますでしょうか |
| 文書で事実として省いたことを書く | 以下、詳細は省略します |
この記事の要点
- 「割愛(かつあい)」は本来惜しいと思うものを手放す・省くこと。
- 文化庁「国語に関する世論調査」(平成23年度)では、「不必要なものを切り捨てる」の意味を選んだ人のほうが多かった。
- 単に不要な部分を省くなら「省略」が無難。
- 割愛するときは省いた内容の参照先を添える。
- 相手の提案・発言を「割愛」すると切り捨てたように聞こえるので避ける。
FAQ
よくある質問
「かつあい」と読みます。「わりあい」ではありません。
惜しいと思うものを、思い切って手放す・省くことです。単に不要なものを切り捨てる意味ではないとされます。
「省略」は一部を省くことを事実として表す言葉です。「割愛」には本来「惜しいけれど」という気持ちが含まれます。不要な部分を省くだけなら「省略」と書くのが無難です。
使えます。自分の説明や資料の一部を省くときの丁寧な言い方です。省いた内容の参照先を添えると親切です。
文化庁「国語に関する世論調査」(平成23年度)では、本来の意味とされる「惜しいと思うものを手放す」より、「不必要なものを切り捨てる」を選んだ人のほうが多いという結果でした。